夫・妻の不倫相手から連絡が来たら|告白の目的・証拠保存・返信・慰謝料請求

夫や妻の不倫相手から突然、「関係を持っていました」「謝罪したい」「証拠を見せたい」などとLINEや電話で連絡が来れば、冷静でいることは簡単ではありません。相手を問い詰めたい、配偶者にすぐ確認したい、何らかの返事をしなければならないと感じる方も多いでしょう。

しかし、最初にすべきことは返信ではなく、届いた連絡を証拠として保存することです。先に感情的な返信をしたり、夫・妻を問い詰めたりすると、メッセージが削除される、関係者間で口裏を合わせられる、こちらの発言が別の紛争の材料にされるといったおそれがあります。

この記事では、配偶者の不倫相手から直接連絡を受けた方に向けて、連絡直後の行動、LINE・電話・手紙などの保存方法、不倫相手が連絡してきた目的、内容の真偽を確かめるポイントを順に解説します。不倫当事者同士の再連絡や、こちらから不倫相手へ慰謝料請求の連絡をする場面とは分けてお読みください。

  • 返信・削除・ブロックより先に連絡内容を保存する
  • 証拠保存前に夫・妻を問い詰めない
  • 謝罪と復讐など複数の目的が混ざる場合がある
  • 告白だけで不貞行為が当然に証明されるわけではない
  • 脅迫・反復連絡・自宅訪問は通常の連絡と分けて対応する

坂尾陽弁護士

不倫相手から突然連絡が来ても、すぐに答えを出す必要はありません。まず原文と送信者情報を残し、落ち着いて事実関係を整理しましょう。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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不倫相手から連絡が来たら、返信より先にする5つのこと

不倫相手から連絡が来た直後は、何を言い返すかよりも、後から事実を確認できる状態を作ることが重要です。緊急の身の危険がない限り、次の順序で対応してください。

  1. 連絡内容と送信者情報を保存する
    本文だけでなく、アカウント名、電話番号、送受信日時、添付された写真や資料、前後のやり取りまで残します。
  2. その場で返事や約束をしない
    謝罪を受け入れる、会う、金銭を支払う、離婚するなどの返答はせず、まず事実関係を整理します。
  3. 保存前に夫・妻を問い詰めない
    先に確認すると、メッセージや写真を消されたり、不倫相手と口裏を合わせられたりする可能性があります。
  4. 脅迫や第三者への拡散をしない
    怒りに任せて相手の家族や勤務先へ連絡したり、SNSへ投稿したりせず、受け取った連絡をそのまま保全します。
  5. 緊急性と時系列を確認する
    自宅訪問や危害の予告があるかを確認し、いつ、どの媒体で、何を告げられたかを時系列でメモします。

とくに、証拠を保存する前にメッセージを削除したり、相手のアカウントをブロックしたりしないようにしてください。ブロック自体が常に不適切という意味ではありませんが、保存前に行うと、プロフィールや過去のメッセージを確認できなくなることがあります。

また、「本当なら許せない」と感じても、すぐに相手を罵倒したり、慰謝料額を一方的に告げたりする必要はありません。最初の返信は後から読み返され、交渉や裁判で提出される可能性があります。事実が固まるまでは、認否や法的評価を決めつけず、記録を残すことを優先しましょう。

相手が自宅付近にいる、押しかけると予告している、危害を加えるような発言をしているなど、身の安全に関わる事情がある場合は例外です。この場合は証拠保存と同時に、安全な場所へ移動する、家族や警察へ連絡するなど、危険回避を優先してください。


LINE・電話・手紙・DMを証拠として保存する方法

不倫相手の連絡を証拠として残すときは、告白の文章だけを切り取るのではなく、誰が、いつ、どの方法で、どのような流れの中で送ったかが分かる形で保存することが大切です。媒体ごとの保存ポイントは次のとおりです。

連絡手段 保存するもの 注意点
LINE・SNSのDM・メール アカウント名、プロフィール、ID・URL、送受信日時、本文、前後のやり取り、写真・動画・ファイル 一部分だけを切り抜かず、会話の連続性が分かる範囲を保存する
電話・留守番電話 電話番号、着信・発信履歴、日時、留守番電話、通話内容のメモ、録音データ 今後の通話は、自分が当事者として参加する会話を必要に応じて録音する
手紙・はがき 本文の原本、封筒、差出人、消印、配達記録、受領日、写真・スキャンデータ 原本に書き込みをせず、封筒と本文を一緒に保管する

LINEやDMでは、相手の表示名だけでなく、プロフィール画面やアカウントを特定できる情報も保存してください。表示名やプロフィール画像は後から変更されることがあります。本文のスクリーンショットを撮る場合も、日時や相手名が画面に表示されるようにし、必要な部分だけを拡大した画像とは別に、加工していない元画像を残します。

電話の場合は、通話が終わった直後に、相手が名乗った氏名、告げられた内容、質問に対する回答、相手の要求、特徴的な言い回しをメモしてください。録音がない場合でも、記憶が新しいうちに作成した具体的なメモは、後から経緯を整理するうえで役立ちます。留守番電話や音声メッセージは、端末だけに残さず別の場所にも保存しておくと安心です。

手紙は本文だけでなく、封筒や消印から送付時期や差出経路を確認できることがあります。折り目を伸ばしたり書き込みをしたりせず、受け取った状態を写真に残し、原本は湿気や紛失を避けて保管してください。

  • 加工前のデータを残す
    見やすく切り抜いた画像を作る場合でも、元のスクリーンショットや原本を消さないでください。
  • 複数の場所へバックアップする
    端末の故障やアカウント削除に備え、クラウドや外部媒体などにも複製します。
  • 時系列表を作る
    受信日時、媒体、相手の主張、添付資料、こちらの対応を順番にまとめます。

LINEやDMの保存方法と証拠として見るべき点は、LINE・DMのスクリーンショットを証拠として保存する方法で詳しく解説しています。


不倫相手が連絡してきた目的|謝罪・罪悪感だけとは限らない

不倫相手が連絡してきた理由として、相談の場で最も多く聞かれるのは、「謝罪したい」「罪悪感に耐えられない」「妻や夫にも真実を知ってほしい」という説明です。実際に、傷つけたことを申し訳なく思い、事実を伝えようとしている場合もあります。

もっとも、人の感情は一つに決まるものではありません。謝罪や罪悪感と、別れへの反発、復讐、離婚要求などが同時に存在することがあります。表向きの言葉だけで目的を断定せず、連絡の時期、相手の要求、言葉遣い、その後の行動を併せて見る必要があります。

表向きの言葉 背景にあり得る事情 受信後の初動
謝罪したい・罪悪感がある 純粋な謝罪のほか、自分の罪悪感を軽くしたい、許しを得たい すぐに許す・示談するとは答えず、事実と資料を確認する
真実を全部知ってほしい 証拠提供、自己正当化、配偶者のうそを明らかにしたい 時期・場所・関係の経緯を具体的に説明してもらう
別れた・捨てられた 別れへの反発、復讐、配偶者にも家庭上の打撃を与えたい 感情的な対立に加わらず、主張と証拠を分けて保存する
離婚してほしい 関係継続、略奪、配偶者への圧力 離婚や今後の関係について、その場で約束しない
妊娠した・お金が必要 妊娠・出産の告知、認知・養育費等の要求、金銭目的 客観資料と要求内容を確認し、即時の支払約束をしない

謝罪・罪悪感・真実を伝えたい

不倫相手が「奥さんに申し訳ない」「夫にも知ってもらうべきだと思った」と述べることは珍しくありません。このような言葉が直ちに虚偽だと決めつけるべきではありませんが、謝罪を受けたからといって、その場で許す、慰謝料を請求しない、連絡内容を秘密にすると約束する必要もありません。

謝罪が目的であっても、相手の話が正確とは限りません。自分に都合の悪い部分を省き、配偶者から誘われたことだけを強調する場合もあります。謝罪の態度と、事実の信用性は分けて検討しましょう。

別れへの反発・復讐

実務上は、既婚男性から別れを告げられた不倫相手が、その妻へ連絡するケースも少なくありません。言葉の上では「罪悪感があるので奥さんにも伝えたい」と説明しながら、背景には、捨てられたことへの反発や、自分だけが傷ついたまま関係が終わることに納得できない気持ちがあることがあります。

妻へ知らせれば、別れを告げた男性は家庭内で追及され、離婚や慰謝料請求などの不利益を受ける可能性があります。そのため、妻への連絡が、男性にもダメージを与えるための復讐という側面を持つことがあります。男女が逆のケースでも同じであり、謝罪と復讐は相互に排他的ではありません。

略奪・離婚要求

「本気で交際している」「夫婦関係は終わっていると聞いた」「離婚してほしい」と伝え、配偶者に離婚を迫る目的で連絡する場合もあります。この場合、不倫相手の説明だけを前提に夫婦関係の結論を急がず、連絡時期や交際の経緯、配偶者が何を説明していたのかを確認する必要があります。

証拠提供・自己正当化

不倫相手が、LINEの履歴や写真を示し、「自分だけが悪いのではない」「独身だとだまされていた」「配偶者から積極的に誘われた」と説明することもあります。提出された資料は重要な手がかりになり得ますが、切り取られた一部だけで全体を判断しないでください。元データ、前後のやり取り、作成日時との整合性を確認します。

妊娠・出産・金銭要求

妊娠や子どもの存在を告げる連絡では、感情面だけでなく、父子関係、認知、養育費など別の問題が関係します。また、「口外しない代わりにお金を払ってほしい」などの条件が付くこともあります。重大な話であっても、電話やメッセージだけで金銭の支払いや法的対応を約束せず、客観的な資料と具体的な要求を確認してください。

不倫相手が妻・夫へ告げようとする心理や、告知する側に生じ得るリスクは、不倫相手が妻・夫へ告げる心理・目的・リスクで詳しく整理しています。

東京地裁平成21年1月14日判決では、不倫相手が妻へ匿名電話をかけて不倫と夫の子どもの存在を告げ、その後、夫との面会を求めたり、妻を揶揄する内容のメールを送ったりした事案で、これらの行為が妻により一層の精神的苦痛を生じさせた事情として考慮されました。

同判決の慰謝料250万円は、約3年から4年にわたる不倫関係、妊娠・出産、匿名電話、面会要求、揶揄するメール、転居などを総合して認定された金額です。不倫相手から一度連絡が来ただけの金額ではありません。一方で、連絡の目的、内容、方法、その後の反復性は、精神的苦痛の程度を判断する事情になり得ることが分かります。


連絡内容の真偽を見極めるポイント

不倫相手から具体的な告白や資料が届いても、直ちにすべてを事実と扱うのは危険です。実在する不倫相手からの連絡であっても、関係の開始時期、回数、別れた理由、配偶者の説明などについて、誇張や省略が含まれることがあります。匿名アカウントや差出人不明の手紙では、なりすましや第三者による嫌がらせも考えなければなりません。

真偽を確かめるときは、次の点を順に確認します。

  • 送信者を特定できるか
    氏名、電話番号、アカウント、勤務先等の情報と、どのように自分の連絡先を知ったのかを確認します。
  • 関係の時期が具体的か
    知り合った時期、交際開始・終了時期、連絡が途切れた時期などを尋ね、時系列に矛盾がないかを見ます。
  • 場所や出来事が具体的か
    会った日、場所、宿泊先、旅行、贈り物など、後から客観資料と照合できる事情を確認します。
  • 資料と説明が一致するか
    LINE、写真、領収書等の日時や前後関係が、相手の説明と整合するかを確認します。
  • 配偶者しか知らない事情があるか
    公表されていない予定や家庭内の事情を知っている場合は一つの手がかりになりますが、それだけで断定はしません。
  • 相手の要求と動機に不自然さがないか
    謝罪と言いながら金銭や離婚を強く迫るなど、説明と要求が食い違っていないかを見ます。

確認するときは、こちらが把握している証拠や配偶者の行動を最初からすべて伝えず、「いつから関係があったのですか」「どこで会っていたのですか」のように、相手自身の言葉で説明してもらう方が、後から内容を照合しやすくなります。こちらが答えを示す誘導的な質問を続けると、相手が説明を合わせやすくなるためです。

ただし、相手を長時間問い詰めたり、供述を取るようなやり取りを続けたりする必要はありません。相手の身元が不明、資料に加工の疑いがある、妊娠や金銭要求を伴う、配偶者が証拠を消すおそれが高いといった場合は、保存した資料を基に、返信前又は配偶者への確認前に弁護士へ相談する方法があります。

この段階では、連絡内容を「全部本当」又は「全部うそ」と決めつけず、確認できた事実、相手の主張、未確認の点を分けて整理してください。次に、返信・電話・面会に応じるべきかを判断します。


返信・電話・面会にはどう対応するべきか

不倫相手から連絡が来ても、直ちに返信する法的義務があるわけではありません。証拠を保存し、相手の身元、目的、内容の具体性、緊急性を確認してから、返事の必要性を判断します。返信する場合は、電話よりもLINE、メール、書面など、後から内容を確認できる方法を優先し、把握している証拠を最初からすべて明かさないようにしましょう。

LINE・メールの返信は必要最小限にする

事実関係を整理する時間を確保したい場合は、受信したことだけを伝え、謝罪の受入れ、慰謝料請求の放棄、今後の方針などを示さない短い返信にとどめます。

返信文例

ご連絡の内容は確認しました。事実関係と資料を整理したうえで、必要があれば改めて連絡します。今後の連絡は、記録が残る方法でお願いします。

危害の予告、金銭要求、期限付きの条件などが含まれる場合は、急いでこの文例を送らず、元の文面を保存して対応を検討してください。

電話では長時間の交渉をしない

突然の電話に出た場合は、氏名、連絡先、用件を確認し、以後は記録が残る方法で連絡するよう求める方法があります。必要な通話は録音とメモを残し、慰謝料額、離婚、秘密保持、妊娠や子どもに関する対応を電話で決めないようにします。

面会にはすぐ応じず、必要性と安全性を確認する

「直接会って謝りたい」「証拠を渡したい」と言われても、直ちに一対一で会う必要はありません。まずデータや郵送で資料を受け取れないか確認し、面会する場合も場所、時間、同席者などを決めます。相手が興奮している、復讐や自宅訪問を示唆している場合は面会を断り、弁護士を窓口にすることも検討してください。現金の交付、念書への署名、離婚や慰謝料放棄の約束は避けましょう。


夫・妻にはいつ、どのように確認するか

不倫相手からの連絡内容を配偶者へ確認するのは、原則として証拠を保存した後です。先に問い詰めると、メッセージや写真を削除する、不倫相手へ連絡して説明を合わせるといった事態が起こる可能性があります。

確認するときは、不倫相手の説明やこちらの証拠を最初からすべて見せず、配偶者自身の言葉で話してもらう方が、後から内容を照合しやすくなります。

  1. 相手との関係を確認する
    いつ、どのように知り合い、現在も連絡を取っているかを尋ねます。
  2. 交際時期と具体的な出来事を確認する
    会った日、場所、宿泊、旅行など、客観資料と照合できる事情を聞きます。
  3. 肉体関係と既婚であることの説明を確認する
    肉体関係の有無、不倫相手に婚姻の事実をいつ伝えたかを確認します。
  4. 今後の連絡と証拠の保存を求める
    関係を継続する意思や残っている資料を確認し、削除しないよう求めます。

回答は日時とともにメモし、必要に応じて自分が参加する会話の録音を検討します。ただし、パスワードを無断で突破する、監視用アプリを入れるなどの方法は勧められません。強い否認、証拠削除のおそれ、妊娠、金銭要求、自宅訪問などがある場合は、詳しく確認する前に弁護士へ相談する方が安全なことがあります。


不倫相手の告白だけで慰謝料請求できるか

不倫相手の告白、LINE、手紙、音声は、慰謝料請求の重要な証拠になり得ます。内容が具体的で、送信者の本人性が確認でき、他の資料とも整合する場合には有力です。

もっとも、「関係があった」という告白だけで、慰謝料請求の条件がすべて当然に証明されるわけではありません。相手が発言を撤回する、肉体関係ではなく親密な交際を指していたと主張する、交際開始時には既婚と知らなかったと説明することもあります。

慰謝料請求で確認する主な条件

  • 不貞行為があったこと
    典型的には、配偶者と不倫相手が自由な意思に基づいて肉体関係を持ったことを確認します。
  • 不倫相手に故意・過失があること
    既婚者であると知っていたか、注意すれば知ることができたかが問題になります。
  • 不貞行為より前に婚姻関係が破綻していなかったこと
    不貞開始時の同居状況、夫婦関係、別居の経緯などを確認します。
  • 消滅時効が完成していないこと
    損害と不倫相手を知った時から原則3年、行為の時から20年という期間が問題になります。継続的な関係や離婚に伴う請求では、起算点を個別に整理します。

補強証拠としては、肉体関係を具体的に示すLINEやメール、ホテル・宿泊・旅行の記録、写真、調査会社の報告書、配偶者が認めた発言などが考えられます。告白だけを切り取らず、前後のやり取りや送信日時も残してください。

東京地裁平成22年12月9日判決では、電話録音や留守番電話、配偶者から当日中に転送されたメール等を踏まえ、短時間の複数回の電話や訪問予告、別れ話の経緯が認定されました。ただし、慰謝料150万円は、電話だけでなく、不倫関係の再開、婚姻関係への影響、うつ病による通院等を総合した金額です。前述の東京地裁平成21年1月14日判決の250万円も、長期間の不倫、妊娠・出産、匿名電話、面会要求、揶揄メール、転居等を総合したものであり、連絡行為だけの相場ではありません。

慰謝料請求の条件や相場、必要となる証拠は、不倫相手に慰謝料請求できる条件・相場・証拠で詳しく解説しています。


妊娠・金銭要求・反復連絡・自宅訪問などのケース別対応

妊娠、金銭要求、反復的な接触などを伴う場合は、通常の謝罪連絡と同じように扱わず、内容ごとに対応を分けます。

妊娠や子どもの存在を告げられた場合

妊娠の事実、妊娠時期と交際時期の関係、相手が求めている内容を分け、相手が任意に示す医療機関の資料や出産予定日等を確認します。受信した配偶者が、不倫をした配偶者本人に代わって、その場で認知、養育費、解決金を約束する必要はなく、通常その権限もありません。父子関係や認知、養育費は不倫慰謝料とは別の問題であるため、配偶者本人の説明も踏まえて整理します。

金銭要求や「払わなければ知らせる」と言われた場合

「お金を払わなければ家族や会社に知らせる」「離婚しなければ写真を公開する」などと言われた場合は、文言、日時、アカウント、振込先等を保存してください。方法によっては刑事上の問題も検討対象となりますが、直ちに犯罪と断定せず、具体的な内容を確認します。詳しくは、不倫トラブルで脅迫された場合の初動も参考にしてください。

何度も連絡される・自宅へ来る・待ち伏せされる場合

反復する電話やメッセージ、自宅訪問、待ち伏せがある場合は、安全を確保し、日時、回数、場所、発言、写真や防犯カメラ映像を記録します。窓口を一つに限定し、危害の予告や現実の押しかけがあれば警察への相談も検討してください。

東京地裁平成22年12月9日判決では、短時間の複数回の電話や訪問予告の留守番電話が認定されました。東京地裁平成21年10月29日判決では、嫌がらせ電話や無言電話が繰り返され、頭痛・不眠症等も問題となりました。後者の慰謝料80万円等も、不貞行為、多数の電話、治療状況等を総合したもので、単発連絡の金額ではありません。継続的な接触への対応は、不倫後の嫌がらせ・ストーカー化への対処で説明しています。

ダブル不倫の場合

不倫相手も既婚者である場合、あなたから不倫相手への請求に加え、相手の配偶者からあなたの夫・妻への請求が生じる可能性があります。各請求が当然に相殺されるわけではなく、「お互いに請求しない」と二人だけで合意しても、相手の配偶者を拘束できるとは限りません。合意の当事者や、放棄対象となる権利の範囲が不明確なまま、包括的な示談書へ署名しないようにしてください。


怒りに任せて不倫相手の親族・勤務先・知人へ知らせてはいけない

不倫相手から一方的な連絡を受けると、相手の家族や会社にも知らせたいと思うことがあります。しかし、不倫の事実が真実でも、必要性や相当性のない範囲で第三者へ広げれば、名誉毀損やプライバシー侵害等の責任を問われる可能性があります。

注意

慰謝料を請求できる立場であっても、報復的な拡散まで正当化されるわけではありません。親族・勤務先・知人への連絡やSNS投稿を、支払を迫る圧力として使わないでください。

親族・知人・SNSへ不倫情報や写真を送らない

東京地裁令和2年2月10日判決では、配偶者側が、不倫相手の父親、配偶者の父親、不倫相手の知人へ、不倫情報や写真等を、はがき、手紙、Instagramのメッセージで送った行為について、名誉毀損とプライバシー侵害が認められました。反訴の33万円は、複数の送付・送信行為についての慰謝料30万円と弁護士費用3万円の合計です。

勤務先への通告や通告予告も慎重に判断する

東京地裁平成24年12月21日判決では、明確な不貞の証拠がない段階で、支払わなければ勤務先へ報告する旨を通知し、実際に通知した事案について、交渉態様等が許容範囲を超えるとされ、退職に伴う逸失利益等も認められました。勤務先への連絡が常に違法という意味ではありませんが、証拠、必要性、通知内容や方法を検討せず、支払要求の圧力に使うことには大きなリスクがあります。

詳しくは、不貞行為を会社へ報告することの違法性をご確認ください。既に会社へ情報を広げられた場合は、会社に不倫をばらされた後の対応も参考になります。


弁護士へ相談した方がよいケースと準備資料

すべてのケースで直ちに弁護士へ依頼する必要はありませんが、次の場合は、返信や配偶者への確認前に相談することで、証拠喪失や紛争拡大を防ぎやすくなります。

  • 危害、暴露、勤務先への連絡等を予告されている
  • 電話、LINE、自宅訪問、待ち伏せが繰り返されている
  • 妊娠・出産・子ども又は金銭要求の問題がある
  • 配偶者が強く否認し、証拠を削除するおそれがある
  • 告白以外の証拠が十分か分からないまま慰謝料請求を考えている
  • ダブル不倫で、相手の配偶者からの請求も予想される

相談時には、メッセージ全体、アカウント情報、着信履歴、録音、手紙と封筒、添付資料、時系列、配偶者の説明、婚姻・別居の状況、相手の要求をまとめます。弁護士への相談は、訴訟だけでなく、証拠価値の確認、返信文の整理、窓口の一本化、慰謝料請求の条件確認にも利用できます。


よくある質問

不倫相手からの謝罪LINEは無視してもよいですか

直ちに返信する義務はありません。全文とアカウント情報を保存し、確認したい事項がなければ返信しない選択もあります。ただし、危害の予告、期限付き要求、妊娠等が含まれる場合は、放置前に相談を検討してください。

証拠を保存した後はブロックしてもよいですか

安全確保や精神的負担の軽減のため、ブロックが必要な場合はあります。プロフィールや過去のメッセージを含めて保存し、今後の連絡窓口が必要かを検討してから行いましょう。ミュートや、弁護士窓口だけを伝える方法もあります。

匿名アカウントや非通知でも相手を特定できますか

連絡手段や残る情報によって特定手続を検討できる場合はありますが、必ず特定できるわけではありません。URL・ID、受信日時、画面全体、メールヘッダー、留守番電話等を早めに保存してください。

「妊娠した」と言われたら何を確認しますか

妊娠の客観資料、妊娠時期と交際時期の関係、配偶者との関係、相手の要求を分けて確認します。その場で認知、養育費、解決金等を約束せず、不倫慰謝料とは別の問題として整理してください。


まとめ|保存してから、返信・確認・請求の順に進める

夫・妻の不倫相手から連絡が来ても、すぐに返事や結論を出す必要はありません。次の順序で対応しましょう。

  • 連絡内容、送信者、日時、添付資料を原形が分かる状態で保存する
  • 相手の目的、身元、説明の具体性、緊急性を確認する
  • 返信・電話・面会は必要性と安全性を見て判断する
  • 証拠保存後に配偶者の説明を確認し、内容を記録する
  • 告白と補強証拠を整理して、慰謝料請求の条件を検討する

謝罪や告白は重要な手がかりになりますが、復讐、別れへの反発、金銭要求等が混在する場合もあります。第三者への報復的な拡散は避け、保存した証拠と確認できた事実を基に進めてください。脅迫、反復連絡、自宅訪問、妊娠、ダブル不倫がある場合や、証拠評価が難しい場合は、資料と時系列を持って弁護士へ相談することが考えられます。

坂尾陽弁護士

突然の連絡には、すぐに言い返すのではなく、証拠を残して順序よく確認することが大切です。返信、配偶者への確認、慰謝料請求のどこから進めるべきかを落ち着いて判断しましょう。

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不倫相手の心理、慰謝料請求の条件、LINE等の証拠保存は、次の記事で詳しく解説しています。

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