「不倫慰謝料の上限はいくらですか?」「500万円って本当にあり得る?」という疑問はとても多いです。結論から言うと、不倫慰謝料には“法律で決まった上限額”はありません。一方で、裁判や実務の感覚としては、500万円超のような高額が認められるのは例外になりやすく、相応の事情(長期・同棲・離婚・悪質性など)の積み重ねが必要です。
この記事では「不倫慰謝料 上限」をテーマに、高額側の典型パターンと分岐に絞って整理します(相場の網羅や判例データは関連記事へ委ねます)。
- 不倫慰謝料に“上限”がないのに、なぜ「上限」が話題になるのか
- 高額(300万円超〜500万円超)が認められやすい典型事情(長期・同棲・悪質対応など)
- 500万円超が視野に入る「分岐点(組み合わせ)」の見方
- 請求する側/請求された側で、何を材料に見通しを立てるべきか
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結論|「法律上の上限」はないが、500万円超は例外になりやすい
不倫慰謝料(不貞慰謝料)は、交通事故のように一律の算定表で決まるものではなく、最終的には裁判所(または当事者間の合意)が、個別事情を総合評価して金額を決める性質のものです。
そのため、法律上「不倫慰謝料は最大○万円まで」といった上限はありません。
ただし、だからといって青天井で認められるわけでもなく、裁判では「社会通念上相当な範囲」に収まるように調整されます。
実務感覚としては、一般的な不倫慰謝料のレンジの中でも、**500万円超は“相当重い事情が重なる例外ゾーン”**に入りやすい、という位置づけで理解するとブレにくいです。
なお、まず相場全体(離婚の有無・期間・悪質性などでの基本レンジ)を押さえたい場合は、総論は別記事に委ねます。
(相場・金額テーマの全体像から辿る場合はこちら)
「上限」と言われるものの正体|慰謝料の上限/相場の上限/請求額の上限は別
「上限」という言葉は、実は3つが混ざりやすいです。ここを分けると混乱が減ります。
1)法律上の上限(=制度としての上限)
→ これは基本的にありません。
2)相場としての上限(=裁判で通りやすい上の方)
→ 多くの事案が集まりやすい“高額側の天井感”はありますが、事情で動きます。
3)請求額の上限(=相手が言ってくる金額)
→ 相手は交渉の入口として高めに請求してくることがあり、裁判で同額が認められるとは限りません。
また、もう一つ重要なのが、「慰謝料」と「その他の損害項目」が一緒に請求されるケースです。
たとえば、探偵費用・弁護士費用・通院費などが問題になることがありますが、これは慰謝料とは別枠で整理されることが多く、「総請求額が高い=慰謝料が上限突破」という意味ではない点に注意が必要です。
損害項目(慰謝料以外)も含めて整理したい場合は、次の記事が参考になります。
不貞行為により請求できる損害項目。弁護士費用や調査費用は請求できるか等を解説
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2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

Contents
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高額になりやすい典型パターン(増額事由)
ここからが本題です。高額(とくに300万円超〜500万円超)が視野に入るのは、単一の事情というより、**「婚姻へのダメージが大きい事情」+「不倫態様が重い事情」+「悪質性」**が重なるときです。
高額側に寄りやすい典型パターン(増額事由)は、次のように整理できます。
- 離婚に至った/別居が長期化した(婚姻共同生活への侵害が大きい)
- 不倫期間が長い/回数が多い(反復・継続性が強い)
- 同棲や半同棲、生活実態の一体化がある(家庭破壊への寄与が強い)
- 妊娠・出産、重い約束(将来の同居・結婚等)など“関係の深さ”が大きい事情
- 発覚後も関係を継続/警告を無視して継続(故意・悪質性が強く評価されやすい)
- 配偶者への挑発・嫌がらせ・口外など二次被害がある(精神的苦痛の加重)
- うつ等の診断や継続通院など、被害の具体性を裏づける事情がある
とくに「長期化」が絡む場合は、期間・回数の評価が高額化に直結しやすいので、期間・回数の見られ方を別記事で押さえておくと見通しが立てやすくなります。
不倫期間・回数で慰謝料相場はどう変わる?短期/長期・一度だけの目安
高額化は「1つの強い事情」よりも、「複数の事情が同じ方向(増額方向)に重なる」ことで起きやすいです。
500万円超が視野に入る分岐点チェック(組み合わせで決まる)
「500万円」という数字が現実味を帯びるのは、次のような“分岐”を複数クリアするケースが多いです。
イメージとしては、
- 離婚(またはそれに準ずる別居長期化)があるか
- 長期・反復か(期間・回数)
- 同棲等で生活実態が深いか
- 悪質性(発覚後継続・挑発・二次被害など)が強いか
- 被害の具体性(診断書・通院・生活破綻の具体)があるか
といった“加点要素”の積み上げで、高額ゾーンに入っていきます。
チェックしやすいよう、よくある分岐をまとめると次の通りです。
- 離婚(または別居が固定化)+長期(1年以上など)+反復(多数回)
- 上記に加え、同棲/半同棲や生活費負担など「生活の一体化」がある
- 発覚後も継続、警告無視、挑発・口外・嫌がらせ等の悪質事情がある
- 被害の具体性(通院、休職、家庭崩壊の具体)が資料で説明できる
反対に、短期・単発に近い/離婚していない/悪質事情が乏しいといった場合は、500万円超の主張は通りにくく、仮に請求されても減額余地が問題になりやすいです。
なお、「300万円は高い?」「そのラインの見方」を先に確認したい場合は、300万円に特化した記事に委ねます。
不倫慰謝料300万円は高い?相場レンジと「高すぎる」判断ポイント
高額請求をする/されたときの見通しの立て方(請求側・防御側)
ここまでの話を踏まえると、高額になりやすいかどうかは「主張」ではなく、**主張を裏づける材料(証拠・時系列・生活実態)**で決まりやすいです。
**請求する側(増額を狙う側)**は、次の観点で材料を整理すると見通しが立ちます。
- 期間・回数が説明できるか(いつからいつまで/どの程度の頻度か)
- 同棲・半同棲など生活実態が説明できるか(出入り、宿泊、生活費負担等)
- 離婚・別居との関係が説明できるか(時系列・原因関係の説得力)
- 悪質事情が説明できるか(発覚後継続、挑発、口外、嫌がらせ等)
- 被害の具体性が説明できるか(通院、休職、家庭への影響の具体)
**請求された側(減額・防御を考える側)**は、次を先に確認するのが実務的です。
- 請求が「慰謝料」なのか、「慰謝料+他の損害」込みなのか(内訳確認)
- 期間・回数の前提が盛られていないか(いつから、何回、根拠は何か)
- 「離婚の原因」が不倫にあるのか(もともとの破綻、別居開始時期など)
- 悪質事情とされている事実が本当にあるか(LINEの切り取り等に注意)
- 既婚と知っていたか(故意・過失)が争点になり得るか
高額請求のケースほど、早期にサイン・一括支払いをすると後で動かしにくくなります。金額だけでなく「事実の前提」「清算条項」「接触禁止」「違約金」など条項面も必ず確認してください。
請求された側の対応を先に確認したい場合は、次の記事が参考になります。
また、高額が争点になるときほど「実際に裁判でどう見られているか(傾向)」の確認が重要です。判例データの網羅は本記事では行わず、一覧記事に委ねます。
まとめ
不倫慰謝料には法律上の上限がない一方、実務では「高額が通りやすい型」があり、500万円超はその型が強く重なる例外ゾーンになりやすいです。
- 不倫慰謝料に「法律で決まった上限」はない(ただし青天井でもない)
- 「上限」と言われるものは、相場上の高額ライン/請求額のことが多い
- 高額化は、離婚・長期・同棲・悪質性・被害の具体性など“積み上げ”で起きやすい
- 500万円超が視野に入るのは、複数要素が同じ方向(増額方向)に重なるケース
- 高額請求ほど、内訳・前提事実・条項を精査して見通しを立てることが重要
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