不倫慰謝料は相手の収入で変わる?低収入の場合の影響と対策を弁護士が解説

不倫慰謝料を請求したい方、あるいは現在請求されている方にとって、「収入は慰謝料の金額に影響するのか」「低収入の相手から本当に回収できるのか」などの疑問は深刻です。

本記事では、慰謝料の基本的な決定要素や、相手の収入によって金額や回収の難易度がどう変わるかをわかりやすく解説します。実際の裁判例(東京地裁昭和47年3月18日判決、東京地裁平成23年12月28日判決)も紹介しつつ解説します。

不倫慰謝料問題について実務経験が豊富な弁護士が分かりやすく解説します。これまで多数の不倫慰謝料問題を取り扱っており、不倫慰謝料に関する無料法律相談も行っております。不倫慰謝料について相談者からよく聞かれる点を踏まえて解説します。

本記事のポイント

  • 不倫慰謝料の算定基準と収入の関係
  • 低収入の不倫相手から慰謝料を回収する方法
  • 高額になりやすいケース・低額になりやすいケース
  • 実際の裁判例に見る慰謝料の金額と判断要素
  • 弁護士に相談するメリット・費用相場・無料相談のご案内

なお、「慰謝料を請求されたらまず確認すべきポイント」や「慰謝料を減額・拒否できるケース」については、別の記事で解説しています。本記事では請求される側の詳細対応策には踏み込みすぎず、請求する側・される側の両視点を簡潔にまとめております。

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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不倫慰謝料の基本的な決定要素

慰謝料の一般的な算定基準

不倫慰謝料の金額は、法律上の画一的な基準があるわけではなく、事例ごとに事情を考慮して決定されます。一般的には以下のような点が要素となります。

  • 婚姻期間:長年婚姻関係にあればあるほど、夫婦として積み重ねてきた生活が大きく、精神的苦痛の度合いも大きいと判断されやすい。
  • 不貞行為の期間・頻度:長期・頻繁な不倫ほど、慰謝料が高額になりやすい傾向があります。
  • 精神的苦痛の度合い:不倫によって生活環境が激変した、あるいは深刻な精神的ダメージを受けた場合など、状況により金額が上積みされることがあります。
  • 夫婦関係の破綻の有無:すでに破綻していた場合には、慰謝料が大きく減額されたり、認められないこともあるので重要な争点になります。

不倫慰謝料の一般的な相場についてはこちらの記事を参考にしてください。

不倫相手の収入が慰謝料に与える影響

それでは相手の収入は不倫慰謝料にどのような影響を及ぼすのでしょうか。慰謝料の一般的な算定要素に加えて、以下のような理由から相手の収入が慰謝料の金額に影響する可能性があります。

高収入の相手の場合

高額賠償が見込める可能性:高収入であること自体が慰謝料を増額させる直接の要因ではありません。しかし、不倫に至る経緯や交際のスタイル(豪華な旅行・贈り物など)が伴えば、「精神的苦痛」をより大きく評価される場合があります。

支払い能力が高い:一括払いが可能なケースが多く、示談交渉で早期決着が期待できる可能性があります。

穏便な解決を望む可能性:高収入の相手の場合は社会的地位が高いことが多いため、多少慰謝料を多めに支払っても穏便な解決を望むことも少なくありません。

低収入の相手の場合

減額される可能性:慰謝料の中心的な判断材料は被害者の精神的苦痛ですが、とくに示談交渉においては相手の支払能力は非常に重要な要素です。あまりにも高額を請求しても、相手に能力がない場合、回収が現実的でないケースがあります。

分割払いの検討が必須:低収入の相手の場合は慰謝料を一括で払えないくとも少なくありません。この場合、分割払いに合意してもらい、公正証書を作成しておくと強制執行しやすくなります。給与を差し押さえる方法が取れる場合もあるため、低収入相手でも少額ずつ継続的に回収可能となることがあります。

不倫相手の収入を裁判所はどのように考慮しているか

東京地裁昭和47年3月18日判決

夫側に対する不倫慰謝料請求事案で、80万円+遅延損害金が認められました。この金額は現代基準で見るとやや低めに映りますが、当時の夫婦の収入や家族状況が総合的に考慮されています。また、不倫関係が夫婦の破綻を最終的に決定づけた点が大きな判断要素とされました。慰謝料の算定において「収入等の事情」を考慮要素としている点が注目されます。

東京地裁平成23年12月28日判決

不倫相手に対し、275万円の支払いが命じられた事例です。一方で、夫婦関係が「完全には破綻していなかったものの、相当程度に希薄だった」ことや、原告(夫)側にも若干の問題があったことが考慮されています。さらに、夫が探偵業者に依頼した調査費用の一部(100万円)も損害として認められた点が特徴的です。

この裁判例は、不倫期間の長さや夫婦関係の状況、不貞行為の態様などを総合的に勘案して慰謝料の金額を算定しています。他方で、社会的地位の高さや財力を考慮すべきとする主張に対し、裁判所は不倫相手の属性に関する一般的事情は精神的苦痛とは無関係であるから慰謝料額の算定において考慮することはできないと判示しています。

実務的目線での考え方

過去においては不倫相手の収入を慰謝料算定において考慮する裁判例も存在しましたが、近年において裁判所は不倫相手の収入はさほど重視していないようです。しかし、弁護士同士の示談交渉や、裁判所における和解交渉においては、不倫相手の収入は重要な要素となります。不倫相手の収入は、判決における慰謝料金額の認定には影響をさほど与えないが、示談交渉・和解交渉では重要であるというのが実務的な感覚です。

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低収入の不倫相手から慰謝料を回収する方法

分割払いの提案と公正証書の作成

低収入の不倫相手からは一括で慰謝料を貰うことは難しいため、分割払いで確実に慰謝料を回収することがポインになります。

公正証書があれば、不払い時に給与や預金などを差し押さえられますまた、分割払いの回収を長期にわたり行うことで、結果的にある程度の金額を得られる可能性があります

給与差押え・財産差押えの手続き

公正証書や判決があっても、差し押さえ対象の給与や預金が少ないと、十分な回収に至らない場合がありますそれでも可能性がある限り、法的手段により一定額を回収していくことは可能です

相手の資産状況を調べる

低収入の不倫相手でも実は相続等により資産を保有していることもあります。そのため、相手の資産状況を調べることもポイントです。

相手の資産状況を調べるために探偵の利用を考える方も少なくありません。しかし、探偵を利用する場合、プライバシー侵害の問題を避けるためや無用な調査費用が生じることを避けるため弁護士にまず相談することが望ましいです弁護士を通じた合法的な調査手段を活用すれば、必要な範囲で相手の資産や収入を把握できます

時効に注意する

不倫の事実及び不倫相手を知ったときから3年が時効の目安(民法724条)です。不倫相手の収入状況や資産状況を調べているうちに時間が経過してしまい、時効間近で請求が遅れると回収が困難になるため、早めの行動が肝心です

 

 

低収入な立場で慰謝料を請求された側の対応策

低収入の立場で慰謝料を請求された場合、まず注意すべきなのは慰謝料をどうせ払えないからと「やみくもに拒否や放置をしない」ことです。相手との話し合いを避けてしまうと、訴訟や強制執行に進展し、結果的に不利な和解条件を押し付けられる恐れがあります。実際に支払える金額や支払い方法を検討し、必要に応じて弁護士へ相談することが重要です。

具体的には、以下の点を意識するとよいでしょう。第一に、自身の収入や生活費などを客観的に示せるよう資料をそろえることです。給与明細や預金通帳、家計簿といった書類を用意すれば、「これ以上の金額は負担できない」という説得力が増します。

第二に、支払が困難な場合は分割払いや減額交渉を検討します。ただし単に「お金がない」と主張するだけでは不十分で、具体的な金額や期間、支払計画を示す必要があります。

第三に、公正証書の作成など「書面化」を意識すると安心です。合意事項を文書に残しておくと、後のトラブルを防げます。

詳しくは慰謝料を分割払いや借入れで支払うときのポイントについての記事をご覧ください。

低収入であっても相応の責任が認められる可能性は十分にあります。請求額を安易に放置せず、早期に自分の状況を整理し、交渉方針を立てましょう。法律の専門家に相談すれば、相場観や裁判所の考え方を踏まえた具体的なアドバイスが得られ、過度な負担を避けるための道筋が見えてくるはずです。

 

不倫慰謝料に関するQ&A

 

不倫相手が無職の場合、慰謝料はどうなる?

 金額自体は不倫行為の重大性で決まりますが、実際に支払ってもらえるかは相手の能力次第。分割払いや公正証書の作成などで対策できます。

 

一括で支払えない場合の対処法は?

分割払いでの和解を提案し、公正証書で取り決めておくと未払い時に強制執行が可能です。

 

不倫を認めなければ慰謝料を払わなくて済む?

相手が証拠を持っていれば裁判で立証される可能性が高いです。争うだけ時間と費用がかさむケースも多いので、弁護士と相談しながら適切に対処を。

 

離婚後でも慰謝料請求はできる?

離婚後でも、不倫を知ったときから3年以内であれば原則可能。ただし、離婚協議書で「清算条項」を結んでいた場合などは別途検討が必要です。

 

不倫慰謝料の問題を弁護士に相談するメリットや費用相場

不倫慰謝料に強い弁護士のメリット

請求する側

  • 交渉のプロとして、不倫の証拠をどのように提示するかなど的確なアドバイスが得られる
  • 相手が拒否した場合も**法的手続き(調停・訴訟・強制執行)**に迅速に移行でき、時間的ロスを減らせる

請求された側

  • 不当な高額請求があった場合、客観的な相場を提示して減額交渉ができる
  • 不貞行為の有無、夫婦関係の破綻状況などを法的観点から整理し、主張を組み立てられる

弁護士費用の目安

相談料:30分5,000円程度が一般的ですが、不倫慰謝料については無料相談を行っている法律事務所も少なくありません。

着手金:請求額の一定割合や案件の難易度によります(10万円~数十万円程度が目安)。

成功報酬:得られた経済的利益の数%と定める事務所が多いです。

当事務所は不倫慰謝料について無料相談を行っております。不倫慰謝料のトラブルについて実務経験豊富な弁護士による電話相談・来所相談を無料で受けることができます。まずは悩まず気軽にお問合せください。

無料相談の利用方法

お電話やWEB予約を通じて、まずは相談の日程をご予約ください。電話相談を実施しておりますので、遠方の方でも気軽にご利用いただけます。

無料相談では具体的な状況をヒアリングし、当事務所が対応できるかどうか、どの程度の慰謝料になるのかの見通しや解決策をご提案します。また、慰謝料の相場感や、必要な証拠の種類、手続きの流れなど丁寧に説明いたします。

「本当に請求していいのか」「相手の言い分が納得いかない」など、状況によっては対応策が大きく変わります。早めの段階で専門家へ相談することで、トラブルの長期化・二次被害を防ぎ、精神的な負担も軽くなるでしょう。

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まとめ

不倫慰謝料の金額は、夫婦関係や不貞行為の内容・期間など多岐にわたる事情を踏まえて決定されますが、相手の収入や支払い能力も無視できない重要な要素です。実際の裁判例でも、相手の財力や夫婦の事情によって金額は大きく変化し、回収の手段も変わってきます。

不倫慰謝料問題に精通している弁護士に早めに相談すれば、公正証書の作成や強制執行を視野に入れた戦略的な対応が可能です。当事務所では無料法律相談を実施しておりますので、疑問や不安をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。適切な法的アドバイスのもと、最善の解決策を一緒に模索していきましょう。

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