慰謝料請求で証拠を見せてくれない|確認ポイントと不利にならない返答

「不倫した証拠がある」「慰謝料を払え」と言われたのに、肝心の証拠を見せてくれない——。

この状況では、焦って反論したり謝罪したりするより、“認めずに確認する”ための型を持つことが大切です。

この記事では、慰謝料請求 証拠を見せてくれない場面での初動を、次の順に整理します。

  • 証拠提示がない請求を受けたとき、最初にやるべきこと
  • 「証拠がない」と決めつけない方がいい理由
  • 事実確認のチェック項目(請求内容の分解)
  • 証拠提示(開示要求)の安全な言い方(LINE/メール/電話)
  • 不利にならない返答のコツ(否認・回答・NGワード)

※個別事情で結論が変わるため、ここでは一般的な考え方と実務上の注意点を中心に説明します。

証拠が見えないときほど、「認めない・約束しない・記録する」が安全です。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

慰謝料請求された事案の無料法律相談実施中!

  • 0円!完全無料の法律相談
  • 弁護士による無料の電話相談も対応
  • お問合せは24時間365日受付
  • 土日・夜間の法律相談も実施
  • 全国どこでも対応いたします


慰謝料減額・免除の無料法律相談 0120-299-045(24時間365日受付)

 

結論:証拠を見せない請求でも慌てない(最初にやること3つ)

結論から言うと、相手が証拠提示をしない(証拠提示 ない)状態でも、こちらが先に自白したり合意したりする必要はありません。

まずは次の3つを徹底してください。

  • ① 連絡・書面を保存(スクショ/メール保存/通話メモ)
  • ② 請求の中身を分解(誰が・何を根拠に・いくら・いつまで)
  • ③ 返信は「確認中」で止め、証拠提示(開示要求)を丁寧に求める

「今すぐ何をするか」を最短で整理したい場合は、初動チェック用のページも参考になります。

相手が証拠を見せてくれない理由(=証拠がないとは限らない)

「証拠を見せてくれない=証拠がない」と思いたくなりますが、必ずしもそうとは限りません。実務では、次のような理由で提示しない(または小出しにする)ことがあります。

  • 交渉上、先にこちらの反応(自白・謝罪・支払意思)を引き出したい
  • 証拠(探偵報告書、写真、LINE等)を、見せると“こちらに対策される”と警戒している
  • そもそも請求の根拠が弱く、提示できる証拠が整理できていない
  • まだ弁護士相談前で、何を出すべきか分かっていない

つまり、証拠が強い可能性も、弱い可能性も両方あるため、こちらは「不貞を前提に話を進めない」ことが重要です。

ここが落とし穴

「証拠ないなら払わない」「証拠あるなら見せろ」と強く言い切ると、相手を刺激して態度が硬化したり、連絡がエスカレートしたりすることがあります。

“淡々と確認する”のが結果的に安全です。

確認ポイント(チェックリスト):誰が・何を・いつ・いくら請求している?

証拠提示がないときは、先に「請求の形」を整えるだけで、こちらの失点を大きく減らせます。

最低限、次の点を確認してください。

  • 請求者は誰か(配偶者本人/代理人(弁護士)/第三者)
  • どんな事実を主張しているか(いつ・誰と・どこで・何をしたとするのか)
  • 請求の名目(慰謝料のみか、調査費用・弁護士費用等も含むか)
  • 金額はいくらか(内訳の有無、増額事由の主張があるか)
  • 期限はいつか(「◯日までに支払え」「今日中に返事しろ」等)
  • 何を求めているか(支払い/謝罪文/誓約/接触禁止など)

この整理ができると、こちらの回答は次の二択に絞れます。

  • 確認が不足しているので、証拠提示(開示要求)を求める
  • 事実関係を把握した上で、否認または条件交渉に進む

証拠提示(開示要求)の安全な言い方:LINE/メール/電話別の返答例

ポイントは、「証拠を出せ」と攻撃的に言うのではなく、**“確認に必要なので提示してほしい”**という形にすることです。

また、返信は短くし、事実認定に踏み込まないのが鉄則です。

LINE/メール向け:不利になりにくい返答例(短文)

ご連絡ありがとうございます。現時点では請求内容の根拠となる事実関係を確認できていないため、すぐに回答できません。

請求の根拠(いつ・どのような行為を問題としているか)および資料・証拠がある場合は、ご提示ください。内容を確認のうえ、改めて回答します。

電話の場合は、押し切られやすいので「書面(メール等)に切り替える」が安全です。

たとえば、次のように短く切り返します。

  • 「口頭だと正確に確認できないので、要点をメールで送ってください」
  • 「資料を確認してから回答したいので、書面でお願いします」
「わかりました」「払います」「不倫しました」など、結論や自白につながる言葉を先に言わないでください。証拠提示がない状況では特に危険です。

不利にならない返答のコツ(否認・回答・NGワード)

ここでは、「証拠がない(ように見える)請求」への返し方で、失点しやすいポイントをまとめます。

1)否認するなら“断定しすぎない”

事実に反して否認すると、後で証拠が出たときに不利になりやすいです。

記憶が曖昧・状況が整理できていない段階では、次の発想が安全です。

  • 「現時点では確認できないため、断定的な回答はできない」
  • 「根拠の提示を求め、確認後に回答する」

2)「証拠がないんでしょ?」と決めつけない

相手が証拠を隠しているだけ、という可能性もあります。

強気に出てしまうと、相手が一気に書面化・法的手続に進むこともあるため、淡々と確認する方が無難です。

3)絶対に避けたいNGワード(改ざん示唆・口裏合わせ)

次のような発言は、後から深刻な不利を招きやすいので避けてください。

  • 「LINE消した」「証拠は残ってない」など、証拠隠しを匂わせる発言
  • 「こう言えば大丈夫?」など、口裏合わせを連想させる発言
  • 「会って話そう(その場で払う)」など、口頭合意に誘導されやすい提案

NG行動全体を先に把握しておきたい場合は、不倫慰謝料請求時のNG行動の記事も参考になります(重複を避けるため、ここでは要点にとどめます)。

4)「証拠を見せてくれない」=“こちらが何もしなくていい”ではない

返信や対応を完全に止めてしまう(無視)と、相手が次の手(書面化・手続)に進みやすくなることがあります。

無視するか迷う場合は、「受領+確認中+根拠提示依頼」までの最小限で返すのが一つの安全策です。

まとめ(次の一手:整理→返答→必要なら相談)

慰謝料請求で証拠を見せてくれないときは、感情で反応するより、型どおりに「確認」を積み上げるのが安全です。

  • まずは連絡・書面を保存し、請求内容(事実・名目・金額・期限)を分解する
  • 返信は短く「確認中」。証拠提示(開示要求)は丁寧に求める
  • 自白・口約束・改ざん示唆につながる発言は避ける
  • 証拠が強い可能性も弱い可能性もあるため、決めつけずに進める

関連記事・次に読むべき記事

「証拠を見せてくれない」ときは、こちらから自白しないことが最大の防御です。短く返して、確認の時間を確保しましょう。

慰謝料請求された事案の無料法律相談実施中!

  • 0円!完全無料の法律相談
  • 弁護士による無料の電話相談も対応
  • お問合せは24時間365日受付
  • 土日・夜間の法律相談も実施
  • 全国どこでも対応いたします


慰謝料減額・免除の無料法律相談 0120-299-045(24時間365日受付)