略奪婚の慰謝料は高額になる?【実例】|相場・増額減額・請求された側の対処法

本記事では略奪婚が問題となった解決事例に基づき、こんな悩みにお答えします。

  • 略奪婚 慰謝料」は必ず発生するのか(言葉のイメージと法律のズレ)
  • 誰が誰に慰謝料を請求できるのか(請求する側/請求された側の全体図)
  • 慰謝料請求が認められる条件(不貞・既婚認識・夫婦関係の破綻など)
  • 「既婚者だと知らなかった」「離婚するつもりだった」と言われた場合の注意点
  • 離婚・再婚(いわゆる略奪婚)が金額にどう影響するのか

「略奪婚」という言葉に引っ張られがちですが、慰謝料が認められるか・金額がどう動くかは、結局のところ“具体的な事情”で決まります。まずは判断枠組みを整理しましょう。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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略奪婚と慰謝料の基本を最短で整理

「略奪婚」と聞くと、「不倫相手から配偶者を奪って結婚した=悪質=慰謝料は高額」とイメージする方が少なくありません。

ただ、略奪婚は法律用語ではなく、この言葉だけで慰謝料の有無や金額が自動で決まるわけではありません。

法律上の争点はシンプルで、ざっくり言うと次の点が問題になります。

  • 不倫(不貞行為)があったのか
  • 不倫相手(第三者)に「既婚者だと知っていた/注意すれば分かった」事情があるのか
  • 夫婦関係がすでに破綻していたか(破綻していれば第三者の責任が否定される場面がある)
  • 不倫が離婚の原因になったのか、どの程度影響したのか(因果関係)
  • 期間・回数・態様、子どもの有無など、金額を増減させる事情があるのか

つまり、「略奪婚 慰謝料」と調べている方が知りたいのは、“略奪婚かどうか”よりも、慰謝料の判断要素が自分のケースに当てはまるかという点かと思います。

「略奪婚」は法律用語ではない(何が問題になるか)

一般に「略奪婚」と呼ばれるのは、次のような流れのケースが多いです。

  • 既婚者と交際(不倫)
  • 不倫が発覚/夫婦関係が悪化
  • 離婚
  • 不倫相手と再婚

ただし、「離婚した」「再婚した」=それだけで慰謝料が決まるわけではありません。

慰謝料はあくまで、不倫(典型は肉体関係を伴う不貞行為)などによって、婚姻共同生活の平和が侵害されたか、精神的損害が生じたか、といった観点で判断されます。

反対に言えば、たとえ「略奪婚」と言われる状況でも、

  • そもそも不貞行為が立証できない
  • 既婚者だと知らず、注意しても分からない事情がある
  • 不倫開始前から夫婦関係が実質的に破綻していた

などの事情があれば、慰謝料が認められない/減額される方向に働くことがあります。

誰が誰に請求できるのか(当事者関係の全体図)

「略奪婚 慰謝料」のトラブルは、立場によって見え方が変わります。まずは登場人物を整理しましょう。

  • 請求する側:多くは「不倫された配偶者(元配偶者)」
  • 請求される側:①不倫をした配偶者(元配偶者) ②不倫相手(第三者)

そして、よくある請求パターンは次のとおりです。

  • 不倫された配偶者が、不倫相手(第三者)だけに請求する
  • 不倫された配偶者が、不倫した配偶者だけに請求する
  • 不倫された配偶者が、不倫した配偶者と不倫相手の両方に請求する

ポイントは、「誰に請求するか」で、争点や進み方が変わることです。

また、請求された側から見ると、「不倫した配偶者が(離婚時などに)すでに何らかの支払いをしている」「清算条項がある」といった事情が、結果に影響することもあります(このあたりは後半で詳しく扱います)。

略奪婚で慰謝料請求が認められる条件

ここからは、「略奪婚 慰謝料」で最も重要な部分です。

慰謝料が認められるかどうかは、感情的な言葉よりも、**要件(チェック項目)**で判断されます。

大枠としては、次の3つが争点になりやすいです。

  • 不貞行為(典型は肉体関係)があったか
  • 不倫相手(第三者)が既婚者だと知っていた/注意すれば分かったか
  • 夫婦関係が「すでに破綻していた」といえるか(破綻していれば第三者の責任が否定され得る)

以下、順番に解説します。

MEMO

ここでの解説は一般論です。慰謝料が認められるか・どこまで減額できるかは、証拠の出方や夫婦関係の経緯など個別事情で変わります。

原則:不貞行為(肉体関係)+故意・過失が中心

「略奪婚」と言われるケースでも、慰謝料の中心はやはり**不貞行為(肉体関係)**です。

裁判や交渉の場面では、「仲が良かった」「好きだった」「将来結婚するつもりだった」といった話だけでは足りず、肉体関係があったといえるかが重く見られやすい傾向があります。

また、不倫相手(第三者)に対して慰謝料を請求する場合は、第三者側に

  • 既婚者だと知っていた(故意)
  • または
  • 知らなかったとしても、注意すれば分かった(過失)

と評価される事情が必要になります。

つまり、請求する側/請求された側のどちらにとっても、最初の分岐点は次の2つです。

  • 不貞行為を立証できるか(または立証されるか)
  • 既婚認識(故意・過失)を立証できるか(または立証されるか)

不貞行為と評価されやすい証拠・されにくい証拠

不貞行為は、当事者が否認すると「証拠勝負」になりがちです。

ここでは、一般的に争点になりやすい証拠の方向性を整理します(※証拠収集の適法性・使い方は事案で変わるため、具体的には弁護士へ相談してください)。

不貞行為(肉体関係)を推認しやすい方向に働くことが多いものとしては、たとえば次のような類型があります。

  • ラブホテルの出入りが分かる写真・動画、複数回の宿泊の記録
  • 旅行や宿泊を伴う行動の記録(領収書、予約情報、位置情報など)が継続的にある
  • 肉体関係をうかがわせるメッセージ(ただし文言や前後関係が重要)

一方で、単体では不貞行為の立証として弱くなりやすいものもあります。

  • 2人で食事をしただけ、連絡を取っているだけ
  • 好意を示すやり取りがあるが、肉体関係を直接うかがわせない
  • 1回きりの外泊らしき事情があるが、他の裏付けが乏しい

もちろん、弱い証拠でも「積み重ね」で強くなることがあります。

逆に、強そうに見えても「1回だけ」「他の可能性が高い」など事情次第で評価が割れることもあります。

注意

違法・強引な方法(不正アクセス、盗聴、違法なGPS設置など)で集めた証拠は、別のトラブルを招くおそれがあります。証拠を集める前に、適法性も含めて弁護士に相談するのが安全です。

「既婚者と知らなかった」が通る条件/通らない条件

略奪婚の文脈で非常に多いのが、第三者側の言い分としての

「既婚者だと知らなかった」「離婚するって言っていた」という主張です。

ここで重要なのは、単に“本人がそう思っていた”だけでなく、**注意しても分からなかったといえるか(過失がない/小さいか)**という点です。

たとえば、第三者に有利に働きやすい事情の方向性としては、次のようなものが挙げられます。

  • 相手から独身だと明確に説明され、生活状況も独身に見える客観事情がそろっていた
  • 結婚指輪の有無、住居、休日の過ごし方などから見ても既婚をうかがわせる事情が乏しい
  • 交際開始時点で、すでに長期別居など客観的な事情があり、婚姻実態を疑いにくかった

反対に、次のような事情があると「知らなかった」と言い切るのが難しくなり、**注意すれば分かった(過失あり)**と評価されるリスクが上がります。

  • 休日や夜間に連絡が取りづらい、家庭の話題を避けるなど“既婚の兆候”が濃い
  • 住居を一切教えない、身分関係が分かる情報を頑なに出さない
  • 離婚の話が長期間進まないのに交際だけが続いている

「略奪婚 慰謝料」で悩む方の中には、相手から「夫婦仲が悪い」「もう離婚する」と言われて関係を続けてしまった、という方も多いと思います。

ただ、“離婚するつもり”は法律上の免罪符ではありません。 次の “破綻”の考え方とも関わってくるので、あわせて整理しておきましょう。

夫婦関係の破綻(婚姻関係が実質的に壊れていたか)

第三者(不倫相手)への慰謝料請求で重要になりやすいのが、不倫開始時点で、夫婦関係がすでに破綻していたかという点です。

一般に、夫婦関係が実質的に破綻していれば、第三者との関係が「婚姻共同生活の平和を侵害した」とはいえず、第三者の責任が否定される(または限定される)方向に働くことがあります。

ただし、破綻の判断は簡単ではありません。

単に「仲が悪かった」「喧嘩が多かった」「会話が少なかった」だけだと、破綻とまでは言いにくいことも多いです。

破綻が問題になるときは、次のように“客観的に見て戻れない状況だったか”が見られやすいイメージです。

  • 別居の開始時期、別居の継続期間、別居の理由
  • 離婚協議・調停など、離婚に向けた具体的な動きの有無
  • 生活費の分担、交流状況、同居の実態(家庭内別居の実質)

別居・離婚協議中・家庭内別居の扱い

破綻の主張でよく出てくるのが「別居していた」「離婚協議中だった」「家庭内別居だった」という事情です。

ただし、同じ言葉でも中身はさまざまで、評価が分かれます。

判断に影響しやすいポイントを、目安として挙げると次のとおりです。

  • 別居が一時的ではなく、相当期間継続しているか
  • 別居後に同居へ戻る動きがあるか(戻る前提の別居か、解消困難な別居か)
  • 離婚協議が「具体的に進んでいる」といえる資料・事情があるか(単なる口約束では弱い)
  • 家庭内別居でも、同居実態が形式だけで、婚姻共同生活として機能していないといえるか

請求する側からすると、ここが「責任が否定されるかどうか」の分岐点になり得ます。

請求された側からすると、ここは「争点として組み立てられるかどうか」の分岐点です。

「夫婦仲が悪い」「離婚予定」と言われた場合の注意点

略奪婚の慰謝料トラブルでは、交際中に相手から次のように言われるケースが非常に多いです。

  • 「夫婦仲が悪い」
  • 「離婚するつもり(もうすぐ離婚する)」
  • 「家庭は破綻している」

しかし、ここで注意したいのは、その言葉が真実でも、法的に“破綻”と評価されるとは限らないことです。

また、相手の説明をうのみにしてしまうと、後から「注意すれば既婚だと分かった(過失)」と評価されるリスクにもつながります。

不安があるときは、少なくとも次の点を“言葉ではなく事情”として確認できるかが重要です(もっとも、確認の仕方や範囲もケースで変わるため、悩んだら弁護士に相談してください)。

  • いつから別居しているのか(開始時期と継続性)
  • 離婚協議・調停など具体的な手続に入っているのか
  • 夫婦としての実態(生活費、同居実態、交流)が残っていないか

離婚・再婚(=略奪婚の“結果”)はどう評価されるか

いわゆる略奪婚のケースでは、「不倫のあとに離婚し、再婚までしている」ため、感情的にも“悪質”と受け取られやすい面があります。

そのため、交渉では「略奪婚なんだから高額にするべきだ」と主張されることもあります。

ただし、繰り返しになりますが、離婚・再婚は“自動で増額するスイッチ”ではありません。

評価されるのは、離婚・再婚というラベルではなく、次のような実質です。

  • 不倫が離婚の原因になったのか(因果関係)
  • 不倫の期間・回数・態様はどの程度か
  • 夫婦関係がもともとどの程度壊れていたか

つまり、略奪婚に見える状況でも、離婚の経緯や不倫の実態によっては、増額一辺倒ではないことがあります。

不貞が離婚原因か(因果関係)をどう見られるか

「不倫が原因で離婚した」といえるかどうかは、慰謝料の評価で重要になりやすいポイントです。

見られやすい事情としては、たとえば次のようなものがあります。

  • 不倫発覚の前後で、別居・離婚協議が急に進んだか
  • 離婚理由として、不倫が強く争点化されていたか
  • 不倫以前から離婚協議が進んでいたのか(進んでいたなら因果関係は弱まり得る)
  • 夫婦間での話し合い(慰謝料・財産分与等の清算)がどのように行われたか

請求する側は「不倫が離婚の決定打になった」ことを具体的事情で組み立てることが重要です。

請求された側は、逆に「離婚の原因は別にある」「不倫の影響は限定的」といった方向で、経緯を丁寧に整理することで、減額や条件交渉につながる余地が出てきます。

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略奪婚が絡む慰謝料の相場と増額・減額要素

「略奪婚(不倫→離婚→再婚)」のケースで一番気になるのは、やはり**慰謝料はいくらか(相場)**だと思います。

ただ、慰謝料は“定価”があるわけではなく、事情の組み合わせでレンジが動くため、相場も「あなたのケースの条件に当てはめて読む」ことが重要です。

「略奪婚だから高額」「略奪婚でも必ず減額できる」と決めつけるのは危険です。相場は“増減要素”とセットで捉えると、見通しが立ちやすくなります。

相場は“条件次第”で動く(レンジの考え方)

略奪婚の慰謝料相場を考えるときは、まず「離婚したかどうか」で大きくレンジが変わる傾向があります。

一般的には、離婚に至ったケースのほうが高額になりやすいです(ただし、離婚の原因が不倫にどれだけ結びつくか、夫婦関係がどの程度壊れていたかでも変わります)。

目安としては、次のように「レンジ」でイメージすると分かりやすいです。

  • 離婚に至っていないケース:おおむね50万〜150万円程度が一つの目安(事情により上下)
  • 離婚に至ったケース:おおむね100万〜300万円程度が一つの目安(事情により上下)
  • 悪質性が強い・影響が大きいケース:300万円を超える主張や認定が問題になることもある(例外的)

このレンジが動く主な要素は、次のとおりです。

  • 婚姻期間の長さ(長いほど影響が大きいと見られやすい)
  • 不貞期間・回数・態様(長期・多数回・積極性など)
  • 子どもの有無・家庭への影響(精神的負担が大きいと評価されやすい)
  • 不倫が離婚の原因になったか(因果関係の強さ)
  • 夫婦関係が不倫前から破綻していたか(破綻が強いほど減額・否定方向)

「もっと相場の見方を整理したい」という場合は、不倫慰謝料の相場と増減要素で詳しく解説しています。

増額されやすい事情(略奪婚で強調されがち)

略奪婚と言われるケースでは、相手方(請求する側)が「悪質性」や「離婚への影響」を強く主張してくることが多いです。

とくに、次の事情は増額方向に働きやすいため、請求する側・請求された側のどちらも意識しておく必要があります。

  • 不倫が発覚した後も関係を継続した(発覚後の継続は悪質性として見られやすい)
  • 不倫期間が長い/回数が多い(継続性・常習性が評価されやすい)
  • 不倫相手が既婚者であることを明確に知りながら交際を続けた(故意の強さ)
  • 不倫が原因で別居が始まり、そのまま離婚に至った(因果関係が強い)
  • 不倫の態様が露骨(同居同然、旅行の頻発、周囲への誇示、相手配偶者への挑発など)
  • 子どもがいる家庭で、精神的影響が大きいと評価されやすい事情がある

ここで大切なのは、「略奪婚だから増額」ではなく、増額の根拠になる“具体的事情”が揃っているかです。

請求する側は、その具体的事情をどう整理して主張するかがポイントになりますし、請求された側は、逆に「どこが争点になり、どこを削れるか」を見極めることが重要になります。

減額されやすい事情(請求された側の典型防御)

略奪婚の慰謝料請求を受けた側としては、「再婚している以上、もう勝ち目がないのでは…」と不安になるかもしれません。

しかし、略奪婚のケースでも、減額に効く事情は珍しくありません。

代表的な減額事情は次のとおりです。

  • 夫婦関係が不倫開始前から実質的に破綻していた(破綻の程度が強いほど有利)
  • 不貞期間・回数が短い/少ない(長期化の主張を証拠で崩せることもある)
  • 既婚者だと知らなかった/注意しても分からなかった事情がある(故意・過失の問題)
  • 不倫が離婚の主因ではない(離婚協議が以前から進んでいた等、因果関係の争い)
  • 不倫した配偶者側が、離婚時に相手配偶者へ金銭的な清算をしている(実質的な補填がある)
  • 相手方が請求額を過大にしている(相場・事情と乖離している)

減額の場面でとくに重要なのは、「気持ち」ではなく「事実関係と証拠」で整理することです。

たとえば、相手方が「長年不倫していた」と主張していても、期間・回数は証拠で裏付けが必要になるため、事実関係の詰め方によっては大きく見通しが変わります。

略奪婚で慰謝料を請求したい側が押さえるポイント

ここからは、略奪婚の文脈で「慰謝料を請求したい」と考えている方向けに、進め方の要点を整理します。

ポイントは、勢いで動くのではなく、時効・証拠・請求先を先に固めることです。

ず確認:時効・証拠・請求先

請求の可否や成功確率は、最初の確認でかなり決まります。まずは次の3つをチェックしてください。

  • 時効:いつまで請求できるか(期限を過ぎると請求が難しくなる)
  • 証拠:不貞(肉体関係)・既婚認識・離婚への影響(因果関係)をどう裏付けるか
  • 請求先:配偶者に請求するのか、不倫相手に請求するのか、両方に請求するのか

この3点のうち、どれかが弱いと、交渉や裁判で思ったとおりに進まないことがあります。

逆に言えば、ここを丁寧に整理できれば、不要な対立を避けつつ、適切な解決を目指しやすくなります。

時効(3年・20年)の基本と起算点の考え方

不倫慰謝料の請求には、一般に**「知った時から3年」「行為の時から20年」**といった時効の問題が出てきます。

そして実務上は、「いつ知ったか(=起算点)」が争いになることも少なくありません。

たとえば、

  • 不倫の事実を知った時期
  • 不倫相手が誰かを知った時期(相手を特定できた時期)

などによって、3年のカウントが問題になることがあります。

より詳しく整理したい場合は、**不倫慰謝料の時効(3年・20年)**もあわせて確認してみてください。

証拠:不貞・既婚認識・離婚原因の3点を意識

略奪婚の慰謝料請求では、「不倫していた」という一点だけでは足りず、次の3つの視点で証拠を整理するとブレにくくなります。

  • 不貞(肉体関係)があったといえるか(推認できるか)
  • 不倫相手が既婚者だと知っていた/注意すれば分かったといえるか
  • 不倫が夫婦関係の破綻や離婚に影響したか(因果関係)

たとえば、肉体関係を直接示す証拠がなくても、宿泊・旅行・継続性などの事情が重なることで推認されることがあります。

一方で、証拠が弱いまま強い請求をすると、かえって交渉がこじれたり、十分な結果につながらないこともあります。

誰に請求するか(配偶者/相手方/両方)

請求先の選択は、金額だけでなく、解決のしやすさにも影響します。

  • 配偶者に請求:事実関係を認めやすい一方で、離婚や親権・財産分与と絡んで感情的対立が大きくなりやすい
  • 不倫相手に請求:相手が否認して争いになることがある(既婚認識・破綻の争点が出やすい)
  • 両方に請求:回収可能性の面では有利に見えるが、紛争が複雑化することもある

また、離婚の話し合いが進んでいる段階では、**離婚条件(財産分与・慰謝料・清算条項)**と不倫慰謝料が絡みやすいので、順番や言葉選びを含めて慎重さが求められます。

請求の進め方(話し合い〜書面〜裁判)

略奪婚の慰謝料請求は、いきなり裁判から始めるよりも、一般には次のように段階を踏むことが多いです。

  • ① 事実整理(時効・証拠・請求先の整理)
  • ② 交渉(当事者間または代理人を通じた話し合い)
  • ③ 書面化(合意するなら示談書・合意書で「清算条項」まで入れて蒸し返し防止)
  • ④ まとまらない場合に裁判等の手続を検討

交渉で決着できれば、時間・精神的負担を抑えられるメリットがあります。

一方で、相手が強く否認する、証拠が争点になる、時効が迫っているなどの事情がある場合は、早めに方針を決める必要があります。

注意点(離婚時の合意書・不用意な発信)

略奪婚の慰謝料請求で失敗しやすいポイントとして、次の2つはとくに注意が必要です。

  • 離婚時の合意書(清算条項)の扱いを見落とす
  • → 離婚時に「これ以上の請求をしない」などの条項があると、請求が難しくなる/争点化することがあります。
  • SNS投稿や周囲への拡散など、不用意な発信をしてしまう
  • → 正当な権利行使のつもりでも、表現や拡散の仕方によっては別のトラブルに発展するおそれがあります。

請求は「相手を罰するため」だけで進めると、条件面でも手続面でも遠回りになりがちです。

あなたが本当に求めたいゴール(早期解決・適正額の回収・二度と関わらない等)を明確にして、必要なら弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

略奪婚と言われて慰謝料を請求された側の対処法

「略奪婚だから高額に違いない」「再婚している以上、もう逃げられない」と言われると、冷静に考えられなくなる方も少なくありません。

しかし、慰謝料の金額や支払義務は“ラベル”ではなく具体的事情で決まります。 そして、請求された側は初動で損をしない動き方ができます。

まずは、あなたが置かれている状況を整理しましょう。

  • 相手から届いたのは「通知書」か「訴状」か(=裁判になっているか)
  • 期限(回答期限・裁判期日)があるか
  • 争点はどこか(不貞・既婚認識・破綻・期間回数・離婚原因など)
  • 目標は何か(早期解決/徹底反論/分割で終わらせる等)

請求された側が一番避けたいのは、「怖くて放置」または「焦って不利な条件で合意」することです。期限を守りつつ、争点を整理して対応すれば、減額できる余地は十分あります。

初動:期限管理・証拠保全・連絡の整理

請求が来た直後は、まず“やるべきこと”と“やってはいけないこと”を切り分けます。

  • まず期限を確認する(通知書の回答期限/訴状の提出期限/期日)
  • 相手方(元配偶者や相手代理人)に、その場で電話やDMで反論しない
  • 手元の資料を消さない(LINE、メール、写真、通話履歴、スケジュール、入出金など)
  • これまでの経緯を時系列でメモ化する(出会い/交際開始/肉体関係の有無/別居開始/離婚時期など)
注意
  • 「無視すれば収まる」は危険です。特に訴状が届いている場合、放置すると不利な判断につながることがあります。
  • 逆に「すぐ謝って全部認める」も危険です。争点整理前の発言が、その後の交渉・裁判で不利に働くことがあります。

また、略奪婚と言われるケースでは、感情的な衝突が起きやすいです。

あなた側の家庭(現在の配偶者・新しい生活)を守る意味でも、連絡窓口を整理し、必要以上の接触を避けることが大切です。

支払義務の有無を左右する反論ポイント

慰謝料を請求された側の主張は、闇雲に「払わない」と言うのではなく、争点ごとに“勝てる部分/減らせる部分”を切り分けるのが基本です。

略奪婚の文脈で特に出やすい反論ポイントは、次のとおりです。

  • そもそも不貞行為(肉体関係)が立証できない/立証が弱い
  • 既婚者だと知らなかった、注意しても分からなかった(故意・過失の争い)
  • 不倫開始時点で夫婦関係が破綻していた(破綻の争い)
  • 不貞の期間・回数・態様が、相手主張ほど長くない/悪質ではない
  • 不倫が離婚原因ではない(離婚の経緯・因果関係の争い)

以下、略奪婚のケースで“刺さりやすい”形に整理します。

既婚と知らなかった・過失がない(または小さい)

「独身だと思っていた」「離婚する予定だと言われていた」というケースは多いです。

ただし、争点は“主観”だけでなく、**注意すれば分かったか(過失があるか)**に移ります。

あなたに有利に働きやすい方向性としては、たとえば次のような事情です。

  • 交際開始時点で、既婚をうかがわせる事情が乏しい(住居・生活・休日の過ごし方等)
  • 相手が独身であるかのように振る舞い、客観的にも疑いにくい事情がある
  • 既婚を疑う事情が出たときに確認行動を取った(会話やメッセージの流れなど)

逆に、不利になりやすいのは「怪しいのに深追いしなかった」「不都合な点を見て見ぬふりをした」と評価されるケースです。

このあたりは、当時のやり取り・状況を具体的に整理することが重要です。

夫婦関係が破綻していた

第三者(不倫相手)に対する請求では、不倫開始時点で夫婦関係が実質的に破綻していたかが重要な争点になります。

破綻の主張を組み立てるときは、単なる「仲が悪かった」では弱く、次のような客観事情が鍵になりやすいです。

  • 別居の開始時期と継続期間(いつから、どれくらい)
  • 離婚協議・調停など、離婚に向けた具体的な動きの有無
  • 同居実態(家庭内別居の実質)、生活費の分担や交流の状況

「破綻=絶対に勝てる」という単純な話ではありませんが、うまく整理できれば、責任否定または大幅減額につながることがあります。

不貞期間・回数・態様(悪質性)の争い

略奪婚のケースは、職場などで関係が長い(=“昔から不倫していたはず”と疑われやすい)ことがあります。

しかし、不貞期間・回数は請求する側が証拠で裏付ける必要があるため、相手の主張が誇張されている場合は争点化できます。

あなた側が意識したいのは、次のような整理です。

  • 交際と不貞(肉体関係)は同じではない(時期を分けて整理する)
  • 実際の接触頻度・宿泊の有無・継続性を具体的に時系列で示す
  • 相手の推測(「長年のはず」)と事実(裏付けの有無)を切り分ける

離婚・再婚との因果関係を争う

「不倫が原因で離婚した」と言われると、略奪婚の文脈では不利に見えやすいです。

ただ、実際には離婚の経緯はさまざまで、因果関係はケース次第です。

因果関係を整理する視点としては、たとえば次のとおりです。

  • 離婚協議は不倫以前から進んでいたか
  • 別居開始の理由・時期は何か(不倫が決定打か、別要因か)
  • 夫婦間での話し合い(財産分与・慰謝料等の清算)がどう進んでいたか

略奪婚のケースでも、離婚の原因が他に大きくある、もともと夫婦関係が崩れていた等の事情があれば、高額認定を避ける方向で戦えることがあります。

減額交渉の落としどころ(相場・分割・条項)

支払義務が一部でも認められる見通しがある場合、現実的には「いくらで、どう終わらせるか」が重要です。

交渉では、金額だけでなく、蒸し返しを防ぐ条項設計が大切になります。

合意書(示談書)で特に意識したいポイントは次のとおりです。

  • 解決金の金額(慰謝料名目か、解決金として包括か)
  • 支払方法(一括/分割、振込期限、遅延時の扱い)
  • 清算条項(本件に関して今後一切請求しない)
  • 守秘義務・口外禁止(必要性と範囲を慎重に)
  • 接触禁止やSNS投稿禁止など(必要がある場合のみ)

また、相手方の「弁護士費用や探偵費用も払え」という請求が混ざっていることもありますが、請求されているから当然に全額払う、という話ではありません。

相場・事情・解決の早さとのバランスを見ながら、落としどころを作ります。

裁判になった場合の見通しと弁護士の役割

訴状が届いている場合や、交渉が決裂しそうな場合は、裁判対応も視野に入ります。

裁判は「気持ち」ではなく、要件に沿って事実と証拠をどう組み立てるかで結果が変わります。

弁護士に依頼することで、次のような点が現実的なメリットになりやすいです。

  • 争点整理(不貞・既婚認識・破綻・因果関係など)を優先順位づけできる
  • 証拠の出し方・反論の組み立てを誤りにくい
  • 期限管理(答弁書・準備書面など)を任せられる
  • 交渉に戻して早期解決を狙えるケースもある

「略奪婚」と強く非難されているケースでも、争点を丁寧に整理すれば、減額・条件調整の余地は十分あります。

早い段階で相談するほど、選べる選択肢が増える傾向があります。

(参考)慰謝料を請求された方へ 慰謝料の減額・免除なら無料相談

離婚時の清算・免除・求償が絡む“こじれポイント”

略奪婚の慰謝料トラブルは、「不倫があったか」だけで終わらず、離婚時の取り決め誰がどれだけ負担したかで、後からこじれることがあります。

ここでは、請求された側(第三者)にとって特に重要な“落とし穴”を整理します。

離婚時に「これ以上請求しない」等がある場合

離婚時に、夫婦間で合意書(公正証書を含む)を作っている場合、次のような条項が入っていることがあります。

  • 夫婦間で慰謝料を含めて清算済みとする条項(清算条項)
  • 今後一切、相互に金銭請求をしない条項
  • 不貞に関する解決金の支払いを定める条項

こうした離婚時の取り決めは、第三者への請求に直ちに同じ効力で及ぶとは限りません。

一方で、実務上は「離婚時に一定の清算がされている」「すでに損害の一部が埋められている」という事情として、減額方向の材料になることがあります。

ここは条項の文言・経緯で評価が変わるため、合意書がある場合は、必ず内容を精査したうえで方針を立てるのが安全です。

配偶者が先に支払った/免除された場合の影響

略奪婚のケースでは、離婚時に不倫した配偶者が元配偶者へ金銭を支払っていることがあります。

この場合に問題になりやすいのは、次の2点です。

  • 元配偶者が、第三者にも同じ損害として満額請求していないか(実質的な二重取りにならないか)
  • その支払いが、どの性質の金銭か(慰謝料の趣旨か、財産分与の一部か、生活保障か)

また、元配偶者が「不倫した配偶者の慰謝料は免除した(放棄した)」という場面もあります。

このとき、第三者側としては「配偶者を免除したなら、私も免除されるべきでは?」と感じやすいですが、免除の効き方はケースにより一筋縄ではいきません。

この論点は誤解が起きやすいので、詳しくは次の解説も参考になります。

(参考)不倫相手が慰謝料を免除された場合の効力:判例と実務の違いに注意

共同責任と求償(あとで揉めないために)

不倫慰謝料は、状況によっては「不倫した配偶者」と「第三者」が共同して責任を負う形になります。

そのため、第三者が先に支払った場合、後から配偶者に対して「あなたの分を負担して」と求める(求償)問題が出てくることがあります。

ただし、求償ができるか・どれくらいの割合になるかは、次のような事情で変わります。

  • どちらが主導したか(積極的に誘ったのは誰か)
  • 既婚認識(故意・過失)の程度
  • 不貞期間・回数・態様
  • 離婚への影響(因果関係)や悪質性

また、略奪婚のケースでは、その後に再婚していることも多く、求償をめぐる対立が新しい家庭の火種になることがあります。

請求を受けた段階で、将来的な求償まで含めて「どう終わらせるか(合意書の設計)」を考えるのが重要です。

(参考)不倫慰謝料の求償権とは|求償権の仕組み・責任割合・トラブル回避策

解決事例:略奪婚でも慰謝料を約250万円減額できたケース

「不倫が原因で離婚し、その後に不倫相手と再婚した」――いわゆる略奪婚のケースでは、相手方(元配偶者)から「悪質だ」として高額な慰謝料を請求されることがあります。

ただ、略奪婚のように見える状況でも、不倫の期間・回数や**離婚に至るまでの経緯(清算状況)**などを丁寧に整理して反論できれば、慰謝料が大きく減額されることは珍しくありません。

「略奪婚=高額確定」と決めつけるのは早計です。請求額の根拠(期間・回数・離婚原因・清算の有無)を分解して、争点ごとに反論すると結果が変わります。

事案の概要(略奪婚として高額請求されたケース)

ご依頼者(40代・女性)は、職場の既婚男性と業務上の関わりが増え、次第に不倫関係になりました。既婚男性からは「夫婦仲が悪く、離婚も考えている」と聞いていたため、不倫関係を継続してしまいました。

その後、既婚男性は離婚し、ご依頼者と再婚しました。

この経緯を知った既婚男性の元奥様は、弁護士を立てて、**「不倫が原因で離婚した」**などとして裁判を提起し、次の金額を請求しました。

  • 慰謝料:300万円
  • 弁護士費用相当額:30万円
  • 合計:330万円

本件のポイント(なぜ高額になりやすいか/どこで減額できるか)

本件は、一般的に「高額になりやすい」と言われる要素が複数ありました。

  • 不倫のあとに離婚している(=「不倫が離婚原因」と主張されやすい)
  • 不倫関係を継続し、最終的に再婚している(=悪質性を強調されやすい)

一方で、減額の可能性を左右するポイントも明確でした。

  • 実際の不倫期間・回数は長くなく、相手方の「長年の不倫」という疑いは推測にすぎない可能性があった
  • 離婚時に、既婚男性側が元奥様に対して金銭的に不利な条件を受け入れており、「慰謝料の趣旨を含む清算が既にされている」と評価できる余地があった

弁護士の対応(争点の切り分けと反論)

不倫期間・回数について「証拠」と「事実関係」で反論

本件では、ご依頼者と不倫相手は同じ職場で長く同僚として働いていました。そのため、相手方(元奥様)は「長年にわたり不倫していたのではないか」と疑いを持っていた状況でした。

しかし、同僚として過ごした期間が長いことと、不倫(不貞行為)の期間・回数が長いことはイコールではありません。

そこで弁護士は、当時の事情を時系列で整理し、

  • 交際と不貞(肉体関係)を区別して整理する
  • 実際の不倫期間・回数が「わずか」であることを前提に、相手方主張の過大評価を崩す

という方針で訴訟対応を行いました。

不倫自体を争わない場合でも、**「期間・回数・態様」**は慰謝料の金額を左右します。相手方が長期化を主張しても、裏付けとなる証拠が乏しければ、金額は大きく変わり得ます。

離婚時の経緯(清算状況)を踏まえた減額主張

不倫慰謝料は、状況によっては「不倫した配偶者」と「不倫相手(第三者)」が共同で責任を負う形になります。

本件では、既婚男性が離婚時に、元奥様に対して金銭的に不利な条件を受け入れていた事情がありました。そこで弁護士は、

  • 離婚時の合意内容・支払いの実態は、実質的に慰謝料の趣旨を含む清算といえる可能性がある
  • にもかかわらず、第三者に対して高額の請求をそのまま認めるのは不相当である

といった観点から、離婚時の経緯を丁寧に主張し、減額理由として位置づけました。

略奪婚のケースでは「離婚した」という結果だけが強調されがちですが、実際には、**離婚までの話し合い(清算状況)**が慰謝料の評価に影響することがあります。

解決結果:請求330万円→解決金100万円未満(約250万円減額)

弁護士が、事実関係・証拠関係を整理して適切に反論し、また離婚時の経緯について有利な事情を主張した結果、最終的に解決金100万円未満で解決できました。

  • 請求金額:330万円
  • 解決金額:約80万円
  • 減額金額:約250万円

略奪婚と言われるケースでも、請求額がそのまま認められるとは限りません。

「期間・回数は本当にそのとおりか」「離婚時にどこまで清算されているか」など、争点を分解して対応することで、大幅減額につながる余地があります。

よくある質問(略奪婚×慰謝料)

離婚後に発覚しても慰謝料請求できますか?

離婚後に不倫(不貞行為)が発覚した場合でも、時効にかかっていなければ慰謝料請求できる余地があります。ポイントは、次の2つです。

  • いつ不倫の事実を知ったか(=「知った時から」のカウントに関わる)
  • いつ相手(不倫相手)を特定できたか(=相手が分からないと請求が進めにくい)

一方で、離婚から時間が経っている場合は、時効が争点になることがあります。

「まだ大丈夫」と思って動かないと、請求できたはずの権利が難しくなることもあるため、早めに整理するのが安全です。

時効の基本(3年・20年)については、以下で詳しく解説しています。

不倫慰謝料【時効】|請求期限3年・20年の仕組みや裁判例

肉体関係がはっきりしない場合でも請求されますか?

一般に、不倫慰謝料の中心は**不貞行為(肉体関係)**です。

そのため、肉体関係が立証できない(または推認できない)場合は、慰謝料請求が認められない・大幅に減額される可能性があります。

ただし、肉体関係は「直接の証拠」がなくても、状況証拠の積み重ねで推認されることがあります。例えば、

  • 宿泊(ホテル・旅行)を繰り返している
  • 深夜帯の滞在や同室滞在が複数回ある
  • やり取りの内容が肉体関係を強くうかがわせる

といった事情が揃うと、争点になりやすいです。

「証拠が弱いまま請求する」「逆に、弱い証拠で全面否認する」は、どちらもリスクがあります。

結論を急がず、事実と証拠を整理して方針を立てることが大切です。

「略奪婚」だと慰謝料は必ず高額になりますか?

必ず高額になるわけではありません。

「略奪婚」という言葉の印象で判断されるのではなく、**不倫の実態(期間・回数・悪質性)**や、離婚との因果関係夫婦関係の破綻の有無などの事情で金額が決まります。

増額・減額に影響しやすい事情は、例えば次のとおりです。

  • 不倫が離婚の決定打になった(因果関係が強い)
  • 不倫期間が長い/回数が多い/発覚後も継続した
  • 不倫開始前から夫婦関係が実質的に破綻していた
  • 既婚者だと知らなかった(または注意しても分からなかった)

つまり、略奪婚という“結果”だけで決めつけず、いつ・何が起きたかを時系列で整理することが重要です。

相手の弁護士から通知・訴状が来たらどうする?

まず、通知書か訴状かで緊急度が変わります。

  • 通知書:回答期限が書かれていることが多い(放置は不利になりやすい)
  • 訴状:すでに裁判になっている(期限対応を誤るとリスクが大きい)

次に、請求された側がやりがちな失敗を避けましょう。

  • 感情的に電話やLINEで反論してしまう(言質リスク)
  • 焦って全面的に認める・不利な条件で合意する
  • 怖くて放置する(特に裁判は危険)

やるべきことはシンプルで、期限確認 → 事実整理 → 争点の切り分けです。

不貞・既婚認識・破綻・期間回数・離婚原因など、どこが争点かで対応は大きく変わるので、早い段階で弁護士に相談すると方針が立てやすくなります。

弁護士費用や探偵費用を相手に請求されますか?

相手方が「弁護士費用」や「探偵費用」を上乗せして請求してくることはあります。

ただし、請求されている=そのまま満額払うのが当然という意味ではありません。

実務上の考え方としては、次のように整理すると分かりやすいです。

  • 交渉(示談):弁護士費用や探偵費用込みの金額として“まとめて”解決金を提示されることがある(条件次第で調整余地あり)
  • 裁判:損害の一部として「弁護士費用相当額」や「探偵費用」が問題になることがある(事件の内容や認定額に左右される)

弁護士費用や探偵費用が論点になるときは、「本体の慰謝料の金額」や「どこまで争うか」とセットで考える必要があります。

早期解決を優先するのか、支払義務自体を争うのかで、落としどころは変わってきます。

まとめ:略奪婚の慰謝料は「ラベル」ではなく事情で決まる

最後に、「略奪婚 慰謝料」で押さえるべきポイントを整理します。

  • 「略奪婚」は法律用語ではなく、慰謝料の有無・金額は具体的事情で決まる
  • 争点は主に、不貞行為(肉体関係)・既婚認識(故意過失)・夫婦関係の破綻・離婚との因果関係
  • 離婚・再婚があると感情的に高額主張されやすいが、期間回数・経緯・証拠で見通しは変わる
  • 請求する側は、時効・証拠・請求先を最初に固めるのが重要
  • 請求された側は、期限管理・言質回避・争点整理が初動のカギ(放置や即決は危険)

「略奪婚だから終わり」「略奪婚だから絶対に取れる」と決めつけず、事実関係を時系列で整理するだけでも、見通しと選択肢は増えます。通知や訴状が来ている場合は、期限だけは落とさないようにしてください。

略奪婚の慰謝料は様々な要素が問題となるケースが少なくありません。一つずつ丁寧に整理することが解決のポイントです!

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