不貞行為は英語で?不倫慰謝料の海外法用語|adultery・criminal conversation・alienation of affection

「不貞行為は英語で何というのか」と調べると、adultery、infidelity、affair、cheating など複数の表現が出てきます。日常会話ではどれも「不倫」「浮気」に近い意味で使われることがありますが、法律文書や海外からの通知では、同じ意味だと考えると誤解が生じます。

結論からいうと、日本法でいう不貞行為を一語で表すなら、文脈によっては adultery が近い表現です。ただし、日本の不倫慰謝料請求、米国法の criminal conversation や alienation of affection、英文の demand letter や settlement agreement は、それぞれ射程が異なります。

この記事では、不貞行為・不倫慰謝料に関する英語表現を、日本法との違い、米国法系の用語、英文通知・示談書で出やすい表現に分けて整理します。また、海外在住者で不倫慰謝料を請求された場合に、その英語表現が実務上どのように扱われるのかも解説します。

なお、英文例は、意味を理解するための短いフレーズにとどめ、正式な通知書や示談書の雛形として使うことは想定していません。

坂尾陽弁護士

英単語を直訳するより、「その言葉が請求・示談・裁判で何を意味しているか」を確認することが大切です。
  • 不貞行為は、文脈によって adultery、infidelity、affair などで表現されます。
  • 不倫慰謝料は、damages、compensation、settlement payment など場面に応じて訳し分けます。
  • criminal conversation は刑事事件ではなく、米国法系の民事請求を指すことがあります。
  • alienation of affection や heart balm action は、日本の不倫慰謝料と同じではありません。
  • 英文通知・示談書に署名する前に、管轄・準拠法・和訳のズレを確認しましょう。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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不貞行為は英語でどう表現する?基本の使い分け

「不貞行為 英語」の検索意図は、まず単語の意味を知りたいという翻訳ニーズです。ただ、法律相談で問題になるのは、単語の対応関係だけではありません。相手方の通知、英文メール、示談書、海外法の解説で使われている言葉が、日本法の「不貞行為」や「不倫慰謝料」と同じ範囲を指しているとは限らないからです。

adultery|法律的な「姦通・不貞」に近い表現

adultery は、既婚者が配偶者以外の人と性的関係を持つことを指す法律寄りの表現です。米国の法律情報でも、婚姻外の性的関係という意味で説明されています(参考:Cornell Wex “adultery”)。

日本法で不倫慰謝料の対象になる「不貞行為」を英語で説明する場面では、adultery が候補になります。ただし、adultery は国・州によって離婚原因、刑事罰、民事請求、宗教法上の意味などと結びつくことがあり、日本の不倫慰謝料と完全に同義ではありません。

infidelity|不実・裏切りを広く表す表現

infidelity は、配偶者や交際相手への不実、浮気、不倫を広く表す言葉です。性的関係の有無を厳密に示すというより、関係上の裏切りを表すニュアンスが強いことがあります。

英文メールで “marital infidelity” や “your infidelity” と書かれていても、それだけで日本法上の不貞行為が立証されているわけではありません。請求対応では、いつ、誰と、どのような関係があったと主張されているのかを具体的に確認します。

affair / extramarital affair|不倫関係を指す一般的な表現

affair は、日常会話では「不倫関係」「浮気関係」を指すことが多い表現です。既婚者の不倫関係を明確にしたいときは extramarital affair と表現されることがあります。

もっとも、affair は必ずしも裁判上の要件を満たす不貞行為を意味するとは限りません。相手方が affair と表現していても、実際には肉体関係を主張しているのか、交際・親密な連絡だけを問題にしているのかを分けて読み取る必要があります。

cheating|日常的な「浮気」に近い表現

cheating は、日常的には「浮気をする」「裏切る」という意味で使われます。カジュアルな表現であり、法律文書で中心語として使うより、会話やSNS、メッセージで出てくることが多い言葉です。

請求書や弁護士通知では、cheating という言葉よりも、adultery、extramarital relationship、sexual relationship、damages、settlement などの表現が問題になることが多いです。

用語の目安

adultery は法律寄り、infidelity は不実一般、affair は不倫関係、extramarital affair は婚外関係、cheating は日常語として整理すると分かりやすいです。

日本法の「不貞行為」と英語表現は完全には一致しない

日本の不倫慰謝料では、婚姻共同生活の平和を侵害したかが問題になります。一般的には、配偶者以外の人との肉体関係を中心に不貞行為の有無が判断されますが、証拠、婚姻関係の状態、故意過失、破綻時期などによって結論が変わります。

そのため、英文で adultery や affair と書かれているからといって、直ちに日本で慰謝料を支払う義務があるとは限りません。反対に、相手方の英文があいまいでも、写真、宿泊記録、メッセージ、送金、SNS投稿などから日本法上の不貞行為が主張される場合があります。

不倫慰謝料は damages / compensation / settlement payment などに分かれる

不倫慰謝料を英語にするとき、場面によって damages、compensation、settlement payment、solatium などの表現が使われます。ただし、solatium は一般的な英文通知や示談書ではなじみにくい場合があります。

実務上は、請求書では “damages” や “compensation for emotional distress”、示談書では “settlement payment” と表現されることがあります。もっとも、英語で settlement payment と書かれていても、日本法上の慰謝料なのか、解決金なのか、認めて支払うのか、紛争解決のために支払うのかは、条項全体で確認する必要があります。

alimony と慰謝料を混同しない

alimony は、離婚後の扶養料や配偶者扶養を指す文脈で使われる言葉です。日本でいう不倫慰謝料を単純に alimony と訳すと、相手方に誤解される可能性があります。

不倫慰謝料を説明する場合は、damages for adultery、compensation for emotional distress caused by an alleged affair、settlement payment for resolving an adultery-related dispute など、何のための金銭かを補足した方が安全です。

注意

英文で「慰謝料」を訳すときは、単語の正しさだけでなく、その支払が責任を認めるものなのか、紛争解決のための解決金なのかを分けて確認してください。

米国法系の重要用語|criminal conversation・alienation of affection

アメリカの不倫慰謝料を調べると、criminal conversation、alienation of affection、heart balm action、homewrecker law という言葉が出てくることがあります。これらは、日本の不倫慰謝料と重なる部分もありますが、同じ制度ではありません。米国は州法差が大きいため、具体的な州法の確認が必要です。アメリカの州法差は、アメリカの不倫慰謝料・州法差の記事で詳しく整理しています。

criminal conversation|刑事事件ではなく民事請求を指す

criminal conversation は、名前に criminal とありますが、米国法系では、配偶者と第三者との性的関係を理由に、他方配偶者が第三者に民事上の請求をする古い不法行為類型を指すことがあります。Cornell Wex でも、配偶者と性的関係を持った第三者に対する民事上の請求として説明されています(参考:Cornell Wex “criminal conversation tort”)。

したがって、英文で criminal conversation と書かれていても、直ちに刑事事件、逮捕、犯罪という意味に読むのは危険です。日本から請求された場面では、どの州法が問題になっているのか、日本の裁判所でどの法律が適用されるのかを分けて確認します。

坂尾陽弁護士

大雑把に言うと日本の不貞行為に基づく慰謝料請求はこれに相当します。

alienation of affection|配偶者の愛情を失わせたという請求

alienation of affection は、第三者が夫婦関係に介入し、配偶者の愛情を失わせたという趣旨の請求を指します。criminal conversation が性的関係に焦点を当てるのに対し、alienation of affection は夫婦関係の破壊や愛情の喪失に焦点が当たりやすい用語です。

ただし、この種の請求を認めるかどうかは州によって大きく異なります。たとえばニューヨーク州の Civil Rights Law §80-a は、alienation of affections や criminal conversation などの損害賠償請求を廃止する旨を定めています(参考:New York Civil Rights Law §80-a)。一方で、ノースカロライナ州法には alienation of affection / criminal conversation に関する規定が置かれています(参考:North Carolina G.S. 52-13)。

坂尾陽弁護士

日本のように不貞行為が存在するだけではなく、配偶者の愛情を失わせたことに関する要件が加重されているイメージです。

heart balm action|恋愛・婚姻関係の破壊をめぐる古い請求類型

heart balm action は、婚約破棄、誘惑、配偶者の愛情喪失、criminal conversation など、恋愛・婚姻関係の破壊をめぐる古い請求類型をまとめて指すことがある表現です。現代では多くの州で廃止・制限されていますが、古い判例解説や州法比較では今でも出てきます。

たとえばマサチューセッツ州法では、alienation of affection と criminal conversation は法律上認められる injury or wrong ではなく、訴訟等を維持できない旨が定められています(参考:Massachusetts General Laws Chapter 207 Section 47B)。カリフォルニア州でも、公開資料上、Civil Code §43.5 が alienation of affection や criminal conversation について訴権が発生しない旨を定めています(参考:California Civil Code §43.5)。

homewrecker law|正式な法律名ではなく俗称として使われやすい

homewrecker law は、直訳すると「家庭を壊した人に対する法律」のような俗称です。多くの場合、alienation of affection や criminal conversation を分かりやすく説明するために使われますが、正式な法律名とは限りません。

海外記事で “homewrecker law” と書かれていても、その州でどの請求が認められているのか、時効や別居後の制限があるのか、実際にどのような要件が必要なのかは別途確認が必要です。

裁判例との関係

東京地裁平成26年9月5日判決では、ニューヨーク州で婚姻共同生活の平和が害されたと整理され、NY州法上、不貞行為を理由とする請求は認められないと判断されました。英語用語を知るだけでなく、準拠法の判断が結論を左右します。

英文通知・示談書で出やすい基本用語

海外在住者が日本から不倫慰謝料を請求された場合、最初は日本語の内容証明や弁護士通知でも、その後のやり取りで英文メールや英文示談書が出てくることがあります。英文の用語を見たときは、単語だけで判断せず、日本法上の意味と示談上の効果を確認しましょう。

日本語の通知書・内容証明が届いた場合の初動は、不倫慰謝料の内容証明が届いた場合の対応で整理しています。英文であっても、期限、請求額、根拠資料、返答方法を先に確認する点は共通です。

demand letter / notice|請求書・通知書

demand letter は、支払や対応を求める請求書・通知書を指します。日本語の「内容証明」と完全に同じではありませんが、不倫慰謝料の請求場面では、請求額、支払期限、主張事実、証拠の概要、今後の法的措置が書かれることがあります。

settlement agreement|示談書・和解契約

settlement agreement は、紛争を解決するための合意書です。不倫慰謝料の場面では、支払額、支払期限、分割払い、清算条項、口外禁止、接触禁止、違約金、求償権の扱いなどが問題になります。示談交渉全体の流れは、不倫示談の進め方・決める条件もあわせて確認してください。

release|請求権の放棄・清算

release は、一定の請求を放棄する、又は清算するという意味で使われます。どの請求を、誰との間で、どこまで放棄するのかが重要です。たとえば、不倫相手との間だけの release なのか、配偶者や第三者を含むのか、過去・将来の請求を含むのかで効果が変わります。

confidentiality / non-disparagement|秘密保持・誹謗中傷禁止

confidentiality は秘密保持、non-disparagement は相手を誹謗中傷しない義務を指します。不倫慰謝料の示談書では、職場、家族、SNS、第三者への口外をどこまで禁止するかが問題になります。範囲が広すぎる条項は、実際の生活や仕事に支障を生じさせることがあるため注意が必要です。

no contact|接触禁止・連絡禁止

no contact は、接触禁止・連絡禁止を意味します。不倫慰謝料の示談では、連絡、面会、SNS、職場での接触、業務上必要な連絡の例外などをどこまで定めるかが重要です。接触禁止条項の拒否・修正・違約金の考え方は、接触禁止条項の拒否・修正ポイントで詳しく解説しています。

注意

英文示談書は、一見短い条項でも、支払義務、請求権放棄、秘密保持、接触禁止、違約金が同時に入ることがあります。署名前に日本語で効果を確認してください。

意味を理解するための短い英文フレーズ例

以下は、通知書や示談書で出てくる表現を理解するための短い例です。そのまま相手に送る文面や、正式な英文示談書の雛形ではありません。実際に使う場合は、事案、準拠法、交渉方針に合わせて修正が必要です。

  • “This letter concerns a claim for damages arising from an alleged affair.”
    「この通知は、主張されている不倫関係に起因する損害賠償請求に関するものです。」
  • “The parties agree to settle the dispute.”
    「当事者は紛争を解決することに合意します。」
  • “The settlement payment shall not be deemed an admission of liability.”
    「本解決金の支払は責任を認めるものとはみなされません。」
  • “The parties release each other from claims arising out of the alleged relationship.”
    「当事者は、主張されている関係に起因する請求を相互に清算します。」
  • “The parties shall not contact each other except through counsel.”
    「当事者は、弁護士を通じる場合を除き、互いに接触しません。」

英文例を読むときは、admission of liability(責任を認めること)、release(請求権放棄)、through counsel(弁護士を通じて)など、法的効果を持ちやすい語句に注意してください。

誤訳しやすい表現と対応時の注意点

不倫慰謝料に関する英文では、日常英語と法律英語が混ざります。相手方の表現を強く受け止めすぎて不利な返答をしたり、逆に軽く見て期限を過ぎたりしないよう、次の点に注意してください。

  • adultery と affair を混同しない
    adultery は法律的な婚外性的関係に近く、affair は不倫関係一般を指すことがあります。
  • criminal conversation を刑事事件と即断しない
    米国法系では、配偶者との性的関係を理由に第三者へ請求する民事類型を指すことがあります。
  • damages と settlement payment を分ける
    損害賠償として請求されているのか、紛争解決の解決金として支払うのかで意味が異なります。
  • release の範囲を確認する
    誰のどの請求を放棄するのか、将来の請求を含むのかを確認します。
  • no contact の例外を確認する
    職場、子ども、共通の友人、業務上必要な連絡がある場合、例外設計が必要になることがあります。

日本から請求された場合は、英文用語の意味だけでなく、日本の裁判所で扱えるか、どの国・州の法律が適用されるかも問題になります。管轄と準拠法の整理は、不倫慰謝料の国際裁判管轄・準拠法の記事を参照してください。

海外在住中に英文・英語用語を含む請求を受けたときの初動

海外在住中に、不倫慰謝料に関する英文メール、英文通知、英文示談書、日本語と英語が混在した書類を受け取った場合は、内容を急いで否認・謝罪・署名するのではなく、順番に確認することが重要です。

  • 差出人が本人、配偶者、相手方弁護士、裁判所のどれかを確認する。
  • 支払期限、回答期限、裁判所提出期限の有無を確認する。
  • adultery、affair、damages、settlement、release などの用語を和訳する。
  • 日本法、外国法、州法のどれが問題になっているかを切り分ける。
  • 署名・送金・謝罪文送信の前に、証拠と交渉方針を整理する。

実際に日本から請求された場合の初動は、海外在住中に不倫慰謝料を請求された場合の対応で詳しく解説しています。海外在住者は、時差、郵便事情、一時帰国予定、オンライン面談の可否も含めて対応計画を立てる必要があります。

弁護士相談を地元で行うか、オンラインで行うか迷う場合は、不倫弁護士を地元で探すかオンラインで探すかも参考になります。メールやZoomを使えば、帰国前に通知内容、英文用語、示談書案、返信方針を整理できる場合があります。

よくある質問

不貞行為は英語で adultery と書けばよいですか?

法律的な文脈では adultery が近い表現ですが、必ずしも日本法の不貞行為と完全に一致するわけではありません。日常的な不倫関係なら affair、広い意味の不実なら infidelity、婚外関係を明確にするなら extramarital affair も候補になります。

不倫慰謝料は英語で damages ですか?

請求書では damages、示談書では settlement payment、説明文では compensation for emotional distress などが使われることがあります。慰謝料を alimony と訳すと、離婚後扶養の意味に誤解される可能性があるため注意が必要です。

criminal conversation と書かれていたら犯罪ですか?

米国法系では、criminal conversation は刑事事件ではなく、配偶者と性的関係を持った第三者に対する民事請求を指すことがあります。名前だけで判断せず、どの州法・どの請求類型なのかを確認してください。

英文示談書に release と書かれていたらどう注意すべきですか?

release は請求権放棄や清算を意味します。誰が誰に対して、どの請求を、どの時点まで放棄するのかを確認する必要があります。配偶者、第三者、将来の請求まで含むかどうかで効果が大きく変わります。

英語が分かるので自分で返信してもよいですか?

英語力と法律判断は別です。英文の意味が分かっても、責任を認める表現、時効、準拠法、管轄、示談条項の効果を誤ることがあります。特に支払、謝罪、署名、請求権放棄に関わる返答は慎重に確認してください。

まとめ

  • 不貞行為は英語で adultery が近いことがありますが、文脈によって affair、infidelity、cheating も使われます。
  • 不倫慰謝料は damages、compensation、settlement payment などに分かれ、alimony とは異なります。
  • criminal conversation、alienation of affection、heart balm action は米国法系の用語で、日本の不倫慰謝料と同じではありません。
  • 英文通知・示談書では demand letter、settlement agreement、release、confidentiality、no contact の意味を確認します。
  • 海外在住中に請求された場合は、英語用語だけでなく管轄・準拠法・示談条項の効果を整理しましょう。

不貞行為や不倫慰謝料の英語表現は、単語を知るだけなら難しくありません。しかし、実際の請求対応では、その言葉がどの国・州の法律、どの請求、どの示談条項に結びついているかが重要です。

海外在住中に英文通知や英文示談書を受け取った場合は、期限を確認したうえで、事実関係、証拠、管轄・準拠法、支払義務、示談条項を整理してから対応しましょう。

坂尾陽弁護士

英語で書かれた書類ほど、単語よりも「署名したら何が起きるか」を先に確認しましょう。

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英語用語の意味を確認した後は、実際の請求対応、管轄・準拠法、米国州法、国別比較もあわせて確認すると整理しやすくなります。

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