配偶者の不倫が発覚したとき、「離婚までは考えていない。でも、けじめとして慰謝料は払ってほしい」「不倫相手には二度と関わらないでほしい」と考える方は少なくありません。
一方で、請求された側としては「離婚しないのに、この金額は妥当なのか」「支払義務は本当にあるのか」と不安になることも多いはずです。
この記事では、離婚しない(婚姻継続)前提での不倫慰謝料について、全体像と現実的な進め方を整理します。
この記事では、次の疑問に答えます。
- 離婚しない場合でも、慰謝料を請求できるのか(できない典型も含む)
- 離婚しない場合の相場目安と、金額が増える・減るポイント
- 夫婦関係を続けたいとき、誰に請求するのが現実的か
- 示談交渉をどう進め、どんな条件(接触禁止など)を入れるべきか
- 請求された側が「妥当性」を判断するときの見方
根拠:民法上の不法行為(慰謝料請求)の考え方と、実務で争点になりやすいポイントを踏まえて整理します(事案により結論・金額は変わります)。不倫慰謝料に継続的に取り組んできた弁護士の視点で、初動で迷いやすい点を中心にまとめます。
坂尾陽弁護士
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

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離婚しない場合でも不倫慰謝料は請求できる?結論と前提
結論からいうと、離婚しない場合でも不倫慰謝料を請求できる可能性はあります。
慰謝料は「離婚したこと」自体への支払いではなく、基本的には不倫(不貞行為等)によって婚姻共同生活の平和が侵害され、精神的苦痛を受けたことに対する損害賠償として考えられるためです。
ただし、婚姻継続のケースでは、次のような点が「請求できる/できない」「金額が上がる/下がる」の分かれ目になりやすいです。
- そもそも法的に問題となる不貞行為があったか(立証できるか)
- 不倫当時、夫婦関係がすでに破綻していなかったか(破綻が強いと請求が否定・減額されやすい)
- 不倫相手(第三者)が既婚者だと知っていた/知り得たか(故意・過失)
- 時効(請求期限)にかかっていないか
「条件の全体像(破綻・故意過失・時効など)」は、別ページで整理してから動く方が安全です。詳しくは 不倫慰謝料が認められる条件とは? を参照してください。
また、婚姻継続を前提にすると「誰に請求するか」で結果が大きく変わります。配偶者にも不倫相手にも請求し得ますが、夫婦関係を続けたい場合は、対立を深めない設計が重要です。請求相手の考え方は 不倫慰謝料の請求相手は誰?配偶者・不倫相手・両方への請求と注意点 が参考になります。
不倫慰謝料の基本(誰が誰に/相場/手続きの流れ)を地図のように整理したい場合は、まずピラーページから読むと迷いにくいです。
離婚しない場合の相場目安と、金額が動くポイント
「離婚しないなら、慰謝料は安い(または取れない)のでは?」と思われがちですが、ここは少し整理が必要です。
一般論としては、離婚に至ったケースと比べると、離婚しない(婚姻継続)ケースは金額が低めになりやすい傾向があります。
理由はシンプルで、不倫による精神的苦痛の評価において「婚姻の破綻(離婚・別居など)まで至ったか」が大きな事情として扱われやすいからです。
ただ、婚姻継続でも高くなることはあります。目安としては、離婚しない場合は数十万円〜200万円前後で争われることが多い一方、事情が重い場合はそれ以上になることもあります(逆に、証拠や事情が弱いと数十万円に収まることもあります)。
金額を見積もるときは、次の「増減要素」をセットで考えるのが実務的です。
増えやすい要素(例)
- 不倫期間が長い/回数が多い
- 不倫発覚後も関係が継続していた、開き直り・嘘・嫌がらせ等がある
- 妊娠・中絶など重大な事情が絡む
- 家庭生活への影響が大きい(別居寸前、強い精神的ダメージ等)
減りやすい要素(例)
- 関係が短期間・一時的
- 夫婦関係が不倫前から相当悪化していた(破綻に近い事情)
- 不倫相手が既婚と知らなかった/注意しても分かりにくかった
- 請求額が相場から大きく外れている、立証が弱い
相場をケース別にもう少し具体的に把握したい場合は、相場ピラーページが近道です。
進め方:誰に請求するか/示談交渉で決めるべき条件
離婚しないで進める場合、慰謝料を「取る」だけでなく、再発防止(関係遮断)と夫婦関係の立て直しまで視野に入れた進め方が重要です。大まかな流れは次のとおりです。
1)証拠・事実関係の確保(不貞の裏付け、相手特定、期間・回数)
2)目的の整理(婚姻継続/謝罪/接触禁止/金銭回収の優先順位)
3)請求相手の選定(不倫相手のみ/配偶者も含む 等)
4)書面ベースで交渉→示談書で合意(まとまらなければ訴訟も視野)
特に悩みやすいのが「誰に請求するか」です。婚姻継続を優先する場合、典型的には次の選択肢があります。
- 不倫相手(第三者)に請求する:夫婦関係への直接ダメージを抑えやすい一方、配偶者が守りに入って交渉が拗れることもあります。
- 配偶者にも請求する:責任の所在は明確になりますが、家計が同一だと実質的な負担感が残り、関係修復の妨げになる場合があります。
- 両方に請求する:回収や交渉の選択肢は増えますが、対立が深まりやすく、設計が必要です。
そして、離婚しない場合ほど「示談書の中身」が重要になります。金額だけ決めて終わると、関係が続いてしまい再燃するリスクがあるためです。
- 支払条件:一括か分割か、期日、遅延損害金
- 接触禁止:連絡・面会・SNS接触の禁止、勤務先付近などの接近禁止をどう定めるか
- 違約金(制裁条項):接触禁止違反時に支払う金額・発動条件
- 謝罪・清算条項:謝罪方法、今後の蒸し返し防止(清算条項)の入れ方
- 秘密保持:夫婦・親族・職場への拡散をどう扱うか(必要性とリスクのバランス)
示談書の作り込み(無効リスク、文言、違約金設計など)まで踏み込むなら、次が役に立ちます。
不倫示談書マニュアル【テンプレート付】|書き方・記載事項・無効リスク・公正証書化まで弁護士が丸ごと解説
また、手続き全体(内容証明→示談→裁判の流れ)をまとめて確認したい場合は、請求方法ピラーも参照してください。
不倫慰謝料の請求方法|請求の流れ・証拠・内容証明・示談・裁判の全体像
注意点:夫婦関係を続けたい人が失敗しやすいポイント
離婚しない前提の請求は、通常の慰謝料請求よりも「感情」と「生活」が密接です。次の落とし穴に注意してください。
まず、感情的に相手へ直接連絡し続けるのはリスクがあります。言い回し次第では、脅迫・名誉毀損・業務妨害など別の火種になりかねません。とくに職場への連絡、SNSでの暴露は、回収どころか争いを拡大させることがあります。
次に、「慰謝料を取れば終わり」と考えて示談条項が薄いと、再発・再接触で二次被害が起きやすいです。婚姻継続なら、金額と同じくらい「接触禁止+違約金」の設計が重要になります。
さらに見落とされがちなのが、**時効(請求期限)**です。「離婚しないから様子見」をしているうちに期限が迫ることがあります。時効の基本は、先に確認しておくのが安全です。
不倫慰謝料【時効】|請求期限3年・20年の仕組みや裁判例【弁護士解説】
請求された側(支払う側)の注意点も触れておきます。
「離婚しないなら減額できるはず」と決めつけるのは危険です。婚姻継続でも、期間・悪質性・発覚後の対応によっては高額になることがあります。支払義務の有無(破綻、故意過失、証拠の強さ)と、相場から見た妥当性を切り分けて判断し、交渉は証拠と筋道で組み立てる必要があります。
婚姻継続を望む場合ほど、「相手に何を約束させたいか(接触禁止・違約金・謝罪など)」を先に言語化してから交渉を始めてください。
金額だけ先行すると、あとから条件が入らず、再発防止が弱くなりがちです。
まとめ:初動で外さない3〜5ポイント
離婚しないで慰謝料請求を進める場合は、次のポイントを押さえるとブレにくくなります。
- 婚姻継続でも請求できる可能性はあるが、「破綻・故意過失・証拠・時効」が分岐点になる
- 金額は離婚ケースより低めになりやすい一方、期間や悪質性次第で上下する
- 誰に請求するかは、夫婦関係への影響も含めて決める(目的の優先順位が重要)
- 示談では金額だけでなく、接触禁止・違約金など再発防止の条項設計がカギ
- 感情的な連絡や拡散は避け、書面ベースで冷静に進めると失敗しにくい
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