本記事では、「不倫 慰謝料 判例」というテーマを徹底解説します。実は、不倫慰謝料の金額は「50~300万円くらいが相場」とよく言われますが、実際は裁判例(判例)を確認すると、支払いを命じられる金額はケースバイケースです。たとえば、長期の不倫や悪質性が高い場合に300万円を超える事例や、夫婦関係がすでに破綻していたとみなされて「慰謝料はゼロ」と判断されるケースなどもあります。
そこで本記事では、以下の流れで「不倫慰謝料の判例」を整理しつつ、金額の増減要因や実際の裁判手続を詳しく紹介します。
- 判例から見る不倫慰謝料の「一般的な相場」
- 慰謝料が高額・低額になった実例(令和5年以降の最新判例含む)
- 最高裁判例で示された重要ポイント
- 不倫慰謝料請求の手続・注意点
- 夫婦関係の破綻をめぐる争点 探偵費用・弁護士費用はどこまで認められる?
不倫慰謝料の金額は、夫婦の状況や不貞行為の態様などによって非常に変わります。裁判例を参考にすることで、ご自身のケースに近い事例や判決の傾向を把握し、見通しを得やすくなるはずです。
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不倫慰謝料の判例とは?
まず簡単に不倫慰謝料の判例を分かりやすく理解するためのポイントを説明します。
不倫慰謝料の判例は、
- 慰謝料請求が認められるかどうか
- 慰謝料の金額はどの程度か
について判断しています。慰謝料請求が認められるかどうかの枠組みは最高裁判決が重要であり、具体的な不貞の事実が認められるかや慰謝料金額はどのぐらいかを判断するのが下級審(高裁・地裁)の裁判例です。
また、判例・裁判例等と呼び方が変わることがありますが、法律用語では厳密には以下のように使い分けられています。
判例:最高裁の判断のうち結論に影響を与える重要な部分であり、先例的価値があるもの。
裁判例:裁判所の判断
厳密には判例は限られたものですが、この記事では判例・裁判例を一般的に理解されているように同じ意味で使います。
不倫慰謝料の基本相場について
まずは、裁判例に入る前に「不倫慰謝料の一般的な相場」として、しばしば言及されるラインを整理しておきます。
- 離婚に至った場合:100~300万円程度が多い
- 離婚に至らなかった場合:50~150万円程度が多い
これはあくまで「よく言われる目安」であり、実際は夫婦関係や不倫の悪質性、子どもの有無などにより上下することが判例から分かっています。「不倫慰謝料」とひと言でいっても、判決例を見ると次のような幅があるのです。
- 50万円程度:夫婦関係がすでに破綻に近かった場合や、不倫期間が短期・回数が少ない場合
- 100~200万円前後:もっとも多いゾーン。離婚しないor夫婦継続だけれど、一定期間の不倫があった
- 200~300万円超:離婚または長期間・複数回の不貞行為、子がいる家庭を破壊したケース
- 300万円超:かなり稀ですが強い悪質性が認定される場合。例えば妊娠・出産を伴うようなケース
実際の裁判例(令和5年の最新判例を含む)を見ると、「50万円」「95万円」「160万円+弁護士費用」など幅広い金額認定がされている様子がうかがえます。次項では、裁判所が金額を左右する「増減要因」にどのように注目しているかを見てみましょう。
不倫慰謝料判例の増減要因
裁判例で不倫慰謝料を定めるにあたっては、次のような事情が大きく影響すると一般に言われています。これは令和5年以降の最新判決や過去判例を見ても、ほぼ共通的に考慮される要素です。
増額要因の典型例
- 婚姻期間が長い:
長年連れ添った夫婦を破壊する行為は精神的苦痛が大きい - 不貞期間が長期・複数回にわたる:
たとえば3年超にわたる不倫や、何度もホテルに行っていたなど - 発覚後も関係を継続:
普通は発覚後に謝罪・解消を図るところ、開き直って続けていた場合は悪質 - 子がいる家庭への深刻な影響:
子どもの前で夫婦喧嘩が絶えなくなった、家計に打撃を与えたなど - 相手との間に子をもうけた:
婚外子ができるケースは特に重く評価されやすい
DV・モラハラ等を伴う:
不貞だけでなく配偶者を追い詰める言動が認定されると高額に
減額要因の典型例
- 夫婦関係が既に破綻・悪化:
最高裁平成8年3月26日判決が示すように破綻状態だと慰謝料が否定or減額 - 不倫期間が短い・回数が少ない:
一度きりの過ちなどで精神的苦痛が少ないと判断されやすい - 相手が既婚と知らなかった:
不倫相手に故意・過失がないなら不法行為成立しない - 配偶者にも大きな非がある:
夫婦関係が悪化していた要因が請求者にもある場合、減額されがち
支払い能力が乏しい:
あくまで相手の経済力も間接的に考慮される傾向がある
最新判例の傾向
- 令和5年11月13日判決(東京地裁):3年以上の不貞行為が認定され、夫婦は離婚寸前。悪質性が高いとされ「160万円+弁護士費用15万円」を認容
- 東京地裁平成24年6月8日判決:夫婦関係が完全に破綻していないが、すでに別居状態だったことなどを考慮して50万円しか認められなかった
- 東京地裁平成28年2月8日判決:こちらも50万円にとどまった例。長期間の不倫があったわけでもなく、夫婦が修復可能との評価が影響した
つまり、夫婦側の事情や不倫の態様次第で、「50万円か300万円か」大きく変化することが分かります。
実際の判例①:高額が認められたケース
ここでは慰謝料が200~300万円程度以上になった高額事例をいくつか取り上げます。
東京地裁 平成26年5月19日判決
被告(不倫相手)が既婚者と知りながら長期にわたって交際 原告(妻)が再三制止したが聞き入れず、同居までしていた 悪質と判断され、結果的に慰謝料300万円を認容
ポイント
- 不倫期間が1年以上継続し、夫婦の平穏を大きく乱した
- 被告が悪質な態度(発覚後も同居継続)
- 子どもがいる家庭への影響も大きいと認定されている
2.東京地裁 平成26年7月11日判決
被告と原告の夫が一時は別れるも、復縁を繰り返した 妻からすれば精神的苦痛が大きい 最終的に裁判で300万円が認められた
ポイント
- 「別れる」と口先で言いつつ結局ズルズルと関係継続
- 離婚には至っていないが、家族関係への影響度が高い
- 結果、相場の上限に近い金額と評価
(参考)高額といわれる1,000万円超事例
実務上は極めてレアケース。たとえば「10年を超える長期不倫」「不倫相手との間に子どもができた上で、配偶者・子どもを放置し経済的DVを伴った」等、通常よりはるかに深刻な侵害が認定されると1,000万円超になることもある。ただし具体的に公表判例としては非常に数が少なく、特殊事情と考えられます。
実際の判例②:低額・却下されたケース
次は「50~100万円程度」あるいは「却下」に近い事例を見てみます。夫婦関係が破綻状態だったり、不倫行為が短期・軽微だと低い金額が認定される傾向があります。
東京地裁 平成24年6月8日判決
夫婦は別居状態だが破綻まではいっていないと裁判所が判断 不貞相手に責任はあるが、夫婦側にも問題がある 結果50万円の慰謝料で一部認容
ポイント
- 妻が「500万円」を請求していたが、裁判所は色々な事情を考慮し50万円しか認めず
- 夫婦のほうがすでに別居状態かつ関係が希薄だった点を斟酌し、大幅に減額
- 不貞行為自体の違法性は肯定されているが、あくまで「婚姻の実態が薄れていた」と評価
東京地裁 平成28年2月8日判決
原告は夫の不倫相手に対して300万円を請求 夫婦関係がそこまで破綻していないが、夫も積極的だった 不貞の態様や期間がそこまで長期でないなどの要因 慰謝料50万円認容で残りは棄却
ポイント
- 夫婦がいまも同居を継続しており、関係修復に向かっていた
- 被告だけが悪質とまでは言えず、夫の責任も大きいと見られる
- 不倫期間もそれほど長くないと判断され、低額にとどまった
棄却されるケース
不倫行為自体が認められず「何もしていない」と否定された場合や、「夫婦が完全に破綻していた」などの理由で、そもそも不法行為が成立しないと判断されると慰謝料0円になる。このパターンは最高裁平成8年3月26日判決で示唆されているとおり、「破綻」または「相手に過失なし」であれば慰謝料を請求できません。もし身に覚えがないにもかかわらず、慰謝料を請求された場合には、不倫慰謝料の回避・拒否・減額の解説記事をご覧ください。
最高裁判例の重要ポイント
ここでは、不倫慰謝料を語るうえで必ず出てくる最高裁の判断を簡単に整理します。
最高裁平成8年3月26日判決
ここから導かれる結論は「婚姻共同生活の平和が保護されるべき利益であり、破綻しているならその利益は消滅している」ということ。
裁判例においても「破綻していたかどうか」がしばしば争点になっており、夫婦がすでに別居していても、“実質的には関係が残っている”と判断されれば慰謝料が認められ、逆に破綻とみなされると請求が棄却または大幅減額されます。詳しくは婚姻関係破綻の抗弁についての解説記事をご覧ください。
最高裁平成31年2月19日判決など
近年でも「不倫相手には離婚慰謝料まで請求できるのか?」が議論となっていますが、基本は「離婚慰謝料」は夫婦間の問題だという整理が最高裁で示されています。ただし、不倫が原因で離婚したかどうかは「不倫慰謝料」の算定で考慮される要素なので、不倫の結果として離婚に至った場合は不倫慰謝料が大きく増額する可能性はあります。
最高裁平成31年2月19日判決は不倫慰謝料の裁判例の中でも理解が難しいものですので、詳しくは最高裁平成31年2月19日判の解説記事をご覧ください。
不倫慰謝料請求の手続・注意点
ここまで判例での金額の幅を確認してきました。では、実際に慰謝料を請求する/された場合、どのように行動すべきなのでしょうか。ここでは裁判になったケースを踏まえつつ、実務上のポイントを解説します。
1.示談交渉・内容証明
- 通常は話し合いが先
「いきなり裁判」はあまり多くなく、まずは探偵費用やメール・LINEなどの証拠を示しつつ、内容証明郵便で請求書を送ることが多い - 証拠の確保が鍵
探偵費用について、判例(たとえば令和5年10月5日判決)で15万円など一部が損害として認められたケースあり
2.裁判に至るケース
- 示談が決裂:相手が否定を続ける、金額がかけ離れている
- 相手が無視:内容証明を送っても返答なし
3.調停 or 訴訟
示談が難しい場合は家庭裁判所での調停を検討する人もいます。ただし、不倫慰謝料の請求先が「配偶者じゃなく第三者(不倫相手)」の場合は通常の民事裁判(地方裁判所または簡易裁判所)を使うことになります。
裁判では今回挙げたような判例を参考に、主張書面で「増額要因」をアピールしたり、相手が「破綻」を主張してきたら証拠をもとに反論したりする流れです。
4.夫婦関係破綻の主張対策
多くの被告(不倫相手)は「不倫当時には夫婦はすでに破綻していた」と主張します。
- 実務ポイント
原告(被害者側)は「別居していても、連絡を取り合っていた」「実家に一緒に帰省した」「まだ夫婦としての実質があった」など具体的証拠を提示しないと、破綻主張を覆しづらいです。 - 令和5年12月19日判決などでは「夫婦仲は相当悪化していても破綻とまでは言えない」と判断され、95万円認められました。
5.探偵費用・弁護士費用はどこまで認められるか
- 探偵費用
令和5年10月5日判決では80万円中15万円だけが相当因果関係のある損害と認められた
使う範囲や報告書の有効性によって異なる。全額は無理でも一部が認められる場合あり。 - 弁護士費用
判決例を見ると、慰謝料認容額の1割前後を認めるケースが多い(160万円の1割=16万円など)
ただし請求全額が認められたわけでない場合や、当事者の態度などで多少前後する
詳しくは、不倫事件において慰謝料以外に弁護士費用・探偵項目・治療費等が認められるかの解説記事をご覧ください。
実際の裁判例の傾向まとめ
裁判例を見ると以下のような特徴が見られます。
- 50万円ラインの事例
- 東京地裁平成24年6月8日判決、平成28年2月8日判決
- どちらも夫婦関係が完全に破綻していたわけではないが、あまり長期間・悪質な不倫でなかったり、夫婦も修復できそうと判断されたりして低額に。
- 100~200万円ライン
- 令和5年11月13日判決(160万+弁護士費用15万)、令和5年10月5日判決(120万+弁護士費用12万+探偵費用15万)など
- 夫婦の婚姻関係がまだ残っているけれど、長期不倫が悪質とされ、100~200万円のあたりで落ち着く。
- 300万円ライン
- 東京地裁平成26年5月19日判決、平成26年7月11日判決
- 被告が同居を継続するなど強烈な悪質性。夫婦関係にも大きな打撃を与えたと認定され、高額に。
- 1000万円超は稀
- 極度の悪質性が絡んだ特殊ケースで認められることがある。
このように「50万」「100~200万」「300万」といった段階的なラインが、裁判例を見ても大きく存在することが分かります。
まとめ~不倫慰謝料は判例から学び、適切な対応を
この記事では以下の点について解説しました。
- 不倫慰謝料の判例では50万円~300万円あたりが中心
長期不倫や悪質性が高ければ300万円超、 - 婦関係が破綻に近い場合は50万円程度に下がる
- 探偵費用や弁護士費用の一部が認められるケースも多数
- 婚姻関係破綻」の有無が0円~高額の分かれ目となることが多い
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もしあなたが「不倫慰謝料を請求したい」「請求を受けて困っている」立場なら、判例を見比べるだけでなく、まずは証拠の整備や夫婦関係の現状把握が必須です。
裁判で争うなら、探偵費用や弁護士費用がかかること、判決が出るまで半年~1年以上かかる可能性も十分考慮しましょう。一方で、請求された側は無視すると欠席判決が下り強制執行のリスクがありますので、早めに専門家へ相談して防御策(減額・破綻主張など)を検討することが大切です。
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