不倫が周囲に発覚してしまうと、職場での信用や家族関係に深刻なダメージをもたらす可能性があります。とくに、**「不倫を会社にばらす」と脅迫されたり、実際に不倫の事実を周囲に言いふらされるような事態になれば、精神的にも大きな負担を抱えるでしょう。しかも、不倫・不貞行為それ自体が慰謝料の支払い義務を伴うケースがあるうえ、会社の懲戒処分対象となるリスクも否定できません。
そこで本記事では、「不倫を会社にばらされたら、いったいどうなるのか?」**という疑問に焦点をあて、会社バレで起こり得る事態や法的なポイントを解説します。さらに、脅迫されたときの具体的な対処法についても触れ、被害を最小限に抑えるためのアドバイスを提示します。弁護士としての知見を交えながら、ただ事を荒立てるだけでなく、冷静かつ正確に対応するための考え方をお伝えしていきます。
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業
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不倫を会社にバラすとどうなる?
不倫が会社に知られてしまうと、職場関係や家族関係の悪化だけではなく、法的にも様々なトラブルにつながる可能性があります。ここでは、会社への通報が引き起こす代表的なリスクを中心に解説します。
会社からの処分・解雇の可能性
会社が不倫を理由に、いきなり従業員を解雇するハードルは決して低くありません。しかし、不倫の結果として社内秩序を乱したり、企業の社会的信用を著しく失墜させたと判断されれば、厳しい処分を科されるおそれもあります。
懲戒解雇が有効となった裁判例
たとえば、大阪地裁平成9年8月29日判決(学校法人白頭学院事件)では、既婚の教員が自らの教え子の母親と不倫関係にあったことが問題視され、**「教職員としての品位を失い、学校法人の名誉を損なう行為」**と認定されました。結果として懲戒解雇が有効と判断されています。
これは、教師という職業に求められる倫理が高いとみなされたことも大きな要因です。
一般の企業でも、業務に支障が出たり、クライアントとの関係が破綻したりすれば、解雇や降格といった処分を免れないケースがあります。
会社が処分を判断する基準
会社が実際に処分を下すかどうかは、以下のような観点から検討されます。
- 不倫行為によって企業秩序・職場環境が乱れたか
- 社員の不祥事が取引先や顧客に伝わり、会社の信用を大きく損なったか
- 上司・部下といった職務上の立場を利用した不倫であったか
これらを総合的に判断し、最終的にどの程度の処分になるかが決まります。実際には、出勤停止や減給などの軽い処分にとどまることも少なくありません。
不倫を会社にバラすことは犯罪になるか
不倫の事実を会社や周囲の人にばらす行為は、一見すると「事実を伝えているだけ」に思われるかもしれません。しかし、以下のような刑事罰や不法行為が成立する可能性があります。
- 名誉毀損:公然と事実を摘示し、社会的評価を下げる行為
- 侮辱:事実の摘示はなくとも、公然と人を罵倒して名誉感情を傷つける行為
- 脅迫:名誉や身体などに害を加えると告知して相手を怖がらせる行為
- 恐喝:脅迫によって財物や財産上の利益を要求する行為
- 威力業務妨害:大声で罵倒したり、執拗な連絡で会社の業務を妨害する行為
実際に不倫が事実だったとしても「公然と暴露する」ことで名犯罪行為に該当する可能性は十分にあります。しかし、刑事事件として立件されるハードルは比較的高いため、名誉毀損や侮辱、脅迫で逮捕に至るかどうかは状況次第です。しかし、法的なリスクを知らずに「会社に言いふらす」という行為を続ければ、慰謝料請求を受ける可能性も高まります。
社内や家族の信用を失うリスク
不倫が会社バレする大きな弊害は、刑事罰や解雇だけではありません。特に、不倫をしている側の場合、社内での信用と家族からの信頼を同時に失うリスクがあります。
勤務態度や仕事の実績がどれほど良くても、一度プライベートな不倫問題が明るみに出ると「裏切り者」「信頼できない」というレッテルを貼られてしまいかねません。また、家庭を持つ人であれば、離婚や別居に発展し、子どもとの関係にも影響が及ぶことも珍しくありません。
こうした**「信頼の失墜」**は、金銭的損害よりも長期的に影響を及ぼす側面が大きく、ときには精神的にも追い詰められる要因となります。不倫そのものが倫理的にも社会的にも好まれない行為である以上、会社や家族に不倫をバラされる前に問題を解決しておくのが望ましいといえるでしょう。
不倫を会社にバラすと脅された時の対処法
もし、不倫相手やその配偶者などから「会社に不倫をバラすぞ」と脅されてしまったら、どのように対応すべきでしょうか。冷静な初動対応と、適切な法的対策が大きなポイントとなります。
まず冷静になる:感情的対応の危険性
脅される側にとっては非常にショッキングな瞬間ですが、相手の要求をすぐに受け入れてしまうと、後々さらに高額な金銭を要求されたり、無理難題を突きつけられたりするケースもあります。たとえば、最初は「50万円払えば会社に言わない」と言っていたのに、支払いを済ませた途端「やっぱり100万円にしろ」とつり上げるような事例も報告されています。
一方で、脅してくる側に対して反発し、感情的に応戦してしまうと事態がこじれ、相手が逆上して本当に会社にバラしてしまうかもしれません。こうしたリスクを踏まえると、まずは冷静に現状を把握し、自分が取れる選択肢を検討することが肝要です。
会社に不倫をバラすことが犯罪だと強調しすぎない
実際に、不倫を会社にばらす行為は名誉毀損や脅迫等の犯罪にあたる可能性があります。ただし、それをあからさまに相手へ突きつけると、「脅すつもりはなかった」「そもそも自分こそが被害者だ」などと主張され、話し合いが決裂してしまう恐れがあります。
そのため、会社にばらす行為が犯罪になり得る点を一つの交渉材料として利用する場合でも、相手を一方的に責めず、丁寧かつ冷静に対処することが大切です。特に、メールやSNSのやりとりなど証拠を残す形で過度に刺激すると、相手も揚げ足を取るような手段に出かねません。**「会社に言ったら名誉毀損になるのでは?」**程度の指摘で十分であり、無理に正論を振りかざすのは逆効果となる場合があります。
弁護士に依頼するメリット(受任通知など)
脅迫をはじめ、不倫トラブルは感情的になりやすく、当事者同士の話し合いでは解決が難しいケースが大半です。そこで有効なのが、弁護士への依頼です。弁護士が受任すると、相手方に対して「受任通知」を送付し、直接の連絡を禁止するよう求めるとともに、もし会社に不倫をばらすなどの行為に及んだ場合は法的責任を追及すると明確に通知できます。
受任通知を受け取ると、脅迫していた側も「これ以上軽率な行動をすれば自分が不利になる」と理解し、あっさり連絡を絶つ場合が少なくありません。また、示談金の金額や支払い方法についても、弁護士が客観的な相場や裁判例を示しながら交渉を進めるため、高額な要求に振り回されにくくなるというメリットがあります。最終的に口外禁止条項を盛り込んだ示談を結べば、会社にばらされるリスクを実質的に抑えることができるでしょう。
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実際に会社にバラされた場合の対処法
不倫の事実がすでに会社に広まってしまった場合、精神的にも大きなショックを受けたり、今後の職場環境に不安を感じたりすることでしょう。ここでは、実際に「不倫を会社にバラされた」後に考えられる法的・実務的な対処法を解説します。
慰謝料請求の検討
不倫を会社にばらす行為は、場合によっては民事上の不法行為として損害賠償請求の対象になる可能性があります。なぜなら、会社という公の場で不倫の事実を言いふらすことは、名誉毀損や侮辱に該当するリスクが高いからです。たとえ不倫が事実であったとしても、外部に暴露して本人の社会的評価を著しく落とす行為は、法的に見れば違法とみなされる可能性があります。
もっとも、慰謝料の金額は事案によってまちまちです。例えば、名誉毀損や侮辱などで認められる金額は数十万円程度が一般的で、高額となるケースはあまり多くありません。しかし、「相手が会社の上司や同僚まで巻き込んで事実を大々的に拡散した」「長期間にわたって執拗に言いふらした」など、悪質性が高い場合は増額が考慮されることもあります。詳しくは、不貞行為を会社に報告したことで退職に至ったため逸失利益・慰謝料として100万円以上が認められた裁判例の解説記事をご覧ください。
一般的には、不倫慰謝料の示談交渉が決裂し訴訟で慰謝料を請求されたような場合に、こちらの反論・反訴として不倫を会社にバラしたことの慰謝料を請求し返すことが多いです。
刑事告訴の可否・難易度
不倫を会社にばらす行為が、名誉毀損や脅迫などの刑事犯罪に該当する可能性はありますが、実際に刑事告訴が認められるかどうかはケースバイケースです。警察や検察は「公然性の程度」や「具体的な脅迫の有無」「悪質性の度合い」などを総合的に判断するため、必ずしも受理されるとは限りません。
以下のような事情があれば、刑事告訴が認められるハードルは多少下がるかもしれません。
- 大勢の前で執拗に「不倫をした」と騒ぎ立てた
- 「会社だけでなく家族にもばらしてやる」などと繰り返し脅した
- 慰謝料を払わなければばらすと迫り、実際に金銭を巻き上げた(恐喝罪の可能性)
しかし、刑事告訴は相応の労力と時間を要します。告訴状を提出しても、捜査機関が積極的に動いてくれるとは限らず、かえって相手を一層刺激する恐れもあります。そのため、「どうしても相手を処罰したい」「拡散行為が非常に悪質で、今後も続く見通しがある」など、状況が深刻な場合に限って検討するのが現実的です。弁護士に相談すれば、刑事告訴の可能性や難易度について具体的な助言を得ることができます。
会社内での立場を考える(懲戒処分が行われた場合など)
不倫が事実として会社に共有されると、懲戒処分が下される可能性があります。先述のとおり、不倫だけを理由にいきなり解雇されるケースは少ないものの、職場での立場が悪くなり、退職に追い込まれる方も少なくありません。会社にバレた経緯が相手の一方的な暴露だった場合は、社内で上司や人事担当者との面談が行われることもあるでしょう。
そこで大切なのは、会社側にも「不倫が業務や企業イメージにどの程度の悪影響を与えたか」を示すだけの客観的な材料がなければ、無効な解雇や重すぎる処分を下すのは難しいという点です。つまり、もし懲戒解雇など重大な処分を受けた場合でも、それが本当に正当な理由に基づくのかを検討する余地があるのです。過去には、「社内不倫によって重大な混乱を招いた」として解雇されたが、実際には職場秩序が著しく乱れていなかったとして、裁判で解雇が無効と認められた例も存在します。
もちろん、会社との関係を今後どう維持していくか、あるいは円満退職を目指すかによって対応は変わります。事前に会社の就業規則や懲戒規定を確認し、自分がどのような立場にあるのかを把握しておきましょう。もし不当に処分を受けたと感じるときは、労働問題を取り扱う弁護士に相談すれば、処分の有効性や今後の交渉の見通しについてアドバイスを受けることができます。
まとめ:不倫を会社にバラすと言われたときは冷静ない対応を
不倫トラブルは当事者の感情が激しくぶつかり合いやすく、会社や家族を巻き込むと事態がさらに複雑化します。会社に不倫をばらされる、あるいは「会社に言う」と脅される状況に陥った場合、リスクを正確に把握し、早めにプロへ相談することで無用のトラブルを回避できる可能性が高まります。
実際、不倫の事実を暴露されると、職場での信頼低下はもとより、家族からの非難や離婚問題へと発展するおそれも大いにあるでしょう。しかも、名誉毀損や脅迫が絡む法的リスクまで重なれば、当事者同士での解決は極めて困難です。弁護士の受任通知は、相手に冷静さを取り戻させ、過度な要求を封じる大きな効力を持ちます。もし高額な示談金を要求されていたり、会社での処分をめぐって不安を感じているなら、一度専門家に相談してみるのが賢明といえるでしょう。
不倫問題で悩んでいる方は、自分だけで抱え込まず、早めの段階で弁護士への相談を検討してみてください。法律の専門家が間に入ることで、会社にばらされるリスクを最小化し、落としどころを見つけやすくなるはずです。あなたが今抱えている不安やトラブルを、できるだけ早く、そして穏便に解決するためにも、行動を起こすことが大切です。
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