不倫慰謝料が払えない場合｜低収入だと下がる？ 減額・分割は可能？【弁護士解説】

こんな悩みはありませんか？

不倫の事実が発覚し、相手の配偶者から慰謝料を請求されたものの「そんな高額な不倫慰謝料は払えない……」という悩みは少なくありません。

法律上、不倫慰謝料の支払義務がある場合でも、実際に払えない金額を一括で求められてしまえば、生活に深刻な影響が出てしまいます。

そんなとき、「払えないならどうする？」「慰謝料の減額や分割払いは可能？」といった疑問が浮かぶのは当然です。本記事では、不倫慰謝料を払えないときの具体的な対処法から、慰謝料を払えないからといって無視するリスク、弁護士へ相談するメリットなどを詳しく解説します。

払いたい気持ちはあっても経済的に苦しい状況にある方が、後悔しない選択をするためのヒントがきっと見つかるはずです。最後までお読みいただければ、払えないまま放置するのではなく、前向きに問題を解決できる方法を確認できるでしょう。

不倫慰謝料を払えない状況とは？まず確認すべきポイント

「不倫慰謝料を請求されたけれど、払うお金がない……」と感じる方は多いですが、その“払えない”状況は人によって様々です。ここでは、どんなケースが典型的なのか、また低収入だと慰謝料はどの程度下がるのかなど、押さえておきたいポイントを整理します。

「払わない」と「払えない」は違う

まず区別しておきたいのは「払いたくない」または「払う気がまったくない」状態と、「本当は支払う意思があるが、資金不足で払えない」状態です。

本記事は後者、「払えない」方向けの内容です。今回は「ちゃんと払いたいけれど一括が難しい」という人向けに具体策を解説していきます。

なお、不倫の事実がない、既婚者と知らなかったなど慰謝料を払わなくていい場合については、「慰謝料を払わない7つの方法」をご覧ください。

低収入だと慰謝料相場は下がるの？

「年収が低い」「パート勤務で月々の手取りが少ない」など、収入が少ないことを理由に慰謝料が大きく減額されると期待している方もいるかもしれません。たしかに、支払い能力が全くない場合や、請求額が相場より明らかに高すぎる場合には、交渉次第である程度の減額が見込めることは事実です。

しかし、不倫慰謝料が大幅に下がるかというと、必ずしもそうではありません。慰謝料の金額は、不倫期間の長さ・不倫による精神的苦痛の程度・夫婦関係の破綻状況・加害者側の落ち度など、複数の要素を総合的に考慮して決まります。低収入であることは多少考慮されるに留まり極端な減額は難しいケースが多いです。

もっとも、資金不足を誠実に伝えれば相手が分割払いやある程度の減額に応じてくれる可能性は十分あります。詳しくは「不倫慰謝料と収入の関係」の解説記事をご覧ください。

不倫慰謝料を払えないときの具体的対処法

ここからは、慰謝料を請求されて「払えない」と苦しんでいる方に向けて、現実的な対処法を解説します。最初に結論をまとめると、以下のような手段が考えられます。

それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

減額交渉：払える金額まで慰謝料を下げてもらう

不倫慰謝料を払えない場合に、まず検討したいのが「減額交渉」です。
多くの場合、相手が提示している慰謝料額は相場よりも高めに設定されていることが少なくありません。たとえば実際の裁判例であれば100～200万円程度が妥当なケースでも、300万円以上を請求されるケースがあります。

減額交渉をする根拠がある場合

こうした要素があるなら、相手に減額を申し入れるのは十分可能です。

（参考）慰謝料減額5つの理由｜不倫慰謝料の減額交渉で主張すべきポイント【弁護士執筆】

具体的な減額交渉の方法としては、請求書への「回答書」を送る形で話し合ったり、口頭やメールなどで「支払う意思はあるが、金額が大きすぎるためどうしても用意できない」と伝えます。誠意ある態度で交渉すれば、相手としても「少しでも確実に支払ってもらいたい」と考えるため、譲歩してくれる可能性があります。詳しくは不倫慰謝料減額マニュアルをご覧ください。

ただし、以下の点には注意が必要です。

慰謝料の分割払いを交渉する

一括では払えないが、毎月少しずつなら払える、という方は分割払いの交渉が有力です。相手にとっても、全く支払いが実現しないよりは少額でも分割で回収できる方が良いと考える場合があり、合意を得やすい可能性があります。

分割払いを認めてもらうためには、相手への説明が大事です。「月々の手取りが◯万円で生活費がこれくらい掛かる」「無理な設定にすると支払いがストップしてしまう恐れがある」といった具体的な数字を出し、慰謝料が払えないこと、この金額であれば無理なく分割払いできることを示しておけば、相手も納得しやすくなります。

親に立て替えてもらう

払えない理由として「貯金もないしローンもある」といった場合、どうしてもまとまった資金が用意できないことがあるでしょう。そのようなとき、一番リスクが少ない借入先は「親や身内」です。

もっとも、親に相談すると不倫がバレるリスクや叱責を受ける恐れは高く、気まずさを感じることもあるでしょう。しかし、消費者金融から高利子で借りるよりは、長期的にみても負担が少ないはずです。
親に借りることができれば慰謝料を一括で相手に支払えるため、相手との関係を早期に清算できるメリットもあります。

自己破産：どうしても慰謝料を払えない場合の最終手段

どうしても払えない場合は、自己破産という選択肢も一応存在します。自己破産で免責が認められれば、不倫慰謝料を支払う義務が原則として消滅します。ただし「悪意による不法行為」や「養育費相当分」は免責されないので注意が必要です。

自己破産を検討するなら、弁護士に相談し、他の借金や資産状況を含めて「本当に破産以外に方法がないのか」を慎重に見極めることをおすすめします。自己破産しか道がないと分かれば、相手も「0円になるよりは減額や分割で合意するほうがマシ」と考えるため、交渉が進む場合もあります。

不倫慰謝料を払えないからと放置するリスク

慰謝料を払えないからといって無視してしまうのは絶対に避けましょう。放置や無視が招くリスクとして、下記のような事態が考えられます。

裁判を起こされる

請求を無視していれば、相手は示談ではなく裁判を通じて慰謝料を回収しようとするかもしれません。いきなり裁判を起こされると、慰謝料が払えないことを主張して減額交渉・分割払いの交渉をする機会が失われます。

裁判であなたが出廷せず書面も提出しないままだと、相手の主張がそのまま認められて高額な判決が下る恐れがあります。いったん判決が確定すれば、あなたが払えないと言っても強制執行を受ける可能性が高いです。

強制執行・給料の差押え

公正証書や判決など「債務名義」を相手が手にした状態で、あなたがさらに支払いを放置すれば、給料や銀行口座を差し押さえられるリスクが生じます。特に給料を差し押さえられると勤務先にも慰謝料トラブルが発覚するので、社内での立場が悪くなるかもしれません。

感情的なトラブル拡大

不倫被害者は慰謝料請求を無視されると「誠意がない」と怒りを増幅させる可能性が大きいです。誠実に対応したいものの、経済的に慰謝料を払えない場合、無視してしまうとその気持ちは不倫被害者に伝わりません。

不倫被害者は相手は周囲に相談する、あなたの配偶者・職場に不倫の事実を言いふらすなど、感情的な行動を取るかもしれません。こうなると、金銭トラブル以上の深刻な問題に発展することもあるでしょう。

慰謝料を払えない場合に弁護士に相談するべきか？

誠実に対応したいものの、「高額すぎて慰謝料が払えない場合は弁護士へ依頼するメリットは大きいです。自力での交渉が難しい理由を以下にまとめます。

弁護士なら、あなたの代理人として相手との示談交渉を行い、法的根拠を示しながら「減額すべき理由」「分割回数の提案」などを説得力をもって説明できます。

「弁護士費用がもったいない」と感じるかもしれませんが、減額や分割の成功により結果的にトータル負担が軽くなるケースは珍しくありません。さらに、不倫問題で精神的にも追い詰められている人は、誰かに交渉を任せるだけで大きな安心感を得られるでしょう。

Q&A：慰謝料が払えない時のよくある質問

ここでは、不倫慰謝料を「払えない」と悩む方からよく寄せられる質問をまとめました。自分のケースに近いものがないかぜひチェックしてみてください。

まとめ：慰謝料が払えない場合は慎重に対応する

不倫慰謝料を「払えない」状態にあるときは、無視や放置をするほどリスクが高まります。払えない理由をきちんと相手に伝え、

など、できる限り早くアクションを起こすことが重要です。

高額な慰謝料が払えずどうにもならない場合、弁護士への相談をおすすめします。弁護士なら適切な減額根拠を示せますし、相手が感情的になっている場合でも代理人として落ち着いて話を進めてくれます。費用面が気になって一歩踏み出せない方も、一度無料相談などを活用し、あなたに最適な解決策を一緒に考えてみてください。