不倫慰謝料を請求されたとき、多くの方が最初に不安を感じるのは「請求額を払えるか」と「弁護士費用まで払う意味があるのか」です。特に不貞行為をした側は、「自分に非があるのだから、弁護士に相談しても仕方がないのではないか」と考えてしまうことがあります。
しかし、不貞行為があったとしても、請求された金額が相場を大きく超えている場合、証拠や婚姻関係に争いがある場合、示談条件が重すぎる場合などは、弁護士が入ることで支払額や解決条件を調整できることがあります。重要なのは、弁護士費用を単独で見るのではなく、請求額からどれだけ減額できるか、弁護士費用を差し引いても費用対効果があるかで判断することです。
この記事では、不貞行為をした側・不倫慰謝料を請求された側の弁護士費用について、費用の内訳、総額の考え方、費用倒れを避けるための確認ポイントを整理します。
- 弁護士費用は、着手金だけでなく総額と減額幅で判断する
- 請求された側では、完全成功報酬制より定額着手金+成功報酬型が自然な場合がある
- 費用倒れを避けるには、経済的利益と見積り前提を事前に確認する
- 相手に弁護士がついていても、通常の減額交渉として対応できることが多い
- 訴訟や離婚条件が絡む場合は、追加費用の有無を別に確認する
費用を理由に相談を先延ばしにすると、相手方の請求にそのまま応じてしまったり、不利な示談書に署名してしまったりするおそれがあります。費用を抑えるためにも、早い段階で「どの範囲を弁護士に任せるのか」を整理しておくことが大切です。
坂尾陽弁護士
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

Contents
慰謝料請求された事案の無料法律相談実施中!
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- お問合せは24時間365日受付
- 土日・夜間の法律相談も実施
- 全国どこでも対応いたします
不貞行為した側の弁護士費用は「総額」と「減額幅」で判断する
不貞行為した側の弁護士費用を考えるときは、「弁護士費用がいくらか」だけを見ても十分ではありません。請求された側は、弁護士に依頼して慰謝料を回収する立場ではなく、請求された慰謝料を減額し、支払条件や示談条件を整える立場だからです。
たとえば、300万円を請求されている事案で、弁護士に依頼した結果150万円で解決できたとします。この場合、減額できた金額は150万円です。弁護士費用がこの減額幅を大きく下回るのであれば、費用を払っても依頼する意味があるといえます。反対に、減額幅が小さいにもかかわらず高額な費用がかかるなら、費用倒れに近い状態になります。
そのため、依頼前の見積りでは、単に「着手金はいくらか」だけでなく、次の点をまとめて確認する必要があります。
- 請求額はいくらか
- 現実的な解決額の見込みはいくらか
- 減額できた金額をどう評価するか
- 成功報酬は何を基準に計算するか
- 実費・日当・訴訟移行時の追加費用があるか
弁護士費用の比較では、依頼時に支払う金額が低く見えても、解決時の成功報酬、固定金額、最低成功報酬、日当などを加えると総額が大きくなることがあります。反対に、依頼時の着手金が一定額必要でも、成功報酬の前提や費用倒れ防止の仕組みが明確であれば、安心して依頼しやすい場合もあります。
「安い着手金」だけで判断しない
不倫慰謝料の弁護士費用を調べると、「着手金無料」「完全成功報酬制」「低額着手金」などの表示を目にすることがあります。費用負担を抑えたい読者にとっては魅力的に見えますが、請求された側では、着手金だけを見て判断すると総額を誤解することがあります。
請求する側であれば、相手から回収した慰謝料の中から報酬を支払う構造を取りやすいため、完全成功報酬制と相性がよい場合があります。これに対して、請求された側はお金を受け取るのではなく、支払額を下げる立場です。依頼時に一定の準備や交渉対応が必要になるため、着手金を完全にゼロにするより、着手金を定額に抑え、減額できた金額に応じて成功報酬を計算する形の方が、費用の見通しを立てやすい場合があります。
もちろん、どの費用体系が適切かは事案によって異なります。大切なのは、依頼前に「どの時点で」「何に対して」「いくら発生するのか」を確認し、総額のイメージを持っておくことです。
経済的利益は「減額できた金額」を基準に考える
不貞行為した側の慰謝料減額交渉では、成功報酬の基準として「経済的利益」という言葉が使われることがあります。経済的利益とは、簡単にいえば、弁護士が対応したことで依頼者が得た金銭的な利益です。
請求された側では、典型的には「請求額から解決額を差し引いた金額」が経済的利益になります。300万円を請求され、150万円で解決した場合は、150万円の減額が経済的利益です。200万円を請求され、120万円で解決した場合は、80万円の減額が経済的利益になります。
もっとも、実際の交渉では、最初の請求額が明確でない、途中で請求額が変わる、慰謝料だけでなく手切れ金・解決金のような名目で請求される、求償権や第三者の負担が問題になる、といった事情もあります。このような場合は、何を経済的利益と見るかを事前に整理しないと、成功報酬の計算で誤解が生じます。
当事務所の費用体系については、不倫の弁護士費用(料金表)で、着手金、固定金額、成功報酬、経済的利益の考え方を整理しています。具体的な金額は事案によって変わり得るため、記事内の一般論だけで判断せず、請求額・争点・相手方の姿勢を踏まえて見積りを確認することが重要です。
交渉で終わるか、訴訟や離婚問題まで広がるかで費用は変わる
不貞行為した側の弁護士費用は、依頼範囲によっても変わります。相手方との慰謝料減額交渉だけで終わる場合と、訴訟に移行する場合、さらに自分の配偶者との離婚条件まで同時に交渉する場合とでは、弁護士が対応する範囲が大きく異なります。
慰謝料減額交渉だけであれば、相手方とのやり取り、回答書の作成、示談条件の調整、示談書の確認・作成などが中心になります。相手方に弁護士がついている場合でも、通常は交渉の相手が本人から代理人に変わるだけであり、直ちに別事件として費用が大きく変わるとは限りません。
一方で、相手方が訴訟を提起した場合や、自分から債務不存在確認訴訟などの裁判手続を検討する場合は、裁判対応として書面作成、期日対応、証拠整理などが必要になります。この場合は、交渉段階とは別に追加着手金、日当、交通費、裁判所費用などを確認する必要があります。
また、不倫慰謝料だけでなく、自分の配偶者との離婚、財産分与、親権、養育費、婚姻費用などが同時に問題になる場合は、慰謝料減額交渉とは別の事件として費用が変わることがあります。費用を正確に把握するには、「相手方からの慰謝料請求への対応」と「配偶者との離婚条件交渉」を分けて見積もることが大切です。
坂尾陽弁護士
不貞行為した側でも弁護士に依頼してよい
不貞行為をした側の方からは、「自分が悪いのに弁護士をつけてもよいのか」「相手を怒らせてしまうのではないか」という相談が少なくありません。しかし、弁護士に依頼することは、責任を否定するためだけのものではありません。適正な金額で、過不足のない条件で、将来のトラブルを残さず解決するために依頼する意味があります。
不倫慰謝料の交渉では、感情的な対立が強くなりやすく、当事者同士でやり取りを続けると、請求額が膨らんだり、家族や職場への連絡をめぐって別のトラブルが生じたりすることがあります。弁護士が窓口になることで、相手方本人や相手方弁護士との連絡を一本化し、金額・支払方法・接触禁止・口外禁止などの条件を整理しやすくなります。
もっとも、本記事は「不倫した側が弁護士に相談すべきか」全般を深掘りする記事ではありません。依頼判断全体を知りたい場合は、慰謝料請求された側に強い弁護士への相談に関するページで、初動対応や依頼判断を確認してください。ここでは、費用面から見て弁護士に依頼する意味がある場面を整理します。
高額な請求を受けている場合
不貞行為があったとしても、請求された金額をそのまま支払う必要があるとは限りません。不倫慰謝料は、婚姻期間、不貞行為の期間・回数、夫婦関係の状況、別居や離婚の有無、発覚後の対応、証拠の内容などによって幅があります。
相手方が強い怒りから高額な慰謝料を請求している場合、請求額が相場から大きく外れていることがあります。このようなときは、弁護士が事実関係と裁判実務上の見通しを整理し、支払うべき金額の範囲を冷静に検討することが重要です。
特に、相手方から300万円、500万円、あるいはそれ以上の金額を請求されている場合には、減額幅が大きくなる可能性があります。減額幅が大きければ、弁護士費用を差し引いても依頼するメリットが出やすくなります。
相手方に弁護士がついている場合
相手方に弁護士がついている場合、通知書や内容証明には、法的な主張や期限が記載されていることがあります。このような書面を受け取ると、すぐに支払わなければならないと感じるかもしれません。しかし、請求額、証拠、事実関係、支払方法、示談条件については、交渉の余地が残っていることがあります。
弁護士同士の交渉になれば、相手方の主張を法的に整理し、必要な反論を行い、支払額だけでなく将来の接触、口外、求償権、清算条項などを含めた示談条件を調整できます。本人が感情的なやり取りに巻き込まれることを避けられる点も大きなメリットです。
相手方に弁護士がついているからといって、費用が当然に大きく上がるわけではありません。通常は、相手方本人との交渉と同じく、慰謝料減額交渉の範囲で対応できることが多いです。ただし、相手方が訴訟を提起した場合は、裁判対応の追加費用を別に確認する必要があります。
内容証明や訴状が届いた場合
内容証明が届いた場合は、回答期限や請求内容を確認し、無視せずに対応方針を決める必要があります。内容証明は、それ自体で支払義務を確定させるものではありませんが、放置すると相手方が訴訟に進むきっかけになり得ます。
訴状が届いた場合は、さらに注意が必要です。裁判所から届いた書類には、答弁書の提出期限や第1回期日が記載されています。期限を過ぎると、相手方の主張を前提に手続が進んでしまうおそれがあります。訴訟対応は交渉対応とは異なるため、費用の見積りでも訴訟移行時の追加費用を確認しておくべきです。
まだ訴訟になっていない段階であれば、弁護士が回答書を作成し、相手方との示談交渉を進めることで、裁判を避けて解決できることもあります。まずは、請求書・内容証明・相手方からのメッセージなどを整理し、慰謝料を請求された人の無料相談で見通しと費用を確認するとよいでしょう。
職場や家族への連絡を示唆されている場合
不倫慰謝料の交渉では、相手方から「職場に言う」「家族に知らせる」「SNSで公表する」といった言葉を受けることがあります。相手方の怒りが強い場面では、金額交渉だけでなく、周囲への連絡や拡散をどう防ぐかも重要な課題になります。
弁護士が窓口になれば、相手方に対して、必要以上の連絡や第三者への開示を控えるよう求めることができます。また、示談書の中に口外禁止条項や接触禁止条項を入れることで、解決後のトラブルを防ぎやすくなります。
このようなケースでは、弁護士費用を「慰謝料を何万円減らせるか」だけで判断しない方がよい場合があります。家族・職場への影響、将来の紛争予防、示談条件の安全性も、費用対効果の一部として考えるべきです。
不貞行為した側の弁護士費用の内訳
不貞行為した側の弁護士費用は、法律事務所によって名称や計算方法が異なります。ただし、基本的には「相談時にかかる費用」「依頼時にかかる費用」「解決時にかかる費用」「事件処理のために別途かかる費用」に分けて理解すると整理しやすくなります。
ここでは、不倫慰謝料を請求された側の減額交渉を前提に、相談料、着手金、固定金額、成功報酬、実費、日当の意味を説明します。
相談料
相談料は、弁護士に法律相談をするための費用です。一般的には30分5,000円、1時間1万円程度の相談料を設定している法律事務所もありますが、不倫慰謝料を請求された側の相談では、無料相談を設けている事務所も少なくありません。
相談の段階では、請求書や内容証明の内容、相手方との関係、不貞行為の有無、証拠の状況、夫婦関係、支払能力、家族や職場に知られたくない事情などを確認します。相談だけで依頼を決める必要はなく、見通しと費用を聞いたうえで、依頼するかどうかを判断できます。
当事務所では、不倫慰謝料を請求された側の法律相談について、費用の見積りを含めて相談時に説明します。相談料が無料であっても、依頼後の費用体系や成功報酬の前提は必ず確認しておきましょう。
着手金
着手金は、弁護士が代理人として事件処理を開始するために、依頼時点で支払う費用です。不倫慰謝料を請求された側では、相手方への連絡、主張整理、回答方針の検討、証拠確認、交渉窓口の設定など、解決前の段階で弁護士が対応する業務があります。
請求された側では、請求する側と異なり、相手から回収したお金の中から弁護士費用を支払う構造ではありません。そのため、現在の実務感覚としては、着手金を完全に無料にするよりも、依頼時の着手金を定額に抑え、解決時の成功報酬と組み合わせる費用体系が自然な場合があります。
着手金を見るときは、金額だけでなく、その着手金でどこまで対応してもらえるかを確認してください。相手方との交渉、内容証明への回答、示談書作成、相手方弁護士とのやり取りが含まれるのか、訴訟に移行した場合は別途費用になるのかを分けて確認することが重要です。
固定金額
法律事務所によっては、解決時に一定の固定金額を設定している場合があります。固定金額は、事件が解決した段階で発生する費用として、成功報酬とは別に設定されることがあります。
固定金額がある場合は、成功報酬の割合だけを見ても総額を把握できません。固定金額と成功報酬の計算方法が明確であれば、解決時の費用を予測しやすくなります。
費用を比較するときは、「着手金+固定金額+成功報酬+実費・日当」を合計した場合に、減額幅との関係で費用倒れにならないかを確認しましょう。
成功報酬
成功報酬は、弁護士の対応によって得られた成果に応じて発生する費用です。不倫慰謝料を請求された側では、主に「減額できた金額」を基準に成功報酬を計算します。
たとえば、請求額300万円を150万円に減額できた場合、減額幅は150万円です。この150万円を経済的利益として、一定割合の成功報酬を計算する形が典型です。請求額200万円を120万円に減額できた場合は、80万円が経済的利益になります。
ただし、成功報酬の計算では、請求額が途中で変わった場合、相手方が当初明確な金額を示していなかった場合、慰謝料以外の解決金名目が含まれる場合などに注意が必要です。成功報酬の前提となる請求額・解決額・経済的利益を、契約前にできる限り明確にしておきましょう。
成功報酬は「減額できた金額」を基準にすることが多いですが、事案によって経済的利益の評価が変わることがあります。見積りでは、計算例だけでなく、前提条件も確認してください。
実費
実費は、事件処理のために実際に発生する費用です。郵送費、内容証明郵便の費用、印刷・コピー代、交通費、裁判所に提出する書類に関する費用などが含まれます。
交渉だけで終わる場合は、実費が大きく増えることは多くありません。しかし、裁判になった場合や、遠方の裁判所・相手方とのやり取りが必要になる場合には、実費が増えることがあります。実費については、事前に一定額を預かる方式なのか、発生した都度精算する方式なのかも確認しておきましょう。
日当
日当は、弁護士が裁判所へ出廷したり、事務所外で対応したりする場合に発生する費用です。通常の交渉案件では日当が発生しないこともありますが、訴訟に移行した場合、裁判期日への出廷や遠方対応に伴って日当が発生することがあります。
日当は、期日の回数や移動距離によって変わるため、最初の段階で総額を確定しにくい費目です。そのため、日当の金額だけでなく、「どのような場面で日当が発生するのか」「交渉段階では発生しないのか」「訴訟になった場合に何回程度の期日が想定されるのか」を確認することが大切です。
費用内訳を確認するときの見方
弁護士費用の内訳を確認するときは、各費目をバラバラに見るのではなく、事件の流れに沿って考えると分かりやすくなります。相談時に見通しを確認し、依頼時に着手金を支払い、交渉で解決した場合は固定金額や成功報酬を支払い、訴訟や外出対応が必要になれば実費・日当が加わる、という順番です。
特に不倫慰謝料を請求された側では、解決時の支払額と弁護士費用の両方を負担することになります。そのため、依頼前には次のような形で総額を確認しておくと安心です。
- 交渉で解決した場合の総額:着手金、固定金額、成功報酬、通常の実費を含めた見込みを確認します。
- 訴訟に移行した場合の追加費用:追加着手金、日当、交通費、裁判所費用がどの時点で発生するかを確認します。
- 経済的利益の計算方法:請求額が未確定・途中変更の場合に、成功報酬をどう計算するかを確認します。
- 費用倒れ防止の仕組み:減額幅が弁護士費用を下回る場合の取り扱いや保証制度の有無を確認します。
費用の説明を受けたときに、分からない費目がある場合は、その場で確認して構いません。「着手金が安いか高いか」だけでなく、「最終的にいくら支払い、どのような結果を目指すのか」を具体的に把握することが、後悔しない依頼判断につながります。
一般的な費用相場と当事務所の費用設計の違い
不貞行為をした側が弁護士費用を調べると、法律事務所によって金額や呼び方が大きく違うように見えます。相談料、着手金、報酬金、手数料、固定金額、成功報酬、実費、日当など、複数の費目が出てくるため、「結局いくらかかるのか」が分かりにくくなりがちです。
もっとも、見るべきポイントは複雑ではありません。不倫慰謝料を請求された側では、弁護士費用を次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 相談だけで発生する費用
- 依頼時点で必要になる費用
- 解決時点・手続移行時に発生する費用
相談だけであれば無料又は低額でも、実際に依頼すると着手金や成功報酬が発生します。反対に、依頼時の費用が抑えられていても、成功報酬や固定金額、最低報酬、訴訟移行時の追加費用まで含めると総額が大きくなることがあります。そのため、料金表を見るときは、最初に表示されている金額だけでなく、解決までに発生し得る総額を確認することが大切です。
一般的な減額交渉の費用相場
不倫慰謝料を請求された側の減額交渉では、一般的に、相談料、着手金、報酬金、実費、日当が問題になります。法律相談は30分5,000円から1万円程度とされることもありますが、不倫慰謝料の相談では初回無料や相談無料の事務所もあります。
減額交渉を正式に依頼する場合、着手金は10万円台から30万円前後、報酬金は減額できた金額の10%から20%程度という形で説明されることが多いです。たとえば、300万円の請求を150万円まで減額できた場合、150万円の減額分を経済的利益と見て、その一定割合を成功報酬として計算する考え方です。
ただし、これはあくまで一般的な目安です。事務所によっては、着手金を高めにして報酬率を抑える方式、着手金を低めにして成功報酬率を高める方式、最低成功報酬を設ける方式、固定金額と成功報酬を組み合わせる方式などがあります。表面上の着手金だけを比べると安く見えても、解決時の報酬を含めると必ずしも安いとは限りません。
請求する側と請求された側では費用体系の考え方が違う
不倫慰謝料の弁護士費用では、「完全成功報酬制」や「着手金無料」という言葉を見かけることがあります。もっとも、これらは特に慰謝料を請求する側と相性がよい費用体系です。請求する側は、相手から回収した慰謝料の中から弁護士費用を支払えるため、回収額に連動した完全成功報酬制を設計しやすいからです。
これに対して、不倫慰謝料を請求された側は、お金を回収する立場ではありません。弁護士に依頼して得られる主な利益は、支払う慰謝料を減らすこと、支払方法を調整すること、不利な示談条件を避けること、相手方との直接交渉を避けることです。つまり、手元に新たなお金が入ってくるのではなく、将来支払う金額やリスクを減らす構造になります。
そのため、請求された側では、完全成功報酬制だけを前提にするよりも、依頼時の着手金を定額に抑えつつ、減額できた金額に応じて成功報酬を設定し、費用倒れのリスクは保証制度でカバーする設計が自然な場合があります。
当事務所の費用設計は「定額着手金+固定金額+成功報酬」が基本
当事務所では、不倫慰謝料を請求された側の一般的な交渉案件について、依頼時点の着手金を定額とし、解決時点で固定金額と経済的利益に基づく成功報酬が発生する形を基本にしています。具体的な料金は事案や時期により変わるため、最新の金額は不倫の弁護士費用(料金表)で確認してください。
ここでいう経済的利益とは、原則として「請求金額から解決金額を差し引いた減額できた金額」です。たとえば、300万円を請求され、150万円で解決した場合、経済的利益は150万円と考えます。成功報酬は、この経済的利益を基準に算定します。
この費用設計のポイントは、依頼時点で必要となる費用が見通しやすいことです。不倫慰謝料を請求された直後は、相手方の請求額、証拠の有無、相手方の本気度、裁判リスクなどがまだ十分に分からないこともあります。その段階で依頼時の支払額が大きく変動すると、費用面の不安から相談や依頼をためらいやすくなります。
定額の着手金で交渉を始め、解決時に経済的利益に応じた成功報酬を支払う形であれば、依頼時点の負担を把握しやすく、結果が出た段階で報酬を精算する流れになります。さらに、後述する絶対減額保証制度により、弁護士費用倒れを防ぎやすい設計にしています。
一般相場と比べるときの見方
一般的な相場と当事務所の費用を比較するときは、単に「着手金が何円か」だけを比べるのではなく、次の観点で見る必要があります。
- 依頼時点の負担:相談から依頼に進むときに、最初にいくら必要になるかを確認します。
- 解決時点の負担:固定金額、成功報酬、最低成功報酬があるかを確認します。
- 成功報酬の計算基準:請求額、減額幅、経済的利益をどのように計算するかを確認します。
- 追加費用の分岐:交渉から訴訟に移行した場合、日当や裁判所費用が別途発生するかを確認します。
- 費用倒れ防止策:減額幅が弁護士費用を下回る場合の保証や返金の扱いを確認します。
特に請求された側では、弁護士費用の安さだけを重視しすぎると、交渉の対応範囲や成功報酬の条件を見落とすことがあります。大切なのは、総額の見込みと減額見込みを並べて確認し、依頼することで費用以上のメリットがあるかを判断することです。
費用倒れを防ぐ「絶対減額保証制度」
不貞行為した側が弁護士に依頼するとき、最も大きな不安のひとつが「費用倒れ」です。費用倒れとは、弁護士に依頼して慰謝料を減額できたとしても、弁護士費用の方が高くなり、経済的には依頼前より得をしていない状態をいいます。
たとえば、200万円の請求を180万円に減額できた場合、減額幅は20万円です。このとき、弁護士費用が30万円かかると、減額できた金額より弁護士費用の方が大きくなります。精神的負担の軽減や不利な示談条項の回避というメリットは残るとしても、費用面だけを見れば「依頼してよかったのか」と不安が残りやすい場面です。
そこで、当事務所では、不倫慰謝料を請求された側の費用倒れを防ぐための制度として、絶対減額保証制度を用意しています。
絶対減額保証制度とは
絶対減額保証制度とは、弁護士費用以上に減額できなければ差額を返還することで、弁護士費用よりも慰謝料を減額できた金額が少ない「弁護士費用倒れ」を防ぐ仕組みです。不貞行為をした側が弁護士費用面で依頼をためらわずにすむようにするための制度です。
別の言い方をすると、慰謝料の減額金額が弁護士費用の合計を上回るように調整する仕組みです。弁護士に依頼したのに全く減額できなかった場合や、減額できた金額より弁護士費用が大きくなる場合には、費用面で損をしないように差額返金等の扱いを検討します。
たとえば、慰謝料を50万円減額できたものの、弁護士費用の合計が60万円になる場合、保証の条件を満たすときは差額を返金することで、弁護士費用が減額金額を上回らないようにします。このように、絶対減額保証制度は、単に「費用が安い」という話ではなく、減額交渉の結果と弁護士費用のバランスを保つための制度です。
減額結果そのものを保証する制度ではない
誤解しやすい点ですが、絶対減額保証制度は、「必ず大幅に減額できる」と約束する制度ではありません。不倫慰謝料の減額幅は、婚姻期間、不貞関係の期間や回数、夫婦関係の状態、証拠の有無、相手方の請求根拠、既に支払った金額、求償権の整理など、さまざまな事情によって変わります。
したがって、どの事件でも同じ金額まで下げられるわけではありません。絶対減額保証制度は、あくまで「弁護士に依頼した結果、費用倒れにならないようにする」ための費用面の制度です。法的な結論や相手方の譲歩を機械的に保証するものではないため、この違いは理解しておく必要があります。
費用倒れを防ぐ制度と、慰謝料が必ず希望額まで下がるという意味の保証は別です。相談時には、減額見込みと保証制度の適用条件を分けて確認しましょう。
絶対減額保証制度が安心材料になるケース
絶対減額保証制度は、特に次のような不安がある方にとって安心材料になります。
- 請求金額が本当に下がるか不安な場合:高額請求では減額余地が大きいこともありますが、相手方の姿勢が強いと見通しに不安が残ります。
- 費用を払ってまで依頼する意味があるか迷う場合:減額幅と弁護士費用の差を事前に確認し、費用倒れのリスクを抑えられます。
- 相手方に弁護士がついている場合:相手方代理人との交渉を任せつつ、費用対効果を確認しながら進められます。
- 請求額が未確定又は途中で変わる可能性がある場合:経済的利益の計算方法を整理し、見積り前提を明確にできます。
- 家族や職場への影響も含めて早期解決したい場合:金額だけでなく、示談条件や口外禁止条項などの調整も含めて依頼判断ができます。
不倫慰謝料を請求された側は、心理的にも追い込まれやすく、「弁護士費用がもったいないから自分で対応しよう」と考えてしまうことがあります。しかし、直接交渉を続けることで相手方との対立が深まり、結果として高額な示談や不利な条項を受け入れてしまうこともあります。
費用倒れの不安が制度によって一定程度抑えられるなら、弁護士に依頼するかどうかを「費用が怖いから無理」と切り捨てるのではなく、減額見込み、示談条件、交渉リスクを含めて冷静に判断しやすくなります。
適用条件・対象外・上限は必ず確認する
絶対減額保証制度には、適用条件があります。お申出により適用できる場合があり、事案の内容、請求額、交渉状況、依頼者側の事情、途中解約の有無などによって、対象になるかどうかが変わります。
たとえば、依頼者の都合で途中で交渉を断念した場合、事実関係の説明に重要な漏れがあった場合、相手方の請求額や争点が当初想定と大きく異なる場合などには、保証の対象外となる可能性があります。また、保証の上限や、どの費用まで保証対象に含めるかについても、相談時に確認が必要です。
そのため、絶対減額保証制度を利用したい場合は、相談時に次の点を確認してください。
- 申出のタイミング:依頼前又は依頼時に、制度の適用を希望することを伝える必要があるかを確認します。
- 対象事件:不倫慰謝料の減額交渉、手切れ金、訴訟移行後など、どの範囲が対象になるかを確認します。
- 対象外事情:依頼者都合の解約、事実説明の不足、相手方の請求内容の変動などで対象外になる場合を確認します。
- 保証対象となる費用:着手金、固定金額、成功報酬、実費、日当などのうち、どこまでが計算対象になるかを確認します。
- 経済的利益の計算方法:請求額が未確定、途中増額、求償権や第三者負担がある場合に、減額金額をどう評価するかを確認します。
制度名だけを見ると分かりやすく見えますが、実際の適用には個別事情の整理が必要です。詳しい条件は、不倫の弁護士費用(料金表)や相談時の見積りで確認してください。
費用倒れを防ぐには、保証制度と見積り説明をセットで確認する
絶対減額保証制度がある場合でも、依頼前の見積り確認は重要です。なぜなら、保証制度は費用倒れを防ぐための仕組みであり、最初から費用説明を曖昧にしてよいという意味ではないからです。
相談時には、まず相手方の請求額、請求の根拠、証拠、婚姻関係、交際経緯、支払能力、求償権の有無などを整理します。そのうえで、どの程度の減額が見込めるか、どの手続で進めるか、交渉で終わる可能性が高いか、訴訟に移行する可能性があるかを検討します。
その見通しを前提に、依頼時の着手金、解決時の固定金額、成功報酬、追加費用、保証制度の適用可否を確認します。ここまで確認して初めて、「弁護士に依頼する費用対効果があるか」を判断できます。
費用について不安がある場合は、相談時に「自分のケースで費用倒れになる可能性はありますか」「絶対減額保証制度の対象になりますか」「訴訟になった場合はどこから追加費用が発生しますか」と具体的に質問してください。相談だけであれば、今すぐ依頼するかどうかを決める必要はありません。
不倫慰謝料を請求された直後で、見積りや保証制度について直接確認したい方は、慰謝料を請求された方の無料相談で、請求額、証拠、相手方の対応、費用見込みを整理しておくとよいでしょう。
弁護士費用は、安ければよいというものでも、高ければ安心というものでもありません。重要なのは、あなたの事件でどの範囲を任せるのか、どの程度の減額が見込めるのか、費用倒れをどう防ぐのかを、依頼前に具体的に確認することです。
慰謝料請求された事案の無料法律相談実施中!
- 0円!完全無料の法律相談
- 弁護士による無料の電話相談も対応
- お問合せは24時間365日受付
- 土日・夜間の法律相談も実施
- 全国どこでも対応いたします
依頼範囲別シミュレーション|交渉・相手弁護士・内容証明・訴訟・離婚・求償権
不貞行為をした側が弁護士費用を検討するときは、「自分の事件がどの範囲の依頼に当たるのか」を分けて考える必要があります。同じ不倫慰謝料の請求を受けた場合でも、相手方との交渉だけで終わる事案、相手方弁護士とのやり取りが中心になる事案、内容証明への回答や示談書作成が必要な事案、訴訟に移行する事案、離婚条件まで同時に問題になる事案では、確認すべき費用が変わります。
もっとも、相手方に弁護士がついているからといって、直ちに特別な高額費用になるわけではありません。内容証明への回答や示談書の確認も、慰謝料の減額交渉の一環として扱われることが多いです。反対に、交渉で解決できず訴訟に移行した場合や、慰謝料だけでなく離婚条件そのものを争う場合には、別途の費用や日当が問題になります。
以下のシミュレーションは、費用対効果の考え方を理解するため、便宜上「着手金15万円・成功報酬16%」という単純化した数字で計算します。実際の料金は、依頼時の料金表、固定金額、消費税、実費、日当、訴訟移行時の追加費用などを含めて個別に確認してください。
ここで重要なのは、計算例の金額そのものではなく、請求額、解決額、減額幅、弁護士費用を同じ表の中で見る発想です。請求額だけを見ると不安が大きくなりますが、実際には「いくら請求されたか」よりも、「最終的にいくらで解決できるか」「弁護士費用を差し引いても実質負担が減るか」が依頼判断の中心になります。
慰謝料減額交渉のみを依頼する場合
まず、慰謝料の減額交渉だけを弁護士に依頼する場面を考えます。典型的には、不倫相手の配偶者やその弁護士から慰謝料を請求され、こちらの代理人として弁護士が回答し、金額や支払方法、示談条項を交渉するケースです。
この場合の費用対効果は、次の順番で確認します。
- 相手方から請求されている金額
- 交渉によって見込まれる解決金額
- 請求額と解決金額の差額である減額幅
- 着手金・成功報酬・固定金額・実費等を含めた弁護士費用
- 弁護士費用を差し引いても実質負担が下がるか
仮に、着手金15万円、成功報酬16%として単純化すると、次のように考えることができます。
- 300万円を請求され、150万円で解決した例:減額幅は150万円です。成功報酬を16%とすると24万円、着手金15万円と合わせると39万円です。単純計算では、150万円の減額幅から39万円を差し引いても、実質的な負担軽減が残ります。
- 200万円を請求され、120万円で解決した例:減額幅は80万円です。成功報酬を16%とすると12万8000円、着手金15万円と合わせると27万8000円です。この場合も、費用を差し引いた後の負担軽減を確認できます。
- 150万円を請求され、130万円で解決した例:減額幅は20万円です。成功報酬を16%とすると3万2000円ですが、着手金15万円を含めると、費用との比較が重要になります。このような場合こそ、費用倒れを防ぐ制度や見積り説明の確認が必要です。
実際の事件では、減額幅だけでなく、支払期限の猶予、分割払い、遅延損害金の扱い、口外禁止条項、接触禁止条項、違約金条項なども問題になります。これらは金額に換算しにくいものの、依頼者にとっては重要な解決条件です。
ただし、弁護士費用の計算では、どの範囲を経済的利益として扱うかを依頼前に確認しておく必要があります。特に、相手方の請求額が途中で変わる場合、最初の請求額が口頭だけの場合、請求額が明確でない場合は、成功報酬の基準が曖昧にならないよう、見積り時点で説明を受けておくと安心です。
相手方に弁護士がついている場合
相手方に弁護士がついている場合、費用が大きく増えるのではないかと不安になる方がいます。しかし、不倫慰謝料を請求された側の減額交渉では、相手方弁護士とのやり取りはむしろ典型的な対応範囲です。
相手方に弁護士がついている場面では、次のような対応が中心になります。
- 請求内容の確認:請求額、請求理由、証拠の有無、支払期限、連絡方法を整理します。
- 回答方針の検討:不貞行為の有無を争うのか、金額を争うのか、支払方法や示談条項を調整するのかを決めます。
- 代理人としての窓口対応:本人が直接相手方弁護士とやり取りしなくてよいよう、弁護士が連絡窓口になります。
- 減額交渉:婚姻関係、交際期間、既婚者認識、証拠、支払能力、求償関係などを踏まえて、金額や条件を交渉します。
- 示談条件の調整:金額だけでなく、口外禁止、接触禁止、違約金、清算条項、求償権の扱いなどを確認します。
相手方に弁護士がついていると、法的な言い回しや期限設定が強く見えることがあります。しかし、相手方弁護士がついているからといって、請求額がそのまま正しいとは限りません。請求額が相場より高い場合、証拠関係に争いがある場合、夫婦関係がすでに悪化していた場合、相手方にも事情がある場合などには、減額交渉の余地があります。
費用面では、相手方に弁護士がついていること自体を理由に、当然に別料金が発生すると考える必要はありません。むしろ、弁護士同士で交渉することで、本人同士の感情的な対立を避け、支払額や示談条項を整理しやすくなることがあります。
内容証明への回答や示談書作成が必要な場合
内容証明郵便が届いた場合や、相手方から示談書案が送られてきた場合も、基本的には慰謝料減額交渉の一部として考えます。内容証明に回答すること、支払義務や金額について反論すること、示談書の条項を修正することは、慰謝料請求への対応そのものだからです。
内容証明が届いた段階では、特に次の点を確認します。
- 回答期限が迫っているか
- 請求額が相場と比べて高すぎないか
- 証拠がどこまで示されているか
- 家族や職場への連絡を示唆されていないか
- 謝罪文や誓約書の提出を求められていないか
回答書を作成する目的は、単に「支払いません」と拒否することではありません。事実関係を整理し、認める部分と争う部分を分け、過大な請求や不相当な条件を修正するための交渉の入口を作ることです。感情的な文章や不用意な謝罪文を送ると、後で不利な証拠として使われる可能性があるため、書面の内容は慎重に検討する必要があります。
示談書作成では、金額だけでなく、次のような条項が重要です。
- 清算条項:示談後に追加請求をされないよう、今回の紛争が解決済みであることを明確にします。
- 口外禁止条項:家族、勤務先、知人などへの情報拡散を防ぐための条項を検討します。
- 接触禁止条項:今後の連絡や接触の範囲を定めます。ただし、違約金が過大でないかも確認します。
- 分割払い条項:一括で支払えない場合、支払回数、期限の利益喪失、遅延損害金を確認します。
- 求償権の扱い:不倫相手との間で負担割合や求償権放棄が問題になる場合は、将来の紛争を避ける形で整理します。
このような書面対応は、請求された側にとって、支払額と同じくらい重要です。金額だけ下がっても、違約金条項が重すぎる、家族や職場に知られるリスクが残る、追加請求を受ける余地が残る、といった内容では安心して解決できません。
交渉から訴訟に移行した場合
交渉で合意できない場合、相手方が裁判を起こすことがあります。訴状が届いた場合や、相手方から訴訟提起を予告された場合には、交渉段階とは異なる対応が必要になります。
訴訟に移行した場合は、交渉段階の費用とは別に、追加着手金や日当等がかかる可能性があります。日当は、裁判所への出廷回数、遠方の裁判所かどうか、期日の回数などによって変わるため、ここでは具体額を固定して考えるよりも、「訴訟になると追加費用が発生し得る」と理解しておく方が安全です。
訴訟対応で追加費用が問題になるのは、作業内容が交渉とは大きく変わるためです。たとえば、次のような対応が必要になります。
- 答弁書・準備書面の作成:請求を認めるか争うか、争う場合にどの事実や金額を争うかを、裁判所に提出する書面として整理します。
- 証拠の整理:LINE、メール、写真、探偵報告書、領収書、婚姻関係に関する資料などを、裁判で使える形に整理します。
- 期日対応:裁判期日、弁論準備手続、和解協議などに対応します。
- 和解案の検討:判決まで進めるか、裁判上の和解で解決するかを、金額、支払方法、条項、費用を踏まえて検討します。
訴訟になったからといって、必ず判決まで進むわけではありません。不倫慰謝料の裁判では、途中で和解協議が行われ、金額や支払方法を調整して解決することもあります。そのため、訴訟移行時の費用は、「裁判で徹底的に争う費用」だけでなく、「裁判上の和解も視野に入れて、より適正な条件で解決するための費用」と考えると分かりやすいです。
裁判に移行した場合の詳しい費用や流れは、不倫慰謝料の裁判費用もあわせて確認しておくと、交渉段階との違いを整理しやすくなります。
離婚条件も同時に問題になる場合
不倫慰謝料の請求と同時に、離婚そのもの、財産分与、親権、養育費、婚姻費用、面会交流などが問題になる場合は、慰謝料減額交渉だけの費用とは分けて考える必要があります。これは、争点も必要な作業も大きく増えるためです。
たとえば、不倫をした配偶者が、自分の配偶者から慰謝料を請求されている場面では、慰謝料だけでなく、離婚するかどうか、別居後の生活費をどうするか、子どもの親権をどうするか、財産をどう分けるかといった問題が同時に発生することがあります。この場合、慰謝料の金額だけを見て費用対効果を判断すると、全体像を見誤る可能性があります。
離婚条件が絡む場合に確認すべき費用は、主に次のようなものです。
- 慰謝料減額交渉の費用:不倫慰謝料の請求額を下げるための交渉費用です。
- 離婚交渉・調停の費用:離婚するかどうか、離婚条件をどうするかを扱う費用です。
- 財産分与・婚姻費用・養育費等の経済的利益:慰謝料とは別に、支払う金額や受け取る金額が大きく変わることがあります。
- 調停・訴訟に移行した場合の追加費用:家庭裁判所での手続や期日対応が必要になる場合があります。
このようなケースでは、「不倫慰謝料の弁護士費用」と「離婚事件の弁護士費用」を無理に一つにまとめて考えない方がよいです。慰謝料は慰謝料、離婚条件は離婚条件として、依頼範囲と見積りを分けて確認してください。
離婚条件まで含めて弁護士費用を確認したい場合は、離婚事件の弁護士費用を確認し、慰謝料交渉と離婚事件のどちらの範囲で依頼するのかを整理しておくとよいでしょう。
求償権やダブル不倫が絡む場合
不倫慰謝料の請求では、求償権やダブル不倫が問題になることがあります。求償権とは、簡単にいえば、本来は不倫をした二人が共同で負担すべき慰謝料について、一方が多く支払った場合に、もう一方へ負担を求めることができる関係を指します。
求償権やダブル不倫が絡むからといって、それだけで弁護士費用が当然に高くなるとは限りません。もっとも、実質的な負担額や経済的利益の見方が複雑になるため、見積り時点で整理しておく必要があります。
たとえば、あなたが不倫相手の配偶者から300万円を請求され、交渉によって150万円で解決したとします。この場合、単純には150万円の減額です。さらに、不倫相手がそのうち一定額を負担する、又は後で求償によって一定額を回収できるのであれば、あなたの実質負担はさらに下がる可能性があります。
一方で、示談の中で求償権を放棄する代わりに慰謝料額を下げることもあります。この場合、将来不倫相手へ請求できる余地をなくす代わりに、今支払う金額を下げるという整理になります。金額だけを見れば単純な減額ですが、将来の求償関係まで含めると、どちらが合理的かは事案によって変わります。
ダブル不倫では、双方の配偶者がそれぞれ慰謝料を請求し合う構造になることがあります。たとえば、不倫相手の配偶者からあなたに請求が来る一方で、あなたの配偶者が不倫相手に慰謝料を請求できる可能性もあります。このような場合、個々の請求だけでなく、双方の家庭全体でどのように解決するかを考える必要があります。
- 求償権を行使する場合:不倫相手から回収できた金額を、あなたの実質負担を下げる要素として整理できる場合があります。
- 求償権を放棄する場合:放棄の代わりに慰謝料額を下げるなら、その減額効果と将来請求を失う不利益を比較します。
- 不倫相手が一部を負担する場合:あなたが直接支払う金額が下がるため、実質的には減額に近い効果が生じます。
- ダブル不倫の場合:片方の請求だけでなく、双方の請求、夫婦関係、離婚の有無、示談条件をまとめて見る必要があります。
このような論点は、弁護士費用の金額そのものを大きく変えるというより、どの金額を減額幅・経済的利益として見るかに影響します。そのため、求償権やダブル不倫がある場合は、単に「いくら請求されているか」だけでなく、「最終的に自分がいくら負担することになるか」を基準に整理することが大切です。
求償権を含む減額理由や交渉の考え方は、不倫慰謝料を減額できる理由でも詳しく解説しています。費用の見積りを確認するときも、求償権を行使する予定があるのか、求償権を放棄する条件で解決するのかを伝えておくと、経済的利益の見方を整理しやすくなります。
依頼範囲を決めるときは「どこまで任せるか」を先に決める
弁護士費用を正確に比較するには、まず依頼範囲をそろえる必要があります。同じ「不倫慰謝料の相談」でも、交渉だけを任せるのか、内容証明への回答だけを頼むのか、示談書作成まで含むのか、訴訟まで見据えるのか、離婚問題も含むのかによって、見積りの意味が変わります。
依頼前には、少なくとも次の点を確認してください。
- 依頼範囲は交渉のみか、訴訟対応まで含むか
- 内容証明への回答や示談書作成が費用に含まれるか
- 相手方に弁護士がついている場合の追加費用があるか
- 訴訟移行時の追加着手金・日当・実費はいくらか
- 離婚条件、求償権、ダブル不倫をどう見積りに反映するか
見積りを比較するときは、最初に支払う金額だけではなく、解決時に発生する費用、訴訟移行時の追加費用、実費・日当、保証制度の有無まで見てください。特に請求された側では、回収した慰謝料から費用を支払う構造ではないため、依頼前に「費用を払っても実質負担が下がるか」を確認することが重要です。
当事務所の具体的な料金や、交渉・訴訟・保証制度の対象範囲は、不倫慰謝料の弁護士費用・料金表で確認できます。自分のケースが交渉で足りるのか、訴訟まで見据えるべきか、離婚条件も含めて考えるべきかは、請求書面や相手方の主張を見たうえで整理するとよいでしょう。
完全成功報酬制・着手金無料は慰謝料を請求された側に向いているとは限らない
不倫慰謝料の弁護士費用を比較するとき、「着手金無料」「完全成功報酬制」という言葉は目に入りやすいものです。最初に払う費用が少なく見えるため、不貞行為をした側・慰謝料を請求された側にとっても魅力的に感じるかもしれません。
もっとも、慰謝料を請求する側と請求された側では、費用体系との相性が異なります。請求する側は、相手から回収した慰謝料の中から弁護士費用を支払う構造にしやすいのに対し、請求された側は、相手からお金を受け取るのではなく、支払う金額を減らす立場です。そのため、完全成功報酬制や着手金無料という表示だけで、費用対効果を判断するのは危険です。
- 請求する側:慰謝料を回収できれば、その回収額から弁護士費用を支払う設計にしやすい立場です。
- 請求された側:お金が入ってくるのではなく、請求額から支払額を下げることが目的になります。
- 費用対効果の見方:減額できた金額と弁護士費用を比較し、実質負担が下がるかを確認する必要があります。
- 表示上の安さへの注意:着手金が低い又は無料でも、成功報酬、最低報酬、固定費、実費、日当を含めると総額が大きくなることがあります。
請求された側で重要なのは、「最初に支払う金額がゼロかどうか」だけではありません。むしろ、減額できた金額をどのように計算するのか、成功報酬がどのタイミングで発生するのか、訴訟になった場合の追加費用があるのか、費用倒れを防ぐ仕組みがあるのかを確認する必要があります。
当事務所では、不倫慰謝料を請求された側について、着手金を定額に抑え、解決時には固定金額と経済的利益に応じた成功報酬を組み合わせる費用設計を基本にしています。そのうえで、費用倒れの不安を軽減するために、絶対減額保証制度を用意しています。
請求された側では、「完全成功報酬制だから安心」と単純に考えるのではなく、減額幅、成功報酬率、最低報酬、固定費、追加費用、保証制度をまとめて確認することが大切です。
弁護士費用は、安く見えるかどうかではなく、最終的な支払額をどれだけ合理的に抑えられるかで判断すべきです。特に高額な慰謝料を請求されている場合は、着手金の有無だけでなく、解決後の総額と費用倒れ防止の仕組みまで見て比較してください。
見積りで確認すべきポイント|安く見える費用表示に注意
弁護士費用の見積りを見るときは、1つの費目だけを比べないことが重要です。たとえば、着手金が低く見えても、成功報酬率が高い、最低成功報酬がある、訴訟移行時の追加費用が高い、日当や実費が別途かかるといった事情により、最終的な負担は変わります。
不貞行為をした側が弁護士に依頼するか迷っている場合は、少なくとも次の点を相談時に確認してください。
- 相談料:無料相談の範囲、回数、時間、相談後に依頼しない場合の費用を確認します。
- 着手金:定額か、請求額・争点・相手方の人数によって変わるかを確認します。
- 固定金額:解決時に成功報酬とは別に発生する固定費があるかを確認します。
- 成功報酬:減額できた金額、支払を免れた金額、求償権の処理など、何を基準に計算するかを確認します。
- 最低報酬:減額幅が小さい場合でも最低限発生する報酬があるかを確認します。
- 実費・日当:郵送費、交通費、裁判所費用、出廷日当などがどこまで別途かを確認します。
- 訴訟移行時の追加費用:交渉から裁判に移った場合、追加着手金や日当がいつ発生するかを確認します。
- 保証制度:絶対減額保証制度の対象事件、対象外事件、適用条件、申出の要否を確認します。
見積りの説明を受けるときは、「一番安いプランはどれですか」と聞くよりも、「自分の事案で、交渉解決・訴訟移行・離婚条件が絡む場合の総額はどう変わりますか」と聞いた方が実務的です。費用は事件の見通しとセットで確認する必要があるからです。
成功報酬の計算基準を確認する
請求された側の成功報酬は、多くの場合、請求額から実際の解決額を差し引いた「減額できた金額」を基準にします。ただし、請求額がまだ確定していない場合、相手方が途中で請求額を変更した場合、求償権や不倫相手の負担が絡む場合には、経済的利益の計算方法を整理する必要があります。
たとえば、300万円を請求されて150万円で解決した場合、形式的には150万円の減額です。しかし、不倫相手が一部を負担する、求償権を放棄する、支払期限や分割条件を調整するなどの事情があると、依頼者にとっての実質負担は別の角度から見る必要があります。
このような事情がある場合は、成功報酬の計算基準をあいまいにしたまま依頼しないでください。依頼前に、「何を経済的利益とみるのか」「請求額が変わった場合はどう計算するのか」「求償権や第三者負担をどう扱うのか」を確認しておくと、解決後の認識違いを防ぎやすくなります。
安さだけで弁護士を選ばない
弁護士費用は、もちろん重要な比較要素です。しかし、不倫慰謝料を請求された側では、相手方との交渉、証拠の評価、慰謝料相場、求償権、示談書の条項、裁判移行の見通しなどを踏まえて、総合的に依頼先を選ぶ必要があります。
費用だけでなく、相談時に減額見込みを具体的に説明してくれるか、示談書の条項まで確認してくれるか、訴訟になった場合の費用を事前に説明してくれるかも重要です。不倫問題を依頼する弁護士の比較軸については、不倫弁護士の選び方でも詳しく整理しています。
見積りを比較するときは、総額の見込み、追加費用の条件、保証制度の有無を並べて見ると判断しやすくなります。費用表示が分かりにくい場合や、成功報酬の計算方法に不安がある場合は、依頼前に遠慮なく質問してください。
弁護士費用に関するよくある質問
ここでは、不倫慰謝料を請求された側から特に相談が多い弁護士費用の疑問を整理します。費用の結論は、請求額、証拠、交渉状況、訴訟の有無、離婚条件の有無によって変わるため、一般論として確認してください。
相手の弁護士費用も負担する必要がありますか?
交渉段階では、基本的に各自が自分の弁護士費用を負担します。相手方に弁護士がついているからといって、相手が実際に支払った弁護士費用の全額を、そのままあなたが負担しなければならないわけではありません。
ただし、不法行為に基づく損害賠償請求が裁判で認められる場合には、本来的損害額の10%程度が弁護士費用相当額として損害に含められる実務があります。この考え方は、最高裁昭和44年2月27日判決を基礎に、実務上確立しているものです。
ここで注意すべきなのは、「相手の弁護士費用の全額を払う」という意味ではないことです。たとえば、裁判で慰謝料100万円が認められる場合、その10%程度である10万円が弁護士費用相当額として加算されることがあります。相手方が実際に弁護士へいくら支払ったかとは別に、裁判所が損害として相当な範囲を判断するものです。
不貞行為によって請求される損害の範囲を整理したい場合は、不貞行為により請求できる損害項目も確認しておくと、相手方の請求書に書かれた費目を検討しやすくなります。
自分の弁護士費用を相手に請求できますか?
不倫慰謝料を請求された側が、自分の弁護士費用を相手に請求することは、通常は簡単ではありません。自分が依頼した弁護士費用は、原則として自分で負担するものと考えておくべきです。
もっとも、相手方の請求が明らかに過大である、脅迫的な請求方法があった、違法な通知や職場への連絡があったなど、別の不法行為が問題になる場合は、費用の問題だけでなく、相手方の行為そのものを検討する必要があります。ただし、これは一般的な慰謝料減額交渉とは別の論点です。
したがって、「自分の弁護士費用を相手に払わせたい」というよりも、まずは請求額をどれだけ減額できるか、示談条件をどれだけ安全に整えられるかを中心に考える方が現実的です。
請求額がまだ確定していなくても依頼できますか?
請求額がまだ確定していない段階でも、相談や依頼は可能です。相手方から「慰謝料を払え」と言われているものの具体的な金額が示されていない場合、内容証明が届く前に電話やLINEで請求されている場合、相手方弁護士から連絡が来たばかりの場合でも、初動を確認しておく意味があります。
ただし、成功報酬の基準となる経済的利益は、請求額が明らかになってから整理する必要があります。請求額が未確定の段階では、依頼時点の費用、今後の見積り変更の有無、請求額が確定した後の成功報酬計算方法を確認してください。
相手から連絡が来た直後は、感情的に返事をしてしまいがちです。金額が決まっていない段階でも、証拠、交際経緯、既婚者であることを知っていたか、夫婦関係の状況、相手方の請求方法を整理しておくと、その後の交渉方針を立てやすくなります。
分割払いはできますか?
弁護士費用の分割払いができるかは、法律事務所の料金体系や事件の内容によって異なります。相談時には、着手金、固定金額、成功報酬、実費・日当について、それぞれ支払時期と分割可否を確認してください。
また、相手方へ支払う慰謝料自体についても、一括払いが難しい場合には、分割払いを交渉できることがあります。ただし、分割払いにする場合は、期限の利益喪失条項、遅延損害金、勤務先や家族への連絡禁止、口外禁止、接触禁止など、示談書の条項を慎重に確認する必要があります。
弁護士費用と慰謝料の分割払いは別の問題です。どちらも支払時期を整理したうえで、毎月いくらまでなら現実的に支払えるのかを相談時に伝えると、無理のない解決案を検討しやすくなります。
離婚も同時に相談する場合、同じ費用で対応できますか?
慰謝料請求だけでなく、配偶者との離婚、財産分与、親権、養育費、婚姻費用なども同時に問題になる場合は、慰謝料減額交渉とは別の費用になることがあります。離婚条件まで含めると、交渉相手、争点、必要な書面、裁判所手続が増えるためです。
不倫慰謝料の請求を受けている人の中には、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されるだけでなく、自分の配偶者から離婚や慰謝料を求められるケースもあります。この場合、どの事件をどの範囲で依頼するのかを分けて見積りを確認してください。
離婚条件が絡む場合は、慰謝料だけを切り出して考えると、全体の解決を誤ることがあります。慰謝料、離婚条件、生活費、財産分与、子どもに関する条件を分けて整理し、必要に応じて離婚事件としての費用見積りも確認することが大切です。
まとめ|不貞行為した側の弁護士費用は、費用倒れを防げるかまで確認する
不貞行為をした側が不倫慰謝料を請求された場合、弁護士費用は「高いか安いか」だけで判断するものではありません。請求額からどれだけ減額できるか、示談条件をどこまで安全に整えられるか、訴訟や離婚問題に広がる可能性があるかを含めて、総額で判断する必要があります。
- 不貞行為した側でも、請求額や示談条件に不安があれば弁護士に相談できます。
- 弁護士費用は、相談料・着手金・固定金額・成功報酬・実費・日当を分けて確認します。
- 請求された側では、完全成功報酬制よりも、定額着手金と成功報酬、保証制度を組み合わせて考えることが重要です。
- 絶対減額保証制度は、弁護士費用よりも減額できた金額が少ない費用倒れを防ぐための仕組みです。
- 相手の弁護士費用は、実際に支払った全額ではなく、裁判で本来的損害額の10%程度が損害として認められることがあります。
依頼前には、請求額、証拠、交際経緯、相手方の請求方法、相手方弁護士の有無、訴訟移行の可能性を整理し、自分のケースで費用倒れになる可能性があるかを確認してください。費用の説明を受けるときは、着手金だけでなく、解決時の固定金額、成功報酬、追加費用、保証制度の対象範囲まで確認することが重要です。
坂尾陽弁護士
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