SNSや出会い系サイト経由の不倫が近年増加しています。この記事ではSNSや出会い系サイト経由の不倫で慰謝料を請求された場合に特有の落とし穴について解説します。
私たちは、慰謝料請求された事案を数多く取り扱っていますが、SNSや出会い系からの不倫は実務的に慎重な対応が必要となります。ご相談をいただいた経験を踏まえて実務的なノウハウや注意するべき点を解説します。
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1. SNS不倫が身近に
1.-(1) SNS不倫とは
インターネットの普及に伴ってSNS不倫が増加しています。
SNS不倫とは、SNSをきっかけとして不倫に至る場合です。SNS不倫には、(i)元々知り合いであった同級生等とSNSで繋がったことで不倫に至る場合と、(ii)SNSで知らない人から友達申請をされて仲良くなって不倫に至るケースがあります。また、出会い系サイト経由の不倫もSNS不倫の一種と言えるでしょう。
「人生一度、不倫をしましょう」という刺激的なコピーで有名となったアシュレイ・マディソンに代表されるように既婚者を対象として出会い系SNSも登場しています。
1.-(2) SNS不倫は約28%
「日刊SPA!」が既婚男女200人を対象に行った2012年のアンケート調査によれば、不倫の出会いの場として、ネット掲示板及び出会い系サイトが合わせて女性の28%を占めており、インターネット・SNSを通じた不倫が身近に存在することが分かります。
匿名で手軽に利用できるインターネットの発達により、たとえ専業主婦でも家に居ながら不倫相手を簡単に見つけられる時代となりました。そのためSNS不倫がとくに女性を中心に急増しています。
もっとも、SNSや出会い系を通じての不倫であっても、慰謝料を請求される可能性はあります。一見するとお互い火遊びだと思っていても、既婚者と不倫をすれば慰謝料請求されてしまうのです。
1.-(3) SNS不倫には落とし穴も…
手軽で便利なインターネットのSNSや出会い系経由の不倫ですが、慰謝料を請求されたときは様々な落とし穴もあります。この記事ではSNSや出会い系経由の不倫で慰謝料請求されたときに特有の落とし穴について解説します。
2. SNS不倫の落とし穴①:不倫発覚リスクが高い
2.-(1) SNSで不倫が発覚する事例が急増
SNSや出会い系不倫の場合、不倫が発覚するリスクが非常に高くなります。私たちがご相談を受けた事例からの体感では、不倫がバレた理由の約5割はSNSがきっかけです。
2.-(2) 写真のハッシュタグで不倫発覚
例えば、お互いの体の一部分がさりげなく写り込んだ写真をアップしたり、一緒に行った場所やお店の写真をハッシュタグ付で投稿することがあります。
SNSや出会い系はインターネットの利用度が高い人が多いため、不倫に伴う情報がインターネット経由で公開されることも多いのです。
顔が写っていなければ大丈夫と考えているかもしれません。しかし、その写真を見られると、一緒のお店や場所に居ることが何度も重なったことから不倫を疑われる可能性があります。
SNSは不倫をされた配偶者と間接的に繋がっているため、些細な投稿等における共通点から不倫が発覚するリスクが非常に高いのです。
2.-(3) 不倫相手の突撃による不倫発覚も
また、不倫相手が不倫であることを知らなかった場合や、不倫関係の清算時にもめた場合は、不倫相手が不倫をされた配偶者にSNS経由で突撃したことで不倫が発覚することもあります。
不倫をされた配偶者に不倫の事実を良かれと思って知らせたとしても、不倫をしたのは事実ですから配偶者から不倫慰謝料を請求される可能性は十分あります。
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2.-(4) 個人情報流出リスク
不倫発覚リスクと異なりますが、SNSや出会い系経由の不倫では個人情報発覚リスクもあります。SNSや出会い系の不倫に関する個人情報がインターネットで流出すると、単に不倫の事実と個人情報がセットで分かるため非常にダメージが大きくなります。
不倫SNSの代表格であるアシュレイ・マディソンでは2015年7月下旬に約3700万人のユーザーの個人情報が漏えいしたと発表がありました。このことで世界中の不倫をしたい人の個人情報がインターネットに公表されることになり、不倫SNSユーザーのダメージは甚大なものでした。
3. SNS不倫の落とし穴②:不倫相手が逃げるリスク
3.-(1) 不倫慰謝料と求償権
不倫をされた配偶者からあなたは不倫慰謝料の請求を受けた場合、あなたは不倫相手に対して求償権を請求することができる場合があります。
例えば、あなたが既婚男性と不倫をしており、男性の奥様から不倫慰謝料300万円を請求されて支払えば、あなたは既婚男性に対して支払った不倫慰謝料の半額150万円程度を求償権として請求できます。
とくにSNSや出会い系経由の不倫で慰謝料を請求されたときは、既婚男性の責任が大きい場合も多いため求償権の重要性が高いと言えるでしょう。
また、あなたが既婚男性と不倫をしており、男性の奥様から不倫慰謝料の請求を受けた場合、既婚男性が不倫慰謝料について全ての責任を負ってくれることもあります。不倫慰謝料減額の弁護士費用や、減額された不倫慰謝料(解決金)等を既婚男性が支払ってくれるケースもあります。
(参考)慰謝料の肩代わりについて「不倫慰謝料を請求された場合 3つの大きな方針と注意点
」
3.-(2) 不倫慰謝料の対応について協力の重要性
求償権以外にも不倫慰謝料を請求された場合、不倫慰謝料の対応について不倫相手と協力が必要になることもあります。
例えば、不倫が原因で離婚に至ったか否かは不倫慰謝料の減額を判断するときの大きな要素ですが、不倫相手と連絡が取れないと不倫が夫婦関係に及ぼした影響を判断できません。
3.-(3) SNS不倫では不倫相手が逃げやすい
しかし、インターネットのSNSや出会い系を通じて知り合ったSNS不倫の関係だと、不倫慰謝料を請求されたときに不倫相手が逃げやすくなります。
とくに、既婚男性とのSNS不倫のケースでは、奥様に不倫が発覚した段階で奥様との夫婦関係を修復するため、一切連絡を絶たれてしまうこともあります。
こうなると、不倫相手に対する求償の話し合うことや、不倫慰謝料の対応について協力することが難しくなります。このようにSNS不倫では不倫相手が逃げるリスクがあります。
4. SNS不倫の落とし穴③:第三者に不倫を暴露されるリスク
4.-(1) SNS不倫当事者はITリテラシーが高い
SNS不倫はSNSや出会い系をきっかけに不倫に発展するものです。従って、SNS不倫の当事者はインターネットで知り合った他人と出会うことに抵抗がないと言えます。SNS不倫は、インターネットが身近であり、比較的ITリテラシーが高い当事者の間で行われます。
そのため、不倫関係が円満に終わらず不倫関係の清算等でもめてしまうと、インターネットトラブルに発展しやすいのがSNS不倫の特徴と言えます。
事案によっては、不倫相手が配偶者とSNSや出会い系で出会ったケースもあります。不倫の被害にあった不倫相手の配偶者も慰謝料請求に加えて、インターネットを利用した嫌がらせをする可能性もあるのです。
4.-(2) 様々な方法で不倫の暴露が…
SNS不倫において不倫関係の清算で揉めた場合、様々な方法で不倫関係を第三者に暴露されることがあります。
不倫のやり取りをFacebook上でアップロードしたり、匿名掲示板等に個人情報を書き込んだりされることも。また不倫暴露ブログを公開されるという事案もあるようです。
気軽にインターネットを利用し、SNSを通じて不倫関係になると、不倫関係清算で揉めた時も気軽にインターネット等で不倫を暴露されるリスクがあります。
5. 独身だと騙されていたケースでも慰謝料支払義務が
SNSや出会い系で不倫をした事案には、不倫相手が独身だと言っていたため肉体関係を持ったケースも少なくありません。
5.-(1) SNSや出会い系経由でも不倫慰謝料は軽減されない
しかし、不倫相手とあなたの関係は慰謝料を請求する不倫相手の知るところではありません。不倫相手から騙されていても慰謝料を請求されるリスクは変わりません。
また、SNSや出会い系経由だと気軽に思えても、現実に慰謝料を請求されると慰謝料の支払義務が生じる場合があります。とくに、最初は独身だと思っても、既婚者と知らされた後に肉体関係を持った場合は慰謝料の支払いを免れません。
5.-(2) 慰謝料の請求を無視するのはNG
SNSや出会い系経由の不倫だとお互いにしっかりした身元が分からないことも少なくありません。従って、SNSや出会い系経由で不倫がばれて、慰謝料を請求されても無視すれば良いと思われるかもしれません。
しかし、慰謝料請求の通知書や裁判を無視することは絶対にやめてください。SNSや出会い系経由でも慰謝料を請求された段階では情報を調査されていることも少なくありません。
慰謝料の請求を無視するのは、SNSや出会い系経由の不倫であるかに関わらず大きなリスクがあるのです。
6. まとめ
今回はSNS不倫に関する落とし穴について解説しました。SNSを通じた不倫トラブルは対応を間違えるとインターネットトラブルにも発展しかねません。SNS不倫で不倫慰謝料を請求された、不倫相手との交際関係清算でもめている等の場合は弁護士に相談することをおすすめします。
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