不倫示談とは?不貞行為の示談交渉の進め方・決める条件・示談後の対応まで

不倫・不貞行為の問題を示談で解決するときは、示談金の金額だけを決めれば終わりではありません。誰が誰にいくら支払うのか、いつまでに支払うのか、分割払いを認めるのか、今後の接触や口外をどう扱うのか、合意後に追加請求できないよう清算条項を入れるのかなど、合意後のトラブルを防ぐために確認すべき点が多くあります。

この記事では、不倫慰謝料問題を扱ってきた弁護士が、不倫示談の意味、裁判や裁判上の和解との違い、示談交渉の始め方、請求する側から請求された側への交渉の流れ、示談で決める条件、決裂時・示談後の対応までを解説します。示談書にサインした後は原則として合意内容に拘束されるため、交渉の入口で全体像を押さえておくことが重要です。

  • 不倫示談は、裁判を使わず話し合いで解決する方法です。
  • 示談交渉は、多くの場合、請求する側の請求から始まります。
  • 請求された側は、事実関係・金額・支払条件を確認して回答します。
  • 示談では、必須項目とケース別に入れる条項を分けて考えます。
  • サイン後でも争える場合はありますが、無効・取消しのハードルは低くありません。

坂尾陽弁護士

示談書にサインする前に、金額だけでなく、支払期限・清算条項・禁止条項・違約金まで確認しましょう。
(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

不倫慰謝料に詳しい坂尾陽弁護士

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不倫示談とは?裁判・裁判上の和解との違い

不倫示談とは、不倫慰謝料や今後の接触禁止などについて、裁判所を使わずに当事者間の話し合いで解決する合意のことです。実際には、本人同士で話し合う場合もあれば、双方の弁護士が代理人として交渉する場合もあります。

示談で決める内容は、示談金の金額だけではありません。不貞行為を認めるか、慰謝料をいくらにするか、支払期限をいつにするか、分割払いを認めるか、接触禁止や口外禁止を入れるか、違反した場合の違約金をどうするかなど、解決後の生活に影響する条件をまとめて決めることになります。

示談は裁判所を使わない私的な合意

示談は、裁判所の判断を待たず、当事者の合意によって紛争を終わらせる方法です。そのため、裁判よりも柔軟な条件を入れやすいという特徴があります。たとえば、慰謝料の支払方法を分割にする、一定の範囲で連絡を禁止する、第三者への口外を控える、将来の追加請求をしないと確認する、といった内容は示談でよく問題になります。

一方で、示談は相手が合意しなければ成立しません。請求する側が一方的に条件を決めることも、請求された側が一方的に支払わないと決めることもできず、最終的には双方が受け入れられる条件に落とし込む必要があります。

裁判との違い

裁判は、当事者の主張と証拠を裁判所に提出し、最終的には判決や裁判上の和解によって解決する手続です。裁判になれば、証拠の提出、期日の出席、書面のやり取りが必要になり、解決まで時間がかかることがあります。

これに対し、示談は、条件がまとまれば短期間で解決できることがあります。裁判で細かく立証する前に、一定の金額や条件で終わらせられる点は大きなメリットです。ただし、示談では、裁判所が妥当な金額を判断してくれるわけではありません。金額や条項が不利であっても、自分で合意してしまえば、後から簡単に覆せない点に注意が必要です。

裁判上の和解との違い

「示談」と「和解」は近い意味で使われますが、裁判所の関与があるかどうかで整理すると分かりやすくなります。一般に、裁判外で当事者同士が合意するものを示談、裁判の中で裁判所の関与のもと成立するものを裁判上の和解と呼ぶことがあります。

裁判上の和解は、裁判所で和解調書が作成されるため、支払がされない場合に強制執行へ進みやすいという特徴があります。他方、裁判外の示談書は、内容や作り方によっては、未払い時に改めて裁判が必要になることがあります。支払の確実性を重視する場合は、公正証書化や期限の利益喪失条項なども検討対象になります。

示談は柔軟だが、合意後は原則として拘束される

示談のメリットは、裁判よりも柔軟に条件を設計できることです。請求する側にとっては、早期に慰謝料の支払を受け、接触禁止や口外禁止などを含めて解決できる可能性があります。請求された側にとっては、裁判化を避け、支払金額や分割払い、清算条項などを交渉できる可能性があります。

もっとも、示談書に署名押印した後は、原則としてその内容に拘束されます。強迫、公序良俗違反、錯誤、弁護士ではない第三者の不適切な関与などにより争える場合はありますが、「後で高いと思った」「冷静に考えると納得できない」というだけで当然に無効になるわけではありません。示談は、成立させる前の確認が非常に重要です。

不倫示談交渉はいつ・誰と始める?

不倫示談交渉を始めるタイミングは、請求する側と請求された側で考え方が異なります。請求する側は、証拠や請求条件を整理する前に感情的に連絡してしまうと、後の交渉が難しくなることがあります。請求された側は、突然の請求に驚いても、すぐに全額支払う、すぐに示談書へサインする、相手の言い分をすべて認めるといった対応は避けるべきです。

請求する側は、証拠と希望条件を整理してから始める

請求する側は、まず、不貞行為を裏付ける証拠、請求する相手、請求額、求めたい条件を整理します。証拠が弱いまま高額請求をすると、相手から否認されて交渉が止まりやすくなります。また、慰謝料額だけを強く主張し、支払期限や清算条項、接触禁止などを後回しにすると、示談後に別のトラブルが残ることがあります。

請求の入口では、「何を認めてもらうのか」「いくらを、いつ、どの方法で支払ってもらうのか」「今後の接触や口外をどこまで制限したいのか」を分けて考えると、交渉が整理しやすくなります。特に、夫婦関係の修復を目指す場合と、離婚や別居を前提にする場合では、必要な示談条件が変わります。

請求された側は、すぐに認める前に確認する

請求された側は、相手の怒りや請求額に圧倒され、早く終わらせるためにその場で支払いや署名を約束してしまうことがあります。しかし、示談書にサインすると、後で争うことが難しくなるため、まずは事実関係と法的な反論材料を確認する必要があります。

  • 不貞行為の有無:肉体関係があったのか、交際や連絡にとどまるのかを確認します。
  • 既婚者だと知っていたか:相手が既婚者であることを知っていたか、知り得たかが問題になります。
  • 婚姻関係の状態:交際開始時に夫婦関係が既に破綻していたかどうかを確認します。
  • 証拠の内容:写真、LINE、ホテル利用、探偵報告書など、相手が何を根拠に請求しているかを見ます。
  • 金額と支払可能性:請求額が妥当か、分割払いが必要か、支払期限をどうするかを検討します。
  • 求償関係:支払後に不倫をした配偶者へ求償できるか、求償権放棄を求められていないかを確認します。

請求された側にとっては、謝罪するかどうか、どの範囲で事実を認めるか、いくらまで支払えるか、どの条項なら受け入れられるかを分けて考えることが重要です。感情的な謝罪文や不用意なメッセージが、後で不利な証拠として扱われることもあります。

相手に弁護士が付いている場合

相手方に弁護士が付いている場合、通知書やメールで請求が届き、以後は代理人を通じて交渉するよう求められることがあります。この場合、本人へ直接連絡すると、交渉がこじれたり、接触禁止の議論に発展したりすることがあります。

弁護士同士の交渉では、請求内容、証拠、反論、減額理由、支払条件、示談書案の修正などを順にやり取りします。代理人が付いたからといって必ず裁判になるわけではなく、むしろ条件を整理して示談で終わるケースもあります。代理人間でどのように話が進むかは、弁護士同士の交渉の流れで詳しく確認できます。

示談を始めるタイミング

示談交渉は、早ければよいというものではありません。請求する側は、証拠や条件を整理してから請求することで、相手に否認された場合にも対応しやすくなります。請求された側は、請求を受けた直後に感情的な返信をするのではなく、相手の主張と証拠を確認したうえで回答する方が安全です。

もっとも、無視を続けることも避けるべきです。返答期限がある通知を放置すると、相手が調停や訴訟に進むきっかけになることがあります。すぐに結論を出せない場合でも、「内容を確認している」「回答時期を調整したい」など、必要に応じて冷静に対応することが大切です。

不倫示談交渉の進め方|請求する側から始まり、請求された側が回答する

不倫示談交渉は、多くの場合、請求する側が慰謝料請求や示談条件を提示し、請求された側が事実関係や金額を確認して回答する流れで進みます。最初からすべての条件がまとまることは少なく、金額、支払方法、接触禁止、口外禁止、違約金などを何度かやり取りしながら調整します。

交渉の全体像を押さえるには、次の順番で考えると分かりやすくなります。

  • 請求する側が、証拠・請求額・希望条件を整理して請求する。
  • 請求された側が、事実関係・金額・反論材料・支払条件を確認する。
  • 示談金額、支払方法、接触禁止、口外禁止、違約金などを交渉する。
  • 合意できれば、示談書にまとめて署名押印する。
  • 合意できなければ、再交渉・調停・訴訟を検討する。

以下では、請求する側と請求された側のそれぞれが、どの段階で何を確認すべきかを説明します。

請求する側が、証拠・請求額・示談条件を整理して請求する

請求する側の最初の作業は、請求の根拠を整理することです。不貞行為を示す証拠、交際期間、発覚後の夫婦関係、離婚や別居の有無、相手の既婚認識などを整理したうえで、請求額と希望条件を決めます。

請求額は、相手を強く動かしたいという感情だけで決めると、交渉が進みにくくなります。不倫慰謝料は、婚姻期間、子どもの有無、不貞期間、回数、夫婦関係への影響、相手の認識、発覚後の対応などで変わります。高額な請求から始めること自体が常に不当というわけではありませんが、根拠を説明できない金額を提示すると、請求された側から大幅な減額や拒否を受けやすくなります。

請求する側の全体的な手順や、証拠収集、請求書の送付、示談・裁判までの流れを確認したい場合は、不倫慰謝料を請求する流れも参考になります。

請求された側が、事実関係・金額・反論材料を確認して回答する

請求された側は、請求を受けたからといって、すぐに全額を支払う必要があるとは限りません。まず、相手の主張する不貞行為が事実か、相手がどの証拠を持っているか、自分が相手の配偶者を既婚者と知っていたか、交際開始時に夫婦関係が破綻していなかったかを確認します。

また、請求額が高すぎる場合、支払能力を超えている場合、分割払いでなければ現実的に支払えない場合、接触禁止や口外禁止の範囲が広すぎる場合には、条件の修正を求める余地があります。回答では、単に「払えません」と拒絶するよりも、認める部分、争う部分、支払可能額、希望する支払方法を分けて伝える方が、交渉が進みやすくなります。

請求された側の返信では、感情的な反論や不用意な謝罪の書き方に注意が必要です。回答書や返信文の作り方は、不倫慰謝料の減額交渉で使う回答書・返信文で詳しく解説しています。

示談金額と支払方法を交渉する

不倫の示談金は、いわゆる相場だけで機械的に決まるものではありません。離婚や別居に至ったか、不貞期間が長いか、妊娠や中絶、同居先での不貞、職場不倫、発覚後の交際継続などの事情があるかによって、評価が変わります。反対に、既婚者であることを知らなかった、夫婦関係が既に破綻していた、証拠が弱い、請求額に根拠が乏しいといった事情があれば、減額交渉の材料になります。

支払方法も重要です。一括払いが難しい場合は、分割払い、初回支払額、毎月の支払額、支払日、振込先、遅れた場合の扱いを決める必要があります。分割払いを認める場合、期限の利益喪失条項や遅延損害金を入れるか、公正証書にするかも検討対象になります。

請求する側は、相手が支払えない金額を形式的に約束させても、未払いになれば回収に時間と費用がかかることがあります。請求された側は、支払えない金額をその場で約束すると、後で生活に大きな負担が残ります。示談金額だけでなく、現実に履行できる支払条件かどうかを確認することが、示談を成立させるうえで重要です。

接触禁止・口外禁止・違約金などの条件を交渉する

示談交渉では、金銭以外の条件もよく問題になります。たとえば、不倫相手と今後連絡しない、職場以外で会わない、家族や職場へ口外しない、SNSへ投稿しない、違反した場合に違約金を支払う、といった条項です。

これらの条項は、請求する側にとっては再発防止や生活の平穏を守るために重要です。一方で、請求された側にとっては、範囲が広すぎると日常生活や仕事に支障が出ることがあります。社内不倫の場合、業務上必要な連絡まで禁止すると現実に守れないことがあります。口外禁止も、弁護士や家族、税務・医療・カウンセリングなど必要な相談まで禁止する内容だと、後で争いになりやすくなります。

違約金条項も、入れれば安心というものではありません。金額が高すぎる、違反の数え方が不明確、禁止範囲が広すぎると、後で有効性が争われることがあります。示談条件は、相手を縛るためだけでなく、実際に守れる内容に整えることが大切です。

合意できれば示談書にまとめる

条件がまとまったら、口頭だけで終わらせず、示談書として書面にまとめるのが基本です。口約束だけでは、後から「そのような合意はしていない」「支払った金額の趣旨が違う」「追加請求できるはずだ」と争われる可能性があります。

示談書では、当事者、対象となる不貞関係、示談金額、支払期限、支払方法、清算条項、接触禁止や口外禁止、違約金、求償権の扱いなどを明確にします。すべての条項を盛り込めばよいわけではなく、必要な条項と、慎重に入れるべき条項を分けることが大切です。

請求された側は、示談書案を受け取ったら、金額だけでなく、清算条項、違約金、接触禁止、口外禁止、求償権放棄なども確認してください。請求する側も、相手にその場で署名を迫るのではなく、後で有効性を争われにくい形で合意を整えることが重要です。

合意できなければ、再交渉・調停・訴訟を検討する

示談交渉で条件が合わない場合でも、すぐに裁判しかないとは限りません。請求額、分割払い、接触禁止の範囲、口外禁止の範囲、違約金額など、争点を分けて再交渉すれば、合意できることがあります。

それでも合意できない場合、請求する側は、調停や訴訟を検討することになります。請求された側も、相手の請求に根拠がない、金額が高すぎる、既婚認識や婚姻破綻を争いたいなどの場合には、裁判手続で争うことがあります。示談交渉でまとまらなかった理由を整理しておくと、次の手続でも争点が明確になります。

示談交渉のコツは、感情と条件を分けて整理すること

不倫問題では、怒り、不安、後悔、早く終わらせたい気持ちが強く出やすいため、交渉が感情論になりがちです。しかし、示談交渉で実際に決めるべきなのは、事実関係、金額、支払方法、非金銭条項、違反時の扱いです。感情を否定する必要はありませんが、示談書に落とし込む段階では、条項ごとに整理する必要があります。

  • 事実関係:不貞行為の有無、期間、回数、既婚認識、婚姻関係の状態を整理します。
  • 金額:慰謝料額、支払期限、分割払い、遅れた場合の扱いを分けて考えます。
  • 非金銭条項:接触禁止、口外禁止、謝罪、証拠の削除などの必要性を確認します。
  • 将来の紛争防止:清算条項、違約金、求償権、示談後の連絡方法を確認します。

請求する側も請求された側も、示談交渉では「相手に何を求めるか」と「自分がどこまで受け入れられるか」を分けておくと、交渉の着地点を見つけやすくなります。

注意

弁護士ではない第三者が、報酬を得て相手方との示談交渉や書面作成に具体的に関与すると、弁護士法違反などが問題になり、示談の有効性まで争われることがあります。

裁判例:弁護士以外の第三者が示談交渉に深く関与した例

東京地裁令和3年9月16日判決では、和解金500万円、接触禁止、違反1回100万円の違約金を含む和解契約が問題になりました。交渉には弁護士ではない第三者が関与し、書式の交付、相手への接触、約8時間の交渉同席、和解金支払を促す行為などがあり、その第三者は弁護士法72条違反で有罪判決を受けていました。

裁判所は、その第三者が単なる立会人ではなく、報酬を得て職業的に不貞関係の和解交渉へ具体的に関与していたことや、交渉態様が相当性を欠くことなどを踏まえ、和解契約を公序良俗違反により無効と判断しました。請求する側も、請求された側も、交渉を第三者任せにする場合は、その人が交渉代理をしてよい立場かを確認する必要があります。

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示談で決める条件の優先順位|必須項目・ケース別項目・慎重に入れる条項

不倫の示談では、示談金の金額に目が向きがちです。しかし、実際には「いくら払うか」だけでなく、「いつ、どの方法で払うか」「支払後に追加請求をしないのか」「今後の接触や口外をどう扱うのか」「違反した場合に違約金を定めるのか」まで決める必要があります。

すべての条項を同じ重さで考えると、交渉が複雑になりすぎます。まずは、ほぼ必ず決める項目、未払い防止のために重要な項目、事情によって入れる項目、慎重に設計すべき項目に分けて整理しましょう。

  • 必須項目:当事者、対象となる不貞関係、示談金額、支払期限、支払方法、振込先、清算条項などです。
  • 原則重要な項目:分割払い、期限の利益喪失、遅延損害金、公正証書化など、未払いに備える条件です。
  • ケース別に入れる項目:接触禁止、連絡禁止、口外禁止、謝罪、証拠の返却・削除などです。
  • 慎重に設計すべき項目:違約金条項、退職要求、広すぎる接触禁止、広すぎる口外禁止などです。
  • 派生論点として検討する項目:求償権放棄、四者和解、ダブル不倫の場合の相殺・求償関係などです。

ここでは、各条件をどの順番で検討すべきかを説明します。

まず必ず決めるのは、当事者・対象関係・金額・支払方法・清算条項

示談書で最初に確認すべきなのは、誰と誰の間のどの問題を解決するのかです。不倫相手だけとの示談なのか、不倫をした配偶者も含めた合意なのか、過去のどの不貞関係を対象にするのかが曖昧だと、後から「この合意には別の期間の不貞は含まれていない」「追加請求できる」といった争いが起きることがあります。

次に、示談金額、支払期限、支払方法、振込先を明確にします。金額だけ合意しても、支払日や振込先が曖昧では履行確認が難しくなります。分割払いにする場合は、初回支払額、毎月の支払日、最終支払日、振込手数料の負担、遅れた場合の扱いまで決めておく必要があります。

清算条項も重要です。清算条項とは、示談書に定めた内容以外には、当事者間に債権債務がないことを確認する条項です。請求された側にとっては、支払後に追加請求を受けないために重要です。請求する側にとっても、どの範囲を清算するのかを明確にしておかないと、示談後の紛争が残ることがあります。

分割払いを認めるなら、未払いに備える条項を検討する

一括払いが難しい場合、分割払いで示談することがあります。分割払いは、請求された側にとって支払いやすくなる一方、請求する側にとっては未払いリスクが残ります。そのため、分割払いを認めるときは、単に「毎月いくら支払う」と書くだけでなく、支払が遅れた場合の扱いも決めておくべきです。

典型的には、期限の利益喪失条項、遅延損害金、残額一括請求、公正証書化が問題になります。期限の利益喪失条項とは、分割払いを認める代わりに、一定回数の遅れがあれば残額を一括で請求できるようにする条項です。公正証書にしておけば、一定の要件を満たす場合、未払い時に強制執行へ進みやすくなることがあります。

ただし、公正証書にすればすべての問題が解決するわけではありません。内容が曖昧な条項や、そもそも無効になり得る条項を公正証書にしても、後で争いが残ることがあります。未払い対策は、支払可能性と条項の明確さをセットで考えることが大切です。

接触禁止・連絡禁止は、必要な範囲に絞る

夫婦関係の修復を目指す場合や、不倫関係の再開を防ぎたい場合、接触禁止・連絡禁止条項が検討されます。たとえば、私的な電話、メール、LINE、SNS、面会を禁止する、業務上必要な連絡を除く、偶然会った場合には私的な会話をしない、といった形です。

もっとも、禁止範囲が広すぎると、現実に守れない条項になります。社内不倫や取引先との不倫では、業務上必要な連絡や同席まで全面的に禁止すると、仕事に支障が出ることがあります。禁止条項は、「何を禁止するのか」「どの例外を認めるのか」「違反をどう確認するのか」を具体的にしておく必要があります。

請求する側は、再発防止のために必要な範囲を明確にすることが重要です。請求された側は、守れない条項に安易に同意しないことが重要です。守れない条項に違約金が付くと、示談後にさらに大きな紛争になるおそれがあります。

口外禁止・謝罪・証拠削除は、目的を確認して入れる

口外禁止条項は、不倫問題が家族、職場、知人、SNSなどに広がることを防ぐ目的で入れられることがあります。請求する側にとっても、請求された側にとっても、生活や仕事への影響を抑えるために重要な条項になることがあります。

ただし、口外禁止の範囲を広げすぎると、弁護士への相談、家族への最低限の相談、税務・医療・カウンセリングなど必要な相談まで妨げる内容になりかねません。誰への口外を禁止するのか、弁護士など守秘義務を負う専門家への相談を例外にするのか、既に知っている人への説明をどう扱うのかを整理する必要があります。

謝罪条項や証拠の返却・削除も、必要性を確認して入れるべきです。謝罪文を求める場合は、内容が事実と異なると後で争いになります。写真やメッセージの削除を求める場合も、将来の証拠保全との関係を考える必要があります。感情的な落としどころとして入れるのではなく、紛争を終わらせるために必要かどうかで判断しましょう。

誓約書は、示談書と役割を分けて考える

不倫問題では、示談書とは別に誓約書を作成することもあります。誓約書は、今後の接触禁止、不貞関係の解消、口外禁止、違反時の違約金など、将来の行動を約束させる目的で使われることが多い書面です。

一方、示談書は、過去の不貞行為についての慰謝料、支払方法、清算条項などを含めて、紛争全体を解決する書面として使われます。もちろん、示談書の中に誓約的な条項を入れることもあります。大切なのは、書面のタイトルではなく、何を合意し、どの範囲を清算し、今後何を禁止するのかです。

請求された側は、「誓約書だから軽い」「示談書ではないから大丈夫」と考えるべきではありません。誓約書でも、金銭支払や違約金、接触禁止が定められていれば、後で大きな法的問題になることがあります。

違約金条項は、金額・禁止範囲・違反回数の数え方が重要

違約金条項は、接触禁止や口外禁止を守らせるために使われることがあります。請求する側にとっては、再発防止や履行確保の意味があります。請求された側にとっては、違反時に大きな支払義務を負う可能性があるため、特に慎重に確認すべき条項です。

違約金条項で問題になりやすいのは、金額の高さだけではありません。禁止される行為が広すぎる、業務連絡まで違反になる、LINE1通ごとに違約金が発生するのかが不明確、偶然会った場合の扱いが書かれていない、といった点も争いになります。

MEMO

違約金は「150万円までなら必ず有効」「150万円を超えると必ず無効」と単純に決まるものではありません。条項の目的、金額、禁止範囲、違反回数の数え方、婚姻関係の状況などを総合して判断されます。

裁判例:違約金が一部無効になった例と、高額請求が認められた例

東京地裁平成25年12月4日判決では、面会・連絡等禁止条項に違反した場合の違約金1000万円について、150万円を超える部分が公序良俗に反し無効とされました。この事案では、不貞期間が少なくとも8か月程度、性行為が少なくとも20回程度、妊娠・中絶、再度の不貞などの事情がありましたが、それでも1000万円の違約金全額は認められていません。

東京地裁令和5年9月11日判決でも、接触禁止条項違反時の違約金500万円について、150万円を超える部分が無効とされました。他方で、違約金150万円に加え、不貞行為自体について慰謝料250万円、調査費用100万円、弁護士費用25万円が認められています。違約金が一部無効になっても、不貞行為そのものの損害賠償が別に問題になることがあります。

一方、東京地裁令和4年9月22日判決では、1回30万円の違約金条項がある事案で、被告が214日間に6464回のLINEメッセージを送信していました。裁判所は、LINE1通ごとではなく1日単位で1回と捉えるのが合理的とし、婚姻関係破綻後の請求は権利濫用としながらも、破綻前の78日分、合計2340万円の違約金請求を認めました。

このように、違約金条項は「高額だから必ず無効」とも「合意したから必ず全額有効」ともいえません。条項の作り方、違反行為の内容、違反回数の数え方、請求範囲、婚姻関係の状況によって結論が変わります。

求償権放棄・四者和解・ダブル不倫は派生論点として整理する

不倫慰謝料では、示談金を支払った不倫相手が、不倫をした配偶者に対して求償できる場合があります。そのため、請求する側は、夫婦関係を維持したい場合や家計から実質的にお金が戻ることを避けたい場合に、求償権放棄を求めることがあります。

ただし、求償権放棄は、支払う側にとって負担が大きい条件です。求償権を放棄する代わりに示談金額を下げるのか、配偶者も含めて合意するのか、四者で解決するのかを検討する必要があります。詳しくは、求償権放棄を示談書に入れる場合の注意点で確認できます。

また、双方に配偶者がいるダブル不倫では、片方だけの示談で終わらないことがあります。慰謝料請求が双方から出る、求償権や相殺が問題になる、四者で全体解決を目指すなど、通常の不倫示談より関係者が増えます。ダブル不倫の関係整理は、ダブル不倫の相殺・求償権も参考になります。

条件ごとの詳しい解説は個別記事で確認する

不倫示談では、すべての条項をこの記事だけで深掘りしようとすると、かえって判断しにくくなります。まずは示談条件の優先順位を押さえ、必要な条項について個別に確認するのが効率的です。

示談条件は、多く入れれば安全というものではありません。必要な条項を入れ、過大・曖昧・守れない条項を避けることが、示談後の紛争防止につながります。

示談がまとまるケース・決裂するケース

不倫示談は、双方が合意できれば裁判をせずに解決できます。しかし、すべてのケースでスムーズにまとまるわけではありません。示談がまとまるかどうかは、証拠の強さ、請求額、支払可能性、非金銭条項の範囲、交渉の進め方によって大きく変わります。

示談で終わる可能性を高めるには、感情論だけでなく、争点を条件ごとに分けて整理することが重要です。

示談がまとまりやすいケース

示談がまとまりやすいのは、双方が事実関係と条件の大枠を共有できているケースです。たとえば、不貞行為の有無に大きな争いがなく、請求額や支払方法が現実的で、接触禁止や口外禁止の範囲も過大でない場合は、示談で解決しやすくなります。

  • 事実関係の争いが少ない:不貞行為の有無、期間、既婚認識などについて大きな争いがない場合です。
  • 請求額が説明できる範囲にある:婚姻関係への影響、不貞期間、証拠の内容などから金額の根拠を説明できる場合です。
  • 支払条件が現実的である:一括払いが難しい場合でも、分割額や支払期限が実際に履行できる範囲に収まっている場合です。
  • 非金銭条項が過大でない:接触禁止、口外禁止、違約金などが、目的に照らして必要な範囲に整理されている場合です。
  • 清算条項まで確認できている:支払後に追加請求をしない範囲が明確で、示談後の蒸し返しを防げる場合です。

請求する側は、相手にとって履行不能な条件を並べるより、実際に守らせたい条件を絞る方が、結果的に回収や再発防止につながることがあります。請求された側も、争うべき点と受け入れられる点を分けて回答すると、合意の余地を作りやすくなります。

示談が決裂しやすいケース

示談が決裂しやすいのは、請求額だけが先行している場合や、前提となる事実関係に大きな争いがある場合です。特に、既婚者だと知らなかった、交際開始時に夫婦関係が破綻していた、肉体関係はなかった、証拠が不十分であるといった主張があると、金額交渉に入る前に争点整理が必要になります。

  • 不貞行為の有無で争いがある:肉体関係を否認している、証拠が連絡や食事にとどまるなどの場合です。
  • 既婚認識や婚姻破綻を争っている:相手が既婚者だと知らなかった、夫婦関係が既に破綻していたと主張する場合です。
  • 請求額が高すぎる:相場感や事案の内容から説明しにくい金額を一方的に求めている場合です。
  • 支払条件が現実的でない:一括払いを強く求める一方で、相手に支払能力がない場合などです。
  • 禁止条項や違約金が過大である:退職要求、広すぎる接触禁止、高額な違約金などが争点になる場合です。
  • 交渉態様に問題がある:深夜に呼び出す、複数人で囲む、勤務先や家族への暴露を示唆する、その場で署名を迫る場合です。

決裂しやすいケースでは、どの条件が障害になっているのかを分解することが大切です。金額が問題なのか、支払時期が問題なのか、接触禁止の範囲が問題なのか、そもそも責任の有無が争われているのかによって、次に取るべき対応が変わります。

その場で署名を迫る交渉は避ける

請求する側は、相手が不貞行為を認めた場面で、すぐに示談書や誓約書へ署名させたいと考えることがあります。しかし、相手を帰りにくい状況に置いたり、勤務先や家族への暴露を示唆したり、その場で高額な支払を約束させたりすると、後で強迫取消しや公序良俗違反を主張される原因になります。

証拠を示して説明を求めること自体が直ちに違法になるわけではありません。しかし、場所、時間、人数、発言内容、相手に検討時間を与えたかどうかは、示談の有効性に影響し得ます。後で争われにくい示談にするためにも、請求する側は、冷静に条件を提示し、相手に内容を確認する機会を与えるべきです。

請求された側も、相手の怒りや場の雰囲気に押されて、その場で署名・押印しないことが重要です。持ち帰って確認する、回答期限を調整する、弁護士に相談するなど、内容を理解してから判断しましょう。

示談がまとまらない場合は、再交渉・調停・訴訟を検討する

示談交渉が一度まとまらなくても、すぐにすべてが終わるわけではありません。争点を整理し、請求額、支払条件、禁止条項、違約金などを修正すれば、再交渉で合意できることがあります。

それでも合意できない場合、請求する側は、民事調停や訴訟を検討することになります。請求された側も、責任の有無や金額を争いたい場合、訴訟で主張立証を行うことがあります。裁判になれば、証拠、主張書面、期日対応、裁判上の和解など、示談交渉とは違う進め方になります。示談が決裂した後の全体像は、不倫裁判・調停の流れで確認できます。

決裂を避けるために、譲れない条件と調整できる条件を分ける

示談交渉では、すべての条件で勝とうとするとまとまりにくくなります。請求する側は、最低限確保したい金額、必ず入れたい清算条項、再発防止のために必要な禁止条項を整理します。請求された側は、責任を争うのか、金額を下げたいのか、分割払いにしたいのか、違約金や求償権放棄を修正したいのかを整理します。

譲れない条件と調整できる条件を分けることで、交渉の落としどころが見えやすくなります。示談は、相手を全面的に屈服させる手続ではなく、紛争を終わらせるための合意です。合意後に守れる内容に整えることが、示談で解決するための重要なポイントです。

不倫示談をした後の対応|支払・違反・無効取消しを主張したい場合

不倫示談は、示談書に署名押印した時点で終わりではありません。示談金を支払う、分割払いを管理する、接触禁止や口外禁止を守る、違反があった場合に対応するなど、合意後にも確認すべきことがあります。

特に、請求された側は「サインした後でも取り消せるのか」、請求する側は「相手が払わない・接触を続ける場合にどうするのか」で迷いやすいところです。示談後の対応は、示談どおり履行する場合、条項違反が問題になる場合、示談の無効・取消しを主張したい場合に分けて考えると整理しやすくなります。

示談どおり履行する場合は、支払記録と書面を残す

示談金を一括で支払う場合は、支払期限、振込先、振込名義、振込手数料の負担を確認します。現金で授受する場合は、領収書や受領書を作成し、いつ、誰が、何の趣旨で、いくら受け取ったのかを記録しておく必要があります。

分割払いの場合は、毎月の支払日、支払額、残額、遅れた場合の扱いを管理します。請求する側は、入金確認の記録を残し、支払が遅れたときにすぐ状況を確認できるようにします。請求された側は、振込記録、通帳、明細、相手からの受領連絡などを保存し、後で「支払っていない」と言われないようにしておきましょう。

示談書に清算条項がある場合は、支払完了後に追加請求ができない範囲も確認しておく必要があります。示談書の基本的な記載事項は、不倫示談書の書き方・記載事項で確認できます。分割払いの未払いに備えて公正証書化を検討する場合は、不倫慰謝料の公正証書化も参考になります。

示談条項に違反した・違反された場合は、まず条項と証拠を確認する

示談後に問題になりやすいのは、未払い、接触禁止違反、口外禁止違反、違約金請求です。たとえば、約束した慰謝料が支払われない、分割払いが止まる、不倫相手との連絡が続いている、職場や家族に不倫の事実を話された、SNSに投稿されたといったケースです。

違反を主張する側は、まず示談書の条項に何が書かれているかを確認します。「連絡禁止」と書いてあるのか、「私的な連絡禁止」と書いてあるのか、業務上必要な連絡は例外なのか、違約金が発生する条件は何かによって、対応は変わります。次に、LINE、メール、SNS投稿、通話履歴、入金記録など、違反を示す証拠を保存します。

違反を指摘された側も、すぐに全額を支払う、すぐに違反を認める前に、条項の文言、違反とされる行為、証拠、違約金額を確認すべきです。偶然の接触、業務上必要な連絡、第三者からの伝聞、条項の範囲外の行為まで違反とされていないかを確認します。

違約金、接触禁止、口外禁止は、示談後の紛争になりやすい条項です。詳しい判断基準は、不倫の違約金条項の有効性とリスク接触禁止条項の拒否・修正ポイント口外禁止条項の拒否・修正ポイントで確認できます。

示談を無効・取消しにしたい場合は、金額だけでなく交渉過程を見る

示談書にサインした後でも、強迫、錯誤、公序良俗違反、心裡留保、弁護士ではない第三者の不適切な関与などが問題になり、示談の有効性が争われることがあります。ただし、示談書にサインした後で「やはり高いと思った」「冷静に考えると納得できない」と感じただけで、当然に無効・取消しになるわけではありません。

裁判で重視されやすいのは、金額の高さだけではなく、交渉の場所、時間、人数、相手が帰れる状況だったか、勤務先や家族への不利益を示唆したか、検討時間があったか、条項を理解していたか、弁護士ではない第三者が報酬を得て交渉に関与していないかといった事情です。

請求された側が示談の無効や取消しを主張したい場合は、示談書、交渉時の録音、LINEやメール、支払記録、当日の状況が分かる資料を整理します。請求する側も、後で有効性を争われないよう、相手に説明と検討の機会を与え、無理な署名を迫らないことが重要です。示談書の無効・取消しや債務不存在確認訴訟については、不倫の示談書を無効・取消しにできる場合で詳しく解説しています。

注意

示談書に署名した後の無効・取消しは、簡単に認められるものではありません。争う場合も、単に金額が高いという理由だけでなく、交渉過程や条項内容を具体的に整理する必要があります。

裁判例:高額な合意でも、結論は交渉過程や事案で変わる

東京地裁平成20年6月17日判決では、慰謝料1000万円を3年以内に支払う旨の念書について、不貞行為者が相手配偶者との面談を早く終わらせたい心理状態にあったことや、1000万円が相当に高額であることなどを踏まえ、1000万円の合意は心裡留保により無効とされました。ただし、不法行為に基づく慰謝料として300万円は認められています。

一方、東京地裁平成28年1月13日判決では、500万円の和解金合意について、強迫取消しも公序良俗違反も否定されました。話合いが一般人もいるオープンカフェで行われ、被告も分割支払額について交渉していたこと、不貞によって婚姻関係が破綻したと評価されたことなどから、500万円が不相当に高額とはいえないと判断されています。

東京地裁平成29年3月15日判決では、600万円の和解契約が問題になりました。原告側は深夜0時30分頃、男性4名でマンションに立ち入り、携帯電話を手の届かない場所に置き、勤務先での不利益を示唆し、その場で和解書作成を求めていました。裁判所は、権利行使として正当性が認められる余地はあるとしつつ、手段が相当性を欠くとして、強迫取消しを認めました。

また、東京地裁令和3年9月16日判決では、弁護士ではない第三者が報酬を得て不貞関係の和解交渉に具体的に関与していたことや、交渉態様が相当性を欠くことなどを踏まえ、和解契約が公序良俗違反により無効とされました。この事案では、その第三者が弁護士法72条違反で起訴され、有罪判決を受けていた点も重要です。

これらの裁判例から分かるのは、「高額だから必ず無効」「署名したから必ず有効」と単純にはいえないということです。示談金額、交渉態様、支払方法、婚姻関係への影響、第三者の関与などを総合して判断されます。

示談後に迷ったときは、次の争点を分けて確認する

示談後のトラブルでは、複数の問題が混ざりやすくなります。支払の問題なのか、条項違反の問題なのか、示談自体の有効性の問題なのかを分けて整理すると、次に取るべき対応が見えやすくなります。

  • 支払の問題:期限、残額、分割払い、遅延損害金、期限の利益喪失、公正証書化の有無を確認します。
  • 条項違反の問題:接触禁止、口外禁止、違約金条項の文言と、違反を示す証拠を確認します。
  • 有効性の問題:強迫、錯誤、公序良俗違反、非弁関与、心裡留保などを検討します。
  • 今後の手続:再交渉、請求通知、訴訟、債務不存在確認訴訟など、目的に合う対応を検討します。

示談後の対応を誤ると、支払済みの金額、違約金、追加請求、訴訟対応など、問題が広がることがあります。示談書は、作成して終わりではなく、履行と紛争防止まで含めて管理することが大切です。

まとめ

不倫示談は、裁判を使わず話し合いで解決できる方法です。ただし、示談金の金額だけを見て進めると、支払方法、清算条項、接触禁止、口外禁止、違約金、求償権、示談後の履行などでトラブルが残ることがあります。

この記事の要点を整理すると、次のとおりです。

  • 不倫示談は、裁判外の話し合いで不貞慰謝料問題を解決する方法です。
  • 示談交渉は、請求する側の請求から始まり、請求された側が事実・金額・支払条件を確認して回答する流れが多いです。
  • 示談条件は、必須項目、原則重要、ケース別、慎重設計に分けて考えると整理しやすくなります。
  • 強迫的な交渉、非弁関与、過大な違約金条項は、後で示談の有効性が争われる原因になります。
  • 示談書・誓約書・違約金・接触禁止・口外禁止・無効取消しは、必要に応じて個別記事で詳しく確認しましょう。

示談は、早く終わらせることだけを目的にするのではなく、後から争いになりにくい内容に整えることが重要です。請求する側は、相手に守らせたい条件を必要な範囲に絞り、請求された側は、支払える金額と守れる条項かどうかを確認したうえで判断しましょう。

坂尾陽弁護士

請求を始める前も、示談書にサインする前も、金額だけでなく条項全体と交渉方法まで確認しましょう。

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