不倫慰謝料300万円は高い?相場レンジと「高すぎる」判断ポイント

「不倫慰謝料300万円を請求された(請求したい)。これって高い?妥当?」――300万円はインパクトが大きく、焦ってしまう方が少なくありません。

結論から言えば、不倫慰謝料の請求金額として300万円は妥当ですが、慰謝料相場として300万円はやや高い金額です。ポイントは請求金額と慰謝料相場を分けて考えることです。つまり、不倫慰謝料300万円を請求する/請求されることは多いですが、最終的に交渉・裁判を経て妥当な慰謝料金額に落ち着く(=相場)ということです。

もっとも、慰謝料は交通事故のように定額で決まるものではなく、離婚の有無、不倫期間・回数、悪質性(発覚後の対応を含む)などの事情の重なりで、妥当寄りにも高すぎにもなり得ます。

  • 不倫慰謝料300万円は「相場の中で高いのか」を判断する軸
  • 離婚しない場合に300万円が通りにくい理由と例外
  • 「減額300万」が見込める典型パターン(反論の方向性)
  • 請求側/請求された側それぞれの実務ポイント(サイン前に見る所)

300万円の妥当性は、数字だけで決め打ちできません。まずは“分岐点”を押さえて、あなたのケースがどこに当てはまるか確認しましょう。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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結論|300万円は「相場の上の方」だが、事情次第で妥当にも高すぎにもなる

不倫慰謝料の相場はケースで上下しますが、感覚としては次のように整理するとブレにくいです。

  • 離婚に至らない(婚姻継続)ケース:数十万円〜150万円程度に収まることが多い
  • 離婚に至った(または別居が固定化し、離婚が現実化した)ケース:150万円〜300万円程度が視野に入りやすい

つまり、**300万円は「離婚ありゾーンの上限寄り」**で、婚姻継続なら「高すぎる可能性が高い」側に寄りやすい、という位置づけです。

相場全体(増減要素の全体像)を先に押さえたい場合は、総論は別記事で整理しています。

不倫慰謝料の相場はいくら?離婚あり/なし・期間別の目安と増減要因

判断チャート|3つの質問で「高い/妥当寄り」をざっくり判定

300万円が「高いか」「妥当寄りか」を見るときは、まず次の3問で仕分けすると分かりやすいです(あくまで目安です)。

  • Q1:不倫が原因で離婚した(または別居が固定化して離婚が濃厚)?
  • Q2:不倫期間は長い(目安:1年以上)/回数も多い(反復している)?
  • Q3:同棲・半同棲、妊娠、発覚後も継続、挑発・嫌がらせ等の「悪質事情」がある?

判定の目安

  • YESが3つ重なるほど、300万円は妥当寄りになりやすい
  • Q1がNO(離婚しない)で、Q2・Q3の事情がなければ、300万円は高すぎる可能性が高い
  • Q1がNOでも、Q2・Q3が強烈(長期+同棲+悪質など)だと、300万円が争点になり得る
ポイント

300万円は「単発の事情」では通りにくく、離婚・長期化・悪質性など“増額要素の重なり”で現実味が出やすい金額です。

不倫期間・回数の見られ方(短期/長期・一度だけ)を詳しく知りたい方は、論点を分けて次の記事で確認できます。

不倫期間・回数で慰謝料相場はどう変わる?短期/長期・一度だけの目安

300万円が「妥当(通りやすい)寄り」になりやすい典型パターン

不倫慰謝料300万円が“妥当寄り”になりやすいのは、次のような方向の事情が揃うケースです。ここでは細かい相場論ではなく、「高額側に寄る型」に絞って整理します。

1)離婚に至った/別居が長期化している

不倫が夫婦関係へ与えたダメージが大きいと評価されやすく、300万円が争点になりやすい領域に入ります。

2)長期・反復(期間も回数も重い)

長い期間にわたって継続しているほど、精神的苦痛が大きい、偶発ではない(継続性が強い)と見られやすく、増額方向に働きやすいです。

3)同棲・半同棲など生活実態が深い

「交際」より踏み込んで生活が一体化していると、家庭破壊への寄与が大きいとして高額化しやすい傾向があります。

4)悪質性が強い(発覚後の対応を含む)

発覚後も関係継続、配偶者への挑発・口外・嫌がらせなどがあると、二次被害として重く評価され得ます。

この「高額側の典型パターン」を、500万円超など上限論まで含めて整理したい場合は、論点が別なので次の記事が参考になります。

不倫慰謝料の上限はいくら?高額(500万円超など)が認められやすい典型パターン

300万円が「高すぎる(減額余地が出やすい)」典型パターン

一方で、300万円が“高すぎる側”に寄りやすいのは、次のようなケースです。とくに検索でも多い「離婚しない 300万」は、ここが核心になります。

1)離婚しない(婚姻継続)+不倫期間が短い/回数が少ない

婚姻関係への影響が限定的と評価されやすく、300万円は上振れしすぎと判断される可能性が高くなります。

2)「不倫が離婚原因」という因果関係が薄い

別居が不倫前から始まっている、夫婦関係がすでに破綻に近かったなどの事情があると、慰謝料の評価が下がる方向に働くことがあります(事案により見られ方は変わります)。

3)悪質事情が乏しい(発覚後に清算・謝罪、再発防止ができている等)

悪質性が弱い場合は、高額化の根拠が薄くなりやすいです。

4)請求額の“作り方”が荒い(内訳不明・根拠不明)

「慰謝料300万円」と言いながら、実は調査費用や弁護士費用等が混在していることがあります。総額が大きいときほど、まず内訳確認が重要です。

注意

300万円を請求された側は、金額だけで判断して示談書にサインしないでください。事実の前提(期間・回数・離婚との関係)と、条項(清算条項、接触禁止、違約金など)を確認してからでも遅くありません。

請求する側・請求された側の実務ポイント(減額300万/妥当300万の見極め)

ここでは「判断の型」を、実際の動き方に落とし込みます。細かい計算手順は別記事に委ね、300万円に絞って要点だけまとめます(参考:不倫慰謝料の計算方法)。

請求する側(300万円を目標にしたい側)

300万円を狙うなら、「高額側の事情がどれだけ重なっているか」を説明できる材料が鍵です。

  • 離婚・別居の経緯と、不倫との時間的なつながり(時系列)
  • 期間・回数・生活実態(同棲/半同棲、宿泊頻度、生活費負担など)
  • 悪質性(発覚後も継続、挑発・口外など)
  • 被害の具体性(精神的苦痛の具体、生活への影響など)

請求された側(慰謝料 減額 300万を考える側)

減額の見通しは、「高額の根拠」を崩せるかで決まりやすいです。着眼点は次のとおりです。

  • そもそも離婚していない/別居固定ではない(Q1がNO)
  • 期間・回数が盛られていないか(根拠の確認)
  • 夫婦関係の状況(不倫前の別居・破綻の事情など)
  • 悪質事情とされる事実が本当にあるか(切り取りに注意)
  • 内訳が混ざっていないか(慰謝料と他費目の区別)

計算方法(相場の組み立て)をもう一段具体化したい場合は、次の記事で手順を整理しています。

不倫慰謝料はいくら?計算方法と影響する要素を詳しく解説

また、「その金額は適正か」「請求/減額をどう進めるか」を全体設計で確認したい場合は、こちらが入口になります。

不倫慰謝料の相場はいくら?離婚あり/なし・期間別の目安と増減要因

まとめ

不倫慰謝料300万円は、相場の中で“高額寄り”ですが、離婚・長期化・悪質性などの重なりで妥当にも高すぎにもなります。

  • 300万円は相場の上の方。とくに「離婚しない 300万」は高すぎる側に寄りやすい
  • 判断は「離婚(別居固定)/期間・回数/悪質性・同棲等」の3点セットで見る
  • 高額が通りやすいのは、増額事情が同じ方向に複数重なるケース
  • 請求された側は、サイン前に前提事実と条項を精査し、減額の根拠を整理する

関連記事・次に読むべき記事

「300万円=必ず高すぎる/必ず妥当」とは限りません。まずは判断チャートで位置づけを確認し、争点(離婚・期間回数・悪質性)を整理してから交渉に入るのが安全です。

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