不倫がばれたときに犯罪者扱いされることがあります。
しかし、不倫をしたことは、それだけでは犯罪にはなりません。むしろ、不倫をされた側が暴走して犯罪に該当する行為をするケースもあります。
この記事では、不倫がそれだけでは犯罪にならない理由や何をすると不倫が犯罪になるかについて解説します。
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1. 不倫だけでは犯罪にならない
1.-(1) 違法行為と犯罪について
不倫は、結婚生活を破壊するものであり、不倫をされた人を精神的に傷つけるものであることは間違いありません。
また、夫婦は貞操維持義務(=夫婦以外の異性と性行為をしない義務)を負っているため、不倫が違法行為だとは言えます。
しかし、不倫が違法行為として責任を追及されるのは民事上の話です。
そもそも、犯罪とは刑罰を科される行為であって、厳格な要件と手続が定められています。逆に言うと、法律で定められた犯罪行為の要件(構成要件と言います。)に該当しない限り犯罪にはなりません。
犯罪行為を定める法律は、典型的には刑法です。しかし、刑法を含めて日本の法律には不倫を犯罪とするものはありません。
なお、明治時代には姦通罪が定められており、女性の不倫行為は犯罪でした。しかし、第二次世界大戦後の日本国憲法制定とともに現行刑法が作られて姦通罪は廃止された経緯があります。
(参考)姦通罪 – Wikipedia
1.-(2) 不倫が犯罪にならない理由
不倫は「心の殺人」と言われることもあり、他人を精神的に深く傷つけることは間違いありません。それなのに、なぜ不倫は犯罪にはならないのでしょうか。
この点については、様々な考え方がありますが「恋愛は自由である」という考え方が背景にあるように思われます。
不倫行為と言っても悪質性は様々です。従って、単に不倫をしているだけで、犯罪行為とするのは著しく自由を制約することになります。
例えば、極端なケースでは長年別居をして夫婦関係が破たんしているのに、不倫をするのが犯罪行為だというと、夫婦関係の戸籍が残っているだけで恋愛が全くできなくなってしまいます。
また、不倫は精神的に人を傷つける行為ですが、殺人や傷害と違って肉体的に人を傷つけるわけではありません。また、詐欺や窃盗と違って直接的に経済損失を与えるものでもありません。
精神的損害は客観的に図ることが難しいですが、犯罪行為は原則として客観的に判断されるべきと考えられています。
従って、不倫の結果という観点からも、客観的に判断することが難しい精神的損害を理由に不倫を犯罪とするのは難しいのではないかと考えられます。
2. 不倫に関連して犯罪が問題となるケース
不倫をした「だけ」では犯罪にはなりません。
しかし、不倫に関連して犯罪が問題となるケースがあります。とくに名誉毀損罪、脅迫罪・恐喝罪、強要罪、ストーカー規制法違反等が不倫に関連して問題となります。
不倫に関連して犯罪行為を行うのは、何も不倫をした側だけではありません。むしろ、不倫をされた側が被害感情から暴走して思わず犯罪行為を行うケースもあります。
2.-(1) 名誉毀損罪
名誉毀損罪は不倫に関連して最もありがちな犯罪行為です。
例えば、実名を出したり又は特定されるような形で不倫の事実をインターネットやSNSに書き込んだ場合には名誉毀損罪に該当します。
不倫をした側が別れたことで恨みを持ってする場合もありますし、不倫をされた側が被害感情からつい書き込んでしまう場合もあります。
また、職場不倫の事案では、不倫をされた側が「不倫を職場に言う」等と主張することもあります。職場の誰に言うかにもよりますが、手段・態様等によっては、これも名誉毀損罪に該当する可能性があるので注意が必要です。
2.-(2) 脅迫罪・恐喝罪
脅迫罪・恐喝罪は不倫をされた側が不倫の責任追及をするときに暴走して行ってしまいがちな犯罪行為です。
脅迫罪は他人を脅したことで成立しますが、脅迫行為に加えて金銭等を要求すると恐喝罪の問題となり得ます。
(参考)恐喝罪 – Wikipedia
例えば、「不倫をされて怒りのあまり、お前に対して何をするか分からないぞ」と言った場合には脅迫罪が成立する可能性があります。
どのような脅迫行為が犯罪に該当するかは具体的事情によります。例えば、「殺してやる」と明確に脅した場合は犯罪に該当するのは明らかです。しかし、そうでなくても事情次第では脅迫行為になる可能性があるので慎重に考える必要があります。
また、不倫をされたことで慰謝料請求をするときに「慰謝料を払わないと不倫を言いふらしてやる」等と言って慰謝料を支払わせようとする行為は恐喝罪に該当し得ます。
なお、不倫をされた側は慰謝料を請求する権利があります。しかし、正当な権利行使でも金額や手段によっては恐喝罪に該当すると考えられているので注意が必要です。
2.-(3) 強要罪
強要罪は脅迫行為によって義務がないことを行わせる場合に成立する犯罪です。
(参考)強要罪 – Wikipedia
とくに職場不倫がばれたときに、不倫相手の配偶者から退職を要求されたときに問題になります。
職場不倫であれば、不倫を止めさせても職場で接触する機会があるため、不倫をされた側は職場を辞めて欲しいと思う気持ちは分かります。しかし、職場不倫であっても職場を辞める義務までは負いません。
(参考)社内不倫で慰謝料を請求されたとき退職の必要性や減額のポイントを解説
そのため、脅迫行為によって退職を要求したときには強要罪が成立する可能性があるので注意が必要です。
2.-(4) ストーカー規制法違反
不倫で本気になったときは、一般的な恋愛と同様にストーカー問題が生じます。ストーカー規制法違反は、つきまとい等やストーカー行為を規制の対象とする犯罪行為です。
例えば、不倫関係の解消について話し合いがこじれて、不倫当事者の一方がストーカー化するようなケースはたまに存在します。
3. 不倫による犯罪被害に合ったら
3.-(1) 不倫問題に強い弁護士に依頼する
不倫に伴う犯罪行為は、不倫の責任追及をする場面で当事者がエスカレートして行うことが多いです。とくに、不倫慰謝料の問題に関連して犯罪が問題になることが多いです。
従って、不倫慰謝料について弁護士に依頼しているときは、犯罪と思われる行為の被害についてもその弁護士に相談しましょう。
不倫をした側であれば不倫慰謝料請求に強い弁護士、不倫をされた側であれば不倫慰謝料減額に強い弁護士がいます。
(参考)慰謝料減額に強い弁護士に法律相談するとき確認するべき5つのポイント
いずれの弁護士でも不倫に伴う犯罪行為の実務的対応には詳しいはずです。基本的には、不倫慰謝料の請求に伴う犯罪行為は大きな問題になる前に食い止めることができます。
3.-(2) 告訴等は行うべきか
不倫で犯罪行為に該当するからと言って直ちに告訴等を行うことは慎重になるべきです。
なぜなら、あくまで慰謝料の示談交渉がエスカレートして「犯罪では?」と思われる暴走行為が生じるにすぎません。
もし告訴等をすれば紛争が激化して、穏便に慰謝料の話し合いをすればまとまる話もまとまらないリスクがあります。
弁護士が警告をして示談交渉を続ければ犯罪行為がストップして、穏便に不倫慰謝料の話し合いをして解決するケースがほとんどですのでご安心ください。
3.-(3) 慰謝料の増額・減額要素になる?
他方で、不倫慰謝料の交渉をするときに犯罪行為をしたことは慰謝料の増額・減額要素になります。
厳密には犯罪行為と言えなくても、悪質な暴走行為や嫌がらせ行為であれば慰謝料金額の判断には影響するでしょう。
不倫をされた側が犯罪行為と言えないまでも嫌がらせ行為をすることは少なくありません。このような場合は高額な慰謝料を請求されたとしても慰謝料の減額要素になります。
4. まとめ:不倫に対する責任追及=民事上の慰謝料請求
そもそも、「なぜ不倫が犯罪ではないか?」と考えるのは、「不倫で深く傷ついたのに許せない」という不倫被害者が想うからです。
しかし、不倫をしたこと自体は犯罪ではありません。
不倫に対する責任追及はあくまで民事上の慰謝料請求で解決するべき問題です。不倫が許せないと思われたとしても、民事上の責任が問題となるだけです。
むしろ、不倫が許せない余り慰謝料請求に伴う暴走行為が犯罪行為に該当することもあります。
もし不倫に関連して犯罪行為ではないかと感じたときは不倫問題に強い弁護士に相談しましょう。
原則としては、弁護士が警告をして示談交渉をすれば、犯罪行為がストップして穏便に慰謝料の話し合いができることがほとんどですのでご安心ください。
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