不倫トラブルで、突然「家族にばらす」「職場に言う」「別れるなら死ぬ」「今すぐ金を払え」などと脅されると、頭が真っ白になりがちです。不倫をしたことを反省すべき場面は多いとしても、脅迫や嫌がらせまで受け入れる必要はありません。
この記事では、不倫 脅迫 対応として、脅された直後の初動(48時間)に何を優先し、何を絶対に避けるべきかを、実務目線で整理します。
この記事では、次の疑問に答えます。
- 誰から脅されるケースが多く、何が起きやすいのか?
- まず最初に整理すべきポイントは何か?
- 初動48時間でやるべきこと・優先順位は何か?
- サイン・送金など「取り返しのつかない行動」は何か?
- 自分で対応する場合、どんな落とし穴があるのか?
不倫慰謝料トラブルの対応に10年以上取り組んできた弁護士が、実務上の注意点をベースに解説します(※個別事情で結論が変わる場合があります)。
坂尾陽弁護士
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

Contents
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不倫がバレて脅されたら、最初に「誰から」「何を」「どこまで」を整理する
不倫がバレた直後は、相手の言動がエスカレートしやすいタイミングです。ここで大切なのは、相手の言葉に一つ一つ反応して動くのではなく、まず状況を整理して「優先順位」を作ることです。
整理の軸はシンプルで構いません。
- 誰が脅しているか(関係性)
- 何をすると言っているか(脅しの内容)
- いつ・どこで・どの程度か(緊急性)
- こちらが既に何をしてしまったか(署名・送金など)
この4つが分かるだけで、取るべき対応の順番が見えてきます。逆に、ここが曖昧なまま話し合いに行く、言われるがままに支払う、怒り返す、といった行動を取ると、問題が一気に拡大してしまうことがあります。
誰から脅されたかで対応が変わる:3パターン(主は①)
不倫に関する脅しは、似ているようで「誰が脅しているか」によって背景も狙いも違います。まずはあなたの状況がどれに近いかを確認してください。
- ① 不倫相手の配偶者(夫・妻)から、あなたが脅される(最も多い)
- ② 不倫相手(愛人)から、あなたが脅される(清算・別れ話で起きやすい)
- ③ あなたの配偶者から、あなたが脅される(まれだが深刻化しやすい)
以降、本記事では最も多い①を中心に説明しつつ、②③は分岐として要点を押さえます。
①不倫相手の配偶者から脅される(メイン)
あなたが関係を持った相手が既婚者で、その配偶者(夫または妻)から連絡が来るパターンです。配偶者は「家庭を壊された」「裏切られた」という強い怒りや不安を抱えています。その感情が、慰謝料請求だけでなく、行き過ぎた言動として表に出ることがあります。
よくあるのは次のような脅しです。
- 「あなたの家族に不倫の事実を言う」「親に全部話す」
- 「あなたの職場に不倫の証拠を送る」(職場に言う 脅し)
- 「SNSや知人にばらまく」「近所に言いふらす」
- 「今すぐ慰謝料を払え。払わないなら全部暴露する」
- 「退職しろ」「引っ越せ」など金銭以外の要求を混ぜてくる
ここで覚えておいてほしいのは、あなたに慰謝料の支払義務が生じ得るとしても、相手が何をしてもよいわけではない、という点です。謝罪や反省は必要でも、暴露や脅しに追い詰められて「言われる通りに動く」ことは、むしろ相手の要求をエスカレートさせることがあります。
②不倫相手(愛人)から脅される
不倫相手が独身で、あなたが既婚者(または関係を終わらせたい側)である場合、別れ話や清算の場面で「怒り」「執着」「見捨てられた不安」が一気に噴き出すことがあります。
典型例は次のとおりです。
- 「別れるなら死ぬ」「自殺する」
- 「奥さん(旦那さん)に全部言う」
- 「手切れ金を払わないと職場に行く」
- 「これまでのやり取りを全部公開する」
このケースは、金銭の問題だけでなく、あなたの罪悪感を利用してコントロールしようとしてくる点が特徴です。落ち着かせようとして安易に約束すると、その約束が次の要求の根拠にされることがあります。
③まれに、自分の配偶者から脅される
不倫が発覚して、あなたの配偶者が感情的になり、「職場に言う」「相手に直接行く」「親に全部言う」などと口にすることもあります。
このケースは家庭内の問題として切り分けが必要になるため、外部の第三者(弁護士など)を入れて整理した方が安全なことが少なくありません。身近な相手ほど感情が強く、言葉が過激になりやすいからです。
脅しの目的は「怒り」+「金銭(慰謝料・手切れ金)」が混ざりやすい
脅しを受けたとき、「相手はお金が欲しいだけなのか」「謝罪が欲しいのか」「復讐したいのか」が分からず混乱します。しかし実務上は、目的が一つではなく、いくつも混ざっていることが多いです。
たとえば不倫相手の配偶者の場合、「慰謝料を払わせたい」という経済的な目的に加えて、次のような感情面の目的が乗りやすいです。
- あなたに苦しみを味わわせたい
- 二度と近づけないように支配したい
- 自分の怒りを受け止めさせたい
そのため、こちらが正論で反論したり、相手の違法性ばかりを指摘したりすると、「反省していない」「開き直っている」と受け取られ、かえって炎上することがあります。逆に、怖さから即答して「払います」「会社を辞めます」「家族に言わないでください」と約束してしまうと、その約束自体が相手の次の要求の材料になりやすいのです。
相手の感情が強い場面ほど、「謝罪の姿勢」と「条件を確定しない線引き」を同時にやる必要があります。
危険度判定:身体の危険があるなら「交渉より安全確保」が先
脅しの中には、単なる暴言では済まないものがあります。暴行・監禁・刃物の示唆など、身体に危険が及ぶ可能性がある場合は、金銭交渉や示談の話よりも、安全確保を最優先してください。
危険度が高いサインの例は次のとおりです。
- 「今から殺す」「今から家に行く」など、具体的で切迫した害悪の告知がある
- 実際に自宅・職場の近くまで来ている、待ち伏せされている
- 殴る、掴む、物を投げるなど、すでに暴力が出ている
- 「帰さない」「ここから出るな」など、身体の自由を奪う言動がある
「話し合えば分かるはず」と思って会いに行くほど危険が増すケースがあります。危険があると感じたら、まず距離を取りましょう。
坂尾陽弁護士
初動48時間の対応ロードマップ:証拠・安全・連絡の整え方
脅されているときの対応は、「気持ち」より「順番」を決めた方がうまくいきます。初動での最大の目的は、相手を言い負かすことではなく、あなたの生活(家族・仕事・安全)が壊れるのを防ぎ、交渉ができる状態に戻すことです。
初動48時間の基本は、次の4本柱です。
- 証拠を残す(消さない・まとめる)
- 安全を確保する(会わない・一人で対応しない)
- 連絡を整える(返信ルールを決める)
- 即決を止める(署名・送金をしない)
この順番で進めれば、相手が感情的でも、あなたが冷静さを取り戻しやすくなります。逆に言うと、この順番を飛ばして「謝罪」「支払い」「約束」を先に置くと、後から取り返しがつかなくなることがあります。
証拠を残す:LINE・メール・通話・郵送物は「消さない」「まとめる」
脅しを受けているときほど、証拠の保存は重要です。証拠は、警察に相談する場合だけでなく、弁護士が交渉する場合にも「相手の言動の程度」や「経緯」を客観的に示す材料になります。
まずは次のようなものを、できる範囲で残してください。
- LINE・SMS・DM:スクリーンショット、トーク履歴の保存、通知に出る短文も残す
- メール:本文だけでなく、送信元・日時が分かる形で保管する
- 通話:通話日時・回数のメモ、留守電があれば保存する
- 郵送物:封筒、消印、差出人、同封物をセットで保管する
- 画像・動画:送信されたままの状態で保存し、加工や上書きをしない
ポイントは「消さない」ことです。怖くて見たくない気持ちは分かりますが、ブロックや削除を先にすると、後から説明が難しくなることがあります。まず保存してから、通知を切る、閲覧を最小限にする、といった形で心身の負担を減らす工夫をしましょう。
また、証拠とセットで「時系列メモ」を作るのも有効です。難しく考える必要はなく、箇条書きで構いません。
- いつ:最初にバレた日、最初に連絡が来た日
- 誰が:不倫相手の配偶者か、愛人か、誰か
- 何を:どんな脅し(家族・職場・金銭・自傷・暴力)
- こちらの対応:返信したか、会ったか、支払ったか
これだけでも、後の相談や交渉が格段に進めやすくなります。
会わない・一人で対応しない:話し合いの場が危ない理由
「直接会って謝った方が早い」「その場で話をつけたい」と思う方は少なくありません。しかし、脅しが出ている時点で、当事者同士の話し合いは危険が大きいです。
会いに行くことで起きやすいリスクは、たとえば次のようなものです。
- 感情的に責め立てられ、冷静な判断ができなくなる
- 「帰さない」「サインするまで終わらせない」など、拘束される
- その場で不利な言質(認め方・金額・条件)を引き出され、録音される
- “反省している証拠”として、誓約書や念書を書かされる
「自分は大丈夫」と思っていても、相手が複数人で来る、場所が相手の自宅や車内になる、深夜に呼び出される、といった条件が重なると、判断力は簡単に奪われます。
どうしても対面が避けられない事情がある場合は、最低限として次のラインを守ってください。
- 人目のある場所に限定する
- 一人で行かない(第三者同席)
- その場で署名・送金はしない
「会う=誠意」ではありません。脅しが出ている局面では、「安全を確保すること」が最優先の誠意です。
返信ルールを決める:感情を刺激せず、迎合もしない
相手が感情的になっているとき、返信の仕方次第で火に油を注ぐことがあります。逆に、上手に距離を取りつつ「放置ではない」姿勢を示すと、エスカレートを抑えやすくなります。
基本の考え方は次のとおりです。
- 返信は短く、事実と手続に寄せる(感情で応酬しない)
- 相手の感情は受け止めるが、要求への即答はしない
- 条件(支払い・期限・約束)は「確認してから」と保留する
- 電話ではなく文字を基本にして、記録を残す
たとえば、次のような言い回しは「相手を刺激しにくい」一方で、「約束を確定しない」ための形になります。
- 「ご不快な思いをさせたことは申し訳ありません。内容を確認して改めてご連絡します。」
- 「今すぐの返答は難しいため、整理したうえでご連絡します。」
- 「直接のやり取りは混乱しやすいので、連絡方法を改めたいです。」
一方で、「違法だ」「訴えるぞ」などの強い言葉は、相手の怒りを刺激して暴露や接触が加速することがあります。あなたの身を守るためにも、返信のルールは早めに決めましょう。
期限を切られても即決しない:支払い・署名は一旦止める
「今日中に払え」「今すぐ示談書にサインしろ」など、期限を切って迫るのは、冷静な判断をさせないための典型的なやり方です。ここで大切なのは、期限を切られても“即決しない”という方針を、あなた自身が先に決めることです。
即決を避けるべき理由はシンプルです。
- その場でのサインは、後で条件変更が難しくなる
- 先に送金しても、暴露が止まる保証はない
- 追加請求や、別の要求(退職・接触禁止など)に発展し得る
相手を刺激せずに時間を作るなら、「拒否」より「確認」を前面に出すのが基本です。
- 「内容を確認してから回答します」
- 「その場で判断できないので持ち帰ります」
- 「整理したうえで改めて連絡します」
この“保留の型”があるだけで、脅しの局面で踏みとどまりやすくなります。
やってはいけないNG対応:後で取り返しがつかない典型例
脅しを受けたとき、問題を大きくしてしまうのは「何もしていないこと」よりも、「怖さからやってしまった行動」であることが少なくありません。
ここでは、不倫がバレた後に脅された場面で特に多いNGを整理します。自分を責めるためではなく、被害を広げないためのチェックとして読んでください。
その場で示談書・誓約書にサインする
最も危険なのは、「この場でサインすれば終わる」と思って、示談書・誓約書・念書に署名してしまうことです。
その場で提示される書面には、たとえば次のような内容が紛れ込みやすいです。
- 高額な支払い条項(分割の条件が不利、期限の縛りが強い)
- 「違約金」「遅延損害金」など、追加負担が重くなる条項
- 退職や転居など、金銭以外の義務(生活を壊す条件)
- 相手の求める文言で「全面的に認める」表現(後で不利になり得る)
そして一度サインをすると、後から「脅されていた」「冷静ではなかった」と言っても、撤回や修正が難しくなります。少なくとも「持ち帰って確認する」「第三者にチェックしてもらう」という手順を踏みましょう。
怖くて先に送金してしまう
次に多いのが、「とりあえず払えば落ち着くはず」と思って先に送金してしまうことです。
しかし、先払いには次のようなリスクがあります。
- 送金が「もっと取れる」という期待につながり、追加請求を招く
- “払ったのに暴露された”場合、ダメージが二重になる
- 支払いの名目が曖昧だと、後で整理が難しくなる
もちろん、正当な範囲の慰謝料を支払うべきケースはあります。ただ、脅しの局面での先払いは、交渉の主導権を失いやすい行動です。支払うにしても、金額・条件・支払い方法を整理してからにしましょう。
「犯罪だ」と責めて相手を刺激する
相手が「ばらす」「職場に言う」といった脅しをしていると、ネット上には「それは犯罪だ」と書かれていることも多く、怒りが湧くかもしれません。
ただ、実際の場面では、あなたが相手に向かって「犯罪だ」「名誉毀損だ」と責めることが、すぐに解決につながるとは限りません。むしろ、次のようなリスクが出ることがあります。
- 相手の感情がさらに燃え上がる
- 「開き直っている」と受け取られ、暴露が早まる
- 連絡が過激化し、あなたの生活に直接波及する
“法的にどう評価され得るか”は重要ですが、脅しの直後はまず「被害を拡大させない」ことを優先し、議論は第三者を介して行う方が安全です(後の章で、線引きの考え方も整理します)。
無視・ブロックで放置する
相手の連絡がしつこいと、無視したりブロックしたりして「なかったこと」にしたくなります。気持ちとしては自然です。
しかし、脅しが出ている段階での放置は、次のような結果を招くことがあります。
- 相手が業を煮やして、本当に第三者へ暴露する
- 交渉を飛ばして、いきなり訴訟など強い手段に出る
- 連絡が別ルート(職場・家族・SNS)に移る
“無視する”のではなく、“距離を取る”という発想が大切です。たとえば、次のように「相手のペースに巻き込まれない形」を作れます。
- 連絡窓口を一本化する(当面の方針を決める)
- 返信の頻度と内容を決める(短く・保留を基本に)
- 対面の接触を避ける(会わない・一人で対応しない)
怖さから極端に振れず、コントロールできる範囲で状況を整えましょう。
脅しの内容別:具体的な対応(軽Cを含む)
不倫がバレたあとに脅されているときは、「相手の主張に一つずつ反論する」よりも、脅しの内容ごとに対応の型を持っておく方が安全です。脅しは、だいたい次の4つに分類できます。
- 家族・職場・SNSへの暴露をほのめかす(暴露型)
- 高額な慰謝料・手切れ金を要求する(金銭型)
- 「死ぬ」など自傷をほのめかす(自傷型)
- 暴行・監禁・自宅凸など身体に危険がある(危険型)
この分類を最初に頭に入れておくと、「今は何を優先すべきか」「何をすると取り返しがつかないか」が判断しやすくなります。とくに多いのは、①不倫相手の配偶者からの“暴露型+金銭型”の組み合わせです。あなたが怖さで即決しやすい場面なので、ここで踏みとどまることが重要です。
坂尾陽弁護士
「家族・職場に言う」と脅された場合(職場に言う 脅し)
「あなたの家族に全部言う」「職場に言う」「会社に写真を送る」などは、典型的な脅しです。ここで大事なのは、相手の言葉に反射的に反応して、慌てて送金したり、慌てて会いに行ったりしないことです。
暴露型の脅しを受けたときの基本方針は、次の3つです。
- まずは証拠化して状況を固定する
- 直接対応で炎上させない(挑発しない・迎合しない)
- 連絡窓口を整理し、拡散リスクを下げる
「職場に言う 脅し」は、とくに精神的なダメージが大きく、判断がブレやすいポイントです。ここでは“脅しへの対応”に絞って整理します(職場での具体的な立ち回り・労務問題まで広げると論点が別物になりやすいので、まずは拡散の芽を止める発想で動きます)。
まずは“暴露予告”を証拠化して、状況を固定する
暴露を止めるために一番役に立つのは、怒鳴り返すことでも、頭を下げ続けることでもなく、「何を言われたか」を客観的に残しておくことです。相手の言動がエスカレートしたとき、証拠があるかどうかで取れる選択肢が変わります。
証拠化は、難しいことをする必要はありません。できる範囲で次を揃えます。
- 「ばらす」「職場に言う」等の文言が分かる記録(LINE・メール・DM・SMSのスクショ)
- いつ・誰が・どの媒体で言ったか(日時と相手が分かる形)
- 写真やデータの提示があれば、その画面も含めて保存
- 郵送物がある場合は、封筒・消印・同封物をセットで保管
怖くてすぐ消したくなるかもしれませんが、消すのは最後です。まず保存してから、通知を切る・画面を見ないようにする、という順番にしましょう。
“職場に言う”に反応して即決しない(先手の連絡は慎重に)
暴露型の脅しで最も危険なのは、「会社に言われたくない」一心で、次のような“即決”をしてしまうことです。
- 「今すぐ払います」と約束してしまう
- 示談書・誓約書にその場でサインしてしまう
- 「退職します」「引っ越します」など、金銭以外の条件まで飲んでしまう
ここで注意したいのは、お金や約束が“暴露を止める保証”にはならないという点です。相手が怒りを優先している場合、「払ったのに言われた」という最悪の展開も起こり得ます。だからこそ、まずは“即決しない”を徹底します。
また、脅しを受けた側が焦って「会社に先に相談しておこう」「先に根回ししておこう」と動きたくなることがありますが、これは慎重に考えるべきです。職場対応は、あなたの職種・就業規則・立場・不倫相手との関係(同じ職場かどうか)などで影響が大きく変わります。やり方を誤ると、あなた自身が情報拡散の引き金を引いてしまうこともあります。
したがって、暴露型の脅しに対しては、まず次の“守りの運用”を優先してください。
- 連絡の頻度を落とし、返信は短く・手続的にする
- 対面で会わない(会うほど言質・録音・強要リスクが上がる)
- 連絡窓口を一本化する(当事者同士の炎上を止める)
違法性・罪名の深掘りは別にして、ここでは「止める動き」を優先する
「暴露する」「職場に言う」といった脅しは、内容や態様次第で問題になり得ます。ただ、脅されている最中に、あなたが相手を論破する形で「違法だ」と責めても、現実には収束につながらないことが少なくありません。むしろ、相手の怒りに火を付けて、実際の暴露行為に移られるリスクもあります。
本記事では、刑法の細かい構造(何罪が成立するか等)に踏み込むよりも、**被害を拡大させない“止め方”**を優先します。次ので紹介する裁判例も含め、線引きは「内容・回数・態様」で判断されやすいので、危ない兆候が見えた段階で“証拠化→窓口整理→接触を減らす”の順で動くのが安全です。
暴露型の脅しは「要求をのむ」より「相手が動く前に主導権を戻す」方が結果的に被害を抑えやすいです。
会社に報告が名誉毀損となるかや、会社にバラすのが違法になるか等については、下記記事も参考にしてください。
(参考)不貞行為の会社報告は名誉毀損?通報・プライバシー侵害・懲戒処分・止め方を弁護士が解説
(参考)不倫をバラすのは違法?名誉毀損・脅迫・業務妨害になるケースと止め方
「高額な慰謝料・手切れ金を払え」と言われた場合
次に多いのが、脅しとセットで金銭要求が出るパターンです。たとえば、
- 「言い値で払わないなら家族にばらす」
- 「職場に言われたくなければ今日中に払え」
- 「示談書にサインしろ。サインしないなら終わらせない」
この局面でのポイントは、あなたに慰謝料の支払義務が生じ得るとしても、金額や条件が“相手の言い値で確定する”わけではないということです。怖さで即答してしまうと、後から修正できない条件が積み上がります。
ここでまずやるべきは、「支払う/支払わない」を即断することではありません。次の順番で“土台”を作ります。
- 相手の請求内容(名目・金額・期限・支払方法)を整理する
- いつからいつまで、どのような関係だったのかを自分側で時系列化する
- すでに送金や署名をしていないか確認する(している場合は内容を保全)
そして、相手が「今すぐ払え」と迫ってきても、次のスタンスを崩さないことが重要です。
- “持ち帰って確認する”を繰り返す(即決しない)
- 支払うとしても、条件が整理されるまで送金しない
- 示談書・誓約書は、その場でサインしない
また、金銭型の脅しでは、相手が「分割にしてやる」「今日5万円だけ払え」など“少額の入口”を作ってくることがあります。ここで一部でも送金すると、「払う意思がある」「さらに取れる」という期待を相手に持たせてしまうことがあります。支払うにしても、支払う前に「何の名目で、どんな条件で、これで終わるのか」を最低限整理してからにしましょう。
「一回払えば終わるだろう」と思って先に送金すると、追加請求・条件追加(接触禁止や退職要求等)が重なりやすくなります。
別れるなら死ぬ」「自殺する」と言われた場合
②不倫相手(愛人)からの脅しで多いのが、「別れるなら死ぬ」「自殺する」といった自傷型です。ここで一番危険なのは、罪悪感から相手の要求をそのまま飲んでしまうことです。いったん飲んだ約束は、次の要求の根拠になってしまいます。
自傷型の脅しでの基本姿勢は、次のとおりです。
- 「交渉」ではなく「安全確保」の問題として扱う
- あなた一人で抱え込まない(第三者を入れる)
- その場の約束(誓約書・金銭約束・関係継続)で乗り切ろうとしない
具体的には、次のように行動を分けて考えます。
- 本当に切迫している可能性がある場合:緊急の相談先につなぐ(安全確保を優先)
- 切迫していないが繰り返し言う場合:やり取りを記録しつつ、距離を取り、窓口を整理する
ここで重要なのは、あなたが「死なないで」と言いながら、金銭や関係継続を約束してしまうことです。これは一時的には相手が落ち着くように見えても、長期的には支配が強くなり、要求が増えることがあります。
返信の仕方も工夫が必要です。たとえば「あなたを見捨てるつもりはない」といった曖昧な言葉は、相手が都合よく解釈してしまいます。安全確保の観点を前面に出し、条件を確定しない形で距離を取る方が安全です(参考:不倫をやめる方法)。
暴行・監禁・自宅凸など、身体の危険がある場合
「家族にばらす」「職場に言う」といった脅しでも辛いですが、身体に危険が及ぶ兆候がある場合は、次元が違います。この場合、最優先は交渉ではなく安全確保です。
危険性が高い例は、次のとおりです。
- 刃物を見せる、殴る・蹴る、物を投げるなど実力行使がある
- 「帰さない」「出るな」など、身体の自由を奪う言動がある
- 自宅・職場・通勤経路で待ち伏せされる、つきまといがある
この場合の基本は、「会わない」「一人で対応しない」「距離を取る」です。すでに怪我があるなら、医療機関での受診も含めて記録を残すことが重要です。安全確保のうえで、相談先に状況を説明できるよう、やり取りや出来事を時系列で整理しておきましょう。
裁判例で見る「行き過ぎた暴露・嫌がらせ」と「許容される接触」の境界
脅しや嫌がらせを受けていると、「相手の行為は全部違法だ」と思いたくなるかもしれません。一方で、現実には、相手が不倫に強い怒りを抱いている場面では、一定の連絡や請求行為が直ちに違法とまでは言えないケースもあります。
つまり、境界線は「接触したかどうか」だけで決まるのではなく、総合的に判断されやすいということです。特に重視されやすいのは、次の要素です。
- どんな内容を伝えたか(事実の摘示、人格攻撃、害悪の示唆があるか)
- 回数はどの程度か(執拗か、必要最小限か)
- 態様はどうか(家族等の第三者に見られる形か、職場を巻き込む形か)
ここでは、線引きを考えるうえで参考になる2つの裁判例を紹介します。いずれも「不倫をめぐる請求・接触」に関連するもので、どのような態様が“行き過ぎ”になり得るのか、逆にどの程度なら直ちに違法とまで言い切れないのかのヒントになります。
東京地裁平成23年12月28日判決:年賀はがきの送付が名誉毀損+脅迫にも当たり不法行為(慰謝料50万円)
この事案では、Xは「Yが自分の妻Aと不貞関係にある」として争っている最中(訴訟係属中)に、YおよびYの妻宛てに年賀はがきを郵送しました。
特徴的なのは、はがきの文面や体裁です。文面の大部分を赤字で目立たせ、Yについて「会社の機密情報を漏えいした」「女性関係の噂が絶えない」などの信用を害する内容を記載したうえで、「天誅が下るべき」といった強い非難、さらに「今後Yの子どもと出会う可能性がある」など、家族を具体的に挙げた害悪を示唆する内容も含まれていました。
裁判所は、こうしたはがきが家族に見られ得る態様で名誉を害する点、赤字で目立つ体裁も相まって脅迫に当たる側面がある点などを踏まえ、年賀はがきの送付をYに対する不法行為と判断しました。その結果、Yの慰謝料として50万円が認められています。
この裁判例が示すのは、「不倫で被害を受けた側だから何をしてもよい」にはならないということです。とくに、次の要素が重なると危険域に入りやすいといえます。
- 第三者(配偶者・家族)が見ることを前提にした態様
- 社会的評価を下げる内容を“事実として”多数並べる(強い信用毀損)
- 子ども等を具体的に挙げて害悪を示唆する(圧力・恐怖の要素)
東京地裁平成19年8月22日判決:勤務先訪問・代表番号への電話2回は、違法な嫌がらせとまではいえない
一方で、職場への接触があれば常に違法、というわけでもありません。
この事案では、X(妻)が、夫Aの不倫相手だと疑うYに対し、内容証明郵便で慰謝料請求をした後、次の行動を取りました。
- 事前連絡なくYの勤務先を訪れ、面会して「内容証明を読んだか」を確認し、受領を求めた
- 会社の代表番号を通じて2回電話し、配達証明の受領状況を確認した
受領後には「きちんと対応して下さい」「証拠は揃っていますから」といった趣旨の発言もあったとされています。Yは、職場での面会や電話により名誉感情や精神的自由を侵害されたとして反訴しました。
しかし、裁判所は、妻が不貞相手に面会を求めることや、郵便の受領確認のために勤務先へ電話する程度の行為は、内容・回数・態様からみて、違法な嫌がらせ行為とまではいえないとして、Yの反訴請求を退けました。
この裁判例が示すのは、「職場に接触した」という一点だけで直ちに違法と決まるわけではなく、回数が少ないことや、目的が受領確認など比較的限定されていることなどが評価要素になり得る、という点です。
この2つの裁判例からの示唆:「内容・回数・態様」+「第三者に見られる形」が分かれ目になりやすい
2つの裁判例を比べると、境界線のイメージがつかみやすくなります。
- 内容:信用を落とす具体的事実の列挙や害悪示唆は危険になりやすい
- 回数:執拗・反復は危険になりやすい(少数回でも内容次第)
- 態様:家族や第三者に見られる形、目立つ形での暴露は危険になりやすい
あなたが「職場に言う 脅し」を受けている場面では、相手が本当に動くのか、どの程度の態様を取るのかが不安になります。ただ、ここで重要なのは、あなたが感情で応酬して相手の行動を過激化させないことです。
そして、相手の言動がエスカレートし、第三者に見られる態様での暴露や害悪示唆が具体化してきた場合は、放置や即決ではなく、証拠を固めたうえで“接触を整理する動き”に切り替えるべき局面だといえます。
警察への相談:動きやすいケース・動きにくいケース(現実ライン)
不倫がバレて脅されたとき、「警察に行けば何とかなるのでは」と考える方も多いと思います。実際、警察の力を借りるべき場面はあります。
ただし、脅しの内容によっては、警察がすぐに事件として動くとは限りません。ここで大切なのは、「警察に相談すべきケース」と「警察に相談しても期待通りにならない可能性が高いケース」を分けたうえで、相談の仕方を工夫することです。
暴行・刃物・監禁などは、迷わず「安全確保」と相談を優先する
次のような状況なら、交渉や謝罪よりも先に、安全確保と警察相談を優先してください。
- 殴る・蹴るなどの暴行を受けた/怪我をした
- 刃物を示された、刃物を持ち出された
- 「今から殺す」「今から家に行く」など具体的で切迫した脅しがある
- 話し合いの場で「帰さない」と言われた、実際に拘束された(監禁のような状況)
- 自宅や通勤経路で待ち伏せ・つきまといをされている
このレベルになると、当事者同士で収めるのは危険です。あなたが怖くて譲歩を重ねても、相手が止まる保証はありません。
まずは次の順番で考えてください。
- その場から離れて安全な場所に移動する
- 一人にならない(家族・友人など、信頼できる人に連絡する)
- できる範囲で証拠を保全する(怪我の写真、やり取りの記録など)
危険があるのに「最後に会って謝って終わらせよう」と動くと、状況が一気に悪化することがあります。安全を守る行動が最優先です。
暴露や金銭要求は「証拠と経緯の整理」が相談の鍵になる
一方、「家族にばらす」「職場に言う」といった暴露型の脅しや、「払わないとばらす」といった金銭型の脅しは、警察がすぐに積極対応してくれるとは限りません。
このタイプで相談の実効性を上げるには、次の2点が重要です。
1つ目は、脅しの内容が“具体的に分かる形”で残っていることです。口頭だけで「そんなこと言った・言わない」になってしまうと、相談しても前に進みにくくなります。
2つ目は、あなたが説明できる形に整理して持って行くことです。相談の場で混乱して話が飛ぶと、「結局どうしたいのか」「何が起きたのか」が伝わりづらくなります。
最低限、次のセットを用意しておくと相談しやすくなります。
- 脅しの文言が分かる記録(LINE・メール・DMのスクショ等)
- いつから始まったか(発覚の時期、最初の連絡日)
- 相手は誰か(不倫相手の配偶者か、愛人か等)
- 何を要求されているか(慰謝料、手切れ金、退職要求など)
- あなたが既にしてしまったこと(送金、署名、対面でのやり取り)
「怖いので助けてほしい」だけでも相談はできますが、証拠と時系列があると“相談の精度”が上がりやすくなります。
“事件化”にこだわらず「相談記録」を残す選択肢もある
警察に相談するとき、「被害届を出して事件にしてほしい」と考える方もいます。ただ、脅しの内容や証拠状況によっては、いきなり事件化が難しいと言われることもあります。
その場合でも、すぐに諦める必要はありません。現実的には、次のような考え方が役に立ちます。
- まずは“被害相談”として状況を伝え、相談記録を残す
- 緊急時にすぐ連絡できるようにしておく(状況によっては巡回等につながることもある)
- エスカレートしたときに、追加の証拠を持って再相談する
つまり、警察を「一発で解決する装置」と考えるのではなく、安全確保のための選択肢の一つとして使う、という発想です。
そして、暴露型・金銭型の脅しは、警察対応だけで収束するとは限りません。次で説明するように、窓口を一本化して交渉を整理することが、現実的な解決につながりやすい場面も多いです。
坂尾陽弁護士
多少の脅しや嫌がらせが警察に頼って解決できると思うのは甘いかもしれません。
弁護士に相談した場合:連絡を止めて交渉を収束させる道筋
脅しを受けているとき、あなたが一番困っているのは「法的に何罪か」よりも、次のような現実の問題ではないでしょうか。
- 連絡が止まらず、生活が壊れそう
- 何を返せばいいか分からない(返すほど燃えそう)
- 会うのが怖いが、無視すると暴露されそう
- 今払えば済むのか、払っても終わらないのか判断できない
このような局面では、弁護士に相談して「当事者同士の直接やり取り」を止め、条件整理を進めることが、有効な選択肢になり得ます。
弁護士に依頼=すぐ裁判ではない
弁護士に相談すると、「相手が怒って裁判になるのでは」と心配される方がいます。しかし、弁護士に依頼したからといって、直ちに裁判になるとは限りません。
むしろ、不倫の慰謝料トラブルは、最初から裁判で決着させるよりも、交渉で収束するケースが多い分野です。相手が感情的であっても、弁護士が間に入ることで「連絡の仕方」「話し合う順番」「条件の出し方」が整理され、落とし所が見つかることがあります。
もちろん、事案によっては裁判になる可能性もあります。ただ、脅しを受けてパニック状態のまま当事者同士でやり取りを続けるより、専門家を入れて状況を整えた方が、結果的に解決が近づくことは少なくありません。
(参考)弁護士同士のやり取りについて。弁護士を立てると裁判になるのか。
窓口一本化で、脅し・連絡が止まりやすくなる理由
脅しが続くとき、多くの場合、相手は「あなたに直接言えば動かせる」と感じています。あなたが恐怖や罪悪感から反応してしまうと、相手にとって“押せば効くボタン”になり、連絡や要求が止まりにくくなります。
弁護士が窓口になると、状況が変わりやすい理由は次のとおりです。
- 相手があなたに直接連絡しても、交渉が進まない状態になる
- 連絡が弁護士経由になることで、言葉が過激になりにくい
- 条件の話が「怒りの応酬」ではなく「論点整理」に寄る
- その場の勢いで署名・送金するリスクが下がる
脅しの局面では、あなたが真面目に対応しようとするほど、相手の感情の受け皿になってしまい、泥沼化することがあります。第三者を入れて“構造”を変えること自体が、危機管理として意味を持ちます。
坂尾陽弁護士
相談前に準備しておくとよい情報(時系列・請求内容・証拠)
弁護士に相談するときも、「証拠と時系列」が重要です。完璧である必要はありませんが、次の情報があると整理がスムーズです。
- いつから関係があったか(大まかな期間)
- 相手の立場(不倫相手の配偶者/愛人/自分の配偶者など)
- 脅しの内容(暴露、金銭、自傷、暴力)
- 相手の要求(慰謝料、手切れ金、退職要求、接触禁止の条件など)
- 既にしてしまった対応(送金、署名、会った回数、録音の有無)
- やり取りの記録(スクショ、メール、郵送物など)
「自分が悪いから相談しづらい」と感じる方もいますが、相談の目的は“開き直ること”ではなく、状況を悪化させないことです。あなたが不利になり得る行動(その場のサイン、先払い、過剰な謝罪文の提出など)を止める意味でも、早めに一度整理しておく価値はあります。
(参考)不倫をした側の弁護士相談について
弁護士ができること:交渉整理、警告、条件の設計(事案で変わる)
弁護士が介入した場合、一般的には次のような対応が考えられます(ただし、具体的に何ができるかは事案により異なります)。
- 相手方との連絡窓口になり、あなたへの直接連絡を止める方向で調整する
- 慰謝料や手切れ金について、根拠・相場・事情を踏まえて条件交渉する
- 示談書案を整え、必要な条件(清算条項等)を設計する
- 行き過ぎた言動がある場合に、法的根拠を踏まえた形で警告する
ここで重要なのは、「相手をやり込めること」ではありません。あなたの目的は多くの場合、暴露や脅しを止めて、生活への波及を抑えつつ、金銭条件も現実的なところで収束させることだと思います。弁護士に相談する意味は、その目的に向けて“順番”と“ルール”を作れる点にあります。
まとめ
不倫がバレて脅されたときは、罪悪感や恐怖から判断を誤りやすい状況です。しかし、相手の行き過ぎた言動まで受け入れる必要はありません。大切なのは、感情で動くのではなく、証拠と安全を確保し、対応の順番を整えて収束へ向かうことです。
- まず「誰から」「何を」「どこまで」を整理し、危険度を判定する
- 初動48時間は、証拠保全・安全確保・連絡運用・即決ストップが柱
- 示談書の即サイン、先払い送金、挑発的な反論、放置はリスクが高い
- 暴露や金銭要求は、証拠と時系列を固めて“主導権”を取り戻す
- 身体の危険があるなら、交渉より安全確保と相談を優先する
脅しや嫌がらせが続くと、日常生活が崩れ、冷静に判断できなくなっていきます。自分だけで抱え込まず、状況を整理したうえで、必要に応じて早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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