浮気相手(不倫相手)に慰謝料を請求したいのに、住所が分からず内容証明や訴状を送れない——この悩みはとても多いです。特に、浮気相手の住所不明で慰謝料請求を進めたい場面では、「どこまで調べてよいのか」「裁判なら前に進められるのか」「職場に送っていいのか」など、判断に迷うポイントがいくつも出てきます。
この記事では、次の疑問に答えます。
- 住所が分からなくても慰謝料請求は進められる?
- まず自分で確認できる情報と、やってはいけない調査は?
- 内容証明を送りたいとき、住所不明ならどうする?
- 裁判にするなら、公示送達などで進められる?
- 職場に送る・SNSで探すときのリスクと安全な進め方は?
民法の不法行為の考え方と、実務で問題になりやすい「送達(書類を届ける手続)」の注意点を踏まえて整理します(個別事情で結論が変わることがあります)。不倫慰謝料分野に10年以上取り組んできた弁護士の視点で、遠回りになりやすい行動もあわせて解説します。
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2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

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住所不明でも不倫慰謝料請求はできる?まず結論と全体像
結論から言うと、相手の住所が分からなくても、不倫慰謝料請求の「準備」や「方針決め」は進められます。ただし、次の場面では原則として住所が必要になります。
- 内容証明郵便で請求書を送る(郵便物なので送付先が要る)
- **裁判(訴訟)**を起こして、訴状等を送達してもらう(送達先が要る)
- 示談書(合意書)を作る際に、当事者特定や連絡先として住所が欲しい
逆に言えば、住所が不明な段階でも、できることはあります。例えば、証拠整理・時系列整理、請求額の見通し、請求先(配偶者/浮気相手/両方)の整理、連絡の入口づくりなどです。
不倫慰謝料請求の「全体の流れ」を先に確認したい場合は、次のページも参考になります(本ページは住所不明の論点に絞って解説します)。
住所調査に時間がかかるほど、交渉が長引きやすくなります。発覚から時間が経っている場合は、時効(消滅時効)が問題になることもあるため、早めに全体の見通しを立ててください。
住所を調べる前に:まず確認する情報と、違法になり得る調査
住所が分からないとき、いきなり「調べ方」だけを探すと、危ない手段に近づいてしまうことがあります。まずは、**自分がすでに持っている情報(手がかり)**を棚卸しするのが先です。
たとえば、次のような情報が残っているケースがあります。
- 相手のフルネーム(漢字)/年齢/勤務先/部署や職種
- LINE表示名・SNSアカウント・メールアドレス(過去のやり取り)
- 配偶者の行動履歴(ホテル・飲食店・イベント等の領収書、移動の痕跡)
- 名刺、封筒、宅配の送り状、手紙など「住所が書かれやすい物」
- 車・バイクの情報、よく行く場所(最寄り駅、生活圏)
ここで重要なのは、**「持っている情報をもとに、適法な範囲で当たりを付ける」**という順序です。
住所調査で問題になりやすいのは、違法・不正な情報取得です。例えば、無断で他人のアカウントにログインする、盗撮・盗聴、なりすましで個人情報を聞き出す、個人情報を違法に売買する——こうした行為は、後で大きなトラブルになり得ます。
「慰謝料請求のため」でも、手段が許されるとは限りません。安全な線引きを守って進めてください。
また、「勤務先は分かるから、会社に送ればいいのでは?」と考える方もいます。勤務先送付はケースによっては現実的な入口になりますが、職場に不倫の事実が伝わる形になると、名誉毀損・プライバシー侵害・業務妨害といった問題を指摘されるリスクが高まります。特に、封筒の表書きや文面次第で、目的を超えた“暴露”と受け取られやすいので注意が必要です。
「相手を止めたい」「職場に言いたい」など、警告や連絡のリスクを先に整理したい場合は、次の記事も参考になります。
住所が分からないときの現実的な進め方(交渉・内容証明・弁護士)
住所が分からない場合は、次の順で「前に進むための打ち手」を組み立てるのが現実的です。
- まず情報を整理し、氏名・勤務先など“特定に足りる材料”を固める
- 連絡手段があるなら、示談交渉の入口を作り「住所提示」を促す
- 住所が必要な局面(内容証明・裁判)に入る前に、弁護士関与を検討する
- どうしても見つからない場合は、裁判手続での送達手段も視野に入れる
連絡手段(LINEやメールなど)が残っている場合、いきなり強い文面を送るのではなく、「示談書作成や書面送付のために住所が必要である」ことを淡々と伝え、回答期限を区切って反応を見る方法があります。
一方で、相手が無視・ブロック・否認をすると、交渉で詰まりやすいのも事実です。
このときに検討したいのが、弁護士を介して進める方法です。弁護士が入るメリットは、単に代わりに連絡するだけではありません。ケースによっては、関係先への照会(弁護士会照会など)や、裁判手続を見据えた準備まで含めて、現実的な解決ルートを作りやすくなります(ただし照会は万能ではなく、相手方や機関の対応、手元情報の量などで結果は変わります)。
また、「内容証明で請求したいが、住所不明」という悩みも多いです。内容証明は、送付内容と送付日を残しやすい一方、送付先が確定していないと使いづらい手段です。内容証明の基本と注意点は、次の記事で詳しく解説しています。
裁判で進める場合の「送達」の工夫(公示送達など)
話し合いで住所が出てこない、連絡が取れない、相手が逃げ続ける——このような場合は、裁判(訴訟)で前に進める選択肢も出てきます。ここで鍵になるのが「送達」です。
裁判では、訴状などの重要書類を相手に届ける必要があります。通常は住所に送達しますが、住所不明のときは、事情に応じて次のような方法が問題になります。
- 勤務先で受領できる状況がある場合:就業場所への送達が検討されることがあります(ただし状況により可否が変わります)。
- 郵便で届く可能性はあるが受け取らない場合:一定の要件のもとで、送達を進める方法が検討されます。
- 住所や居所が分からず、他の方法でも届かない場合:最終手段として公示送達(掲示等により送達したものと扱う手続)が問題になります。
ここで大事なのは、裁判所は「本当に住所が分からないのか」「調べ尽くしたのか」を見ます。つまり、公示送達を使いたい側に、相応の調査・記録が求められやすいということです。やみくもに動くより、どの情報を集め、どんな照会や手続を踏んだかを整理しながら進める方が、結果的に早く進みます。
裁判(調停・訴訟)の詳しい流れや、準備すべきことは別ページで整理しています。
なお、もしあなたが「請求された側」で、住所を隠してやり過ごしたいと考えている場合でも、裁判手続が進むと公示送達等で手続が進行し、欠席のまま判決が出るリスクがあります。放置せず、早めに弁護士へ相談して方針を立てることをおすすめします。
まとめ
浮気相手の住所が分からなくても、止まっている原因を分解すれば、不倫慰謝料請求を前に進める道筋は作れます。
- 住所が必要なのは主に「内容証明」と「裁判の送達」なので、場面を切り分ける
- まず手元情報を棚卸しし、氏名・勤務先など特定材料を固める
- 違法な調査(不正ログイン等)や、職場への暴露につながる行動は避ける
- 住所提示が得られないなら、弁護士関与(照会・手続設計)を早めに検討する
- どうしても不明なら、公示送達など裁判上の方法で進められる場合がある
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