不倫で慰謝料を請求されたとき、慰謝料の減額・拒否のために知らないと損をする全知識46項目【弁護士執筆】

 

慰謝料請求されたため、こんな悩みを抱えていませんか?

・不倫がバレて弁護士から不倫慰謝料を請求された

・請求された不倫慰謝料が高額すぎて払えない…

・不倫相手(愛人)と別れたいが揉めてしまって慰謝料を請求された

ご安心ください!

私たちは、毎月300件以上のご相談を受けており、とくに慰謝料を請求された側の案件は平均して毎月20~30件程度のご依頼をいただいています。慰謝料を請求された側の弁護活動を数多く行ってきた体験に基づいて、慰謝料を請求されたとき可能な限り支払いを回避するための知識や実務的なノウハウをお教えします。

MEMO

この記事は

  • 慰謝料 請求された
  • 奥さんから 慰謝料請求
  • 慰謝料 払えない
  • 慰謝料 請求された 払えない

等で検索してご覧いただくことが多いです。このような知識を求めている方の役に立てるような記事を目指します!

 

なお、本記事は、多数の慰謝料を請求された事案の取扱経験に基づく、私たちの実務的な観点からの独自ノウハウを含んでおります。他弁護士や法律事務所にご相談いただいたとしても、異なる意見を言われる可能性もありますのでご留意ください。

不倫慰謝料を請求されたことは友人や家族に相談できず、どうなるか不安だと思います。でも、大丈夫!この記事を読んでいただければ、できる限り請求された慰謝料の支払いを回避することが可能です。

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

 

1.     なぜ? 慰謝料を請求されたことに納得が行かない

あなたが慰謝料請求されたときに、最初にそう感じられたのではないでしょうか。なぜなら、以下の通り事実と異なる内容に基づいて慰謝料を請求されることが多いからです。

 

1.-(1)     不倫自体は事実の場合

不倫したのは事実であっても、不倫期間や回数が相手方主張している程長くなかったり、又は不倫に至った経緯についてあなたが一方的に悪く言われることがあります。

 

1.-(2)     性的関係がない場合

キスはしたけど性的関係までは持っていない場合や、ホテルに行った又は一緒に旅行はしたけど性的関係に至ってない場合にも、慰謝料を請求されることがあります。

 

1.-(3)     W不倫の場合

そもそも、お互いが既婚者だと知って割り切って付き合っていたのに、関係が悪くなって別れた途端に相手方から慰謝料を請求されることがあります。

相手方に弁護士がついていても事実と異なる事情を前提に慰謝料を請求されるのは、相手方本人や弁護士も十分事実関係を把握していないからです。安易に事実と異なるのに相手方の言い分を認めたり、下手なことを話すと不利な立場になる場合があるので損する可能性があります。

しかし・・・

慰謝料を請求されたことに納得が行かない場合でも、適切に対応しないと以下に述べるようなリスクがあります。もちろん、あなたが納得できない点は、請求された慰謝料の支払いを最大限回避するためのポイントになりますので後ほど解説いたします。

 

 

2.     慰謝料を請求されたときのリスクは?

慰謝料を請求されたことに心当たりがあるときはもちろん、不倫(=性的関係)がない場合であっても、慰謝料を請求されたときは誠実に対応しないとリスクがあります。

あまり考えたくないことですが、対応を誤ってしまうと最悪の場合はこんなことになることも・・・

2.-(1)     請求された金額を払う羽目になる

私たちにご相談される方でも、「もう少し早く相談して適切な対応を行っていれば良かったのに」という方は少なくありません。慰謝料の支払いを回避できたのに、対応を誤ると請求された慰謝料を全額払わざるを得なくなる場合があります。

 

2.-(2)     裁判沙汰に発展する

あなたは、裁判になったらどうしようと不安に思っておられるかもしれません。慰謝料を請求された場合、事実と異なる内容であっても正しい対応を行わないと裁判沙汰に発展することは十分あり得ます。

私たちの経験では、弁護士が慎重に対応したケースでは、ほとんどの事案で裁判にならずに解決できています。しかし、自分で対応をしてしまい、裁判になってからご相談にお越しになる方も少なくありません。慰謝料を請求されたら裁判沙汰になるリスクがあることはしっかり認識した方が良いでしょう。

 

2.-(3)     会社や家族に不倫がバレる

ご相談でも特に多いのが職場不倫です。職場不倫の場合は不倫トラブルが原因で会社を辞めざるを得ない事態になる可能性もあります。

また、あなたも結婚しているW不倫の場合は、慰謝料を請求されたことがきっかけでご家族に不倫がバレて離婚になることも。

 

 

どうでしょうか・・・

少し不安になられたかもしれません。でも、実はほとんどの事案では請求された慰謝料をそのまま支払うことなく解決できます。

まずは、慰謝料の支払いを可能な限り回避するために、どのような方針があるのか、どのような点がポイントになるのか、そして疑問や不安に思われる点を解説します。

 

 

3.     慰謝料を請求された場合 3つの方針

 

3.-(1)     どのような方針があるのか

慰謝料を請求された場合は、大きく分けて3つの方針が考えられます。特に支払いを拒否する方針は、過去の不倫がバレた場合で慰謝料請求の時効が成立しているときに有力です。
(参考)不倫による慰謝料請求の時効は何年か。民法改正も踏まえて弁護士が解説

・支払いを拒否する

・不倫を認めてできる限り慰謝料を減額する

・早期かつ円満な解決を目指す

 

3つの方針の具体的な内容については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

不倫慰謝料を請求された場合 3つの大きな方針と注意点

 

どのような方針を取るべきかについて解説する前に、これ以外で最悪の方針があります。分かりますか?

 

 

 

 

それは・・・

「無視する」ことは最悪の方針です。

 

弁護士を通じて慰謝料を請求された場合は無視することにより弁護士はおそらく裁判を起こすでしょう。

 

さらに、相手方本人から慰謝料を請求されたときは、無視することは、ある意味で弁護士以上に大きなリスクです。私たちが法律相談を受けた経験では、慰謝料を請求されるのみならず、会社に乗り込んで来たり、軟禁状態にして無理やり示談書を作らされたりするケースもあります。弁護士と違って、相手方本人はどんな人間か分からず、場合によっては違法行為や無茶苦茶をやることもあるので注意が必要です。

 

 

3.-(2)     慰謝料請求の対応方針を決める手順

それでは、あなたの事案において、慰謝料請求に対してどのような方針を取るべきでしょうか。ポイントとなるのは以下の点です。

・誰から請求されたか

・法律上、慰謝料の支払義務があるか

・不倫慰謝料の相場はどれぐらいか

・あなたに弱みがないか

順番に解説していきます。

 

4.     まずは誰から慰謝料を請求されたかを確認

 

不倫慰謝料を請求される場合、相手方本人からの請求か弁護士を通じての請求かを確認します。なお、不倫相手(愛人)から慰謝料を請求されたこともありますが、このような事案に関しては本記事では取り上げませんので以下の記事をご覧ください。

手切れ金の相場や意味を弁護士が徹底解説!

一般的には、相手方本人からの請求は電話や直接会ってされることが多く、弁護士を通じての請求はほとんどが内容証明郵便を送付する形でなされます。

 

4.-(1)     相手方本人から請求される場合

弁護士を通じて慰謝料を請求される場合に比べて、相手方本人から請求される場合は緊急性が低いと言われることがあります。しかし、数多くの慰謝料を請求された場合のご相談を受ける私たちの経験によれば、実は相手方本人から慰謝料を請求された事案の方が慎重な対応が必要となることが少なくありません。

弁護士は、法律の専門家という意味では手ごわい相手ですが、他方で法令を遵守してある程度決まったパターンで請求をしてくるので比較的紳士的です。しかし、相手方本人から慰謝料を請求される場合は、相手方は憎しみや怒りに任せて予想もしない行動を取ることがあるからです。

例えば、いきなり会社に押しかけて業務妨害をする、話し合いと称して軟禁した上で無理やりに高額な慰謝料を支払う書面にサインさせられる等のリスクがあります。相手方本人から慰謝料を請求される場合の対応方針は、ケースバイケースと言わざるを得ませんが、ご自身で対応が難しい場合は早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

4.-(2)     弁護士から慰謝料を請求される場合

弁護士から不倫慰謝料を請求された場合、大半の事案では内容証明郵便によって請求がなされます。

少ないですが住所の調査と並行して電話で請求する場合や、内容証明郵便を放置したときにいきなり訴訟を提起されることもあります。

 

弁護士から慰謝料を請求された場合、実務上は支払いを拒否する方針を取るのは難しくなります。

なぜなら、相手方が弁護士を依頼したということは、一般的に相当の弁護士費用(着手金)を支払っているため、相手方が慰謝料を全く貰えないのに請求を取り下げることは考えにくいからです。また、弁護士としても、相手方に対して慰謝料を取れると見通しを説明して受任しており、プロのメンツもあるので、全く慰謝料を取れずに諦めることはほとんど期待できないからです。

 

なお、弁護士が慰謝料を請求するときは、内容証明郵便でも電話でも1週間~2週間ぐらいの支払期限や連絡期限を指定することがほとんどです。「そんな短期間で慰謝料を用意するなんて無理だ・・・」と思われるかもしれませんね・・・

 

しかし、ご安心ください!

全く無視すると裁判沙汰に発展するリスクがありますが、すぐに対応方針を決定できない場合でも1週間ぐらいは相手方の弁護士も待ってくれます。こちらも、弁護士を立てて誠実に慰謝料の減額交渉をする場合は、少なくとも3か月ぐらい、長いと1年ぐらいは交渉期間を確保できますので、すぐに慰謝料の支払いが必要になることはありません。

 

4.-(3)     弁護士=裁判??

また、私たちがご相談を受けるときでも、「弁護士を通じて慰謝料を請求されるということは裁判になるということですか?」という質問を受けることが多いです。たしかに、一見すると弁護士が提示した請求金額から減額を求めるのは難しいように思われ、減額交渉をしようならすぐに裁判を起こされるというイメージがあるかもしれません。

 

そこでクイズです。相手方が弁護士を通じて慰謝料を請求した場合、慰謝料の減額交渉を行うとどれぐらいの確率で交渉が成功するでしょうか?

 

 

 

 

 

答えは・・・裁判は14%程度にすぎません。

私たちの取扱経験では、約86%の事案で慰謝料の減額交渉を試みて成功し、裁判沙汰になった場合はたった14%程度にすぎません。また、裁判沙汰になった事案は、慰謝料を請求されたものの肉体関係がなかったり、又は交際に至った経緯で不倫相手に非がある等で、ご依頼者様が徹底的に慰謝料を減額する方針を希望されたケースがほとんどです。

 

どの程度譲歩するかにもよりますが、できるだけ円満かつ早期に解決することを希望される場合は、弁護士を通じて不倫慰謝料を請求された場合でも裁判を回避することは可能です。

弁護士が出てきた場合でも裁判を避けるために、言いなりになって慰謝料を支払う必要はないことは知らないと損する点なのでよく覚えておいてください。

 

4.-(4)     どのような方法で慰謝料を請求されたか

 

なお、慰謝料を請求する方法によって、どのような違いが生じるかを解説します。ポイントは、相手方や弁護士があなたの住所を知っているか否かです。

電話やメール等で慰謝料を請求された場合は、あなたの住所が分かっていない可能性があります。「書面を送付するので住所を教えて欲しい。」と言われて、住所を教えると家にこられるリスクもあるので慎重な対応が必要です。もっとも、弁護士であれば電話から住所を調べて最終的に住所が分かってしまうことも少なくありません。

 

他方で、内容証明郵便や訴状が届いた場合はあなたの住所は知られてしまうことになります。あなたにも家族がいる場合、何度も弁護士や裁判所から書類が届くと家族に怪しまれて不倫がバレるリスクがあります。このような場合は弁護士に依頼すれば、あなたの弁護士宛てに書類が送られることになるのでご安心ください。家族に不倫がバレたくない人にとっては押さえておくべきポイントと言えます。

 

慰謝料を請求される方法で知らないと損する知識としては、あなたにとって一番リスクのある請求方法は何かという点です。

 

 

 

それは・・・

訴状が届いた場合です。

本来であれば慰謝料を減額できた事案でも、訴状を放置すると請求された不倫慰謝料の金額をそのまま支払義務が生じる可能性があります。訴状が届いた場合は緊急事態と言えますので、すぐに弁護士にご相談ください。

 

4.-(5)     誰からどのような方法で慰謝料を請求されたかに応じて対応が必要

以上の通り、誰からどのような方法で慰謝料を請求されるかによって、対応時に注意するポイントが異なります。

相手方本人から慰謝料を請求されたときは、支払いを拒否しているうちに請求されたとしてもストップする可能性もあります。他方で、相手方はどんな人間か分からないため、会社に押しかけてくる、軟禁して無理矢理に書面を作らされる等のリスクもあります。

本人から慰謝料を請求された場合は、完全に支払いを拒否することは難しい場合が多いです。支払いを拒否できるか否かは、後で説明する通り法律上支払義務がないとされるかを慎重に判断する必要があります。他方で、弁護士から請求を受けた場合でも、慰謝料の減額交渉は可能ですので、言いなりに支払う必要はないことは知らないと損する点です。

色んな方法で慰謝料を請求される場合がありますが、訴状が届いたときは、対応を誤ると請求された金額をそのまま支払う義務が生じることもあります。慰謝料を請求する訴状が届いたときは、すぐに弁護士にご相談ください。

 

 

5.     請求された慰謝料を支払う義務があるかの判断

慰謝料を請求されたとしても、法律上必ず慰謝料の支払義務を負うわけではありません。あくまでも請求内容は相手方や弁護士の一方的な主張です。言われるがままだと損をしてしまいますが、きちんと知識を身につけて対応をすれば、実は慰謝料を支払義務がないこともあります。

慰謝料を払わないで済む場合や、慰謝料を拒否するためのポイントは下記記事でまとめてあります。
(参考)慰謝料を払わないで済む場合とは? 拒否できる理由やポイントを解説

 

5.-(1)     支払義務が生じる4つの要件

色々な整理はあるところですが、実務上は以下の事実がある場合は慰謝料の支払義務が生じます。

・肉体関係があること

・既婚者だと知っていたこと

・婚姻関係が破たんしていなかったこと

・時効が完成していないこと

逆に言うと、あなたの事案が、どれかの事実に反する場合は慰謝料の支払義務が生じないと反論することが可能です。

 

5.-(2)     肉体関係がなかった

原則として肉体関係がなかった場合は慰謝料の支払義務はありません。正確には証拠から肉体関係があったと認定されなければ、慰謝料の支払いを回避することができます。

もっとも、行為自体を撮影していた例外的な場合を除き、肉体関係を持っていることを直接示す証拠がある事案はほとんどありません。従って、実務上は肉体関係があることを伺わせる証拠があれば、比較的緩やかに肉体関係があったと認定される傾向にあります。

例えば、以下のような証拠があれば肉体関係があったとされる可能性があります。

・ラブホテルに出入りする写真

・自宅に泊まったときの出入りの写真

・肉体関係を匂わせる内容のLINEやメール

・不倫を認める謝罪文

ご相談者様の中には、ラブホテルに入ったもののキスをしただけで、肉体関係を持っていない、または、LINEやメールではあくまで冗談で肉体関係を匂わせるただけだと主張される方もおられます。しかし、裁判になった場合は、そのような反論は通じないことが多いでしょう。現実に、肉体関係はないと主張した事案で慰謝料の支払いを命じた裁判例もあります。

他方で、弁護士から慰謝料を請求された場合、関係各証拠から不倫があったことは明らか等と内容証明郵便に記載されていることがあります。弁護士からこのように言われると、どのような証拠があるのか不安に思われるかもしれませんが、定型文でこのように記載していることもあります。本当に不倫の事実がなく心当たりもない場合は、証拠を提示するように求めることも考えられます。

 

5.-(3)     既婚者だと知らなかった

私たちに寄せられるご相談の中にも、インターネットをきっかけに不倫関係に至った事案のご相談は増えています。例えば、婚活サイトや出会いサイトから交際に発展して独身者だと聞かされていたものの、実は既婚者だったというケースがこれに該当します。

但し、既婚者だと知らなかったものの、注意すれば知ることができた場合は慰謝料の支払義務を負う場合があります。例えば、社内不倫のケースでは、他の同僚も既婚者だと知らなかったような例外的なケースを除き、知ることができたと指摘されかねないので注意が必要です。

既婚者と知らなかったと主張する場合、不倫相手が証言に協力してくれるときか、又はメール・LINEで独身者だと確認しているようなときは非常に強い反論となります。既婚者と知らなかったときは、不倫相手の協力を得られるかやメール・LINEの履歴はしっかりチェックしましょう。

 

5.-(4)     婚姻関係が破たんしていたこと

不倫慰謝料を請求されるケースでは、不倫相手から「夫婦関係は終わっている」、「セックスレスだ」等と説明されることも少なくありません。不倫相手の言う通り、婚姻関係が破たんしていた場合は慰謝料の支払義務を免れる可能性があります。

ポイントは、本当に婚姻関係が破たんしていたかです。不倫関係では、不倫相手がその場しのぎで都合の良い嘘をつくこともあるので、慰謝料を請求された段階で本当に婚姻関係が破たんしていたかをきちんと確認するべきです。

とくに以下のような事情がある場合は婚姻関係が破たんしていたと認められやすいと言えます。逆に言うと、以下のような事情がないと婚姻関係が破たんしていたと聞いていても、請求された慰謝料の支払いを回避することは難しいかもしれません。

・別居していた

・離婚に向けた話し合いをしていた

婚姻関係の破たんを主張して慰謝料の支払義務を免れるためには、実務上は不倫相手の協力が不可欠となります。例えば、別居のために借りたマンションの賃貸借契約書や、離婚に関して話し合っているメール等を不倫相手から貰うことにより、請求された慰謝料の支払いをしなくて良い可能性が高まります。

5.-(5)     例外:ホステスに関する枕営業判決

請求された慰謝料を支払わなくて良いケースとして、クラブのホステスさん・ママさんが既婚者と関係を持ってしまった場合における枕営業判決が挙げられます。

クラブのホステスさん・ママさんからお客さんと関係を持ってしまった又は旅行に行った場合にお客さんの奥さんから慰謝料を請求された案件のご相談をいただくことがあります。このような場合、クラブのホステスさん・ママさんは、お客さんと継続的に肉体関係を持ったとしても枕営業と認められるときは慰謝料の支払いを免れる可能性があります(枕営業判決:東京地裁平成26年4月14日判決)。

枕営業判決はどこまで一般化できるかは議論がありますが、慰謝料を請求されたときに枕営業判決に基づく反論があり得ることは知らないと損をするのでご注意ください。

 

 

6.     慰謝料の相場

 

6.-(1)     慰謝料は減額できる

ここまでお読みいただき、請求された慰謝料を支払う義務がありそうな場合でも、請求された慰謝料をそのまま支払う必要はありません。

不倫慰謝料は減額することができます!

実は、ほとんどの事案では請求された慰謝料から大幅な減額が可能です。このことを知らずに請求された金額を払うと損をするのでご注意ください。

 

6.-(2)     慰謝料の相場はどれぐらいか?

不倫慰謝料の相場はどれぐらいなのでしょうか。

まず、慰謝料を請求される段階では一般的に300万円~500万円程度の請求がなされます。弁護士の戦略ですんなり払わせようとして150~200万円程度であったり、又は事案によっては1,000万円程度の請求がなされることもあります。

これに対し、きちんと対応をした場合における妥当な慰謝料の金額は、一般的に離婚をした事案で200~300万円程度離婚をしない事案で100~200万円程度と言われることがあります。従って、一般的には、慰謝料の相場は100万円~300万円程度でしょう。

もっとも、私たちが数多く慰謝料の減額交渉を行っている経験からは、離婚した事案でも100万円前後、離婚しない事案だと50万円前後で解決できることも少なくありません。これは、慰謝料を請求された事案に関するノウハウや、とくに慰謝料の減額できる理由をどれだけ主張できるかによります。請求された慰謝料を減額できる理由をきちんと知っておかないと、多めに慰謝料を支払って損をする可能性があります。

(参考)不倫慰謝料の相場と金額が増減する事情について解説

 

7.     慰謝料の金額:私たちの取扱事例

参考までに、私たちが慰謝料を請求された事案の減額交渉を行う場合における慰謝料金額をいくつかご紹介いたします。

 

7.-(1)     事例①:請求金額500万円→解決金額100万円

依頼主様(20代・女性)は職場の男性と不倫関係になりました。男性の奥様から、大手法律事務所の弁護士を通じて、500万円の不倫慰謝料を請求されました。

事実関係の調査・裁判例の分析を行ったところ70万円程度の慰謝料支払いが妥当だと考えられました。しかし、依頼主様が早期解決を希望されたため、最終的には慰謝料金額を400万円減額した100万円で解決できました。

 

7.-(2)     事例②:請求金額1,000万円→解決金額300万円

依頼主様(50代・男性)は、夫婦関係について相談を受けたことをきっかけ既婚女性と肉体関係を持つようになりました。不倫期間は約10年近くに及んだ事案であり、弁護士から1,000万円の慰謝料を請求されました。

裁判例では1,000万円近い慰謝料請求が認められる事案も存在しました。しかし、できるだけ有利な裁判例を調査して適切な反論を行った結果、最終的に300万円の示談金を支払うことで解決できました。

 

7.-(3)     事例③:請求金額300万円→解決金額約30万円

依頼主様(30代・女性)は職場のお客様である既婚男性に口説かれて肉体関係を持ってしまいました。付き合うことに乗り気ではありませんでしたがズルズルと不倫関係に陥りました。相手方の奥様に発覚して、弁護士から300万円の不倫慰謝料を請求されました。

裁判も辞さずという強い態度で交渉に臨んだ結果、裁判を回避したい相手方弁護士が譲歩し、最終的には約30万円程度の解決金を支払うことで解決できました。

上記はあくまでも私たちの取扱事例の一部です。また、私たちは慰謝料を請求された事案を数多く取り扱っていることから大幅な減額を実現できているのであり、上記は慰謝料の相場よりも低い金額で解決できています。もっとも、方針にもよりますが適切な反論を行うことによって慰謝料を減額することは可能です。

 

8.     請求された慰謝料を減額する5つの理由

請求された慰謝料の金額は、離婚したか、していないかによって大きく変わると言われることがあります。しかし、私たちが数多くの案件を取扱い、裁判例を分析した結果によれば、不倫相手が離婚した事案でも慰謝料を大きく減額することが可能です。

請求された慰謝料を減額する材料は色々ありますが、とくに主張しやすい5つの理由があります。それぞれ解説します。

・不倫相手が離婚しない

・不倫が短期間又は肉体関係を持った回数が少ない

・不倫に対して消極的だった

・求償権を放棄する

・あなたの配偶者が不倫を知っている

8.-(1)     減額理由①:不倫相手が離婚しない

慰謝料は、不倫によって相手が被った精神的苦痛に対する損害賠償です。従って、相手の精神的苦痛が大きいほど慰謝料も高額になります。そして、不倫があっても離婚していなければ精神的苦痛は比較的少ないと判断されるため、慰謝料を減額することができます。

慰謝料を請求された場合、通知書において、不倫によって「平穏な婚姻生活を侵害した」、「夫婦関係が破綻した」等と記載されている場合があります。もっとも、明確に離婚したと書いていない場合は離婚していないケースが多いです。

従って、不倫相手や相手方に対して、離婚することになりそうかを確認し、不倫相手が離婚しないのであれば請求された慰謝料の減額事由として主張しましょう。

 

8.-(2)     減額理由②:不倫が短期間又は肉体関係を持った回数が少ない

不倫の期間や回数は、大きく不倫慰謝料を減額する要素となり得ます。一般には、不倫相手が離婚した事案では慰謝料の相場は200万円~300万円程度と言われることがありますが、不倫相手が離婚しても不倫の期間が短く、肉体関係も少ないケースでは請求された慰謝料を大幅に減額することが可能です。

例えば、不倫期間が1か月から半年ぐらいであり、肉体関係を持った回数が10回以内ぐらいであれば、離婚した事案でも大幅に慰謝料を減額できる可能性があります。

 

8.-(3)     減額理由③:不倫に対して消極的だった

不倫に至った経緯について、あなたが不倫に消極的だった場合は請求された慰謝料を減額できる可能性があります。例えば、職場の上司である不倫相手からしつこくアプロ―チをされて不倫関係に至った場合は、そのことを慰謝料の減額事由として主張することができます。

なぜなら、平穏な夫婦関係の維持については配偶者がいる不倫相手に主たる責任があり、不倫相手からアプローチを受けたあなたの責任は副次的なものと言えるからです(東京高裁昭和60年11月20日判決等参照)。

 

8.-(4)     減額理由④:求償権を放棄する

 

求償権とは、慰謝料を請求されて適正な慰謝料の全額をあなたが支払った場合、支払金額の半分以上を不倫相手に支払うよう求めることができる権利です。要するに、あなたは適正な慰謝料の半額程度が最終的な負担となります。そこで、求償権を行使しない代わりに最初から半分程度の慰謝料を支払うことで解決できないか交渉することが考えられます。

 

 

例えば、適正な慰謝料が200万円である場合、(i)あなたが不倫相手の配偶者に200万円支払って、不倫相手に対して100万円の求償権を行使するのでなく、(ii)あなたが不倫相手の配偶者に100万円を支払って、不倫相手には求償しない解決があり得ます。

求償権の放棄は、請求された慰謝料を半額以上減額できる可能性があるポイントです。非常に大きな減額理由なので覚えておく必要があるでしょう。

 

8.-(5)     減額理由⑤:あなたの配偶者が不倫を知っている

 

あなたも既婚者である場合(いわゆるW不倫)は、あなたの配偶者が不倫を知っていることを理由に請求された慰謝料を減額できる場合があります。

お互いの夫婦間で家計が同一である場合、不倫相手の配偶者からあなたへの慰謝料請求と、あなたの配偶者から不倫相手の慰謝料請求を打ち消し合って不倫慰謝料0円で和解ができる場合もあります。

もっとも、法律上は当事者が別々であるため、当然に不倫慰謝料支払義務の相殺を主張できるわけではありません。下手に主張すると開き直っていると取られ、不倫相手の配偶者を怒らせるリスクもあるので注意が必要です。

不倫が事実であり慰謝料を支払わなければならない場合でも、ほとんどの事案では、きちんと減額理由を主張することにより請求された金額から大幅に減額できます。減額理由があるかを確認しないと、過大な慰謝料を支払わされる可能性があるので損をしてしまいます。

 

9.     相手方と交渉する方法

次に、慰謝料の支払いを拒否する場合、又は請求された慰謝料を減額する場合はどのように交渉を進めれば良いかを解説します。

なお、慰謝料減額の方法・手順は下記記事にも詳しくまとめてあるので参考にしてください。
(参考)不倫慰謝料を減額する手順 確認すべき点を6つのSTEPで解説

 

9.-(1)     大原則:直接は会わない

慰謝料を請求された場合、相手方から話し合いで解決したいので一度会いたい等と言われることがあります。しかし、相手方と交渉する場合の大原則は直接会わないことです。

なぜなら、直接会ってしまうと、脅迫されたり、何時間も拘束されたりして、無理やり不利な書面を作成されてしまうケースがあるからです。相手方と直接会って言われるがまま書面を作成した後に、請求された慰謝料を減額したいというご相談を受けることは少なくありません。不利な書面を作成しても慰謝料減額ができる場合もありますが、何もない事例に比べて不利な解決になることは間違いありません。

会うことを拒否すると、誠意がない、高額な慰謝料を請求する、裁判をする等と相手方が脅してくる場合もあります。しかし、会うことを拒否したことだけで、誠意がないとして慰謝料の相場が超高額になったり、又はいきなり裁判をされるケースはほとんどありません。そのように脅してくる相手方と直接会うと、会ったときにも脅される可能性が非常に高いので、直接会うことは避けた方が良いでしょう。

もし、会うことを拒否して、職場に押しかけてこられたり、何度も電話や連絡をされてご自身で対応ができない場合は、速やかに弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

9.-(2)     書面で簡潔に回答する

慰謝料を請求された場合、相手方との交渉は書面で行うのが基本です。書面でやり取りすることで言った言わないの争いを避けることができます。

他方で、書面で回答した内容は後々の交渉や裁判でも非常に重要になります。余計なことを書いてしまって不利になるケースも少なくありません。そのため、余計なことは書かずに簡潔に回答をした方が良いでしょう。

 

9.-(3)     内容証明郵便で回答する必要はない

内容証明郵便によって慰謝料を請求された場合、回答も内容証明郵便でするべきかご相談を受けることがあります。しかし、結論としては内容証明郵便で回答する必要はありません。

慰謝料を請求する内容証明郵便が届くと驚かれて、どのような効果があるか不安に思われるかもしれません。しかし、内容証明郵便は、どのような内容の郵便が送られたか記録が残る以上の意味はないのでご安心ください。

慰謝料を請求する側は、時効にならないように慰謝料を請求したことを記録に残す必要がありますが、慰謝料を請求された側はとくにその必要がないので内容証明郵便で回答する必要はありません。

内容証明郵便や訴状の効果は以下の記事でも解説しているのでご覧ください。

不倫慰謝料を請求する内容証明郵便と訴状の効果

 

10.  交渉から解決までの流れ

以上を踏まえて交渉から解決までの流れについて解説します。なお、解決までの流れに関しては以下の記事もご参考ください。

不倫慰謝料を減額する手順 確認すべき点を6つのSTEPで解説

 

10.-(1)   交渉段階

慰謝料請求を全く無視をしない限り、最初は交渉からスタートします。もっとも、慰謝料の支払いを拒否する場合は交渉で解決することは難しく、裁判で徹底的に争うことを考えることになります。

これに対して、不倫は事実であるものの請求された慰謝料の減額を求める場合は交渉で解決できる可能性は十分あります。私たちの取扱実績によれば、約86%の事案は裁判にならずに交渉で解決できています。

交渉で解決する場合は、まずは慰謝料の金額について減額交渉を行い、その後に付随的な条件を交渉します。付随的な条件としては、二度と不倫相手に会わないことや、職場を退職すること(職場不倫の場合)、不倫の事実を口外しないこと等が問題になることが多いです。

 

10.-(2)   裁判段階

交渉で話がまとまらない場合は、相手方が慰謝料を請求する裁判を起こしてきます。裁判になった場合は、半年から1年程度かけて、お互いの主張する事実関係や適正な慰謝料の金額について審理します。

裁判と言うと社会的な信用を失ったり、自由を拘束されるイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。しかし、裁判を起こされたことが家族や職場に通知されるわけではありません。また、弁護士に依頼して対応をすれば、ほとんど負担を感じることもありませんのでご安心ください。

もっとも、裁判の最終段階では尋問手続きと言って約1時間程度は裁判所に来てお話をしていただく必要があります。逆に言うと、それ以外は弁護士に任せて、とくに裁判所に来る必要もありません。

 

10.-(3)   示談書・和解調書の作成

交渉で話がまとまった、又は裁判の途中で和解が成立した場合は示談書・和解調書を作成することになります。示談書を作成するのは、慰謝料を請求されたあなたのためです。示談書を作成しないと、慰謝料を支払った後に追加で慰謝料を請求されるリスクがあります。

従って、慰謝料を請求する側が提示した示談書をそのまま作成すると損をする可能性があります。私たちが取り扱った事例でも、言われるがまま示談書を作って慰謝料を支払ったのに、示談書の文言に不備があったため、後から弁護士を通じて追加で慰謝料の支払いを求められた事例があります。

示談書の作成は、文言が少し違うだけで大きな損をする可能性があります。もし、示談書を作成するときに不安がある場合は、示談書作成を弁護士に依頼した方が良いでしょう。

 

11.  慰謝料を請求されたときの気になるポイント

慰謝料を請求されたときの大きな流れについて解説しましたが、細かな点でよくご質問を受けるポイントについて解説します。

 

11.-(1)   慰謝料を請求されると不倫が職場や家族にバレますか?

社内不倫の場合やあなたも既婚者であるW不倫の場合、慰謝料を請求されたことで不倫が職場や家族にバレるかご不安なことと思います。

一般的には、慰謝料を請求する側も、不倫の事実を職場や家族が知ると、慰謝料請求がスムーズに行えなくなります。あえて不倫が知られないようにしておき、請求された慰謝料を支払わないと不倫が職場や家族にバレるとほのめかしながら慰謝料を請求してくるのです。従って、ある程度は不倫がバレないように配慮しながら慰謝料を請求される場合が多いです。

しかし、相手方本人から慰謝料を請求された場合であって、相手方がかなり感情的になっている場合は職場やご自宅に押しかけてくることもあります。また、請求された慰謝料の減額交渉を行う中で、頻繁に電話をしているあなたの姿や自宅に届いた書面を見て、ご家族に慰謝料を請求されていることを勘付かれるケースもあります。従って、職場やご家族に不倫がバレるリスクもあります。

もし、不倫がバレたくないのであれば、慰謝料を請求される前に、弁護士に慰謝料請求の対応を依頼することも考えられます。私たちの取扱事例においても、不倫がバレずに慰謝料の減額交渉が成功することも少なくありません。弁護士に依頼すれば、相手方の弁護士はあなたの職場や自宅に対して連絡をすることが原則としてできなくなるため、不倫がバレるリスクは格段に低くなります。

 

11.-(2)   十分な証拠があると慰謝料請求の通知書に記載がありましたが、どのような証拠があるのでしょうか。証拠があるとは思えないので、不倫を否定することはできますか?

慰謝料を請求されたとき弁護士名義の通知書に「不貞行為を行ったことは、当職が取得した関係各証拠に照らして明らかである」旨の記載がされることがあります。弁護士からこのように言われると、どのような証拠があるか不安に思われるでしょう。

しかし、十分な証拠がある旨の記載は定型的になされることも多く、相手方の弁護士が数多くの証拠を保有しているとは限りません。もっとも、慰謝料請求の交渉段階では相手方はどのような不倫の証拠があるかを開示しないのが一般的です。従って、相手方が本当に十分な証拠を持っているかは分からないことになります。

他方で、不倫相手や相手方の供述・証言も証拠なります。とくに不倫相手の自白は、自分に不利な内容であり嘘をつくメリットもないことから、比較的信用性が高いと判断されます。従って、証拠がないように思えても、後々に不倫相手の自白等から不倫の事実が認定されることもあり得ます。

事実に反して不倫を否定したり、嘘をつくと不誠実な対応をしたとして慰謝料の増額事由になるリスクもあります。証拠がないように思えたとしても、嘘をつくことは非常に危険です。従って、証拠の有無に関わらず、基本的には事実は認めた上で誠実に減額交渉をするべきだと言えます。

 

11.-(3)   不倫相手と別れることを求められましたが、別れる義務はありますか?

慰謝料を請求された場合、不倫相手と別れるか関係を継続するかは一つのポイントとなります。不倫相手が離婚を希望しており、あなたも不倫相手と交際を続けたい場合は不倫相手と別れる必要はありません。

通知書において、不倫相手と別れる又は連絡を禁止する旨の記載がなされることがありますが法的に別れることを強制することはできません。もっとも、不倫相手と交際を継続することは慰謝料の増額事由として考慮されることはあります。

 

11.-(4)   社内不倫の場合、職場を退職する必要はありますか?

社内不倫で慰謝料を請求された場合、職場を退職するよう求められることがあります。しかし、職場を退職する必要はありません。また、職場を退職しないことが慰謝料の増額事由として考慮されることも考えにくいと思われます。

もっとも、不倫相手と別れる時は接触禁止義務を負うよう求められる可能性があります。社内不倫の事案では、仕事の都合上どうしても不倫相手と連絡を取らざるを得ないことがあるので、接触禁止義務の定め方については注意が必要です。

 

11.-(5)   不倫相手がお金を支払う場合はどうなりますか?

慰謝料を請求される前に不倫相手が離婚をする事案では、離婚時に不倫相手がお金を支払うことがあります。不倫相手が支払ったお金が慰謝料の趣旨であれば、あなたが慰謝料を支払わなくても良い場合があります。

例えば、慰謝料の金額が全体で300万円だとし、不倫相手が先に慰謝料200万円を支払っていれば、あなたは残りの慰謝料100万円を支払えば足りることになります。

もっとも、不倫相手が離婚時に支払ったお金が慰謝料なのかについて揉める場合があります。例えば、養育費・生活費として貰ったものである、又は財産分与であって、慰謝料は支払って貰っていないと主張されることがあります。従って、不倫相手が離婚時にお金を支払おうとするときは、そのお金が慰謝料として支払われたことをきちんと証拠化することが重要です。

 

11.-(6)   慰謝料を一括で支払うことができない場合は分割払いできますか?

慰謝料を請求されるときは、1週間や10日と言った限られた期間内に数百万円の慰謝料を支払うよう求められます。短期間でまとまったお金を用意できるわけがないと思われるかもしれません。

しかし、本当にお金がないことを証明できれば慰謝料の分割払いは応じて貰える事例がほとんどです。あまりにも少額だと本気で支払う気がないと思われますが、収入にもよりますが一般的には毎月3万円~10万円程度の分割払いであれば交渉できることが多いです。なお、大手法律事務所の中には分割払いは受け付けず、その代わりに慰謝料の支払期限を猶予してその間にお金を貯めて一括支払いするよう求める法律事務所もあります。

注意点としては分割払いの場合は慰謝料を十分に減額できないことも少なくありません。一括で払う場合と異なり、「頑張ってお金を集めて一括で払える金額がこれだけなので減額して下さい。」という減額交渉ができないからです。従って、弁護士に依頼をすれば減額交渉を3か月から1年程度は行うことができるので、減額交渉を行っている間に少しずつお金を溜めておいた方が良いでしょう。

 

11.-(7)   行政書士から慰謝料を請求する通知が来た場合はどう対応するべきですか?

行政書士名義で慰謝料を請求する旨の通知が作成されることがあります。行政書士は、紛争性がある案件について代理権はなく、原則として書面作成のみを受任していたと考えられます。従って、行政書士から慰謝料を請求されたと思えても、あくまでも相手方本人と交渉をする必要があります。

なお、交渉窓口として行政書士の事務所が記載され、書面等で回答するように求められることがあります。しかし、行政書士は代理権がないため、行政書士との間で示談交渉を行うことは避けた方が良いと言えるでしょう。

行政書士と示談がまとまったとしても、弁護士しか行えない業務を行政書士が行っているとして非弁行為と判断されたときは、事後的に無効と判断されるリスクもあるので注意が必要です。

 

12.  慰謝料を請求されたら弁護士に依頼するべきか

最後に慰謝料を請求されたときに弁護士に依頼するべきか否かについてご説明します。原則として300万円以上の高額な慰謝料を請求されたときは弁護士に依頼した方が良いでしょう。他方で、150~200万円程度の請求を受けた場合は依頼するべきか微妙なケースも多いので、まずは無料法律相談で弁護士に依頼するか確認された方が良いと思います。

私たちが慰謝料を請求された事案を取り扱っている実績からは、多くのご依頼者様は弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあると考えてご依頼されているようです。

 

12.-(1)   メリット①大幅に慰謝料を減額できる

慰謝料を請求されたご相談で一番ご質問を受けるのは、請求された慰謝料の金額は妥当なのか、減額することは可能なのかについてです。

私たちの取扱事例においては、慰謝料300万円を請求された事案で示談金50万円の支払いで示談ができた事例、慰謝料500万円を請求された事案で示談金100万円の支払いで示談ができた事例等は少なくありません。

むしろ、300万円以上の高額な慰謝料請求を受けた事案では200~300万円程度の大幅な減額ができるケースがほとんどです。大幅に慰謝料を減額できることが弁護士に依頼するメリットです。

 

12.-(2)   メリット②:煩わしい交渉をしたくない

上場企業にお勤めの方、お医者様、経営者等から慰謝料を請求された事案をご依頼いただく場合、ご依頼者様は示談金を払うつもりはあるものの、多忙のため相手方と煩わしい交渉をしたくないために弁護士に依頼されることも少なくありません。

弁護士に依頼すれば、ご依頼者様は相手方本人や相手方弁護士と電話や書面でやり取りをする必要はありません。私たちとご依頼者様の打ち合わせもメールや電話だけで簡単に終わるケースも多く、煩わしさから解放されることをメリットと感じられるようです。

 

12.-(3)   メリット③:不倫がバレたくない

社内不倫やW不倫の事案では、職場やご家族に不倫がバレたくないために弁護士に依頼されるケースも非常に多いです。慰謝料の減額交渉を弁護士に依頼すれば、相手方も弁護士を通じて慰謝料を請求することになり、この場合は弁護士間で交渉を行うため職場やご家族に不倫がバレる確率が各段に下がります。

慰謝料を請求されてからはもちろん、不倫相手の配偶者が不倫に勘付いた段階で慰謝料を請求される前に弁護士に依頼して交渉窓口を弁護士に指定されるご依頼者様もおられます。職場やご家族に不倫がバレることを防ぐことをメリットと感じて、弁護士にご依頼される方も少なくありません。

 

12.-(4)   メリット④:早期かつ円満に示談したい

不倫相手が離婚をする予定であり、今後も交際関係を継続することを希望されるご依頼者様は、早期かつ円満に示談するために弁護士にご依頼されることがあります。

不倫相手と別れないことは慰謝料の増額事由となり、きちんと慰謝料を支払う意思はあるものの、不倫相手と交際関係を継続することを前提とした条件で早期かつ円満に示談することを望まれるケースです。

不倫相手と別れることを強要されたり、職場不倫で退職を求められたりした事案においては、弁護士が交渉することで有利な条件で示談できることがメリットとなります。

12.-(5)   メリット⑤:絶対減額保証制度なので弁護士費用で損をしない

慰謝料を請求された事案を弁護士に依頼しても、慰謝料を減額できないと弁護士費用が生じるため弁護士に依頼したことで損をしてしまいます。そこで、私たちは、申出により、弁護士費用を上回る不倫慰謝料の減額をお約束する絶対減額保証制度を適用しております。

絶対減額保証制度は、高額な慰謝料を請求された事案において、仮に請求された慰謝料を減額できない場合は弁護士費用は生じず、減額できた金額を弁護士費用を上回る場合は弁護士費用を減額金額まで値引きするものです。

私たちは、数多くの慰謝料を請求された事案を取り扱っている自信があるため、絶対減額保証制度をご用意しております。絶対減額保証制度があるため弁護士費用で損をしないことをメリットに感じてご依頼されるご依頼者様も多いです。

 

13.  慰謝料請求された事案のまとめ

慰謝料を請求された場合にどのような対応をできるのか、またどのような流れで解決するのかを解説しました。不倫は良くないことではありますが、他方であまりに高額な慰謝料を請求されたり、又は一方的に条件を突き付けられたりといった理不尽を受けることはありません。

慰謝料を請求された場合は、本記事をお読みいただき知らないことで損をしないように参考にしていただけますと幸いです。

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