不倫が発覚した直後は、頭が真っ白になりやすい一方で、最初の数時間〜数日の動き方が、その後の展開(慰謝料・離婚・職場トラブル)を大きく左右します。焦って言い訳を重ねたり、長文LINEで謝罪や釈明をしたりすると、内容が切り取られて広がり、交渉材料にもなりがちです。
- 不倫バレた直後は「連絡を増やさない」「条件を決めない」が最優先
- 謝罪や説明は急がず、まず事実整理と“話し合いルール”を作る
- 証拠は消さずに保全(脅し・要求・やり取りは後で必要になる)
- 口止め料や誓約書はその場で約束しない(既成事実化しやすい)
- 早期に窓口を一本化すると、家族・職場への波及を止めやすい
この記事は、不貞慰謝料(不法行為)に関する実務の傾向と交渉上の注意点を踏まえ、不倫慰謝料案件に10年以上取り組んできた弁護士の視点で「発覚直後の初動」に限って整理します(個別事情で結論が変わるため、迷う場合は早めの相談が有効です)。
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2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

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不倫がバレた直後に起きやすいこと(慰謝料・離婚・職場)
発覚直後に起きやすいのは、次の3つの方向への「波及」です。
1)慰謝料請求の話が一気に進む
配偶者(または不倫相手の配偶者)が証拠を押さえていると、「金額」「支払い方法」「接触禁止」などの話が急に具体化します。ここで口約束や送金をしてしまうと、後から撤回が難しくなります。
2)離婚・別居・親族巻き込みの話になる
感情が高ぶると、当事者間の話にとどまらず、親族に相談される、子どもに説明される、別居を迫られるなど、家庭内での影響が広がりやすくなります。
3)職場へ波及する(噂・通報・処分リスク)
職場内不倫や、関係者が同じコミュニティにいる場合は、情報が広がるスピードが上がります。「会社に言う」「周囲に知らせる」といった発言が出る局面では、対応を誤ると収拾がつきにくくなります。
この段階でいちばん多い失敗は、“説明しようとして連絡を増やす”ことです。連絡が増えるほど、矛盾・感情的発言・文章の証拠化が起きやすく、結果として不利になりがちです。
不倫バレ全体の見取り図(家族・職場に波及させない考え方)は、カテゴリ総合の不倫バレ対策で整理しています。
不倫がバレた直後にやるべきこと7つ(初動チェックリスト)
ここからは、「今日やること」を7つに絞って整理します。ポイントは、①火種を増やさない → ②材料を整える → ③窓口を作るの順です。
- ①不倫関係を止める(追い連絡・会う約束をしない)
- ②現状をメモ化する(いつ・誰に・何を言われたか)
- ③連絡ルールを決める(長文・即レス・口論を避ける)
- ④その場で条件を決めない(誓約書・金額・離婚条件)
- ⑤証拠は消さずに保全する(やり取り・脅し・要求)
- ⑥謝罪・説明は“範囲と順番”を間違えない
- ⑦窓口を一本化する(弁護士相談・代理交渉の検討)
それぞれ、最低限の考え方は次のとおりです。
①不倫関係を止める(追い連絡をしない)
発覚直後に「落ち着いて話そう」「最後に会いたい」などの連絡をすると、火種が増えます。まずは接触を増やさないことが最優先です。
②現状をメモ化する(事実整理)
今は感情が先行しやすいので、後で時系列が崩れます。
「いつバレたか」「相手は何を根拠にしているか」「誰が誰に連絡しているか」を、箇条書きでメモしておくだけで次の判断がしやすくなります。
③連絡ルールを決める(長文・即レス・口論を避ける)
その場で結論を出す必要がないことほど、いったん保留にします。
返答は短く、感情を乗せず、「確認して回答します」で十分な場面が多いです。
④その場で条件を決めない(誓約書・金額・離婚条件)
「今すぐサイン」「今日中に振り込め」は、後悔の原因になりがちです。条件を急いで固めると、相手に有利な内容で固定されやすくなります。
⑤証拠は消さずに保全する(やり取り・脅し・要求)
証拠を消す行為は、復元の問題だけでなく、心証悪化・紛争拡大につながりやすい行動です。後述のとおり、“残す”ことが重要です。
⑥謝罪・説明は「範囲と順番」を間違えない
謝罪自体が悪いわけではありません。ただ、発覚直後は「何をどこまで話すか」「誰にどう伝えるか」で結果が変わります。勢いで詳細を文章に残すのは避けましょう。
⑦窓口を一本化する(弁護士相談・代理交渉)
家族・相手・相手配偶者など複数方面から連絡が来ると、対応が破綻しやすいです。窓口を一本化できると、連絡の洪水を止め、条件交渉も整理しやすくなります。
連絡管理|「誰と・何を・どう返すか」だけ決める
初動でやるべき連絡管理は、難しいテクニックではなく、次の3点に尽きます。
(1)話す相手を増やさない(当事者以外に広げない)
親族・職場・友人へ広がるほど、後から回収が難しくなります。まずは「当事者間(+必要なら弁護士)」に限定して整理するのが安全です。
(2)“結論が必要な連絡”と“保留できる連絡”を分ける
たとえば「子どもの送迎」など生活に直結する連絡は最低限必要でも、慰謝料の金額や離婚条件はその場で決める必要がありません。
「確認して改めて回答します」と言える余地を残します。
(3)文章で残る連絡ほど短くする(長文の謝罪・釈明は避ける)
長文は、読み返したときに矛盾が出たり、切り取られたりしやすいです。
特に「いつから・どこで・何回」など、後で争点化しやすい部分は、落ち着くまで不用意に文章化しない方が安全な場面があります。
証拠化・記録の残し方|「消す」より「残す」
発覚直後は、証拠というと「相手の証拠」を想像しがちですが、実際には次のような“記録”が重要になります。
残しておきたい記録の例
・配偶者や相手(相手配偶者)からの要求内容(慰謝料、条件、期限)
・「会社に言う」「周囲に知らせる」など波及を示唆する発言
・金銭要求がエスカレートしていく過程
・話し合いの日時、誰が何を言ったか(時系列のメモ)
残し方(安全な範囲の基本)
・メッセージはスクリーンショット等で保存し、日時が分かる形にする
・通話や対面のやり取りは、直後にメモして時系列を固める
・証拠を“加工”しない(改変は疑われやすく逆効果になり得ます)
証拠化は、攻撃のためというより、「言った/言わない」を防ぎ、拡大を止めるために行います。特に、職場へ波及しそうな言動や金銭要求がある場合は、記録の有無で対応の選択肢が変わります。
不倫がバレた直後にやってはいけないNG行動(悪化の典型)
次の行動は、短期的には楽に見えても、長期的には不利になりやすいので注意が必要です。
・嘘を重ねて説明を作る(矛盾が出て不信が増える)
・長文LINEで謝罪・釈明を書く(切り取られ、交渉材料になりやすい)
・証拠を消す・壊す(復元や心証悪化で火に油になり得る)
・口止め料を即送金/誓約書に即サイン(既成事実化しやすい)
・相手配偶者や職場に直接乗り込む(波及範囲が一気に広がる)
「自分で何とか収めたい」と思うほど、連絡が増え、約束が増え、状況がこじれやすくなります。初動は“動く”よりも、型に当てはめて整えることを優先してください。
まとめ|初動は「連絡を増やさない」「約束しない」「記録を残す」
最後に、不倫が発覚した直後の初動を要点だけに絞ってまとめます。
- 火種を増やさないため、まず関係を止めて連絡・接触を増やさない
- 条件(慰謝料・離婚・誓約書)はその場で決めず、保留の余地を残す
- 脅しや要求、やり取りは“消さずに”保全して時系列を固める
- 長文の謝罪・釈明は避け、連絡は短く、ルールを先に作る
- 複数方面に波及しそうなら、早めに窓口を一本化して整理する
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