ダブル不倫がバレた、又は不倫相手から「配偶者に知られた」と聞いた直後は、慰謝料や離婚の不安だけでなく、「自分の配偶者にまで知られるのではないか」「職場に連絡されるのではないか」という不安が一気に出てきます。
この段階で大切なのは、すぐに謝ることでも、すぐに否定することでも、すぐにお金を払うことでもありません。まずは、誰に何が知られているか、どの証拠をもとに話が進んでいるか、今後どの方向に広がりそうかを整理することです。
ダブル不倫は、あなた、あなたの配偶者、不倫相手、不倫相手の配偶者という最大4人の問題に広がります。相手の配偶者だけが知っている段階と、自分の配偶者も知っている段階では、初動の優先順位が変わります。この記事では、ダブル不倫がバレた直後に、慰謝料・離婚・家族バレ・職場バレを悪化させないための初動を整理します。
- ダブル不倫がバレた直後は、まず「相手の配偶者だけが知っているのか」「自分の配偶者が知っているのか」を分けて考えます。
- 呼び出し、直接謝罪、長文LINE、即サイン、即送金は、家族バレや高額請求を悪化させる原因になりやすいです。
- 相手の配偶者だけにバレている場合は、自分の配偶者に広げないための連絡窓口・送付先の設計が重要です。
- 自分の配偶者にバレた場合は、怒りに任せて不倫相手側へ連絡し、問題を四者化させないことが大切です。
- すでに慰謝料請求書や内容証明が届いている場合は、初動だけでなく減額・示談条項・秘密保持の検討が必要です。
坂尾陽弁護士
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

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ダブル不倫がバレた直後は「誰に何が知られているか」を確認する
ダブル不倫がバレた直後は、気持ちの整理より先に、状況の整理が必要です。不倫相手から「妻にバレた」「夫に見つかった」と連絡が来ただけなのか、不倫相手の配偶者からあなたに直接連絡が来ているのか、自分の配偶者から問い詰められているのかで、取るべき対応は変わります。
通常の不倫であれば、主な関係者は「不倫をした配偶者」「不倫された配偶者」「不倫相手」の3人です。これに対して、ダブル不倫では不倫相手にも配偶者がいます。そのため、片方の夫婦だけで終わると思って対応していると、もう一方の夫婦に情報が伝わり、慰謝料請求や離婚問題が二方向に広がることがあります。
まずは、次のように段階を分けてください。
- 不倫相手から「配偶者にバレた」と聞いた段階:まだ相手の配偶者の認識や証拠の内容が分からないため、確認不足のまま動かないことが重要です。
- 不倫相手の配偶者から直接連絡が来た段階:慰謝料、謝罪、呼び出し、住所開示などの要求が出やすく、自分の配偶者に広がるリスクもあります。
- 自分の配偶者に知られた段階:家庭内の説明、離婚・別居の有無、不倫相手側への連絡をどう止めるかが重要になります。
- 双方の配偶者に広がった段階:慰謝料請求が二方向になり、相殺・求償・四者和解の検討が必要になることがあります。
この整理をせずに、「とにかく謝りたい」「否定したい」「相手に連絡して確認したい」と動くと、相手の怒りを強めたり、証拠を増やしたり、知られていなかった配偶者にまで話が広がったりします。
「相手の配偶者だけが知っている」のかを最初に見る
ダブル不倫で特に多いのは、不倫相手のスマホやLINEを見た相手の配偶者が先に気づき、その後に不倫相手からあなたへ「バレた」と連絡が来るケースです。この場合、あなたの配偶者はまだ知らないことがあります。
この段階では、相手の配偶者との接触を増やさないことが大切です。あなたが直接電話をしたり、謝罪文を送ったり、呼び出しに応じたりすると、あなたの住所、勤務先、家族構成、配偶者に知られたくない事情などを相手が把握しやすくなります。
相手の配偶者だけが知っている段階では、「誠意を見せる」こと自体を否定する必要はありません。ただし、誠意の出し方を間違えると、かえって相手に有利な証拠や交渉材料を渡すことになります。謝罪や説明は、範囲・方法・タイミングを整理してから行うべきです。
「自分の配偶者が知っている」場合は家庭内対応と拡大防止を分ける
自分の配偶者にダブル不倫がバレた場合、家庭内では謝罪や説明を求められ、同時に「不倫相手の配偶者にも知らせる」「相手の家に電話する」「会社に言う」など、外部に広げる行動が出ることがあります。
このとき、家庭内の説明と、不倫相手側への連絡は分けて考える必要があります。自分の配偶者に対して、事実関係を一切説明しないまま放置すると、怒りや不信が強まりやすいです。他方で、自分の配偶者の怒りに押されて、不倫相手や相手の配偶者へ感情的に連絡すると、問題が一気に四者化します。
自分の配偶者にバレた直後は、まず「不倫関係を続けない」「相手側へ勝手に連絡しない」「証拠や連絡記録を消さない」という最低限の線を守りつつ、家庭内でどこまで説明するか、相手側との連絡窓口をどうするかを整理してください。
証拠の内容は「ある・ない」ではなく「何を示すか」で見る
発覚直後は、「LINEを見られた」「写真がある」「ホテルの領収書がある」「探偵をつけられたらしい」など、証拠に関する断片的な話が出ます。ここで重要なのは、証拠があるかないかを感情的に決めつけることではなく、その証拠が何を示しているのかを冷静に見ることです。
たとえば、親密なLINEがあるだけなのか、ホテル利用や宿泊を示す資料があるのか、肉体関係を推認させる写真ややり取りがあるのかで、慰謝料請求の見通しは変わります。また、証拠の内容によって、謝罪の仕方、否認する範囲、示談交渉の進め方も変わります。
この段階で、スマホの履歴や写真を慌てて削除するのは避けるべきです。削除しても相手側にスクリーンショットやバックアップが残っていることがありますし、削除した事実自体が「隠している」と受け取られ、相手の態度を硬化させることがあります。通常不倫を含む発覚直後の一般的な初動は、不倫がバレた直後にやるべきことでも整理していますが、ダブル不倫ではさらに4者関係を意識する必要があります。
ダブル不倫がバレる主なきっかけ
「ダブル不倫がバレたらどうなるか」を考えるときは、発覚後の対応だけでなく、どこから発覚したのかも重要です。発覚のきっかけによって、誰がどの情報を持っているか、次にどこへ広がりやすいかが変わるからです。
ただし、この記事の主戦場は、発覚原因の分析ではなく発覚直後の初動です。ここでは、実務上よく問題になりやすい発覚経路を、初動判断に必要な範囲で整理します。
スマホ・LINE・DM・通知からバレる
最も多いのは、スマホやLINE、DM、通知履歴から発覚するケースです。ダブル不倫では、不倫相手の配偶者が相手のスマホを見て気づき、その後にあなたへ連絡が来ることがあります。あなたのスマホではなく、不倫相手側の端末から発覚するため、自分では管理できないところから一気に問題が始まる点に注意が必要です。
LINEやDMには、会う約束、ホテルや旅行の話、親密な呼び方、写真、位置情報などが残っていることがあります。たとえ肉体関係を直接示す文言がなくても、やり取り全体から関係性を推測され、慰謝料請求や謝罪要求につながることがあります。
この場合、不倫相手に「消して」「否定して」「こう説明して」と連絡したくなるかもしれません。しかし、その連絡自体が相手配偶者に見られたり、転送されたり、録音されたりすることがあります。口裏合わせのように見える連絡は、初動で特に避けるべきです。
行動の変化・出費・写真・位置情報からバレる
帰宅時間が遅くなった、休日の外出が増えた、スマホを手放さなくなった、カード明細や交通系ICの履歴に不自然な動きがある、といった事情から疑われることもあります。写真、レシート、宿泊履歴、カーナビ履歴、位置情報アプリなどが組み合わさると、発覚後の説明が難しくなることがあります。
ダブル不倫では、あなた側の行動の変化だけでなく、不倫相手側の行動の変化からも発覚します。つまり、自分が気をつけていたとしても、不倫相手の家庭内で疑いが強まり、そこからあなたへ連絡が来ることがあるのです。
発覚原因が行動履歴や出費の場合は、相手がどこまで把握しているかを確認しないまま詳細な説明をすると、後から矛盾が出やすくなります。まずは、いつ、誰から、どの資料を根拠に、何を言われているのかをメモ化してください。
職場・知人・同僚経由でバレる
同じ職場、取引先、趣味のコミュニティなど、共通の人間関係がある場合は、目撃や噂から発覚することがあります。特に職場のダブル不倫では、出勤時間、退勤時間、出張、社用連絡、上司部下関係などが絡み、家庭だけでなく職場へ波及しやすくなります。
職場経由でバレた場合、単に慰謝料の問題だけでなく、会社への連絡、上司・人事への説明、退職・異動要求、接触禁止条項などが問題になることがあります。職場のダブル不倫の慰謝料・退職要求・接触禁止の詳細は、職場のダブル不倫の解決の注意点で扱うのが主戦場です。この記事では、職場に広げないための初動に絞って説明します。
内容証明・弁護士通知・呼び出しで一気に現実化する
「バレたかもしれない」という不安の段階から、相手の配偶者や弁護士からの通知で一気に現実化することもあります。内容証明郵便、弁護士名義の通知書、電話、LINE、メール、SNSメッセージなど、連絡手段はさまざまです。
この段階で注意すべきなのは、連絡の内容をひとまとまりで受け取らないことです。相手の連絡には、慰謝料の請求、謝罪の要求、会って話す要求、配偶者への暴露を示唆する発言、職場への連絡をほのめかす発言などが混ざることがあります。
すでに慰謝料請求書や内容証明が届いている場合は、発覚直後の初動だけでなく、請求額の妥当性、減額事情、示談条項、求償権、秘密保持を検討する段階です。その場合は、ダブル不倫で慰謝料請求された場合の対応をあわせて確認してください。
相手の配偶者だけにバレた場合の初動
ダブル不倫がバレた直後で最も慎重な対応が必要なのは、不倫相手の配偶者だけが知っていて、自分の配偶者はまだ知らないという場面です。この段階で対応を誤ると、慰謝料請求だけでなく、自分の家庭への発覚、職場への波及、過大な要求につながりやすくなります。
この場面での目標は、「絶対にバレないようにする」ことではありません。そのような保証はできません。現実的な目標は、相手の配偶者の怒りをこれ以上刺激せず、連絡ルートを整理し、家族や職場へ広がる経路を減らすことです。
呼び出しにすぐ応じない
相手の配偶者から、「今すぐ来い」「直接謝れ」「家族に言われたくなければ会って話せ」と言われることがあります。焦って応じたくなるかもしれませんが、発覚直後の直接面談は慎重に考えるべきです。
直接会うと、録音される、謝罪文を書かされる、その場で金額を約束する、住所や勤務先を聞かれる、スマホを見せるよう求められるなど、想定外の展開になりやすいです。相手の怒りが強い場面では、冷静な話し合いにならず、後で撤回しにくい言動が残ることもあります。
呼び出しを断ることと、相手を無視することは違います。「内容を確認して、改めて連絡します」「直接面談ではなく、まずは書面でご連絡ください」など、短く事務的に返す方が安全な場面があります。
謝罪をする場合でも、面談の有無、謝罪の相手、謝罪文の内容、慰謝料や接触禁止との関係を整理してから行うべきです。謝罪は大切ですが、発覚直後にその場の勢いで詳細な事実関係まで認める必要があるとは限りません。
不倫相手との口裏合わせをしない
相手の配偶者だけにバレた場合、不倫相手に連絡して「何を話したのか」「どう説明したのか」「自分の配偶者には言わないでほしい」と確認したくなります。しかし、発覚直後の不倫相手との連絡は、特に危険です。
相手のスマホはすでに配偶者に見られている可能性があります。あなたが送ったメッセージがそのまま転送されたり、スクリーンショット化されたり、相手配偶者の怒りを強める材料になったりします。内容によっては、口裏合わせ、証拠隠し、反省していない態度と受け取られることもあります。
必要な連絡がある場合でも、感情的な長文、証拠削除の依頼、虚偽説明の打合せ、相手配偶者への対応指示は避けてください。連絡を完全にゼロにできない事情があるとしても、少なくとも「記録に残る」「第三者に見られる」前提で、必要最小限にするべきです。
自分の配偶者に広げないために連絡窓口を整える
相手の配偶者だけが知っている段階では、家族バレを防ぎたいという気持ちが強くなります。ただし、「家族に言わないでください」と相手に直接頼み込むだけでは、かえって弱みを握られた形になり、慰謝料額や要求がエスカレートすることがあります。
現実的には、相手との連絡窓口、連絡手段、郵送先、回答期限を整理することが重要です。自宅への郵便、家族の前での電話、勤務先への連絡が起きると、本人の意思に関係なく発覚することがあります。
家族や職場に知られずに終えたい場合は、単に「秘密にしてほしい」と頼むのではなく、連絡・郵送・示談条項を設計する必要があります。家族・職場に知られないように進めた具体的な対応イメージは、W不倫を家族・職場に知られずに終えた解決事例でも整理しています。
もっとも、弁護士が入れば必ず家族や職場に知られないという意味ではありません。相手の行動、証拠の内容、すでに広がっている情報、今後の手続によってリスクは変わります。重要なのは、発覚直後に自分で連絡を増やしてしまい、コントロールできるはずだった経路まで広げないことです。
金額・謝罪・接触禁止をその場で決めない
相手の配偶者から、慰謝料の金額、支払期限、謝罪文、接触禁止、違約金、配偶者への報告、職場への説明などを求められることがあります。このとき、早く終わらせたい一心で、その場で「払います」「会いません」「何でもします」と答えるのは危険です。
慰謝料額は、不貞の有無、期間、回数、婚姻期間、夫婦関係、離婚の有無、発覚後の対応などで変わります。相手の怒りが強いからといって、請求額がそのまま妥当になるわけではありません。また、接触禁止や違約金も、内容が広すぎると日常生活や職場での行動に過度な制約が出ることがあります。
発覚直後に必要なのは、最終合意ではなく、いったん立ち止まる時間を確保することです。受領の連絡はしても、金額・支払方法・謝罪文・違約金・職場対応まで同時に約束しないようにしてください。
自分の配偶者にバレた場合の初動
自分の配偶者にダブル不倫がバレた場合は、まず家庭内の対応と、不倫相手側への対応を分けて考える必要があります。配偶者に責められている最中に、不倫相手へ連絡したり、不倫相手の配偶者へ先回りして説明したりすると、かえって問題が広がることがあるためです。
自分の配偶者が知っている段階では、「離婚になるのか」「慰謝料を請求されるのか」「相手の家庭にも知らせるのか」という話が一気に出ることがあります。しかし、発覚直後は、事実関係、証拠、夫婦関係、相手方への連絡の要否が整理できていないことが多く、その場で結論を出すと後から修正しにくくなります。
家庭内の説明と相手方への対応を分ける
配偶者に知られた直後は、謝罪や説明を求められることがあります。ここで大切なのは、家庭内で何を説明するかと、不倫相手側へどう対応するかを混ぜないことです。
- 家庭内の説明では、いつから、誰と、どの程度の関係だったのか、今後関係を続けるつもりがあるのかが問題になります。
- 相手方への対応では、不倫相手の配偶者が知っているのか、相手から連絡が来ているのか、慰謝料請求や呼び出しがあるのかが問題になります。
- 今後の拡大防止では、自分の配偶者が相手方に直接連絡するのか、職場や家族に話が広がるおそれがあるのかを確認します。
配偶者に対して誠実に向き合うことは重要ですが、相手方への連絡方針までその場で決める必要はありません。たとえば、配偶者から「今すぐ相手に電話して」「相手の家族にも言う」と言われた場合でも、感情的な電話やSNSでの連絡は、録音・スクリーンショット・新たな暴露のきっかけになり得ます。
不倫相手への連絡は一度止める
自分の配偶者にバレたとき、不倫相手へ「こちらもバレた」「そっちは大丈夫か」「配偶者に言わないでほしい」と連絡したくなることがあります。しかし、その連絡は、不倫関係の継続、口裏合わせ、証拠隠しと受け取られる可能性があります。
特にダブル不倫では、不倫相手のスマホも相手の配偶者に見られている可能性があります。こちらから送ったメッセージが、相手の配偶者の手元に残り、慰謝料請求や職場への波及の材料になることがあります。
必要な連絡があるとしても、発覚直後は、長文の弁解、削除依頼、虚偽説明の相談、相手配偶者への対応指示は避けるべきです。どうしても連絡が必要な場合は、感情的な言葉を避け、記録に残ることを前提に、必要最小限の事務的な内容にとどめます。
離婚・別居・慰謝料の話をその場で決めない
配偶者から「離婚する」「家を出ていけ」「慰謝料を払え」「相手にも請求する」と言われることがあります。発覚直後の配偶者の怒りは当然ですが、離婚、別居、慰謝料、財産分与、親権、住宅ローンなどは、それぞれ別の判断が必要です。
不貞があったとしても、慰謝料額や離婚条件がその場で自動的に決まるわけではありません。婚姻期間、未成年の子どもの有無、夫婦関係、不貞期間、離婚の有無、発覚後の対応などによって、話し合うべき内容は変わります。
また、配偶者が不倫相手や不倫相手の配偶者に請求する場合も、こちらの家庭だけで完結しません。ダブル不倫では、相手方の家庭にも配偶者がいるため、こちらの配偶者の行動が、相手配偶者からこちらへの請求や、双方の家庭への連絡に発展することがあります。
配偶者が相手方へ連絡しそうな場合は拡大防止を優先する
自分の配偶者が、不倫相手に直接電話する、不倫相手の配偶者に知らせる、勤務先に連絡する、SNSに書くといった行動に出ようとすることがあります。この場合、単に「やめてほしい」と頼むだけでは足りないことがあります。
まずは、相手方に連絡した場合に何が起きるかを整理します。相手方の配偶者がまだ知らない場合には、その連絡で相手方の家庭にも発覚します。相手方の配偶者がすでに知っている場合には、双方の配偶者同士の連絡になり、慰謝料請求や離婚問題が一気に四者関係へ広がります。
配偶者の怒りを抑え込もうとするのではなく、「誰に、何を、どの範囲で、どの手段で伝えると、どのリスクがあるか」を分けて説明し、感情的な直接連絡ではなく、必要な範囲で書面や代理人を通じて整理する方向へ持っていくことが重要です。
双方の配偶者に広がった場合・広がりそうな場合の考え方
ダブル不倫がバレた直後に、双方の配偶者が同時にすべてを把握しているケースは多くありません。しかし、相手の配偶者だけが知っている段階から、自分の配偶者に連絡されることもあります。反対に、自分の配偶者だけが知っている段階から、相手方の家庭へ話が広がることもあります。
双方に広がった場合は、通常の不倫よりも、感情面と法律面が複雑になります。あなたの配偶者は不倫相手に請求したいと考えるかもしれませんし、不倫相手の配偶者はあなたに請求したいと考えるかもしれません。さらに、双方の夫婦が離婚するのか、離婚しないのかによって、解決方法も変わります。
4人の利害は同じではない
双方の配偶者に広がった場合、4人全員が同じ方向を向いているわけではありません。誰が怒っているのか、誰が離婚したいのか、誰が家族や職場に知られたくないのか、誰が慰謝料請求を急いでいるのかが違います。
- あなたは、自分の配偶者との関係と、相手配偶者からの請求の両方を気にする立場になります。
- あなたの配偶者は、不倫相手への慰謝料請求や、離婚・別居を考える立場になります。
- 不倫相手は、自分の配偶者への説明と、あなたとの関係の清算を考える立場になります。
- 不倫相手の配偶者は、あなたへの慰謝料請求や、不倫相手との夫婦関係をどうするかを考える立場になります。
そのため、誰か1人の希望だけで全体が動くとは限りません。「お互い様だから慰謝料はなしでよいはず」「双方が離婚しないなら何もしなくてよいはず」と単純に考えると、片方の配偶者だけが強く請求してきた場合に対応が遅れます。
相殺・求償・四者和解は発覚直後に結論を急がない
双方の配偶者が知った場合、「お互いに請求し合うなら相殺できるのではないか」「4人で話し合って終わらせられないか」という話が出ることがあります。この視点は重要ですが、発覚直後に雑に処理すると、かえって不利な合意になることがあります。
たとえば、相殺できるかどうかは、誰が誰に対してどの請求権を持つのか、双方の婚姻関係や離婚の有無、慰謝料額の見通し、求償権をどう扱うかによって変わります。単に「こちらも既婚者だから同額で相殺」と決められるものではありません。
双方発覚後の相殺、求償権、ゼロ和解、四者和解の詳しい考え方は、ダブル不倫の相殺・求償権と四者関係の清算で整理しています。この記事では、発覚直後にやるべきこととして、まず当事者と請求関係を混同しないことを押さえてください。
妊娠・職場・同居関係がある場合は別の論点が増える
双方発覚に加えて、妊娠、同じ職場、上司部下、社宅、共通の知人、取引先、家族ぐるみの関係などがある場合は、慰謝料だけで終わらないことがあります。父子関係、認知、養育費、職場での接触禁止、退職要求、異動、周囲への説明など、別の論点が加わるためです。
特に妊娠が関係する場合は、誰の子どもか、出産するか、中絶するか、配偶者にどう説明するか、認知や養育費をどうするかが問題になります。ダブル不倫と妊娠が重なっている場合は、ダブル不倫で妊娠した場合の父子関係・養育費・慰謝料も確認してください。
職場が絡む場合も、発覚直後の記事だけで処理しきれません。業務上どうしても接触が残るのか、同じ部署なのか、退職や異動を求められているのか、会社へ連絡されそうなのかによって、合意内容を変える必要があります。
ダブル不倫がバレた直後にやってはいけないこと
発覚直後は、何か行動しないと悪化するように感じます。しかし、ダブル不倫では、動き方を誤るほど関係者が増え、証拠が増え、解決条件が重くなることがあります。ここでは、特に避けるべき行動を整理します。
証拠を削除する
LINE、写真、ホテルの利用履歴、決済履歴、位置情報、SNS、メールなどを慌てて削除するのは避けてください。削除しても、相手側にスクリーンショットやバックアップが残っていることがあります。削除の事実だけが残ると、証拠隠し、反省していない態度、口裏合わせの一部と見られることがあります。
証拠は、自分に不利なものだけでなく、関係の期間、頻度、別れた時期、脅しや暴露予告、過大請求、相手からの連絡内容を示す材料にもなります。消すのではなく、何が残っているかを整理し、必要に応じて保存しておく方が安全です。
口裏合わせや虚偽説明をする
不倫相手と「一度だけだったことにしよう」「肉体関係はなかったことにしよう」「相手から誘われたことにしよう」と打ち合わせることは危険です。そのやりとり自体が証拠になり、後で事実関係が崩れた場合に信用を失います。
発覚直後の説明は、すべてを詳細に話すべきという意味ではありません。しかし、事実と違う説明を積み重ねると、慰謝料交渉だけでなく、夫婦間の信頼回復や示談条件にも影響します。わからないこと、記憶が曖昧なことは、無理に断定しない方がよい場面があります。
住所・勤務先・家族の連絡先を安易に渡す
相手の配偶者から、住所、勤務先、家族の電話番号、配偶者の連絡先を聞かれることがあります。本人確認や請求のために連絡先が必要な場面はありますが、発覚直後にすべてを口頭やメッセージで渡す必要があるとは限りません。
自宅住所を伝えると、自宅宛ての郵便や突然の訪問につながることがあります。勤務先を伝えると、会社への電話や通告のリスクが高まることがあります。必要な連絡先をどう伝えるか、郵送先をどこにするか、誰を窓口にするかは、家族・職場への波及を防ぐうえで重要です。
暴露・会社連絡・SNS投稿で対抗する
相手から「家族に言う」「会社に言う」「SNSに書く」と言われると、こちらも言い返したくなることがあります。しかし、暴露に暴露で対抗すると、名誉毀損、プライバシー侵害、脅迫、業務妨害などの別問題が生じることがあります。
不倫の事実が真実であっても、第三者に広く伝えることが常に許されるわけではありません。暴露や晒しの違法性については、不倫をバラす行為の違法性でも整理しています。
勤務先への通告が問題となった事案では、東京地裁平成24年12月21日判決が、勤務先への通知行為についてプライバシー侵害等を理由に損害賠償責任を認めた部分があります。事案ごとの判断ですが、慰謝料請求のためであっても、会社への連絡が常に許されるわけではありません。会社への報告・通報を止めたい場合の考え方は、不貞行為を会社に報告された場合の対応も参考になります。
その場で示談書・誓約書に署名する
呼び出しの場で、謝罪文、念書、示談書、誓約書に署名を求められることがあります。内容を十分に確認せず署名すると、高額な慰謝料、広すぎる接触禁止、過大な違約金、家族や職場への説明義務などを負う可能性があります。
「署名すれば家族に言わない」と言われると応じたくなりますが、その約束が書面上どのように表現されているか、違反時の効果がどうなっているかを確認しなければ、かえって将来の火種になります。発覚直後は、署名よりも、内容を持ち帰って確認することを優先してください。
慰謝料請求や内容証明が来た場合は請求後対応に切り替える
この記事は、主にダブル不倫がバレた直後、慰謝料請求書や弁護士通知が届く前後の初動を扱っています。実際に内容証明郵便、弁護士名の通知書、慰謝料請求書が届いた場合は、発覚直後の対応から、請求後の対応へ切り替える必要があります。
請求書を受け取ったら確認すること
請求書が届いたら、すぐに支払うかどうかを決めるのではなく、まず内容を確認します。特に、誰から誰に対する請求なのか、どの事実を前提にしているのか、金額、支払期限、回答期限、連絡先、添付証拠の有無を見ます。
- 請求者は不倫相手の配偶者か、不倫相手本人か、弁護士か。
- 請求額はいくらで、どのような根拠が書かれているか。
- 離婚、別居、夫婦関係の悪化が主張されているか。
- 回答期限や支払期限が極端に短く設定されていないか。
- 自宅、勤務先、家族への連絡を示唆する記載があるか。
回答期限が迫っている場合でも、焦って全額支払う、長文で反論する、相手本人へ電話するという対応は避けるべきです。期限に間に合わない場合でも、まずは受領したこと、内容確認中であること、今後の連絡方法を短く伝える方が安全な場面があります。
減額交渉・示談条項は別の判断軸になる
慰謝料請求後は、発覚直後の「広げない初動」だけでなく、慰謝料額、支払方法、求償権、口外禁止、接触禁止、清算条項、違約金などを具体的に検討する段階になります。
特にダブル不倫では、相手配偶者に支払った後に、不倫相手へ求償できるのか、こちらの配偶者が不倫相手へ請求するのか、双方が離婚しない場合にどのように清算するのかが問題になります。ここを曖昧にしたまま示談すると、「払ったのに終わらない」「別の請求が残る」という状態になることがあります。
すでに慰謝料請求を受けている場合の減額、家族に知られにくい進め方、示談条項の設計は、ダブル不倫で慰謝料請求された場合の対応で詳しく整理しています。
支払えばすべて終わるとは限らない
慰謝料を払えば終わると思っていても、示談書に清算条項がない、口外禁止や接触禁止の範囲が曖昧、求償権の扱いが決まっていない、配偶者への請求関係が残っていると、後から別の問題が出ることがあります。
早く終わらせたい場合ほど、金額だけでなく、今後連絡しない範囲、第三者に話さない範囲、勤務先への連絡をしないこと、郵送先や連絡窓口、違約金の有無を確認する必要があります。示談は、支払額を決めるだけではなく、問題を終わらせるためのルールを決めるものです。
家族・職場に広げないために整理しておくこと
ダブル不倫がバレた直後の相談では、「慰謝料をいくらにするか」より先に、「これ以上、誰にどう広がるか」を整理することが重要です。家族や職場に絶対に知られないと保証することはできませんが、連絡経路や示談条件を整えることで、広がるリスクを下げられる場面はあります。
連絡ルートと郵送先を決める
相手方からの連絡が、自宅、勤務先、家族の電話、SNS、共通の知人を通じて来ると、本人が対応する前に周囲へ知られることがあります。発覚直後は、どの連絡先を使うのか、郵便をどこに送るのか、電話ではなくメールや書面にするのかを整理します。
弁護士が窓口になる場合には、相手方との連絡先や送付先を代理人宛てに切り替えられることがあります。もっとも、相手が必ずそれに従うとは限らないため、相手の性格、怒りの程度、すでに知っている情報、これまでの連絡内容を踏まえて、現実的な対応を考える必要があります。
謝罪と示談を分けて考える
謝罪は、発覚後の対応として重要です。ただし、謝罪をすることと、相手の請求額や条件をそのまま受け入れることは同じではありません。謝罪の方法、謝罪文の文言、面談の有無、慰謝料額、接触禁止条項は、それぞれ分けて検討します。
たとえば、謝罪文に詳細な事実関係をすべて書くと、後の交渉でその文言が前提になります。反対に、形式的すぎる謝罪は相手の怒りを強めることがあります。謝罪は、相手の感情を無視しないためのものですが、法的な合意内容まで不用意に広げないことが大切です。
口外禁止・接触禁止は守れる範囲で設計する
家族や職場に広げないためには、示談書で口外禁止、第三者への連絡禁止、誹謗中傷禁止、接触禁止などを定めることがあります。ただし、条項は強く書けばよいわけではありません。
たとえば、同じ職場で業務上の連絡が残るのに、例外のない接触禁止を入れると、現実に守れない条項になります。すでに配偶者が知っている場合に、配偶者への一切の説明まで禁止するような条項も、実務上問題になり得ます。守れない条項を入れると、違約金や再トラブルの原因になります。
家族・職場に知られないように進めるには、単に「口外しない」と書くだけでなく、誰に、何を、どの範囲で、どの例外を認めるのかを整理する必要があります。具体的な解決イメージは、W不倫を家族・職場に知られずに終えた解決事例も参考になります。
相談前に整理しておきたい情報
弁護士に相談する場合は、感情的な経緯をすべて話す前に、まず判断に必要な情報を整理しておくと、初動を決めやすくなります。
- 誰に知られているか。不倫相手の配偶者、自分の配偶者、双方の配偶者、職場、親族など。
- どの証拠があるか。LINE、写真、ホテル履歴、探偵調査、録音、目撃情報など。
- 相手方から何を求められているか。謝罪、面談、慰謝料、住所、勤務先、示談書など。
- 自分の配偶者がどこまで知っているか。離婚意思、相手方への連絡意思、慰謝料請求意思など。
- 職場や共通の知人に広がる可能性があるか。同じ勤務先、同じ部署、取引先、友人関係など。
この整理ができると、相手へすぐ返答すべきか、返答を保留すべきか、弁護士を窓口にした方がよいか、配偶者への説明を先に整えるべきかを判断しやすくなります。
まとめ
ダブル不倫がバレた直後は、慰謝料や離婚の不安から、すぐに謝罪、連絡、支払い、証拠削除をしたくなることがあります。しかし、ダブル不倫では、相手の配偶者と自分の配偶者という2人の配偶者が関わるため、初動を誤ると、家族・職場・双方の夫婦関係へ一気に広がります。
- 相手の配偶者だけにバレた場合は、自分の配偶者へ広がる経路を増やさないことが重要です。
- 自分の配偶者にバレた場合は、家庭内の説明と相手方への対応を分けて考えます。
- 双方に広がった場合は、4人の利害と請求関係を整理し、相殺や四者和解を急いで決めないようにします。
- 証拠削除、口裏合わせ、直接面談での署名、会社やSNSへの暴露は、問題を悪化させるおそれがあります。
- 慰謝料請求書や弁護士通知が届いた場合は、請求後対応に切り替え、金額だけでなく示談条項まで確認します。
発覚直後の目的は、すべてを一度に解決することではありません。まずは、誰に何が知られているかを整理し、連絡経路を増やさず、証拠や請求内容を確認し、家族や職場へ広がるリスクを下げることです。
坂尾陽弁護士
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