不倫をやめた後がつらい(喪失感・罪悪感)|立ち直り方と再発防止

不倫を終えたはずなのに、頭の中が空っぽになったように苦しい、急に涙が出る、罪悪感で眠れない――そんな状態になることがあります。とくに秘密の関係は刺激が強く、終わった後に反動(喪失感)が出やすい一方で、「自分が悪い」と感じて誰にも相談できず、つらさが長引きがちです。

この記事では、次の疑問に答えます。

  • 喪失感や罪悪感が強いのは、なぜ起きる?
  • 連絡したくなる衝動(依存)から抜けるには?
  • 気持ちの整理と立ち直りを進める手順は?
  • 再発防止のために、生活をどう立て直す?

不倫慰謝料問題に10年以上取り組んできた弁護士として、法的に揉めやすいポイントにも触れつつ、現実的な回復の進め方を整理します(心身の状態によっては医療・心理の支援が適切な場合もあります)。

「忘れなきゃ」より先に、まずは揺り戻しが起きない“環境”を作ると回復が早まります。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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喪失感・罪悪感でつらくなる理由(まず「起きていること」を整理)

関係を終えた直後に強い喪失感が出るのは、あなたが弱いからではありません。恋愛の高揚感、連絡の頻度、会えた時の安心感などが日常の一部になっていた場合、それが突然なくなると、心は「穴が空いた」ように感じます。

また、不倫関係は「誰にも言えない」「いつ終わるか分からない」という緊張感が混ざりやすく、終わった後に反動が大きくなる傾向があります。気持ちが落ち着かないときに、次のような状態が重なると、よりつらさが増します。

  • **記憶の反芻(あの時こうすれば…)**が止まらない
  • 罪悪感が強く、自分を責め続けてしまう
  • 相談先がなく、孤独感が強い(秘密にしていたため)
  • 相手や自分の家庭・職場など、現実の問題が残っている

ここで大切なのは、喪失感と罪悪感は「消すもの」ではなく、まずは「波があるもの」と捉えることです。波がある前提で、波が来たときの対処を準備すると、回復は現実的になります。

立ち直りの土台は「接点ゼロ」と「例外を作らない」

気持ちの整理に入る前に、回復を遅らせる最大の要因を先に潰します。それが**接点(連絡・SNS・偶然の接触)**です。つらいときほど連絡したくなりますが、連絡してしまうと感情が再燃し、回復が振り出しに戻りやすくなります。

立ち直りを早めるための基本ルールは、シンプルです。

  • 連絡しない(返信もしない)
  • 会わない(偶然の接触も減らす)
  • 例外を作らない(1回が延命になる)

とはいえ、現実には「職場が同じ」「SNSで見えてしまう」「相手から連絡が来る」など、接点が残ることもあります。その場合は、次のように“仕組み”で対応します。

1)連絡手段を整理する(見ない・反応しない設計)

通知を切る、表示しない、受け口を減らすなど、「目に入らない」工夫が有効です。削除してスッキリしたくなる人もいますが、あとで揉め事になったときのために、最低限は記録を残しつつ(スクリーンショットやバックアップなど)、普段は見えない場所に退避させる方が安全なことがあります。

2)職場が同じ場合は“業務ルール”に落とす

職場で雑談が始まると、感情が戻りやすくなります。業務連絡のみに限定し、二人きりの状況を作らないなど、距離を置くルールを決めましょう。

3)相手がしつこく接触してくるなら「安全」を優先する

相手の連絡が止まらない・押しかけが心配などの場合、あなた一人で抱えるほど危険が増えます。状況別の距離の置き方は、次の記事で整理しています。

不倫相手が別れてくれない・しつこい|安全な距離の置き方とトラブル回避

4)まだ関係を終え切れていない人は“終わらせる手順”から

「もう終わったはず」と思いながら、実際はズルズル続いている場合、まずは終える段取りが必要です。

不倫相手と別れたいのに別れられない|関係を終わらせる手順と注意点

罪悪感・自己否定の整理(反省と自分責めを分ける)

罪悪感が強いと、「自分は最低だ」「幸せになってはいけない」といった自己否定に落ちやすくなります。ただ、反省と自己否定は別物です。反省は未来の行動を変える力になりますが、自己否定は心を削るだけで、再発防止にもつながりにくいことがあります。

整理のポイントは次のとおりです。

1)「責任」と「罰」を混ぜない

罪悪感が強い人ほど、無意識に「自分は苦しみ続けなければ償えない」と考えがちです。しかし、必要なのは罰ではなく、今後の行動を変えることです。

・二度と同じ状況を作らない

・関係者をこれ以上傷つけない

・自分の生活を立て直す

この方が、現実的に“責任を取る”方向に近づきます。

2)頭の中だけで裁判をしない(事実と感情を分ける)

「相手がこう言った」「自分がこうした」という事実と、「だから私は価値がない」という評価は分けてください。評価を一気に結論づけるほど、心は回復しません。

紙に書く/メモするなどして、事実→学び→次の行動、の順に並べ直すと落ち着きやすくなります。

3)「連絡したい」は“寂しさ”のサインとして扱う

連絡衝動は、愛情というより「寂しさ」「不安」「習慣」の反応であることが多いです。衝動が来たら、連絡する代わりに、散歩・入浴・カフェに行く・誰かに短く連絡するなど、別行動でやり過ごす練習をします。

MEMO

関係を終えても、不貞行為が発覚すれば慰謝料などのトラブルに発展する可能性は残ります。だからこそ、接点を断って新しい火種(連絡・面会・揉め事)を増やさないことが、精神面でも法的リスク面でも重要です。

4)「相手が独身だと信じていた」など事情が違う場合もある

相手が既婚者であることを隠していたケースでは、感じる罪悪感の性質も変わりますし、法的な評価でも争点が変わることがあります。事情に心当たりがある方は、次の記事も参考になります。

不倫相手が「独身」と嘘をついていた|別れ・責任・トラブル回避のポイント

生活の立て直しと再発防止(依存から抜ける設計)

つらさを“気合い”で押し込めると、反動で戻りたくなることがあります。再発防止は、意思ではなく生活設計で進める方が安定します。

1)「空白の時間」を減らす(予定を先に入れる)

連絡していた時間・会っていた時間が空くと、脳が過去を探しに行きます。まずは、仕事・家事・運動・学び・趣味など、短時間でもよいので予定を入れ、「考え続ける時間」を減らします。

2)トリガーを特定して、先に潰す

再発しやすい引き金は人によって違います。

・夜の孤独

・飲酒

・SNSの閲覧

・特定の場所や音楽

など、引き金を把握し、対策をセットで決めます(夜に落ちるなら、夜は人と会う/運動する等)。

3)境界線(ルール)を文章にしておく

「二度としない」と心で誓うだけだと、つらい日に揺れます。

・既婚者(または疑いがある人)とは深い関係にならない

・連絡先を交換する基準を決める

・困ったら一人で抱えず相談する

など、自分のルールを短く書き、迷ったときに見返せる形にしておくと再発防止になります。

4)苦しさが強すぎるときは、早めに支援を使う

不眠が続く、仕事や生活が回らない、パニックに近い症状がある、強い希死念慮がある、相手の接触が危険(つきまとい・待ち伏せ等)――こうした場合は「時間が解決」ではなく、支援が必要なことがあります。

(参考)不倫相談の窓口9選|悩み別の相談先が一目で分かるガイド

注意

身の危険を感じる/今すぐ助けが必要な状態なら、迷わず警察(110番)や救急(119番)などの緊急窓口に連絡してください。法的トラブルや相手の執着が絡む場合は、早めに弁護士へ相談することで状況が落ち着くこともあります。

まとめ

関係を終えた後の喪失感や罪悪感は、珍しい反応ではありません。大事なのは、気持ちを消そうとするより、揺り戻しが起きにくい環境を作り、生活を立て直していくことです。

  • 喪失感と罪悪感はセットで起きやすく、波がある前提で対処する
  • 立ち直りの土台は「接点ゼロ」と「例外を作らない」運用にある
  • 反省は必要だが、自己否定を続けるほど回復も再発防止も遠のく
  • 空白時間とトリガーを減らし、生活の軸を作ると依存は抜けやすい
  • 不眠・危険サイン・しつこい接触があるなら早めに支援を使う

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