ダブル不倫の慰謝料の話は、一般的な不倫よりも「登場人物が多い」だけでなく、「利害がぶつかる方向が複数ある」ことが特徴です。請求された側としては、金額だけを見て動くと、家族バレ・職場バレ、相手側の強硬化、二次トラブル(暴露・脅し等)につながりやすく、結果的に不利な条件で決着してしまうことがあります。
そこで本記事では、まずあなたの配偶者が不倫を知っているか/知らないか、そして離婚するのか/しないのかという「最初の分岐」を整理したうえで、ダブル不倫が複雑になる理由(誰が誰に何を請求し得るのか)を、できるだけ迷子にならない形で解説します。
なお、ここで扱うのはあくまで一般論です。実際の解決は、当事者の関係性・証拠・発覚の経緯などで大きく変わります。相場や時効など、個別論点を深掘りするとかえって混乱する場合は、要点だけ押さえ、詳しい解説ページへ案内します。
- 「配偶者が知っているか」「離婚するか」で、優先順位と交渉のゴールが変わります
- 4人関係になるため、請求が2方向に進んだり、夫婦内の離婚問題が同時進行し得ます
- 相殺・求償は“当然にできる”話ではなく、先に整理しないとこじれやすいです
- 秘密で解決したい場合ほど、初動の連絡方法・窓口設計が重要になります
- 妊娠が絡むと、慰謝料以外の論点も増えるため早めの整理が必要です
坂尾陽弁護士
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

Contents
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最初にここだけ整理:配偶者が知っている/知らない × 離婚する/しない
結論:ダブル不倫では、あなたが「慰謝料を請求された側」だとしても、あなたの配偶者が不倫を知っているか、そしてあなたが離婚する(見込みがある)かによって、取り得る選択肢とリスクが大きく変わります。ここが曖昧なまま動くと、①本当は守りたかったもの(家庭・仕事)を失ったり、②交渉の主導権を失ったり、③不要な紛争を増やしたりしがちです。
よくある混乱は、「相手配偶者から請求が来た=とにかく減額交渉」と短絡してしまうことです。しかし、ダブル不倫は“あなたの家庭の事情”が交渉条件そのものになります。たとえば「配偶者に知られたくない」「離婚は絶対に避けたい」という事情は、相手から見れば交渉上の“条件”になり得ます(だからこそ、扱い方を間違えると危険です)。
まずは、次の2つを自分の中で確認してください。「知っている/知らない」は、完全に発覚している場合だけでなく、強く疑われている・証拠を掴まれそう、という段階も含めて考えるのが安全です。「離婚する/しない」も、意思が固まっていなくても、現実的な見込み(相手が離婚を切り出している、別居中、修復を前提にしている等)で整理します。
- あなたの配偶者は、不倫の事実を知っていますか(疑い・追及の段階を含む)
- あなたの夫婦は、離婚する予定(または離婚を求められている見込み)がありますか
この2軸で、典型的には次のように状況が分かれます。細部は人によって異なりますが、「どこが強みで、どこが弱みになるのか」を最初に押さえるだけでも、対応がかなりブレにくくなります。
- 知っている × 離婚しない(協力できる):夫婦として「この問題をどう終わらせたいか」を揃えやすい状態です。連絡窓口を一本化し、支払条件や再発防止(接触禁止等)も含めて設計しやすい一方、感情の揺れで方針が変わると交渉が空中分解しやすい点には注意が必要です。例えば、途中で一方が激昂して相手方に直接連絡すると、発覚範囲が一気に広がることがあります。
- 知らない × 離婚しない(バレたくない=弱みを抱える):実務的にもっとも事故が起きやすいパターンです。「連絡を取って早く終わらせたい」「謝って収めたい」と動いた結果、メッセージ履歴・送金・通話記録などから発覚することがあります。秘密を守るには、相手との直接連絡を減らし、条件(口外禁止・連絡禁止・支払方法・書面化など)を最初から整える必要があります。逆にいえば、ここを丁寧に設計できれば、家庭と仕事を守りながら終結を目指せる余地もあります。
- 知っている × 離婚する(外と内の二正面):相手配偶者との慰謝料問題(外)と、あなたの配偶者との離婚条件(内)が同時進行しやすい状態です。早い段階で「外は早期終結を優先するのか」「内は離婚条件をどう整えるのか」を分けて考え、時系列と優先順位を決めるのがポイントです。
- 知らない × 離婚する(結論は揺れやすい):不倫がバレてないがたまたま別の原因で離婚の話が出ているという特殊なケースです。現時点では配偶者に知られていなくても、離婚協議の過程で不倫問題が表面化することがあります。特に、別居や調停など手続が進むほど、事実関係を問われる場面が増えます。「いずれ離婚するならバレても同じ」と考えるのは危険で、親権・面会交流・職場への影響など、離婚後の生活に直結する問題が残ります。
上の整理は「あなた側」を軸にしていますが、ダブル不倫では当然、相手側(不倫相手の配偶者)が既に知っているか/まだ知らないかでも状況が動きます。もっとも、あなたが今まさに請求を受けているなら、相手側は少なくとも何らかの形で不倫を知っているわけです。
ここまでで「自分が置かれている状態」が見えたら、次は誰が誰に、どんな種類の慰謝料を請求し得るのかという“構造の地図”を作ります。ここを理解すると、相手の主張に振り回されにくくなり、交渉の落とし所も考えやすくなります。
なお、状況別の具体策(家族バレを避ける初動、相殺・求償、妊娠が絡む場合など)は、次のページでより詳しく整理しています。
ダブル不倫の慰謝料構造:4人関係で起きる“2種類の請求”
ダブル不倫(W不倫)とは、既婚者同士が不貞行為(一般に肉体関係)に至った状態を指します。慰謝料の話になる場面では「不貞行為があったか」が大きな分岐点になるため、単なる恋愛感情や親密なやり取りだけでは結論が変わることがあります(個別事情で判断が分かれ得ます)。
ダブル不倫がややこしい理由はシンプルで、夫婦が2組あるからです。被害者になり得る配偶者が2人存在し、さらに離婚する・しないによって、同じ4人でも利害が大きく変わります。
混乱を避けるために、次のように記号で整理します。あなたが「請求された側」だとしたら、たとえばB(あなた)が、C(不倫相手)と不倫関係にあったイメージです。
- A=夫婦=B(あなた)ー不倫関係ーC(不倫相手)=夫婦=D
- A=あなたの配偶者
- B=あなた(既婚)
- C=不倫相手(既婚)
- D=不倫相手の配偶者
すると、まずメインになりやすいのは、AからCへの不倫慰謝料請求と、DからBへの不倫慰謝料請求という“2方向”です。ダブル不倫で「請求が二重化しやすい」と言われるのは、この構造があるからです。
ただし、ダブル不倫ではそれ以外の請求も同時に動き得ます。整理のコツは、慰謝料には大きく2種類の“レーン”があると理解することです。
まず押さえる:不倫慰謝料と離婚慰謝料は「請求の相手」と「場面」が違う
不倫慰謝料は、不貞行為によって精神的苦痛を受けた配偶者が、加害者に対して請求する損害賠償です。典型的には「被害配偶者 → 不倫相手(第三者)」という形がイメージしやすいですが、法律上は状況に応じて「被害配偶者 → 不倫した配偶者」も問題になり得ます。同じ不貞行為をめぐる責任として整理され、ケースによっては共同不法行為に近い形で扱われます。
一方で、離婚慰謝料は、離婚に至った経緯(有責性)などを踏まえて、夫婦間で清算するお金です。離婚時には、慰謝料とは別に財産分与・養育費・年金分割なども並走し得るため、「誰に、何として、いくら払うのか」を混同すると交渉が崩れます。最高裁判例により離婚慰謝料は夫婦間でしか請求できないことになっています。
つまり、同じ“慰謝料”という言葉でも、不倫慰謝料は主に「配偶者対第三者(または配偶者)」、離婚慰謝料は「夫婦間」という違いがあります。ダブル不倫ではこの2レーンが同時に走りやすい、というのが最初のポイントです。
典型の請求ルート:2方向の不倫慰謝料+必要に応じて夫婦内の離婚問題
ダブル不倫を「2組の夫婦が、不倫関係でつながった状態」と考えると、まず起こりやすいのは不倫慰謝料の“2方向”です。AはCに対して請求を検討し、DはBに対して請求を検討します。これだけでも交渉は2本立てになります。
さらに、離婚の有無に応じて、次のような「夫婦内」の問題も動きます。また、双方またはどちらかの夫婦が離婚する場合は、夫婦間でも離婚慰謝料や離婚条件(財産分与・親権など)を求める流れになり得ます。
ここで誤解しやすいのが、「ダブル不倫だから慰謝料が2倍になるのか」という点です。ダブル不倫だからといって、単一の慰謝料が自動的に2倍になるわけではありません。一方で、状況によっては、別レーンの請求が並走する結果として“支払う先が2つになる”ことがあります。たとえば「DからBへの不倫慰謝料」と「AからBへの離婚慰謝料(離婚時の清算)」が同時に問題になれば、Bから見れば“2つ払う”結果になり得ます。
さらに、当事者が複数いるため、相手側から「相殺できないのか」「不倫相手に求償できないのか」といった話題が出やすくなります。ただし、相殺・求償は“言葉の響きほど単純ではない”論点です。安易に口にすると交渉がこじれることもあるため、まずは構造を押さえ、必要なら専門家に整理を任せるのが安全です(詳しくはダブル不倫の相殺・求償権も参照してください)。
ダブル不倫慰謝料の金額・時効
慰謝料の金額は、ダブル不倫であっても、基本的な考慮要素(婚姻期間、不倫期間、離婚の有無、悪質性、発覚後の対応など)が大きく変わるわけではありません。相場感を早く知りたい方は、不倫慰謝料の相場はいくら?で全体像を確認すると整理しやすいでしょう。
また、不倫慰謝料には時効の問題があり、「いつまで請求できるか/いつまで備えるべきか」がケースによって重要になります。時効の詳細は、不倫慰謝料の時効(期限)はいつ?で解説しています。
次の章では、ここまでの“地図”を前提に、慰謝料を請求された側が最初にやるべきこと(初動)を具体的に解説します。特に「配偶者にバレたくない」「職場に知られたくない」という方は、最初の連絡対応が分岐点になります。
慰謝料を請求された側(あなた)の初動:まずやるべきこと
ダブル不倫で慰謝料を請求されたとき、最初の数日(場合によっては数時間)の動き方で、その後の難易度が大きく変わります。なぜなら、相手はすでに「感情」「夫婦関係」「体面」「お金」を抱えた状態で動いており、あなたが不用意に反応すると、家族バレ・職場バレのリスクや請求の強硬化、二次トラブル(暴露・脅し・SNS投稿等)が一気に顕在化しやすいからです。
特にダブル不倫は、当事者が4人になります。つまり、あなたが今やり取りしている相手が「誰(不倫相手本人/不倫相手の配偶者/弁護士)」なのかで、同じ言葉でも受け取られ方が変わります。さらに、あなたの配偶者が不倫を知っているか・離婚する見込みがあるかによって、あなたが守りたいもの(家庭の維持、離婚条件、子どもへの影響、仕事など)が変わり、交渉のゴールも変わります(この分岐整理は「配偶者が知っている/知らない × 離婚する/しない」で触れたとおりです)。
請求を受けた直後は「すぐ謝って払えば収まる」と考えがちですが、焦って動くほど“バレるルート”と“こじれる要因”を自分で増やしてしまいます。まずは冷静に、順番を決めて対応してください。
まずは「請求の形」と「相手の要求」を分解する
慰謝料請求は、次のような形で届くことが多いです。
- 不倫相手の配偶者本人からの連絡(電話・LINE・メール・手紙)
- 弁護士からの通知書(内容証明郵便を含む)
- 不倫相手本人から「配偶者が怒っている」「弁護士が入る」などの連絡
請求の形が違うと、あなたが取るべき初動も変わります。とくに弁護士名義の通知書は、相手が交渉の枠組み(期限、請求額、主張)を作り始めている合図です。一方で、本人からの連絡でも、内容次第では感情的に暴走しやすい状況があるため、軽視してよいわけではありません。
まずは、次の観点で「相手は何を求めているのか」を分解してください。
- お金(慰謝料)の要求:金額、支払期限、支払方法(一括/分割)
- 謝罪の要求:直接謝罪、謝罪文、配偶者同席の謝罪など
- 再発防止の要求:接触禁止、連絡禁止、SNSブロック、退職・異動など過大な要求が混ざることも
- 秘密にする条件:家族や職場に言わない、SNSに書かない、周囲に広めない等
- その他の要求:不貞の詳細説明、スマホ提出、職場への説明など(過剰になりがち)
この「分解」は重要です。なぜなら、相手は怒りや不安から、ひとつの文章・ひとつの電話の中に複数の要求を混ぜてくることがあるからです。あなたがその場の空気で「分かりました」「払います」「二度としません」とまとめて答えると、後から撤回しにくくなり、結果的にあなたの選択肢が狭まります。
まずは「やってはいけない初動」を潰す
ダブル不倫で請求された側が失敗しやすいのは、焦りから「関係者に直接連絡する」ことです。これは家族バレ・職場バレを招きやすく、さらに相手を刺激して紛争が拡大する原因になります。
- 不倫相手本人に連絡して口裏合わせをする:やり取り自体が証拠になり、相手配偶者に転送されるリスクもあります。
- 相手配偶者に直接電話して謝る:誠意のつもりでも、会話がエスカレートしやすく、録音・暴露・第三者への拡散につながりやすいです。
- その場で金額に同意する/すぐ振り込む:一度支払うと「あなたが不貞と金額の相当性を認めた」と評価されやすく、後からの調整が難しくなります。
- 証拠になりそうなLINEや写真を慌てて削除する:削除の事実自体が疑念を強め、別ルートで復元されたり、相手が“隠蔽”と受け取って態度を硬化させることがあります。
- 職場の人に相談しすぎる:味方を増やすつもりで、むしろ情報が拡散し、退職・異動など取り返しのつかない損害に繋がる例があります。
もちろん、すべてのケースで同じ結果になるわけではありません。しかし、ダブル不倫では関係者が多い分、情報が漏れる経路も増えます。最初は「小さな連絡」で済むはずだったものが、あなたの行動で「大きな騒動」に変わることがある、という点は強く意識しておくべきです。
初動の優先順位:①窓口 ②事実整理 ③ゴール設定
請求された側の初動は、基本的に次の順番で組み立てるとブレにくくなります。
ダブル不倫の初動は「正しさ」よりも「順番」が大事です。窓口が決まらないまま謝罪や金額交渉を始めると、ほぼ確実にこじれます。
① 窓口(誰が、どの手段で対応するか)を決める
ダブル不倫では「直接連絡しない」ことが最重要の場面が少なくありません。とくに、あなたが配偶者にバレたくない状況(=「知らない×離婚しない」)の場合、直接連絡は“発覚リスクの塊”です。
理想は、弁護士を窓口にして、相手方との連絡を一本化することです。弁護士が入るメリットは、単に法律の話をするためだけではありません。
- 連絡窓口が一つになる:あなたのスマホや自宅に連絡が来る回数が減り、家族バレの確率が下がります。
- 話し合いが記録化される:後で「言った/言わない」が減り、暴走しにくくなります。
- 過剰な要求のブレーキになる:退職・異動・土下座・スマホ提出など、行き過ぎた要求が混ざったときに整理できます。
- 二次トラブルの抑止:暴露や脅しが出たときに、法的に“やってはいけないライン”を明確にして止めやすくなります。
「まずは自分で謝ってから」と考える方も多いのですが、ダブル不倫ではそれが裏目に出やすいです。謝罪は大切です。ただし、謝罪の“方法”と“タイミング”を間違えると、相手の怒りを増幅させたり、あなたの弱み(秘密にしたい事情)を相手が掴んでしまうことがあります。
より具体的な「家族にバレないための交渉設計」「示談書での秘密保持」「四者和解の考え方」などは、ダブル不倫で慰謝料を請求された側の初動・家族バレ防止で詳しく解説しています。
② 事実関係を“交渉できる形”に整理する
相手の要求がどれだけ強く見えても、慰謝料は最終的に事実関係(不貞の有無・期間・婚姻関係への影響など)に基づいて調整されます。ここで大切なのは、感情ではなく「説明できる材料」を揃えることです。
ただし、ダブル不倫の初動でやるべき整理は、証拠収集のような大作業ではなく、まずは時系列の整理です。次の項目を“メモでよいので”整理しておくと、後の交渉や弁護士相談が格段にスムーズになります。
- いつから・いつまで:関係開始時期、肉体関係があった時期、終了時期(または現在も継続か)
- 頻度と態様:会う頻度、宿泊の有無、旅行の有無、金銭の援助(プレゼント・立替など)
- 発覚経緯:相手配偶者が何をきっかけに知ったか(スマホ、探偵、SNS等)
- 相手夫婦の状況:離婚予定か、修復予定か、別居中か(分かる範囲で)
- あなた夫婦の状況:配偶者が知っているか、夫婦関係がどうか、離婚の見込みがあるか
- 現在の連絡状況:不倫相手と連絡を取っているか、ブロック・削除の有無
この整理をしないまま対応すると、相手の主張に合わせてあなたの言い分が揺れやすくなります。揺れは不信につながり、相手が「隠している」「開き直っている」と受け取ると、請求額や要求がエスカレートしやすくなります。
③ ゴールを決める(“減額”だけでは足りない)
請求された側は「とにかく減額」と考えがちですが、ダブル不倫ではゴールが複数あります。代表的には次のようなゴールの組み合わせです。
- 早期に終結したい(長引かせたくない)
- 家族・職場に知られたくない(秘密保持)
- 金額を抑えたい(減額)
- 分割で払いたい(資金繰り)
- 以後の接触を完全に断ちたい(再発防止)
ここで重要なのは、ゴール同士が衝突することがある点です。例えば「絶対に秘密にしたい」を最優先にすると、交渉上は“早期解決のために譲歩する余地”が出やすい一方、「金額を徹底的に争う」を選ぶと、交渉が長引き、結果として家族バレ・職場バレのリスクが増えることがあります。
あなたの状況が「配偶者に知られていない×離婚しない(家庭を守りたい)」なら、秘密保持+早期終結を軸に置くのが現実的なことが多いです。逆に、すでに配偶者に知られていて「離婚が現実味を帯びている」なら、外(相手配偶者)と内(自分配偶者)の問題が同時に動くため、優先順位と時系列をはっきりさせる必要があります。
家族・職場にバレるのを避けたい方は、不倫バレ対策|家族・職場に知られずに解決する方法をご覧ください。
「相手の要求にどう返すか」:返答は短く、曖昧にしない
請求を受けると、相手から「いつ払うのか」「認めるのか」「謝罪するのか」と迫られることがあります。この場面での基本は、結論を急がず、しかし放置もしないことです。
たとえば、次のような返し方が実務的です(文言は状況により調整が必要です)。
- 受領の連絡:「書面は受け取りました。内容を確認して、改めて連絡します。」
- 期限の調整:「検討に時間が必要なので、回答期限を○日まで延ばしてください。」
- 窓口の一本化:「今後の連絡は書面(または代理人)を通してください。」
「既読スルー」や「無視」は、相手が不安や怒りで暴走しやすくなるためおすすめできません。他方で、感情的なやり取りは“燃料”になります。淡々と、事務的に、窓口を整えることが重要です。
なお、相手が「会社に言う」「家族にバラす」と迫ってくるケースもあります。こうした言動は、内容や態様によっては違法になり得るため、早めに記録を取り、専門家に相談することが重要です(録音・スクショ等は、後からの整理に役立ちます)。
初動の次に来る分岐:示談で終わるか、裁判に進むか
不倫慰謝料の多くは示談(話し合い)で終わります。ただし、ダブル不倫は「双方の配偶者が絡む」「相手も既婚で反論しやすい」などの事情があり、交渉が長引くケースもあります。
ここで覚えておきたいのは、裁判になれば、どうしても公開性・記録性が強くなり、家族バレ・職場バレのリスクが上がりやすいことです(完全に防げるとは限りません)。その意味では、秘密を強く守りたい場合ほど、早期に「示談の設計」を考える必要があります。
次の章では、実際に減額を検討するときに、どんな要素が見られ、ダブル不倫ならではの事情がどう影響するかを整理します。
減額の考え方:ダブル不倫でも“見る要素”は基本同じ
ダブル不倫の慰謝料でよくある誤解は、「ダブル不倫だから特別に高くなる(相場が2倍になる)」というイメージです。逆に、ダブル不倫でお互い様だから慰謝料を払う必要がないという逆方向の誤解もあります。
結論からいうと、ダブル不倫だからといって、慰謝料額が自動的に2倍になるわけではありません。また、必ずしもダブル不倫だから慰謝料の支払いがなしになるわけでもありません。慰謝料は、一般の不倫と同様に、婚姻関係や不貞の態様などを踏まえて総合的に判断されます。
ただし、ダブル不倫は当事者が多い分、請求が複数レーンで並走する可能性があります。その結果として、あなたにとって「支払先が複数になる」「交渉が複雑になる」ことがあり、体感として“負担が重い”状態になりやすいのが特徴です。
この章では、請求された側の視点で、減額を考えるときの基本軸と、ダブル不倫ならではの注意点を整理します。なお、慰謝料の具体的な相場はケースで大きく変わるため、詳しくは不倫慰謝料の相場はいくら?で全体像を確認してください。
減額を考えるときの「基本軸」:どんな要素が重いか
慰謝料は、ざっくり言えば「不貞によってどれだけ婚姻生活が侵害されたか(精神的苦痛が大きいか)」という観点で増減します。ダブル不倫であっても、この軸自体は変わりません。
典型的に、増額方向に働きやすい要素は次のとおりです。
- 不倫期間が長い/関係が深い:長期の交際、同棲同然、旅行の繰り返しなど
- 婚姻関係が円満だった:不倫が原因で夫婦関係が大きく破綻したと評価されやすい
- 離婚に至った(または別居等の重大な変化が生じた)
- 不倫の主導性・悪質性が高い:積極的に誘った、隠蔽工作が悪質、開き直り等
- 発覚後の対応が悪い:関係継続、謝罪拒否、誠実さを欠く対応
反対に、減額方向に働きやすい要素は次のとおりです。
- 夫婦関係が既に破綻していた(または長期の不和があった)
- 不倫期間が短い/回数が少ない
- 主導性が低い:相手から強く迫られた、断り切れなかった等(ただし一概にはいえません)
- 発覚後すぐに関係を解消し、再発防止策を取った
- 請求内容が過大:金額の根拠が薄い、要求が過剰(退職など)
大切なのは、「減額要素があるから必ず下がる」という単純な話ではないことです。減額は、相手の主張とのバランスの中で決まります。だからこそ、前章で述べたように、まずは事実関係を整理し、交渉の材料を揃える必要があります。
ダブル不倫ならではの事情:金額そのものより“交渉の条件”が変わる
ダブル不倫が特有なのは、金額の算定式が特殊というよりも、交渉の前提条件が複雑になりやすい点です。典型的には次のような事情が絡みます。
- あなたの配偶者が不倫を知っているか/知らないか:秘密にしたい事情があると、相手がそれを“条件”にしてくることがあります(扱いを誤ると危険です)。
- 相手夫婦が離婚するか/しないか:離婚の見込みが強いほど、相手は「家庭を壊された」という感情・主張を強めやすい傾向があります。
- 請求が2方向に動く可能性:あなたの配偶者が不倫相手に請求する可能性がある、という状況は、相手側の交渉姿勢にも影響します。
- 4者の情報が相互に流れやすい:当事者が増えるほど、情報漏えい・噂・SNS等のリスクが上がります。
このため、ダブル不倫の減額交渉は「法的に正しい主張」だけでなく、「交渉が破綻しない設計(窓口・書面化・条件整理)」がとても重要です。とくに秘密保持を希望する場合は、金額以上に「どの条件を合意書に入れるか」「誰が誰に連絡するのか」が勝負になります。
「相殺できる?」と言われたら:結論はシンプル、扱いは慎重に
ダブル不倫では、相手や不倫相手本人から「そっちも不倫したのだから相殺だ」「お互い様だろう」と言われることがあります。ここで大切なのは、相殺は“当然にできる”話ではないという点です。
もっとも、現実の交渉では「相手夫婦にも事情がある」「双方がこれ以上大事にしたくない」という空気が、金額や条件に影響することがあります。つまり、法的に自動で相殺されるわけではないものの、交渉上の材料として持ち出されることはある、という整理になります。
相殺・求償は、言い方を間違えると相手の怒りを買い、紛争を長期化させる原因になります。詳しい考え方や、どのタイミングで検討すべきかは、ダブル不倫の相殺・求償権で整理しています。
減額交渉の現実:争点を増やしすぎない
減額を狙うとき、あれもこれもと主張を並べると、相手は「言い訳だ」「開き直りだ」と受け取りやすく、交渉が悪化することがあります。ダブル不倫では感情がこじれやすいため、なおさらです。
実務的には、次のように「主張の数を絞る」方が、結果としてまとまりやすいことがあります。
- 核となる減額要素を2〜3個に絞る(例:短期、発覚後に解消、相手夫婦が離婚していない など)
- こちらの譲歩(支払方法・条件)と交換する(例:分割、接触禁止、秘密保持、清算条項)
- 相手が強く求めているものを見極める(お金なのか、謝罪なのか、再発防止なのか)
「全部否認してゼロを狙う」戦略が常に悪いわけではありませんが、秘密を守りたい・早期に終わらせたい場合には、争点を増やすほどリスクが上がることが多いです。あなたの状況(配偶者に知られているか/離婚するか)とセットで考える必要があります。詳しくは不倫慰謝料の減額をご覧ください。
時効(期限)が気になるときは、早めに確認する
「かなり前の関係のことを今さら請求された」「不倫自体は終わっている」というケースでは、時効(いつまで請求できるか)の問題が関係することがあります。時効はケースによって見え方が変わるため、気になる場合は早めに整理してください。詳しくは不倫慰謝料の時効(期限)はいつ?で解説しています。
次の章では、相殺・求償・四者和解(ゼロ和解を含む)といった「清算」の論点を整理し、ダブル不倫を“終わらせる設計”を考えます。
相殺・求償・四者和解(ゼロ和解含む): “清算”の論点を先に知る
ダブル不倫で慰謝料を請求されたとき、「お互い様なんだから相殺できないの?」「不倫相手にも払わせたい(求償したい)」という発想が浮かぶのは自然です。実際、相手側(不倫相手の配偶者)からも「そっちも既婚者同士で不倫しているんだから、こちらの請求を軽くして当然だ」といった言い方をされることがあります。
ただし、ここで大切なのは、相殺・求償は“言葉の響きほど単純ではない”という点です。法律上できること・できないことと、交渉上の落とし所は別物で、整理せずに口にすると、相手の感情を刺激して交渉が壊れることもあります。
前提として、4人関係(あなた・あなたの配偶者・不倫相手・不倫相手の配偶者)の中で、誰が誰に請求しているのかを分けて考えます。たとえば、あなたが「請求された側」だとすると、多くは次の構図です。
- 不倫相手の配偶者 → あなた(不倫慰謝料を請求された)
- あなたの配偶者 → 不倫相手(不倫慰謝料の可能性)
- あなたの配偶者 → あなた(離婚する場合:離婚慰謝料や離婚条件)
- 不倫相手の配偶者 → 不倫相手(相手夫婦が離婚する場合:離婚慰謝料や離婚条件)
このように、請求は「二方向(場合によっては夫婦内も含めて複数方向)」に走り得ます。だからこそ、相殺・求償・四者和解といった“清算の論点”を先に理解しておくと、相手の主張に振り回されにくくなります。
相殺は原則できない(=当たり前に差し引ける話ではない)
結論から言うと、ダブル不倫では「当然に相殺できる」場面は多くありません。相殺は、一般に「同じ当事者間で、互いに債権債務がある」ときに、一定の要件のもとで差し引く仕組みです。
ところが、ダブル不倫の慰謝料請求は、典型的には「不倫相手の配偶者 → あなた」「あなたの配偶者 → 不倫相手」というように、請求の当事者がズレていることが多いです。この場合、「あなたが相手配偶者に払う慰謝料」と「あなたの配偶者が不倫相手から受け取る(あるいは請求する)慰謝料」は、同じ当事者間の債権債務ではありません。だから、「うちも被害者だから相殺」と単純にはいきません。
一方で、ここは誤解されやすいポイントですが、法律上の相殺ができないことと、交渉上“調整の材料になる”ことは別です。たとえば、双方の夫婦が離婚せず、全員が「これ以上大事にしたくない」と考えている場合、金額だけでなく、秘密保持や接触禁止を含めて総合的に落とし所を探す中で、結果的に金額が抑えられることはあり得ます。
ただし、交渉でこれを扱うときは、相手に「責任逃れ」と受け取られない言い方が重要です。単純に「相殺だろ」と言うより、「当事者が多いので、全体として紛争を拡大させない形での解決を検討したい」という方向に寄せた方が、話が崩れにくいです。
「相殺できる/できない」は法律論としては大切ですが、請求された側がまず優先すべきは“話を壊さずに終わらせる設計”です。言い方ひとつで相手の怒りが燃え上がり、家族バレ・職場バレのリスクが上がることがあります。
求償権は「内部の負担調整」だが、実務では使いどころが難しい
求償権(きゅうしょうけん)は、ざっくり言うと「同じ損害について責任を負う人が複数いるとき、誰か一人が多めに払った場合に、もう一人に“負担分を分けて”と請求できる」という考え方です。
不倫慰謝料の場面でも、「不倫した配偶者」と「不倫相手」が、被害配偶者に対して共同で責任を負う(共同不法行為に近い形で整理される)ことがあり得ます。そのため、たとえばあなたが不倫相手の配偶者に慰謝料を支払った場合、理屈上は、不倫相手に対して「あなたも一定割合を負担してほしい」と求償を検討する余地が出てくることがあります。
ただし、求償権には現実的な難しさがあります。
- 求償をすると、紛争が“もう1周”する:不倫の当事者同士の関係はこじれやすく、求償を持ち出すと、さらに争いが長引く原因になります。
- あなたのゴール(秘密保持・早期終結)と相性が悪いことがある:求償は当事者間のやり取りが増えるため、情報が漏れる経路も増えやすいです。
- 求償の“実入り”が読みにくい:相手に資力がない、支払を拒む、連絡自体が紛争化するなど、回収コストが高くなることがあります。
一方で、「どうして自分だけが払うのか」という不満が強い場面では、求償という発想が交渉材料になることもあります。重要なのは、求償を“いますぐ実行する”のか、“選択肢として温存する”のかを、あなたが置かれた状況(配偶者にバレたくない/離婚が見込みとしてある等)とセットで決めることです。
求償の考え方や、示談で「求償をしない条項」をどう扱うかなど、より踏み込んだ整理は、ダブル不倫の相殺・求償権で解説しています。
四者和解(ゼロ和解含む)とは:4人の“清算”を一度で終わらせる発想
ダブル不倫で話がこじれる原因のひとつは、「誰かと示談しても、別の誰かが後から請求してくる」「途中で気持ちが変わって蒸し返される」ことです。そこで検討されるのが、四者和解(4人全員での合意)です。
四者和解は、次のようなゴールに向きます。
- 全員が不倫を把握しており、これ以上の拡大を避けたい
- 双方の夫婦が離婚しない(または離婚の見込みが低い)
- 金銭よりも、秘密保持・接触禁止・再発防止を優先したい
- 後日の蒸し返し(追加請求・暴露・求償の連鎖)を防ぎたい
また、四者和解の一形態として、「慰謝料請求なし(ゼロ)で水に流す」という合意が成立することも、状況によってはあり得ます。たとえば、双方が離婚せず、双方とも家庭の平穏を守りたい、かつ全員が「お金の行き来をさせても結局は家庭のお金が動くだけ」と感じているようなケースです。
ただし、ゼロ和解が成立したとしても、「口約束で終える」のは危険です。時間が経って感情が再燃したり、夫婦関係が悪化して離婚の場面になったときに、“あのときは許したけど、やっぱり請求する”となるリスクが残るからです。ゼロで終えるならなおさら、書面(合意書)で清算条項を入れておく意味が大きくなります。
示談書に入れるべき「清算」の要素(最低限の地図)
四者和解でも二者間示談でも、ポイントは「争いを終わらせる条項」が入っているかです。細かい文言は個別調整が必要ですが、考え方としては次のような要素を押さえます。
- 清算条項:本件に関して当事者間に債権債務がないこと、今後一切請求しないこと
- 秘密保持(口外禁止):家族・職場・SNS等への口外をしない(ただし弁護士相談等の例外は通常必要)
- 接触禁止・連絡禁止:不倫当事者同士だけでなく、必要なら配偶者間も含めて整理
- 求償の扱い:求償をしない(できれば相互に)/求償を含めて最終解決とする設計
- 支払条件:金額・期限・分割の有無・遅延時の対応(分割なら特に重要)
- 違反時の取り決め:口外や接触禁止に違反した場合の違約金・損害賠償など(抑止のため)
ここでの注意点は、「強い条項を入れれば絶対にバレない」わけではないことです。秘密保持は抑止力になりますが、相手が感情的に暴走すれば、現実には被害が出る可能性があります。だからこそ、次章で述べるように、初動で“暴走させにくい設計”を作ることが重要です。
相殺・求償・四者和解をどう組み合わせるかは、あなたの状況(配偶者が知っているか/離婚するか)によって最適解が変わります。より具体的に「請求された側が、家族バレを避けつつ終結させる設計」を知りたい方は、ダブル不倫で慰謝料を請求された側の初動・家族バレ防止も参考にしてください。
家族・職場にバレないための現実的な対策
ダブル不倫で慰謝料を請求された方から最も多い不安のひとつが、「配偶者や子ども、職場に知られたくない」というものです。結論として、100%の保証はできませんが、初動と設計次第で、発覚リスクを大きく下げることは可能です。
ダブル不倫は関係者が多い分、情報が漏れるルートも増えます。だからこそ、「口止めして終わらせる」という発想だけでは足りません。重要なのは、発覚ルートそのものを減らし、相手が暴走しにくい枠組みで交渉を進めることです。
まず知っておくべき「バレるルート」
家族バレ・職場バレが起きる典型ルートは、だいたい次のどれかです。
- 直接連絡:相手配偶者が自宅へ電話、郵便、訪問をする/あなたの配偶者に連絡する
- スマホ・SNS:通知、通話履歴、メッセージ、写真、SNSの相互フォロー等から発覚
- お金の動き:家計口座からの振込、クレカ明細、ATMの履歴、まとまった現金移動
- 職場・取引先:同じ職場・関係者の噂、相手の怒りによる連絡、社用メール等
- 不倫当事者同士の温度差:別れ話がこじれ、暴露や脅しに発展する
このうち「直接連絡」と「温度差からの暴走」は、初動で対策が間に合うことが多い一方、放置すると一気に危険度が上がります。
原則:当事者間の直接やり取りを減らし、窓口を一本化する
秘密で解決したいほど、当事者同士の直接連絡はリスクになります。相手の感情が高ぶっていると、謝罪のつもりの電話が録音されたり、「誠意がない」と解釈されて拡散行動に出られたりすることがあるからです。
そこで現実的に効くのが、連絡窓口の一本化です。具体的には、弁護士を窓口にし、相手からあなたへの直接連絡を減らしつつ、交渉を「書面ベースで淡々と」進める形に寄せます。これにより、次のメリットが出ます。
- 自宅やスマホへの連絡回数が減り、家族に見られる機会が減る
- 交渉が記録化され、「言った/言わない」の炎上が起きにくい
- 過剰な要求(職場への連絡、土下座、退職強要など)を整理しやすい
- 相手の暴露・脅しが出た場合に、早期にブレーキをかけやすい
「弁護士を入れると相手が怒るのでは」と心配する方もいますが、秘密解決を優先するなら、むしろ“感情のぶつかり合いを起こさない”という意味で有効なことが多いです。
秘密で解決したい人ほど、最初の一手(誰が誰に連絡するか)が重要です。直接謝罪や直接交渉は、誠意よりも「発覚ルート」を増やす結果になりやすいので注意してください。
「秘密保持条項」は万能ではないが、入れないよりは圧倒的に良い
家族や職場に知られたくない場合、示談書(合意書)には通常、秘密保持条項(口外禁止)を検討します。これは「第三者に口外しない」「SNSに投稿しない」「職場に連絡しない」といった趣旨の条項です。
ただし、秘密保持条項は、次の点を理解したうえで使う必要があります。
- 法的に当然に“完全封じ”できるわけではない:たとえば弁護士相談や裁判手続まで禁止することは現実的ではありません(例外を設けるのが通常です)。
- 相手の暴走を100%止めるものではない:それでも、後日の責任追及がしやすくなり、抑止力になります。
- 違約金などの設計が重要:口外禁止に実効性を持たせるには、違反時の取り決めをどうするかがポイントになります。
“秘密保持さえ入れれば安心”と考えるのではなく、前述の「窓口一本化」「直接連絡の遮断」「交渉の記録化」と組み合わせて、リスクを下げる発想が重要です。
支払い方法・分割・「家計に残る痕跡」をどう扱うか
家族バレの実務的な原因として、意外に多いのがお金の痕跡です。特に、家計を共同管理している場合、突然の大きな出費や振込履歴は目に入りやすく、説明に窮します。
ただし、ここは安易に「隠して払う」方向に走ると、別のリスク(虚偽説明による夫婦関係悪化、二次トラブル、違法な資金移動と疑われる等)につながることもあります。現実的には、次のように整理すると安全です。
- 支払期限の調整・分割:急いで一括で払う必要があるのか、交渉で調整できる余地があるのかを見極める
- 支払い経路:家計口座や共有カードなど、家族が見やすい経路を避ける必要があるかを整理する(具体策は状況により異なる)
- 支払いと引き換えに何を得るか:秘密保持・接触禁止・清算条項など、支払いとセットで“終結の設計”を必ず取りにいく
このあたりは、あなたの家庭状況(配偶者が知っている/知らない、離婚する/しない)によって最適解が違います。具体的な進め方は、ダブル不倫で慰謝料を請求された側の初動・家族バレ防止で詳しく解説しています。
暴露・脅し・職場凸など「二次トラブル」の芽が出たら、すぐに記録して止める
ダブル不倫では、別れ話のこじれや感情の爆発から、次のような二次トラブルが起きることがあります。
- 「払わないなら家族に言う」「会社に行く」などの脅し
- SNSや周囲への暴露(名誉毀損・プライバシー侵害になり得ます)
- 自宅訪問や職場への連絡(エスカレートすると生活破壊に直結)
こうした言動が出たら、感情で対抗しないことが重要です。やり取りを続けるほど相手の興奮が上がることがあります。まずは、スクリーンショット・録音などで記録を確保し、窓口を一本化して、違法なラインを越えさせない対応を検討します。
相殺・求償・四者和解の論点とも絡みますが、秘密解決を狙うほど「第三者(弁護士)を介在させる意味」が大きくなる場面があります。必要に応じて、ダブル不倫の相殺・求償権も併せて整理しておくと、交渉での判断がブレにくくなります。
次に、妊娠が絡む場合について、慰謝料以外に増える論点を整理します。
妊娠が絡むと何が変わる?
ダブル不倫で妊娠が絡むと、問題が慰謝料だけにとどまらなくなりやすいです。理由は単純で、妊娠・出産が関わると、「親子関係」「養育費」「認知」「戸籍」など、生活と将来に直結する論点が増えるからです。
また、妊娠は発覚リスクとも強く結びつきます。金銭のやり取りだけでなく、通院や周囲への説明が必要になり、秘密で進める難易度が上がりやすい点にも注意が必要です。
妊娠が絡む主なパターン(まずは地図だけ)
妊娠が絡むケースは、実際にはいくつかのパターンに分かれます。ここでは、迷子にならないための「地図」だけ示します。
- 不倫相手(既婚女性)が妊娠し、あなた(既婚男性)が父親の可能性がある:婚姻中の出産は、法律上の父子関係の扱いが問題になりやすく、慰謝料以外の争点が大きく膨らみます。
- あなた(既婚女性)が妊娠し、不倫相手(既婚男性)が父親の可能性がある:あなたの夫婦関係・離婚の有無・秘密保持の難易度が大きく変わります。
- 妊娠をきっかけに不倫が発覚した/妊娠に関するやり取りが証拠化した:慰謝料交渉の局面でも、悪質性や影響の評価に関わり得ます。
妊娠が絡むと、ダブル不倫の「4人関係」に、将来的には子ども(当事者ではない第三者)が関わる可能性も出ます。そうなると、単に「お金で終わらせる」ではなく、今後の責任(養育費など)や、当事者の人生設計が問題になります。
慰謝料への影響:単純な増額要因ではないが、争点が増えやすい
妊娠があるからといって、直ちに「慰謝料が必ず跳ね上がる」と決まるわけではありません。慰謝料の評価は、期間・悪質性・離婚の有無など総合考慮が基本で、妊娠はその一事情として扱われます。
ただし現実には、妊娠が絡むと次の理由で紛争が重くなりがちです。
- 発覚・離婚に直結しやすい:妊娠により夫婦関係が決定的に破綻し、離婚に至ると、結果として慰謝料が大きく争われやすいです。
- 当事者の感情が激化しやすい:「家庭を壊された」という評価が強まり、交渉が硬直しやすい傾向があります。
- 慰謝料以外の支払いが混ざりやすい:出産費用、養育費、認知などの話が同時進行し、整理しないと破綻します。
請求された側としては、「妊娠の話が出たから、とにかく要求どおりに払う」という反応は危険です。妊娠の事実確認や、どの名目の支払いなのか(慰謝料なのか、別の費用なのか)を分けて整理しないと、後で紛争が増えることがあります。
妊娠が絡む場合ほど、早めに“全体設計”を作る必要がある
妊娠が絡むケースでは、秘密保持・早期終結・金額調整といった通常の論点に加えて、将来の責任が問題になります。とくに、婚姻中の父子関係の扱いなどは一般の方が独力で整理するのが難しい場面があるため、早い段階で専門家を交えて「どこが争点で、どこを先に決めるか」を設計することが重要です。
妊娠が絡む場合の具体的な論点(父子関係・養育費・認知・秘密解決の限界など)については、ダブル不倫で妊娠が絡む場合で詳しく解説しています。
ここまでで、ダブル不倫で請求された側がつまずきやすい「初動」「減額」「清算(相殺・求償・四者和解)」「バレない対策」「妊娠の論点」を整理しました。次は、請求する側の基本や、全体の疑問をまとめて整理していきます。
慰謝料を請求する側のポイント:ダブル不倫は「請求の設計」も難しい
ここまでは主に「慰謝料を請求された側(不倫した側)」を中心に整理しましたが、ダブル不倫では、あなたが被害配偶者側(請求する側)に立つこともあります。あるいは「配偶者が被害者側で、自分も対応に巻き込まれる」こともあります。
ダブル不倫で請求する側が難しいのは、一般の不倫と違って相手の家庭(相手配偶者)にも利害があり、請求が“反対側から返ってくる”ことがあるためです。感情だけで動くと、慰謝料は増えるどころか、紛争が拡大し、離婚・職場トラブル・名誉毀損などの別問題に飛び火することもあります。
「誰に」「何の名目で」請求するかを先に整理する
ダブル不倫では、請求の相手が複数になり得ます。まずは、次の区別をつけるのが安全です。
- 不倫慰謝料(不貞慰謝料):不貞行為によって受けた精神的苦痛への損害賠償。原則として、不倫相手(第三者)に対して請求する。
- 離婚慰謝料:離婚に至った経緯に不法行為性がある場合に、離婚に伴って問題になる損害賠償(実務上は財産分与等と一体で調整されることも多い)。原則として、配偶者(夫婦内)との離婚条件として扱われる。
この違いが曖昧なまま「とにかく300万円払え」「夫(妻)にも相手にも同じだけ払え」と動くと、交渉の軸がブレて泥沼化しやすくなります。
請求の前に決めるべき3点:離婚・秘密・“相手配偶者への連絡”
請求する側(被害配偶者側)が最初に決めるべきなのは、金額よりも、次の3点です。
- 自分たちは離婚するのか/しないのか:離婚するなら、慰謝料だけでなく財産分与・親権・養育費などが同時進行になり、早期に「全体設計」が必要です。
- 相手家庭に“不倫を知らせる”のか:知らせれば相手夫婦が離婚に傾き慰謝料が争点化しやすい一方、こちらも反対側から請求される可能性が上がります。知らせないなら、秘密保持と接触禁止をどう担保するかが重要になります。
- 秘密(家族・職場に広げない)を優先するのか:秘密優先なら、要求を強くしすぎると相手が反発しやすく、結果として暴露リスクが上がることがあります。落とし所の作り方が変わります。
ダブル不倫は「正しさ」で押し切るより、目的(離婚するのか、家庭を維持するのか、秘密を守るのか)から逆算した方が、結果的に安全に解決しやすいです。
証拠と手続きは「一般の不倫」と共通。ただし“反撃”を見越して慎重に
請求する場合も、必要になるのは結局、一般の不倫と同じく「不貞行為を基礎づける証拠」と「交渉→書面化→(決裂なら)裁判」という流れです。
ただ、ダブル不倫では相手も既婚者で、相手も「こちらから請求する」「求償・相殺を持ち出す」「逆に名誉毀損だと言う」など、カードが増えがちです。だからこそ、請求の全体像は、まず不倫慰謝料の請求方法で基本構造を押さえた上で、ダブル不倫特有の論点(四者関係・清算・秘密保持)を上乗せしていくのが安全です。
なお、請求の方法として内容証明を使うことは多いですが、ダブル不倫では文言を間違えると「脅しだ」「職場に言うのか」などと受け取られ、火に油になることがあります。内容証明を受け取った側・送る側の双方で、内容証明・通知書対応も一度確認しておくと事故が減ります。
やってはいけない請求の仕方:職場凸・SNS暴露・脅し文句
ダブル不倫は感情が強く出やすい分、やり方を誤ると「慰謝料を取る」どころか、別の法的トラブル(名誉毀損、プライバシー侵害、脅迫・強要、業務妨害など)に変質しかねません。
たとえば、次のような行動はリスクが高いです。
- 相手の勤務先・取引先へ連絡して“社会的に制裁”しようとする
- SNSや周囲に不倫を言いふらす(証拠があっても違法になる場面があります)
- 「払わないなら家族に言う」「会社に行く」などの脅し文句で追い込む
請求する側でも、交渉のNG行動は共通します。迷ったら、不倫慰謝料を請求されたときのNG行動(※請求された側向けですが、交渉上の地雷は請求する側にも参考になります)を確認しておくと安全です。
ダブル不倫でよくある質問
最後に、ダブル不倫で特に多い疑問を、要点だけQ&A形式で整理します(詳細は本文中の該当箇所・リンク先で確認してください)。
ダブル不倫だと「慰謝料が2倍」になりますか?
必ず2倍になるわけではありません。ただし、ダブル不倫では慰謝料請求が“二方向”に発生し得るため、結果として「相手配偶者への支払い」と「自分の配偶者との離婚条件(離婚慰謝料等)」が重なり、負担が大きく見えることがあります。重要なのは、どの請求が現実に走っているのかを分けて整理することです。
「お互い様」だから相殺できますか?
法律上の相殺は、当事者関係のズレがあるため、当然に成立するとは限りません。一方で、交渉上は「紛争を拡大させないための調整材料」になり得ます。具体的には、ダブル不倫の相殺・求償権で整理しています。
四者和解(ゼロ和解)で“お金の行き来ゼロ”は可能ですか?
状況によっては可能です。特に、全員が不倫を把握しており、双方の夫婦が離婚せず、秘密保持を最優先する場合に「清算して終わらせる」選択として検討されます。ただし、口約束は危険なので、実現するなら書面で清算条項・秘密保持・接触禁止まで入れて“蒸し返し”を防ぐのが基本です。
自分の配偶者にバレずに解決できますか?
絶対の保証はできませんが、初動次第で発覚リスクを下げられることはあります。特に「相手との直接連絡を減らす」「窓口を一本化する」「秘密保持条項を入れる」などの設計が重要です。請求された側の初動は、ダブル不倫で慰謝料請求された方へで詳しく解説しています。
妊娠が絡むと、慰謝料だけの問題ではなくなりますか?
はい。妊娠が絡むと、父子関係・認知・養育費など、将来の責任に直結する論点が増えます。早めに「何を先に決めるか」の設計が必要です。概要はダブル不倫で妊娠が絡む場合で整理しています。
時効(請求期限)はありますか?
あります。いつから数えるか(起算点)で結論が変わることがあるため、早めの確認が重要です。詳細は不倫慰謝料の時効で確認してください。
まとめ:ダブル不倫は「4人の利害とゴール」を先に決めると解決が早い
ダブル不倫の慰謝料問題は、一般の不倫より複雑に見えますが、ポイントは一貫しています。結局は、誰が誰に何を求め、どこで終結させたいのかを整理できるかどうかです。
- 最初に「配偶者が知っている/知らない × 離婚する/しない」で利害を整理する
- 請求された側は、初動(窓口一本化・NG回避・証拠整理)で減額と秘密解決の可能性が変わる
- 相殺・求償・四者和解は“清算の道具”。法律論と交渉の落とし所を分けて考える
- 家族・職場バレは「連絡経路」と「お金の痕跡」が主因。ルートを減らす設計が重要
- 妊娠が絡むと慰謝料以外の論点が増えるため、早めの全体設計が必要
「いくら払うか(払わせるか)」だけに目が行くと、交渉はこじれやすいです。先に、あなたの優先順位(離婚回避、秘密保持、早期終結、金額)をはっきりさせてから、手順と落とし所を作っていくのが、結果として一番安全です。
坂尾陽弁護士
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