不倫慰謝料はいくら?計算方法と影響する要素を詳しく解説

不倫慰謝料の計算方法は、個々の状況や事例によって大きく異なります。本記事では、慰謝料の基本的な考え方や金額に影響を与える要素、具体的な事例を通じて、適切な慰謝料の算定方法を解説します。なお、慰謝料の相場については下記記事を参考にしてください。

(参考)不倫慰謝料の相場と金額が増減する事情について解説

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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不倫慰謝料の計算方法に関する基本的な考え方

不倫慰謝料とは、配偶者の不貞行為によって被った精神的苦痛に対する損害賠償金を指します。しかし、精神的苦痛は目に見えないものであり、その程度も人それぞれ異なるため、法律で定められた明確な計算式は存在しません。そのため、過去の判例や個別の事情を考慮して、慰謝料の金額が決定されます。

そのため、不倫慰謝料を計算するためには、どのような要素が慰謝料を増減させる事情であるかを知る必要があります。

婚姻期間の長さ

婚姻期間が長いほど、精神的苦痛が大きいと判断され、慰謝料が増額される傾向があります。例えば、婚姻期間が10年以上の場合は長期間と判断されますし、婚姻期間が1年以内であれば短期間と判断されます。

子どもの有無

幼い子どもがいる場合、家庭への影響が大きいため、慰謝料が増額されることがあります。

不倫の期間と回数

不倫慰謝料を計算するにあたって、不倫の期間・回数は重要な要素です。不倫の期間が長く、回数が多いほど、悪質性が高いと判断され、慰謝料が増額される傾向があります。具体的には、不倫期間が1年以上や、肉体関係を20回以上持った場合などが該当します。

不倫の開始経緯

配偶者が不倫相手に既婚であることを伝えていなかった場合には慰謝料が減額されたり、慰謝料を免除されたりすることがあります。

(参考)既婚者と知らなかったのに慰謝料請求されたときの対応方法

また、離婚予定と偽わられていた場合、不倫相手の責任が軽減され、慰謝料が減額されることがあります。もっとも、離婚予定であると嘘をつかれていた場合でも、婚姻関係が破たんしたと誤信をしたことを理由に慰謝料の免除が認められる可能性は非常に少ないです。

(参考)不貞行為についての故意・過失とは。不倫慰謝料の裁判例を徹底分析。

不倫による夫婦関係への影響

不倫が原因で離婚に至った場合、慰謝料が増額される傾向があります。一方、夫婦関係がもともと悪化していた場合は、減額要素となることがあります。

謝罪や反省の有無

不倫相手や配偶者が誠意を持って謝罪し、反省している場合、慰謝料が減額されることがあります。逆に、謝罪や反省が全く見られない場合は、増額要素となります。

経済的支援や子どもの存在

配偶者が不倫相手に経済的支援をしていたり、不倫相手との間に子どもがいたりする場合、慰謝料が増額される傾向があります。

 

不倫慰謝料の計算方法とは?裁判例をもとに慰謝料の決め方を解説

不倫慰謝料の金額は、不貞行為の状況や婚姻関係の破綻の有無、精神的苦痛の程度などによって異なります。本記事では、3件の裁判例を紹介し、それぞれの事案の概要や慰謝料計算のポイントを解説します。

仙台高裁平成9年8月10日判決(慰謝料200万円)

事案の概要

本件は、妻が夫に対して不貞行為を理由に慰謝料請求を行った事案です。

夫は不倫相手の女性と不貞関係を持ち、平成22年8月から平成23年1月までの間に3人の子をもうけました。妻が不貞を問い詰めた際、夫は否定し続け、さらに生活費を月額40万円から20万円に減額しました。最終的に夫は不倫相手の女性と同棲を開始し、家庭を顧みなかったという事案です。

判決のポイント

不貞行為の長期継続:不貞行為が数年にわたり継続。

婚姻関係の破綻の時期:婚姻関係が破綻する前に不貞行為が行われていた。

精神的苦痛の程度:妻はうつ病を発症し、自殺未遂を起こしていたことが考慮され、慰謝料200万円が認められた。

東京地裁 平成29年4月25日判決(慰謝料240万円)

事案の概要

本件は、原告(妻)が夫の不貞相手に対して慰謝料を請求した事案です。

夫と被告(不貞相手)は平成27年3月から不貞関係を継続しました。夫は「ゆくゆくは離婚する」と不貞相手に話していたが、実際には婚姻関係が破綻していませんでした。妻は精神的苦痛を受け、不眠症や抑うつ状態と診断された。

判決のポイント

婚姻関係が破綻していなかったこと:不貞行為が発覚するまで夫婦関係は維持されていた。

不貞行為の頻度と期間:不貞行為が複数回にわたり行われたことが慰謝料増額要因となった。

精神的苦痛の証明:診断書が提出され、妻の精神的負担が認められた。

 

東京地裁 平成29年8月10日判決(慰謝料250万円)

事案の概要

本件は、原告(夫)が、妻の不貞相手に対して慰謝料請求を行った事案です。

妻と不貞相手は平成26年12月から不貞行為を開始しました。不貞相手は原告(夫)が単身赴任中であることを利用し、原告の自宅で妻と関係を持っていた。

最終的に、妻は不貞相手の男性とともに原告の自宅を離れ、子ども(当時4歳)を連れて別居に至った事案です。

判決のポイント

行為の悪質性:夫の単身赴任中に自宅で不貞行為が行われたことが、慰謝料増額の理由となった。

未成熟の子どもの影響:子どもがいる自宅での不貞行為であり、家庭への影響が大きかった。

婚姻関係の破綻の有無:不貞行為の結果として夫婦関係が破綻したことが認められた。

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慰謝料請求の手続きと注意点

慰謝料を請求する際には、以下の手順と注意点があります。

証拠の収集

不倫の事実を証明するための証拠(メール、写真、録音など)を集めることが重要です。

内容証明郵便の送付

不倫相手に対して、慰謝料請求の意思を示すために、内容証明郵便を送付します。

示談交渉

話し合いで解決を目指す場合、示談交渉を行います。この際、弁護士を介入させることで、スムーズな交渉が期待できます。

訴訟提起

示談が成立しない場合、裁判所に訴訟を提起し、慰謝料の支払いを求めます。

慰謝料請求には時効があり、不倫の事実を知ってから3年以内に請求する必要があります

 

弁護士に慰謝料の計算方法を相談するメリット

不倫慰謝料の計算方法に関して、弁護士に相談することで以下のメリットがあります。

適正な慰謝料の計算が可能

不倫慰謝料の金額は、個々の事情によって異なります。

弁護士は過去の判例や裁判例を基に、適正な計算方法をアドバイスします。

慰謝料の増額・減額要因を適切に判断

婚姻期間、不倫の期間や回数、夫婦関係の状況など、慰謝料の金額に影響を与える要素を専門的に分析できます。

適切な主張を行い、増額や減額の可能性を見極めることができます。

裁判例を踏まえた算定が可能

過去の裁判例を参考にしながら、妥当な金額を算出できます。

不倫慰謝料の計算において、裁判所がどのように判断するかを予測し、最適な対応を取ることができます。

示談交渉で適正な慰謝料を獲得・支払交渉が可能

示談交渉の際、弁護士が代理人となることで、適正な慰謝料を主張できます。

慰謝料の金額が高すぎる又は低すぎる場合において、裁判例等を踏まえた慰謝料の計算方法を具体的に提示して有利に交渉を進めることが可能です。

法的手続きをスムーズに進められる

内容証明郵便の送付や訴訟提起など、手続きが必要な場合に弁護士がサポートします。

また、慰謝料請求の時効(3年)に関するアドバイスも受けられます。慰謝料の請求期限については下記記事も参考にしてください。

(参考)慰謝料の請求期限は3年?時効のカウント開始と例外ケースを解説!

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どのような事情が考慮されて不倫慰謝料が計算されるかを知っておく

不倫慰謝料の計算方法は、単純な計算式ではなく、さまざまな要因を考慮する必要があります。

  • 不倫慰謝料の計算方法は、単純な計算式ではなく、さまざまな要因を考慮する必要があります。
  • 慰謝料の計算には、婚姻期間や不倫の期間・回数、夫婦関係の状況が重要な要素となる
  • 裁判例をもとに算定することで、妥当な慰謝料の額を知ることができる
  • 示談交渉や訴訟を通じて、適正な慰謝料を請求・交渉できる
  • 弁護士に相談することで、最適な計算方法を知り、納得のいく結果を得られる

不倫慰謝料の計算方法について不安がある方は、早めに弁護士に相談し、自身にとって適切な慰謝料を把握しましょう。

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