離婚合意後に不貞行為・不倫で慰謝料請求されたら|支払義務の有無とNG対応【離婚前不倫との違い】
離婚が現実味を帯びてくると、「この結婚生活はもう終わりだ」と感じ、新しい人間関係に目を向けたくなる方も少なくありません。ところが、離婚合意後に新しい交際相手と肉体関係を持ったところ、元配偶者から「不倫だから慰謝料を払え」と言われてしまうケースが多く相談されています。
一方で、離婚が成立した後になってから、婚姻中の不貞行為が発覚し、「離婚後なのに、今から慰謝料を請求されるのか」と不安になっている方もいます。どちらのケースも「離婚後に不倫慰謝料を請求された」という点では共通していますが、法的な考え方や結論は大きく異なります。
この記事では、主に次の2つの場面を整理します。
- 離婚合意後に新しい相手と不貞行為をしたところ、元配偶者から慰謝料を請求されたケース(本記事のメイン)
- 離婚前から不倫があったが、離婚後になって過去の不貞行為を理由に慰謝料を請求されたケース(サブ)
とくに本記事では、**「離婚合意後 不貞行為 慰謝料」「離婚合意後 不倫 慰謝料」**といったキーワードで検索している、次のような方を想定しています。
- 離婚の話し合いが進み、もう気持ちは完全に冷めていたので、新しい人と関係を持った
- 自分では「離婚合意後だから不倫ではない」と思っているのに、相手から高額な慰謝料を請求されている
- 婚姻関係の破綻や離婚合意という言葉は見かけるが、自分のケースがどちらに当たるのか分からない
この記事を読むことで、次のポイントが整理できるように構成しています。
- 離婚合意後の不貞行為について、原則として慰謝料の支払義務が生じないとされる理由
- それでも慰謝料を払わなければならない「例外」や、トラブルになりやすいパターン
- 離婚合意がなくても「婚姻関係の破綻」と評価されるケース・されないケース
- 離婚合意後に過去の不貞が発覚した場合に、慰謝料請求の対象になり得る場面
請求された側の立場(不倫をした側)を中心に解説しますが、慰謝料を請求したい側の方にとっても、「どのような場合に請求が認められやすいのか」「どこからが法律的には厳しいのか」を知る手がかりになります。
一人で「これは離婚合意後だから大丈夫だろう」「もう婚姻関係は破綻していたはずだ」と思い込んでしまうと、かえって不利な内容で合意してしまうおそれがあります。そこで、まずは離婚合意後の不貞行為と慰謝料の原則・例外から順番に見ていきましょう。
2009年 京都大学法学部卒業
2011年 京都大学法科大学院修了
2011年 司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~ アイシア法律事務所開業

Contents
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【離婚合意後の不貞行為と慰謝料の原則・例外
原則:離婚合意(破綻後)の不貞は慰謝料が否定されやすい
離婚合意後の不貞行為について、原則として慰謝料の支払義務は生じないとされるのは、「婚姻関係がすでに破綻していたのであれば、夫婦の平穏な共同生活を侵害したとはいえない」という考え方によります。
もう少し噛み砕くと、次のようなイメージです。
- 夫婦として一緒に生活し、互いに協力していく共同生活が続いている
→ この状態を壊すような不貞行為は、精神的苦痛を与えるため慰謝料の対象になり得る - 一方で、すでに夫婦としての共同生活は終わっており、離婚に向けて整理をしているだけ
→ この段階で始まった交際は、「夫婦生活そのものを破壊した」とまでは評価されにくい
たとえば、次のようなケースでは、「不貞行為が開始した時点で、すでに婚姻関係は破綻していた」と評価され、慰謝料が否定されやすくなります。
- 長期間の別居が続いており、双方とも婚姻関係を継続する意思がないことが明らかだった
- 離婚条件(親権・養育費・財産分与など)について具体的な話し合いをし、離婚自体には合意していた
- 離婚届の提出はこれからだが、すでに離婚協議書や公正証書の作成に着手していた
このように、「離婚合意後 不貞行為 慰謝料」という検索キーワードが意識しているのは、まさにこの領域です。すでに離婚に向けて具体的な準備をしていた段階で、新しい相手と関係を持った場合には、原則として慰謝料の支払義務はないとされる余地があります。
もっとも、これは「原則」にすぎません。実際の事件では、「本当にその時点で婚姻関係が破綻していたと言えるのか」「離婚合意があったとまで言えるのか」が争われることが多く、その評価によって結論が大きく変わってきます。
例外:離婚合意を証明できない/実は破綻していなかったケース
離婚合意後の不貞でも慰謝料を支払わなければならない典型的なパターンは、次の2つです。
- そもそも離婚に合意していなかった(本人同士の認識にズレがあった)
- 離婚合意があったと主張しても、その事実を裏付ける客観的な証拠が乏しい
不倫をした側としては、「あのとき、あなたも『もう離婚でいい』と言っていたはずだ」と感じていても、不倫をされた側が「そんな合意はしていない」と主張すれば、どちらが正しいかは証拠と事情を総合して判断されます。
とくに、次のような状況は危険です。
- 夫婦げんかの勢いで「もう離婚だ」「勝手にしろ」といった発言があっただけ
- 離婚について何度か話題に出たが、具体的な条件や時期の話はしていない
- 一方は離婚を望んでいたが、他方は「できれば修復したい」と考えていた
このようなケースでは、不倫をした側が「離婚に合意していた」と主張しても、裁判所は「まだ具体的な離婚合意までは至っていなかった」と判断し、婚姻関係の破綻も認めない可能性が高くなります。
また、実際には離婚合意があったとしても、それを裏付ける客観的な証拠がない場合も問題です。たとえば、
- LINEやメールなどで離婚の話をしていない
- 離婚協議書の草案やメモなどが残っていない
- 第三者が離婚合意のやり取りを見聞きしていない
といった場合には、「本当に合意があったのか」が疑われ、破綻の主張が認められにくくなります。
つまり、「離婚合意後だから不倫ではない」と主張するためには、
- 合意の内容(離婚すること自体、条件の方向性)がある程度具体的であること
- その合意が、客観的な資料や事情から裏付けられること
が重要になります。ただ単に「自分の感覚としてはもう終わっていた」というだけでは、慰謝料を免れるには不十分だという点に注意が必要です。
「離婚合意があった」と言える具体的な状態とは?
では、どのような状態であれば「離婚合意があった」と認められやすいのでしょうか。典型例としては、次のようなケースが挙げられます。
- 夫婦で離婚する方針を確認し、親権・養育費・面会交流・財産分与などについて具体的な話し合いをしている
- 合意した内容をもとに、離婚協議書の案を作成したり、公正証書の作成を検討したりしている
- 離婚を前提に別居しており、双方とも「元の生活に戻るつもりはない」と理解している
このように、離婚に向けた準備がかなり具体化しており、第三者が見ても「もうこの夫婦は離婚に向けて動いている」と理解できる状況であれば、「離婚合意後の不貞」と評価されやすくなります。
他方で、次のようなケースでは、離婚合意があったとはいえない可能性が高いでしょう。
- ケンカのたびに「離婚だ」と口にしていたが、具体的な条件の話はまったくしていない
- 片方は真剣に離婚を考えていたが、もう一方は「本気だとは思っていなかった」と受け止めている
- 「条件が折り合えば離婚するが、折り合わなければ離婚はしない」という段階にとどまっている
特に、「条件がまとまれば離婚」という段階では、離婚自体がまだ確定していないので、法律的には「離婚合意後」とまでは評価されない場合があります。
「離婚合意後 不倫 慰謝料」というキーワードで調べている方の中には、「離婚の話し合いをしていたから、もう不倫にはならない」と考えている方も多いですが、実際にはここまで踏み込んで状況を整理しないと、結論が変わってしまうことに注意が必要です。
離婚について話し合いをしていた・調停中・裁判中の場合
「離婚合意後」といえるかどうかで迷いやすいのが、「離婚の話し合いの途中」「離婚調停中」「離婚訴訟中」といったグレーゾーンです。
たとえば次のような状況を想像してみてください。
- 夫婦で何度か離婚の話し合いをしたが、条件がまとまらず平行線のまま
- 一方が家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停手続が始まっている
- 調停が不成立となり、離婚訴訟が提起されているが、相手は離婚に反対している
このような場合、感覚的には「もう夫婦関係は終わっている」と感じるかもしれません。しかし、法的な評価は慎重です。
- 離婚について真剣な話し合いが行われていることは、婚姻関係が悪化している有力な事情ではある
- しかし、条件がまとまらず、どちらかが離婚に反対している場合には、「まだ破綻とまではいえない」と判断されることも多い
- 調停・訴訟の段階でも、事情によっては「修復の見込みが完全にない」とまでは認められないことがある
つまり、「離婚について話し合っている」「調停・裁判になっている」=機械的に「離婚合意後」ではないということです。
むしろ、離婚について争っている最中に新しい不貞行為が始まると、相手方からは
- 「話し合いの途中で裏切られた」
- 「訴訟中に不倫を続けていた」
と受け止められ、感情的反発が強まりやすくなります。その結果、慰謝料額の増額要素として評価されるおそれさえあります。
したがって、「離婚の話し合いをしているから」「調停中だから」「もう訴訟だから」といった理由だけで、「離婚合意後の不貞だから慰謝料は発生しない」と楽観視するのは危険です。
このようなグレーゾーンでは、具体的な事情(別居の有無・期間、夫婦のやり取り、離婚条件の進み具合)を丁寧に整理し、婚姻関係の破綻や離婚合意の有無を慎重に検討する必要があります。
【離婚合意がなくても婚姻関係破綻が認められるケース・認められないケース
離婚合意が文書や明確な形で残っていない場合でも、「不貞行為が始まった時点で、すでに婚姻関係が破綻していた」と評価されれば、慰謝料が否定される可能性があります。ここで重要なのが、「婚姻関係破綻」の有無です。
婚姻関係破綻の基本的な考え方
婚姻関係の破綻とは、簡単にいうと、
- 夫婦としての共同生活が完全に壊れている
- 今後その関係を修復して元の夫婦生活に戻る見込みがほとんどない
という状態を指します。
ここで注意すべきなのは、「自分はもう終わっていると思っている」という主観的な感覚だけでは足りないという点です。裁判所は、次のような客観的な事情を総合して、「本当に破綻していたと言えるのか」を判断します。
- 別居の有無・期間・別居に至った経緯
- 夫婦の間で交わされた発言や、離婚に関する話し合いの内容
- 生活費の支払い状況や、家事・育児への関わり方
- 夫婦が互いをどのように扱っていたか(暴力・モラハラ・経済的DVなどの有無)
つまり、婚姻関係の破綻は、「夫婦の一方がそう思った瞬間」に自動的に成立するようなものではなく、あくまで具体的な事実に基づいて、第三者から見てどうかという視点から判断されるものです。
婚姻関係破綻が認められやすい典型パターン
婚姻関係破綻が認められやすいパターンとしては、次のような状況があげられます。
- 1年以上、あるいは数年単位での完全な別居が継続している
- 別居前から深刻な不和が続き、修復の努力が尽くされてきたが、改善の見込みがなかった
- 配偶者による暴力(DV)、虐待、生活費を入れないなどの経済的DVが継続していた
- 離婚の協議や調停が具体的に進んでおり、夫婦双方に婚姻継続の意思がほとんど残っていない
このような事情が積み重なっている場合には、「不貞行為が始まった時点ですでに婚姻関係は破綻していた」という評価がなされやすくなります。
もっとも、「別居していれば必ず破綻」「DVがあれば必ず破綻」といった機械的な線引きがあるわけではありません。あくまで、複数の事情を総合したうえで、「夫婦としての共同生活を回復させる現実的な見込みがあったかどうか」がポイントになります。
婚姻関係破綻が認められにくいパターン
逆に、次のような場合には、婚姻関係の破綻が認められにくい傾向があります。
- 別居はしているが、単身赴任や里帰り出産など、合理的な理由がある
- ケンカが多くても、実際には同居を続け、生活費の授受や家事・育児の協力も続いている
- 一方は離婚したいと考えているが、他方は強く婚姻継続を望んでいる
- 子どもの養育を通じて頻繁に連絡を取り合い、一定の協力関係が維持されている
特に、子どもがいるケースでは、「子どもをかすがいに夫婦生活を続けていた」と評価され、婚姻関係破綻が否定されることも少なくありません。
また、数か月程度の別居であっても、それが「冷却期間」としての意味合いが強い場合には、「まだ破綻とまではいえない」と判断されることが多いです。
破綻していると思っていた」では足りない理由
不倫慰謝料を請求された側からは、
- 相手から「もう夫婦として見ていない」と言われていた
- 「いずれ離婚する」と聞かされていた
- 自分としては、完全に終わった関係だと思っていた
といった声がよく聞かれます。
しかし、法律上の責任を免れるためには、「自分がそう信じていた」という主観だけでなく、それを裏付ける客観的な事情が必要になります。
とくに、不倫相手から「妻とはすでに破綻している」「必ず離婚する」という説明を受けて関係を持ったケースでも、実際には長期間の別居や具体的な離婚協議がなかった場合には、「婚姻関係が破綻していると信じたことに落ち度がなかった」とまでは認められにくいのが実情です。
まとめると、
- 離婚合意が明確にあったか
- 不貞行為が始まった時点で、客観的に見て婚姻関係が破綻していたといえるか
という2つの軸が、慰謝料の有無を左右する大きなポイントになります。
次のパートでは、こうした前提を踏まえたうえで、離婚合意後に「過去の不貞」が発覚した場合の慰謝料について整理していきます。
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離婚合意後に過去の不貞行為が発覚した場合の慰謝料請求
ここまでは、離婚合意後に新しく始まった不貞行為を中心に解説してきました。
しかし現実には、次のようなパターンも少なくありません。
- 離婚の話し合いをしていたときには不倫を知らなかった
- 離婚成立後、しばらくしてから「実は婚姻中から不倫していた」と発覚した
「もう離婚しているんだから、今さら慰謝料なんて請求できないのでは?」(請求する側)
「離婚後にバレたんだから、払わなくていいはずだ」(請求された側)
と考えてしまいがちですが、実務上はもう少し複雑です。
離婚時には知らなかった不貞でも、慰謝料請求が認められる余地がある
まず押さえておきたいのは、
- 「離婚したあと」であっても
- 婚姻中の不貞行為が原因で精神的苦痛を受けていれば
一定の条件のもとで慰謝料請求が認められる可能性があるということです。
とくに、次のような場合は請求の余地が検討されます。
- 離婚時点では不倫の事実を知らなかった
- 離婚後、偶然のきっかけで婚姻中の不貞行為が判明した
- 不貞行為が離婚原因になっていたと言える事情がある
(例えば、相手が急に離婚を迫ってきたが、理由を明かさなかった等)
このとき問題になるのが、
- 「離婚の精神的苦痛」に対する離婚慰謝料
- 「不倫という不法行為」に対する不貞慰謝料(不倫慰謝料)
が法律上は別の性質を持つ、という点です。
離婚成立時に何も取り決めをしていなければ、
- 「離婚そのものの苦痛」に対する慰謝料
- 「婚姻中の不貞による苦痛」に対する慰謝料
はいずれも、後からまとめて請求が検討される領域になります。
もっとも、
- 不貞行為があったこと
- その時期・回数・内容
- その結果、どの程度の精神的苦痛を受けたか
などを、ある程度の証拠に基づいて主張・立証していく必要があるため、
請求する側・請求された側のどちらにとっても、専門的な検討が不可欠になります。
離婚協議書・合意書・清算条項がある場合の考え方
次に多いのが、離婚時に次のような書面を作っているケースです。
- 離婚協議書
- 公正証書(離婚に関する公正証書)
- 合意書・覚書 など
この中に、たとえば次のような条項が入っていることがあります(いわゆる清算条項)。
- 「本件離婚に関し、当事者双方は互いに慰謝料請求を行わない」
- 「本件離婚に関し、当事者双方は相互に一切の債権債務がないことを確認する」
このような場合、原則論としては、
- 当事者同士が「もうお互いに請求しない」と約束した
- その代わり、財産分与等を含めて全体としての精算を済ませた
と評価されるため、あとから改めて慰謝料を請求するのは難しくなる傾向にあります。
ただし、ここでも重要なのは、
離婚協議時に、婚姻中の不貞行為の存在を知っていたかどうか
です。
典型的な争点として、次のようなものがあります。
- 離婚協議のとき、相手が不倫の事実を意図的に隠していた
- 不倫があったことを知っていれば、そもそもその条件では合意しなかった
- 「慰謝料は請求しない」という条項に、不倫の存在は織り込まれていなかった
このような事情があると、
- 「重大な事実について勘違い(錯誤)があった」
- 「相手の不誠実な隠匿行為を前提にした合意だった」
として、合意条項そのものの効力を争う余地が論じられることがあります。
もっとも、
- 清算条項つきの公正証書がある場合
- 離婚から時間が経っている場合
には、合意のやり直しを主張するハードルは相当に高くなります。
請求する側にとっても、請求された側にとっても、
- 「この合意書・清算条項がどこまでをカバーしているのか」
- 「不倫発覚後の請求に、どの程度の可能性があるのか」
は、文言の読み方やこれまでの裁判例に照らした専門的な評価が必要なポイントです。
離婚慰謝料と不貞慰謝料の違いを押さえておく
離婚後に婚姻中の不貞が発覚したケースでは、
- 「離婚のショック」に対する慰謝料
- 「不貞行為そのもの」に対する慰謝料
が頭の中でごちゃ混ぜになりやすいのですが、
法的には次のように整理しておくと理解しやすくなります。
- 離婚慰謝料
→ 離婚という結果に至ったこと自体から生じる精神的苦痛への賠償
→ 主な相手は元配偶者 - 不貞慰謝料(不倫慰謝料)
→ 婚姻中の不貞行為による精神的苦痛への賠償
→ 配偶者だけでなく、不倫相手も責任を負う可能性がある
離婚時の話し合いで「離婚慰謝料は請求しない」としていても、
- 不貞慰謝料としては請求できる余地がないか
- 元配偶者だけでなく、不倫相手に対しても請求するか
といった選択肢があり得るケースも存在します。
逆に、請求された側としては、
- どの範囲について、すでに離婚時に精算が済んでいるのか
- 「二重取り」となるような請求になっていないか
をしっかりチェックしたうえで、
必要に応じて**「既に解決済みの部分です」と反論する戦略**をとることもあります。
このように、離婚後に過去の不貞行為が発覚したケースは、
- 時系列
- 合意書の内容
- どの損害について、どのタイミングで精算されたか
を丁寧に整理しないと、正確な見通しが立ちにくい領域です。
ご自身だけで「これはもう請求できない」「これは全部払わなければいけない」と断定せず、
一度、専門家に「切り分け方」そのものを相談することをお勧めします。
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自分で判断せず、弁護士に相談した方が良い典型ケース
ここまで見てきたとおり、
- 離婚合意の有無
- 婚姻関係破綻の有無
- 離婚後に発覚した不貞の扱い
は、どれも細かな事実関係と法律の評価が絡み合うテーマです。
「ネットで読んだ情報」と「自分のケース」が完全に一致することはまずありません。
次のようなケースに当てはまる場合は、ご自身で白黒を決めてしまう前に、弁護士への相談を強くおすすめします。
慰謝料額が高額(100万円以上)または弁護士名義の請求が来ている
まず分かりやすい目安になるのが、
- 請求されている金額
- 請求書の送り主
です。
- 100万円を超える慰謝料を一括で請求されている
- 「期日までに支払いがなければ訴訟も辞さない」と書かれている
- 弁護士名義の内容証明郵便が届いた
このような場合、
- 交渉がこじれれば裁判に発展する可能性が高い
- 減額余地や支払時期の調整余地があるのに、自分で不利な合意をしてしまうおそれがある
という意味で、「弁護士なしでの対応は危険ゾーン」に入っていると考えてよいでしょう。
離婚合意の有無や婚姻関係破綻が争点になりそうなケース
次に、法的な評価が分かれやすいケースです。
- 自分は「離婚合意後・破綻後の交際」だと思っているが、相手は「離婚前の不倫だ」と主張している
- 別居・離婚協議・調停など、複数の出来事が重なっており、どの時点を「破綻の境目」と見るかで結論が変わりそう
- 相手から「夫婦関係は壊れていなかった」「私は離婚するつもりはなかった」と強く反論されている
このようなケースでは、
- どの事情が「破綻を裏付ける材料」になるのか
- 逆に、相手からどのような反論が予想されるのか
を踏まえて、主張と証拠の組み立て方そのものを設計する必要があります。
たとえば、
- 別居開始時期をどう説明するか
- 離婚の話し合いでどのような言葉が交わされていたか
- LINEやメールでのやり取りをどこまで証拠として使うか
といった点は、感覚ではなく「戦略」の問題です。
慰謝料を請求された側としても、請求する側としても、
ここを誤ると、
- 認められるはずだった減額が認められない
- 本来はもっと取れたはずの慰謝料が大きくカットされる
といった結果になりかねません。
離婚合意後の不貞+婚姻中の別の不貞も問題になっているケース
さらに難易度が高いのが、複数の不貞行為が時間的に混在しているケースです。
例えば、次のようなパターンです。
- 婚姻中からAさんと不倫関係があり、その後、離婚合意後にBさんとも関係を持った
- 離婚前のある時期までは一度関係を解消していたが、離婚協議中に再度同じ相手と関係を持った
- 離婚合意・別居・不貞の再開など、出来事の順番が入り組んでいる
このような場合、
- どの期間の行為について、誰に対して
- どの名目で、どのくらいの慰謝料を請求・支払うことになるのか
という「整理作業」自体が、かなり複雑になります。
慰謝料を請求された側にとっては、
- 本来よりも広い期間を対象に請求されていないか
- 離婚合意後・破綻後の行為まで一括して高額請求されていないか
をチェックしたうえで、
- 「ここからここまでは破綻前の行為として一定の支払いを受け入れる」
- 「それ以降は破綻後なので慰謝料の対象とすべきではない」
といった線引きを、タイムラインに沿って冷静に提示していくことが求められます。
逆に、請求する側であれば、
- どこまでが不貞慰謝料の対象期間になるのか
- 離婚慰謝料との関係で「取りこぼし」がないか
- 相手方の収入・資力とのバランスを踏まえた現実的な落としどころ
を見極めながら請求・交渉を進めていく必要があります。
このように、時系列が複雑な事件ほど、専門家による整理の有無で結果が大きく変わりやすいと言えます。
離婚合意後の不貞と、婚姻中の別の不貞が同時に問題になっていると感じたら、
ご自身だけで「ここまでは払う/払わない」を決めてしまうのではなく、
一度、第三者である弁護士にタイムラインを見てもらうことをおすすめします。
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慰謝料を請求された側がやってはいけないNG行動
ここまで見てきたとおり、離婚合意後の不貞行為と慰謝料の問題は「タイムライン」と「婚姻関係破綻」の評価次第で結論が大きく変わるテーマです。
だからこそ、請求されたときの一つひとつの行動が、
後になって「痛恨の一手」になってしまうことも少なくありません。
ここでは、とくに離婚合意後に不倫慰謝料を請求された側が、絶対に避けたいNG行動を整理します。
請求を無視する・感情的な反論をする
まず、もっとも危険なのが次のパターンです。
- 内容証明やLINEでの請求を読まずに放置する・無視する
- 頭に血が上り、「そっちこそ悪い」「二度と連絡してくるな」など感情的な反論だけを返す
気持ちはよく分かりますが、この対応は相手の攻撃パターンを「訴訟モード」に切り替えさせてしまうきっかけになりがちです。
無視・感情的反論の主なリスクは次のとおりです。
- 話し合いで解決できたはずなのに、いきなり裁判を起こされる
- 感情的な返信が、「反省していない」「開き直っている」証拠として裁判所に出される
- 冷静に説明すれば通ったかもしれない「破綻後不貞」や「金額の高さ」に関する主張が、まともに検討されない
慰謝料請求に納得しているかどうかに関わらず、
「何も言わない」「怒りにまかせた一撃だけ送って終わり」は最悪の選択肢です。
請求書面の内容を整理して、認める部分と争いたい部分を一度冷静に切り分けることが、最初の一歩になります。
もちろん、いきなり長文の反論書面を自分で作る必要はありません。
「とりあえず一度弁護士に見せてから返事をする」という、一呼吸おいた対応だけでも、後の展開は大きく違ってきます。
安易に「全部認める」内容の書面にサインする
次に危険なのが、請求する側に言われるままの内容で書面にサインしてしまうケースです。
例えば、こんな流れです。
- 「この内容で合意書を作ったから、署名押印してほしい」と言われる
- 怖さと申し訳なさから、内容をよく理解しないままサイン
- あとから弁護士に見せると、過大な金額や不利な条件を全部認める内容だった
一度署名押印してしまった書面は、
その後の交渉や裁判で非常に強い証拠として扱われます。
典型的には、次のような危険な条項が紛れ込んでいることがあります。
- **「請求された金額全額を、不合理なほど短い期限で支払う」**という約束
- **「今回支払う金額が不相当に高くても、二度と争わない」**と読むこともできる文言
- 退職・転居・接触禁止など、慰謝料以外の重い義務を負わせる条項
- **「相手に一切責任はない」**と記載され、後からの反論の余地を完全に塞いでしまう表現
「とにかく謝りたい」「早く終わらせたい」という思いから、内容をよく理解しないままサインしてしまうのは本当に危険です。
少なくとも、・金額・支払方法・それ以外に負う義務(退職・接触禁止など)は、自分の言葉で説明できるレベルまで理解してからでないと、署名押印すべきではありません。
相手から渡された合意書・示談書案について、
- 「どこが典型的な内容で、どこが異常に重い条件なのか」
- 「このまま署名すべきか、どこを修正してもらうべきか」
を評価するのは、一般の方には難しい部分です。
「サインする前に、一度弁護士チェックして貰う」
これだけでも、将来のトラブルを大きく減らすことができます。示談書の作成・チェックは無料相談の対象外とはなりますが、有料相談や依頼をしても数万円から10万円程度の弁護士費用しかかかりません。
相手を挑発する発言やLINEを送る
もう一つよくあるのが、相手を挑発するような発言やメッセージを送ってしまうケースです。
- 「そっちだって完璧な結婚生活じゃなかったじゃないか」
- 「こっちの生活も壊されたんだ、そこまで言われる筋合いはない」
- 「そんなに騒ぐなら、こっちもいろいろ暴露する」
こうした発言は、相手の怒りにさらに火をつけるだけでなく、
- 相手の精神的苦痛を増幅させた証拠
- 場合によっては、名誉毀損や脅迫まがいの言動の証拠
として、裁判所に提出されてしまうこともあります。
特に、LINEやメールは
- 日付と時刻が残る
- スクリーンショットで簡単に保存・提出できる
ため、「ついカッとなって送った一言」が長期間にわたって残り続けるという特徴があります。
不倫慰謝料の事件では、
「不倫そのもの」だけでなく、その後の対応・発言も含めて評価されることがよくあります。
早い段階から真摯に謝罪している・相手への配慮が見て取れるという事情は、減額要素になり得ます。
そのため、毅然と反論するにしても表現は冷静に、相手の人格を攻撃する表現は避けるという「言葉選び」が非常に大事です。
もし、感情的になってしまいそうなら、
一晩おいてから返事をする
自分で文面を作らず、弁護士を通じてやり取りする
といった「距離を置く工夫」をした方が安全です。
まとめ
最後に、この記事全体のポイントを整理しておきます。
- 離婚合意後の不貞行為は、原則として慰謝料の支払義務が生じない方向に働くが、離婚合意の有無・タイミングや、婚姻関係破綻の有無が争点になることが多い。
- 「離婚合意後の不倫」と「離婚前から続いていた不倫」は、法律上の評価がまったく異なる。
離婚後に過去の不倫が発覚したケースでは、離婚協議書や公正証書の内容も重要な判断材料になる。 - 破綻の有無をめぐる争いは、当事者の感覚だけでなく、別居期間・生活費・子どもとの関わり方など客観的事情で評価される。
自己判断で「破綻していたはず」と決めつけるのは危険。 - 慰謝料額が高額(100万円超)・弁護士名義の請求・複数の不倫が絡むケースなどは、
早い段階で弁護士に相談した方が、結果的に支払総額や精神的負担を抑えやすい。 - 請求を無視する・感情的な反論をする・安易に書面にサインする・挑発的なLINEを送るといったNG行動は、後から自分の首を絞める結果になりかねない。
離婚合意後の不倫慰謝料の問題は、
法律的にも事実関係としても「グレーゾーン」が多く、一般論だけではなかなか結論が出ません。
逆に言えば、
- 時系列の整理
- 離婚協議や別居の経緯の確認
- 合意書やLINEの文言の読み込み
を丁寧に行うことで、本来払う必要のない慰謝料を避けたり、金額を大きく抑えられる余地がある分野でもあります。
「本当にこの金額を、今の条件で払うべきなのか?」
と少しでも迷われたら、一人で抱え込まずに専門家に相談してみてください。
離婚合意後の不倫慰謝料の問題は、
- 法律の条文だけでは答えが出ない
- 事案ごとの事情によって結論が揺れ動く
という意味で、とても「難しい」分野です。
その一方で、きちんと整理して主張すれば、結果が大きく変わる余地のある分野でもあります。
少しでも不安を感じているなら、
- 時系列や離婚の経緯が分かるメモ
- 離婚協議書やLINEのスクリーンショット
などを手元にまとめたうえで、一度専門家に相談してみてください。
それが、「払わなくてよかったお金」を見極めるための、いちばん確実な近道になります。
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